円弧状に曲げたFBとS字に曲げたFBをX形にして、溶接で留めています。FBのサイズは10mm×35mmであり、10mmの見付けはかなり細くてチャープに見えます。継ぎ目の部分は、円弧状の隅肉(フィレット)としています。FBは見付けが薄くて刃のようにシャープに見えるので、ミースは建築ばかりでなく家具にも好んで使っています。バルセロナ・チェア(1929)以外にも、テューゲントハット・チェア(1930)、ブルノ・チェア(1930)もFBの椅子です。FBの仕上げは、鏡面となるクロムメッキ。バルセロナ・チェアは大ヒット商品となり、現在も世界中の役員室やラウンジに置かれています。 ・25Φ程度の鉄パイプによる椅子は、最初にマルセル・ブロイヤーが自転車のハンドルから発想してつくって以来、ミース、マルト・スタム、ル・コルビュジエらが多くのパイプ椅子をつくりました。 参考文献 David Spaeth, ”Mies van der Rohe” The Architectural Press, 1985