南風一の世界

南風一の世界

2015/05/16
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類

1年  南風一

10時の時報が鳴って
車のドアを閉めると
2階の会議室へ急いで駆け上がった
部屋に入ると
ボランティア仲間はすでに着席して
残すところ私一人となっていた

きみの姿が見えたけれど
そこにまっすぐ行くには気が引けたので
ぐるりと後ろから回ってはみたけれど
結局きみの隣に着席することになった

ただきみの隣で
きみの横顔や掌
素肌の足首、踵を盗み見るだけでも
幸せだった

これから1年の予定を聞きながら
きみと会ってからの6年の日々のことを思い巡らせた
初めて自己紹介した日のこと
土曜日に集まったのがきみと俺の二人だけだった日のこと
土砂降りの中きみの車に乗って昼飯を食べに行った日のこと
どれも懐かしい思い出となって
ただきみと隣り合っていることを至福の時間として味わっている

きみを素っ裸にしたところで
女であることに変わりないだろう
セックスしたところで
他の女と変わるところはないだろう

そんなことを妄想する私と
とてもそんなことをする勇気がない自分を
交互に思い描いて
結局いつものようにおとなしく座っている

突然変化すれば
何かが変わるのかもしれない
変わらないのかもしれない
そこで変わって何かがよくなるというものではない
悪いことしか残らないということもある

そんなリスクを思い描いて
きみの横顔を盗み見ている私

(詩集の宣伝)
「青春17切符+1」3月26日発売。

購入は、
こちらからどうぞ



人気blogランキング








お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2015/05/16 10:13:53 PM
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: