続々・絨毯屋へようこそ トルコの絨毯屋のお仕事記

続々・絨毯屋へようこそ トルコの絨毯屋のお仕事記

PR

Profile

mihri-kilim

mihri-kilim

Calendar

Keyword Search

▼キーワード検索

July 1, 2022
XML
セルダ―先生のイーネオヤ千本ノックの1日目。



先生のお家には棚やテレビの前に可愛いオヤの装飾が。
お部屋の家具などもピンクでまとめてあって、とても可愛らしい。

セルダ―先生はムシュクレ村の出身の30代の女性で、母親や祖母の見様見真似で、6歳の頃からオヤを作っていたそう。
お嫁入り先のお姑さんも村のオヤの名手の一人でさらにオヤの腕を磨いた。
とにかくオヤを作ることが大好きで、ムシュクレ村のオヤはもちろんだけれど、他の地域のオヤもちょっと見ては作り方を解明して再現してくれるところが凄い。

そして何と言っても作業スピードがめちゃくちゃ速い。
私たちのためにゆっくりやってくれるものの、作り始めるとそのスピードが加速する。
コツは無駄な動きをしないこと、効率良い作業準備だそうだ。



日本から来る友人たちにオヤを教えてくれるのにも、こんなにお金をかけて遠くまで来たのだから、1秒でも無駄な時間を作らず、1つでも多くのオヤモチーフを覚えていってもらいたいとレッスンが進んで行く。
もう疲れたし遅くなったから今日はここまででいいですよ、と言っても、私は夕食作るのが少し遅れても大丈夫、あと30分あればもうひとつモチーフできるわ、と手を止めない。宿題も出る。

それをかつて体験した日本の友人の一人が「千本ノック」と呼んだ。
次から次へと休む間も惜しんで繰り出されるオヤモチーフ攻撃。
それを必死の覚悟で受け止めていかなくてはいけない修行中の修行である。

でも事実、遠く日本からトルコにオヤのためだけに来た身にはありがたいことである。
1つ教えたからもう十分でしょう・・・と言われても仕方がない状況で、たくさんの情報を持ち帰ることができる。しかも教えたいものを教えるのではなく、習いたいものを習わせてくれる。

今回はムシュクレ村の伝統的なモチーフから習うことになっていたが、合わせて日本のオヤ好きさんたちともzoomで繋がって、セルダ―先生のレッスンを体験してもらうことになった。
1回目は「スイカの花」のモチーフ。



エアオヤしかやっていない私の通訳ではどうだろうと思いつつ、実際にひとつのモチーフを作る工程を最初から最後まで説明しなくてはいけない状況下で、わからないなりにヘンテコ編み図を書きながらも、糸運びはたぶん今でも説明できるぐらいに頭に叩き込めた。

そして思ったのが実際にトルコのオヤを作る人の作り方を見ることはとても意味があることだと。
日本ではイーネオヤの作り方がこれが定番という固定された作り方で教えられると思う。
習う方もそれがイーネオヤだと思うしかない。
でもそれはたまたま習った相手がそうしていたから、そうなっただけで、トルコには地域や作り手さんによっては糸運びの方向はもちろんだけど、目の数え方の概念から、針を通す場所、裏表の認識などが異なる。
ズラファというトルコのオヤ界では当たり前だと思われている言葉が地域によっては通じない。地方による方言単語もある。
その以前に今では当たり前のようになっている化繊糸をライターで処理するということも私自身は日本で初めて見たし、トルコでも市民講座以外では見かけたことがなかったりする。
セルダ―先生が「人工シルク糸を使うのになんでライターで処理しないのですか?」という質問に対して「イーネオヤを作るのにライターって必要なの?」と逆に聞かれたことも衝撃だったけど、考えてみると私もあれっ、ライターって使う必要があるのだっけ? と思い返してしまった。
もちろんライターを使用することも工夫の一つだと思うから否定はしないです。

トルコのイーネオヤが自分たちが知っているもの、やってきているもの、もしくは日本で教えられているものが全てという感覚はまず捨て去らなければならないと思った。
今回のオヤ旅では特にそう感じた。
同行されたメンバーはみなさん日本でオヤが紹介され始めた当時から顔馴染みのベテラン揃いで、その対応も早かったし、違うものをすぐに処理して受け入れられる感覚と技術が素晴らしかった。
形が複雑になるに連れて、そこに工夫をしていかなければ形成されないモチーフもある。
そうなるといくらイーネオヤの作り目の方法は1つだけであってモチーフは作れたとしても、綺麗に作れるコツとは無関係のものになる。

このモチーフを、この形を、これらの糸でどうやったら綺麗に美しく作ることができるか、これが異なる地域や年代のイーネオヤをたくさん見て、様々な環境の人から習うべきであるという究極の理由なんだと思った。

(旅は続く)

ギリシャのトルコ人村のイーネオヤ文化について、取材した内容を現地のイーネオヤの写真をふんだんに載せたパワポを用いてお話します。
オスマン帝国の拡大に伴い16、17世紀に移民としてこの地に渡ったトルコの農民たち、その子孫としてギリシャ国籍で暮らしながら独自の文化を守ってきた彼女らのイーネオヤ、どんなものが興味ありませんか?
トルコのどこのオヤとも似ていない、大きな盛り盛りの不思議な造りのイーネオヤを現在も行われている風習やモチーフ名とともにご紹介します。
また古いオヤの変貌の例を見ながら、どうしてこの形になっていったかなどを解説します。



どなたでもお申込みできます。
初めての方も大歓迎です。
詳細・お申込みはオヤマニアの会さんのブログをご覧ください。→ 



YouTubeに「ikumi nonaka」チャンネルを開設しました。
トルコの伝統手工芸、食文化、生活、牧畜などをご紹介していきます。
新着のお知らせがいくように、 チャンネル登録 をぜひお願いします❤

ikumi nonaka チャンネル




ミフリのショッピングサイトはコチラ↓
20151106_b7d37a_Fotor.jpg
ミフリ&アクチェ

にほんブログ村 ハンドメイドブログ トルコ手芸・オヤ・キリムへ
にほんブログ村

にほんブログ村 海外生活ブログ トルコ情報へ
にほんブログ村


その他・全般ランキング

PVアクセスランキング にほんブログ村





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  July 1, 2022 08:24:33 PM


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: