空中庭園

Dec 23, 2010
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カテゴリ: ささやき



行き暮れた情感を持っている。
好んで日陰に添うような
声をかけるのが憚れるような。

極端に寡黙だったから、
無口なぶんだけ
幼さを感じたけれど
幼いながら充分に雄弁だと
後で分かった。

それにしても 彼女は
石膏のトルソーのような
哀しみを曳航する。

脊光性の植物が
仄暗く閉ざされた部屋で
やっと息衝くという風に。

もし、その原因が何にせよ、
悲しみが女を美しくする
ということがあるのなら、
彼女はそういうたちの女性だった。
不思議に生活臭を消し去った彼女なのだ。

死滅しない恋ってありますか?

それは人の希望に含まれるものだから・・・。
だれでも一時期はそのように願うものだから・・・。


コーヒーを淹れて彼女を振り返れば、
ソファーの腕に頬を載せて微かな寝息をたてていた。



凍てし薔薇手にしたたりし嘆ききく


*misty*













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最終更新日  Dec 23, 2010 04:30:34 PM
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