マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2019.08.02
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カテゴリ: 写真
~ヤマユリを探しながら走った話~

 ヤブカンゾウ

 あれはまだ暑くなかった1週間ほど前の朝のこと、「ああこれは走れるな」と感じた。体調の悪さとお天気の悪さから、私は1か月半ほど全く走れる気がしなかった。それが走る気になったのは、耳鼻科からもらっためまいの薬が効いて来たのと、8月のとある催しを思い出したからだ。今がチャンス。このまま走らないでいたら、きっともう走るのは無理。直ぐに走るための準備。そしてカメラも持とう。


         <女郎花(オミナエシ=左)とヤマユリ>

 とっさにそう思ったのは、ひょっとしてヤマユリが咲いているかもとひらめいたせい。ヤマユリの咲いている期間は1週間ほど。1か月半も走ってないためよほど奇跡でもない限り無理なのだが、私はなぜか咲いているように感じたのだ。それは庭のカサブランカを見たせいかも知れない。



 だが走り出しても胸が苦しいし足も重い。それはそうだ。全く走ってないうえ、じっと家に閉じ籠っていたのだから。だがランナーに言い訳は許されない。たとえ歩くような速さでも、私はまだランナーの積りでいる。この気持ちが失せない限り、私はランナーでいられる。最初に出会った花が冒頭のヤブカンゾウ。おおっ、きれいなオレンジ色。案外これなら期待出来るかも。次に出会ったのは↑のヤマユリ。



 それはあるお宅の花壇に咲いていたのだが、元々は付近の山野に咲いていたものだろう。この花が咲いていたら、他も大丈夫なはず。淡い期待がもうそんな確信に変わっていた。久しぶりのランが嬉しい。まだ俺は生きて走っている。流れる汗もまったく気にならない。心地良い風。そして鳥の声に蝉の声も。



 ヤマユリは私の前に次々とその大柄な姿を見せた。しべの花粉が濃く、香りはとても強い。その姿もその香りも私は大好き。1年ぶりにまた会えたお前たちよ、本当にありがとうね。



 私は私を信じたい。良いことも、そして悪いこともすべて。あれほど会いたかったヤマユリが、私の行く手に次から次へと現れた。元気で良かったね、お互いに。



 ここ数年、私の体調はかなり厳しいものがあった。自分でコントロール出来ないことが増えた。それに伴って飲み薬も増えたもんなあ。そしてお前たちヤマユリも「開発」と言う名の危険が迫っている。今は盗掘から逃れられてるけど、いつまでこの環境が守られるか。



 こんな不格好なフォームでノロノロ走る老いぼれを、笑わば笑え。そんなことなど何ともないさ。人生同様、不格好のままで十分。



 世の中、きれいごとだけでは済まない。苦しみ、もがき、人を恨み、時には悲運を嘆く。不安で
不安で眠れない夜もあった。だがこうして書けるだけ、私はきっと幸せなんだろうな。



 嬉しいねえ、生きるって。嬉しいねえ、走れるって。この日は何とか家までたどり着いた。その分何日間か足は痛んだが。



 その4日後には逆回りで同じコースを走った。真夏日の連続で疲労と睡眠不足だったが、大丈夫行けると判断してのこと。健気にもまだヤマユリは咲き残ってグッタリしながらも何とか帰宅し、急いで水シャワー。ふう~っ、生き返る。さて今月18日の行事までに、体が暑さに慣れるかどうかが問題だ。底のすり減ったランニングシューズと医療用インソールが、果たしてこの足を守ってくれるかどうか。頼んだよ、よろしくね。





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Last updated  2019.08.02 06:48:57
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