マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2017.09.08
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カテゴリ: ウルトラマラソン
<6 リタイヤランナーの収拾とゴール>

  神の湯

 遠刈田温泉の神の湯。ここは蔵王町が経営する公共の湯で、確か料金は300円だったはず。今回参加したランナー達は無料で入れる。私達は関門ギリギリで到着したが、入浴したランナーは多かったはず。それにここで力尽き、リタイヤしたランナーはなおさらだ。予めここまで自分の荷物を送れていたので、着替えも出来るだろう。至れり尽くせりの関門とASだ。

  すずらん峠   

 さて、私達の使命はここで変わる。リタイヤしたランナーを順次ゴールまで送るのだ。レースのコースとは直ぐに別れて、すずらん峠を通る。蔵王町から川崎町に抜ける峠道は、高低差300mはあろうか。私も自宅から山形の蔵王温泉まで走った時に通ったことがある。距離は77kmだった。車中は賑やかだ。「今日のコースはクレージーね」と関東のランナー達。「奥武蔵の方が楽」とも。

  釜房湖

 朝の事故現場に出る。どうやら酒酔い運転での自滅らしい。ランナーが無事で良かった。釜房ダム湖横の道路に出る。ここも私は初めて通った。湖畔公園入口を過ぎて県道160号線に入る。分岐点に誘導係がいないことが気になった。暫く行くと最後の登り坂を何人かのランナーが走っていた。女子のトップもいた。白髪のお婆さんの足は軽く、リズムが全く乱れていない。

 みちのく杜の湖畔公園  

 ゴールの「秋保ワイナリー」にリタイヤした選手を送る。ここにはゴール用の荷物が届いている。トイレを済ませ、次の指令を待った。指令は90.3km地点の最終(第3)関門、みちのく杜の公園入口でリタイヤ選手を拾うこと。ランナーは遠刈田温泉から大回りに迂回し、村田町を経由し川崎町支倉の山中を通ってここに至る。関門は17時ジャスト。もし通過出来ればゴールまで残り10km。2時間はある。

  湖畔公園風景

 関門に着いた。何やら論議してる様子。制限時間と同時にASを畳むとのこと。私は担当ではないが意見を言った。ランナーはここまで必死に走って来る。それが関門に引っかかるだけでなく、食べ物や飲み物が一切無かったら困るだろう。それで皆は黙った。ゴミなど不要なものを車に積み、公園から借用したデスクや椅子などを返却。その間も何人かが関門を通過して行った。ギリギリのランナーを声を嗄らして応援。



 関門閉鎖後30分だけ待って、再び車でゴールへと向かう。リタイヤランナーは3名とスタッフ3名だ。途中にランナーの姿はなく、見えたのは県道160号線に入ってから。残り5km足らず。登りではすべてのランナーが歩いていた。時間はまだある。余力を残しているのだ。黙々と歩くランナーも、下り坂に入ると再び走り出す。最後の最後まで坂に苦しめられる難コース。多分完走率は50%程度ではないか。

 ゴール<秋保ワイナリー>

 ゴール手前も最後の坂道。時刻は18時を回り、闇が迫っている。選手を下ろし、私達は積んでいた荷物を運んだ。膨大な備品類とゴミ。そして余った大量の飲み物など。草臥れ果て喉を嗄らして声も出ない。それでも黙々と働く。



 選手たちが帰って来る。最後の力走だ。拍手、拍手、また拍手。正確には100.5kmの難コース。そして累積の高低差は1500mは楽に超えたはず。名誉ある第1回の完走者。記念撮影を済ませ、仲間と握手やハグする姿がそちこちで観られた。



 夕闇が迫っている。朝の4時にスタートして、既に14時間近くは走った。あの連続する激坂をよくも最後まで走り抜いたものだ。苦しみは走ったランナーにしか分からない。そして喜びもまた然りだ。共に苦しんだ仲間だからこそ、今手を取り合ってこの地にある。ウルトラマラソン万歳だ。<続く>





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Last updated  2017.09.08 06:26:14
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