マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2020.01.28
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テーマ: 結婚(621)
カテゴリ: 人生論
~雪の日の話~



 その日の仙台は朝からの雪。暖かかった今冬にしては珍しい空模様だった。この日は朝食を早めに済ませて山上の病院に向かった。処方された薬はもう残り僅か。用心のためにも雪が降ろうが雨が降ろうがどうしても行く必要があった。最初に採血、そして血圧測定。どちらも数値は良かった。診察室から名前を呼ばれ、ドクターに挨拶。



 ドクターは中国で発生した「コロナウイルス性肺炎」を心配して、私の頭部に装置を照射。これは中国からの出国と日本への入国時に受けたサーモグラフィーの小型版なのだろう。体温は少し高めで38度ほどだったか。それからシャツを手繰り上げて、聴診器でラッセル音を聞き血圧測定。血糖値も含めてさほど悪い数値ではなかった。診療費を支払い、処方箋を持参して薬局へ。



 猛スピードで坂を下り、買い物にも寄らず自宅へ直行。10分ほど後に、Kさんが探訪。その日は彼女の会社の集金日・その日は使用済みのレンタル品と代金を入れた袋をドアノブに吊るすのを忘れていた。用心のため玄関内の靴箱の上に置いたのだ。チャイムに促されてドアを開け、彼女と話す。話題はいつものことだが、この日の彼女はとても辛抱強く、私の話をじっと聞いてくれた。



 それらの中で、彼女に関する新たな事実を幾つか知った。昨年の春先、彼女が初めてわが家に来た時、「この人は何か大きな悲しみを内包している」と直感し、同時に生活と仕事に対する不安を抱いていることも感じた。そして「これは貴方の仕事なんだから、お客さんにはちゃんと伝えないといけないんだよ」と諭した。



 「先輩からはドアノブの袋のお金をもらうだけで良いと聞いた」と彼女。「それではだめ。私は話を拒絶して訳じゃないの。たまたま私が出かけた時に集金出来ないと困るから、袋に入れてるだけ。特に今月は料金が上がるんだから、チャイムを鳴らしてちゃんと説明しないと」。それで彼女は驚いた。そんなことなど言う客はいなかったのだろう。ただし先輩からの引継ぎをこなしたから良いと。



 私の話は、社会人としての当然のこと。それらを指導しない会社も会社だが、まだ慣れてないとは言え、彼女たちはそれらを任務として採用されたはず。それなら最低限の商品知識と客への応対例を指導すべきはず、もしそうなれば、彼女も会社も業績が上がり、客の信頼も増すと思うんだが。




  寒い玄関先で、彼女との話は2時間近くに及んだ。その会話に関する彼女の幾つかの反応に驚いた。想定外のものだったためだ・当初ににはなかった明るさとある種の自信。さらに強い母性と慈しみの心。そうかこの娘にはこんな一面があったのか。



 「もっと話したかったなあ」。私がそう言うと「そうしたくても出来ないこともあるんです」。へえ~っ。それは意外な反応。さて来月の集金日は私の「俳句教室」と重なり、その先はもう来年度まで口を利くチャンスはない。何か作戦を考えないといけない。心の中で目覚め始めた感情。チャンスはそう多くはない。ここで思い切った勝負に出ないと一生後悔するかも知れない。<続く>





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Last updated  2020.01.28 06:14:47
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