母 南風一
小学生の頃
父が何気なく言った言葉
「お前はいいなあ」
私の頭は「?????・・・」
だった
それでも何やら父が私に嫉妬しているらしい
ことは分かった
何のことはない
私は小学6年生くらいまで母と一緒に寝ていたし
中学校1年生くらいまで母と一緒に風呂に入っていた
小さなころから当たり前と思っていた
父は家に帰って来るのが遅かったので
大抵私と母の方が早く寝た
夜中に母の「ハジメが起きるから」という声に目が覚めて
隣を見ると父が母に覆いかぶさっていることがあった
父は凍り付いたような顔をしていた
そんなことがあってから
私は夜中に父が母に覆いかぶさっているところを
見ても
むにゃむにゃと言って
寝言を言って寝た振りを装った
父が事故で下半身不随になって
もう母に覆いかぶさる機会もなくなってから
私は一人で寝るようになった
随分親不孝な息子であった
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