マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2019.02.05
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~一路与那原へ~


     <カヌチャベイから辺野古崎(左前方)を望む>

 翌朝、早めに朝食を摂った。遥か彼方に辺野古崎が見え、その手前にクジラの姿をした2つの小島が見えた。あそこに普天間から移転すれば、沖縄資本で建てられたというこのリゾートホテルは、離着陸の際はルートの真下になるのではないか。私にはそんな風に思えた。カヌチャには「神着」の漢字を充てていた。沖縄の先祖神が辺戸岬から島の南部へ移動した際も、ここへ寄ったと思わせる地名だ。

  汀間の浜  

 困ったことが起きた。宅急便を頼んだら、今日中に那覇へは着かない由。私は翌日の飛行機で帰る予定で、荷物が送れないとどうしようもない。それで割高の方法を取った。その業者が名護にある他業者の出張所まで届け、そこから那覇へ転送すると言う方法。前夜の宿泊費と言い、今日の運送料と言い、残金はとても厳しくなるが、選択の余地はなさそうだ。高級リゾートホテルに別れ、第2日目のスタートだ。

  大浦湾

 汀間(てぃーま)を通過する時に、とても清らかな小川が見えた。何という風景だろう。車だと一瞬で通り過ぎるが、走っているからこそ見える風景だ。瀬嵩では月桃で包んだむーちー(餅)を売っていた。何かのお祭りみたい。大浦湾に沿って行くと、やがて湾の最奥部。11月末と言うのに蝉の鳴き声が煩い。小川の中に石で囲んだ「エリ」があった。小魚を誘い込む原始的な装置を初めて見た。

         二見集落   

 湾の向こう側が二見(ふたみ)集落。新民謡「二見情話」。道端にその石碑が建っていた。歌詞にもあるように、とても厳しい坂道だった。途中から抜けられるトンネルの工事中だったが、そこを通ることはもう二度とないはず。坂を登り切ると、国道329号線と合流。右へ行けば名護市内。左折するとあの有名な辺野古崎へ出る。だが、基地の中はほとんど見えない。広大な上、岬の突端にあるためだ。

 ゲート前

 辺野古の米軍基地、キャンプシュワブのゲート前はとても静かだった。通過したのは午前10時過ぎか。反対派は誰もいない。第1ゲート前、第2ゲート前のそれぞれにバス停があった。前日覗いた東村高江のペリパッドもここ辺野古も、現在ほど騒然としておらず、静寂そのもの。さらに行くと辺野古の集落や国立沖縄高専の新しい建物が見えた。それも北部振興策の一端だ。

キャバレー跡  

 ベトナム戦争当時、辺野古集落のキャバレーは米兵で賑わった。終戦後米兵の足はピタリと止まり、飲み屋街はほぼ廃墟に。そのせいか移転歓迎派の住民が多い由。先日TV番組で、彼らが戸別ごとの補償を要求していることを知った。与那国島への自衛隊基地建設時も、島民は同じ要求をした。それが不可能なことを知らないのだ。ただそれに代わる振興策で、国は莫大な予算を沖縄に注ぎ込んでいるのだが。



 後はこの東海岸を国道に沿って南下し、与那原にゴールするだけ。宜野座村惣慶を通過。ここは鳴門勤務当時の上司の故郷で、タイガースのキャンプ地(当時)の球場があった。金武(きん)町の米軍基地キャンプハンセン周辺では、軍人さんが手を振って応援してくれた。前日のような厳しい坂道や、曲がりくねった道はなくなり、ほぼ平坦で見通しの良い国道が続く。



 石川市(現うるま市)に入ると、金武町では霞んで見えた「海中道路」がかなりはっきりと見えだした。逆方向から見るのは滅多にない。沖縄市へ入ると沖縄本島の「背骨」に当たる部分を走ることになる。やがて「おきなわマラソン」のコースに出、キャンプ瑞慶覧(ずけらん)の横を走った。そこからは夕暮れとの競争。北中城村の渡口の手前で夜はになった。ただし照明があり、道も知っていた。

 与那原の大綱引き 

 ゴールの与那原町に着いたのは午後10時20分ごろ。ようやく2日間で150kmの一人旅が終わった。タクシーを拾って那覇へ。懐かしい風景。かつて住んでいた首里付近も通った。チェックインは11時。辺戸岬から与那原まで走ったと言うと、ホテルマンが驚いていた。さて、その夜は残り物を食べ、風呂に入って眠った。本島一周単独ランの2回目はこうして終わった。実に長い旅だった。<続く>





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Last updated  2019.02.05 12:26:47
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■コメント

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Re:やんばる そしてうちなー(21)(02/05)  
合格は期待していなかった漢検もようやく終わってほっと一息ついたところです。
いつも温かいコメントを書いてくださって励みになりました。
ありがとうございます。
暫くは漢字を休んでパソコンにも目を向けたく思います。

しかしマックスさんはこんな長文をよく書けるなっていつも驚いています。
詳しい句かいてくださるのでその土地の様子や気持ちが伝わって来ますね。
(2019.02.05 06:56:58)

Re[1]:やんばる そしてうちなー(21)(02/05)  
マックス爺  さん
たくちゃん9000さんへ


お早うございます!!
いつもコメントをありがとうございます。
そして漢検受験、どうもお疲れ様でした。(^^♪

ハハハ。それはどうもありがとうございます。
私は文章を書くのが好きなので、まったく
長文などとは思ってないのです。
私なりに書きたいこともたくさんありますのでね。

でもこうして何年か前のことを思い出しながら
書けるのは、とても幸せなことです。
それに今はほとんどネットで写真を探せるため、
とても臨場感のある紀行文が出来ますしね。💛😊

(2019.02.05 07:16:09)

Re:やんばる そしてうちなー(21)(02/05)  
yorosiku!  さん
走るの~けっこうお金が 掛かりますね。でも、達成感があるのですね(*゜▽゜)ノ (2019.02.05 12:08:31)

Re[1]:やんばる そしてうちなー(21)(02/05)  
マックス爺  さん
yorosiku!さんへ


今日は~!!
いつもコメントをありがとうございます。

ハハハ。そうなんですよ。
今は健康ブーム、マラソンブームで、
エントリー料金が高くなりましたね。
それに旅費と宿泊費を加えたら、本当に
お金がかります。それで私は退職後も
アルバイトをして経費を稼いでいたのですが、
それすら前妻は不満を持っていたのでしょう。

私はこんな趣味を持てて、何の後悔もありません。
苦労を含め、全てが良い思い出なので。(^_-)-☆
(2019.02.05 12:34:15)

Re:やんばる そしてうちなー(21)(02/05)  
こんな体験はきっと一生忘れられないことでしょうね。読んでいてもつい先日これをなさったような、新鮮な感じで受け止めながら読ませていただきましたよ。そして沖縄の美しさも感じさせていただきました。五島の海もきれいですが沖縄ほどではないです。そこを自然を見ながら風を肌で感じながら走りゆく気持ちは、きっと座禅以上に何かを心にもたらすことだろうと感じましたよ。
お見事お見事、そしてご苦労様でした。 (2019.02.05 13:35:31)

Re[1]:やんばる そしてうちなー(21)(02/05)  
マックス爺  さん
ローズコーンさんへ


今日は~!!
いつもコメントをありがとうございます。

いえいえ。とても座禅のようには行きません。
そんな清らかなものではないのですが、走っていると
自然に癒されますね。

これは実際に走った人だけが体験できること
ですが、こうして今でも強く記憶に残って
いるのは、それだけ強烈な印象だったのでしょうね。

こうして生きていること、そして思い出の話を
書けることが、今の私の最大の喜びです。😊
(2019.02.05 15:06:03)

Re:やんばる そしてうちなー(21)(02/05)  
こ う  さん
こんばんは

2日間で150km完走したんですね
流石としか
いろんな景色を見ながらならある程度の距離は
走れるのかもしれませんね
荷物がなくちゃ話にならないでしょうから
出費は仕方ないですね(@_@。
(2019.02.05 20:29:38)

Re[1]:やんばる そしてうちなー(21)(02/05)  
マックス爺  さん
こ うさんへ

お早うございます!!
いつもコメントをありがとうございます。

この冒険をしたのは60代半ばでした。
まだそれだけ走れたのは、当時1人で
長距離を走る練習をしていたからでしょうね。😊

ウルトラマラソンをしてる人じゃないと
多分こんなことは思いつかないでしょうね。
冒険もまた楽しみの一つだったのです。(^_-)-☆ (2019.02.06 07:12:19)

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