2007/10/04
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カテゴリ: 醸造所訪問
9月末の週末。
アイフェル山脈の木立は次第に様々な色合いに染まりつつあった。
ヴィットリッヒからツェルティンゲンへ向かう街道沿いに、マルクス・モリトール醸造所はある。モーゼル河に向けて街道が下り坂に入り、左手の斜面にクロスターベルクの葡萄畑が見えると、醸造所はすぐそこだ。

2007リースリング収穫
2007年産リースリング。

目印の看板から脇道に入ると、我々のすぐ後を追うようにして、コンテナに入った収穫を満載したトラックが入ってきた。収穫作業はもう始まっていたのだ。荷台の片隅には貴腐がつき、干からびた房が入ったバケツが2つほど乗っていた。それ以外の房は緑色で健全そのもの。果皮も酸もしっかりとして、種もまだ黒みを帯び始めたばかりだ。まだ生理的完熟には至っていないようだったが、オーナーのマルクス・モリトールによれば、リースリングは今日が初日で、試しに収穫してみたのだと言う。果汁の性質を見極めて、今後の収穫スケジュールに反映するのだそうだ。

貴腐葡萄
2007年産リースリング貴腐ワインの素材となる葡萄。これを粒選りして破砕・圧搾する。

2007年は5月下旬に例年より3週間前後早く開花を迎え、8月8日には一部で収穫の開始が告げられた。史上始まって以来の状況に地球温暖化が実感を持って受け止められ、CO2の削減をはじめとする温暖化対策の必要性が半ばヒステリックにマスコミを賑わせた。だが、冷涼な夏は9月に入っても続き、葡萄の果皮は厚く、エクスレはゆっくりと上昇し、酸度もまたゆっくりと減少。結局、モーゼルの大半の醸造所では10月に入った現在、リースリングの収穫を始めたか、目前かのどちらかであり、ほぼ昨年並みか弱冠遅いペースだ。「あわてふためく人間と違って、自然は泰然自若としている」-それが、あらかたの感想である。

新酒試飲会2007
試飲会の様子。

醸造所の階段を上がり、試飲所に入ると既に先客で多いに賑わっていた。
2006年産がずらりと、辛口から極甘口まで33種類並んでいる。葡萄品種は3種類、ヴァイスブルグンダー、シュペートブルグンダー、それにリースリングの3種類のみだ。だが、それぞれに畑違い、肩書き違い、さらに辛口・甘口の違いがあり、試飲しながらメモをつけていくだけでも、ちょっと一仕事ではあるが、加えてTBAが5品目。極楽浄土に彷徨いこんだような気がした。だが、本来は顧客向けの試飲会であり、出来ればケース単位の購入が前提である。そこは気を引き締めて、無理にでも眉間に皺をよせてシリアスな様子をとりつくろわねばならない。

ボトリティスと腐敗の急速に広がった昨年は、高温多雨による完熟で甘口は素晴らしいが、辛口にとって難しい年であったと言われる。いい加減に仕立てたものは黴臭や苦みなどが目立ち、細心の収穫作業と醸造家の腕が問われた年であった。モリトールの辛口はどうであったかと言えば、やはりどこか大人しい。引っ込み思案だ。だが、黴くささは微塵もなく、クリーンでアロマティックである。1リットル入りのデイリークラスからして、生き生きとしたピュアな酸味があり、快適にスイスイ飲める。

辛口(トロッケン)の次に来るのが『ヘルブHerb』というカテゴリーであった。これはドイツワイン法でも規定されていない、初めてお目にかかるカテゴリーだが、その後に続く『ファインヘルブ』よりも弱冠甘みが浮いている。「例年通り、木樽で天然酵母により発酵させていたら、自然にこの残糖で発酵が停止した」というその値は13~18g/Liter。中辛口のレヴェルではあるが、なぜか甘みが目立つ。「熟成すると、この甘みはやがて大人しくなる。すると、ファインヘルブよりも辛口ぎみのワインとしてのバランスがとれるはずだ」と、マルクス。

マルクス・モリトール
オーナー兼醸造家のマルクス・モリトール。

一方ファインヘルプは甘みと酸味のバランスが綺麗で、素直に美味しい。ピュアで繊細かつ香りの良いフルーツ感に、ミネラルが個性を添えている。とりわけ『モリトール・リースリング』のファインヘルプは健全な収穫だったことを伺わせる生き生きとしたクリーンな柑橘のアロマが快適な余韻を残し、7.90Euroの価格はお買い得感がある。だが、それにも増して2006 ツェルテインガー・シュロスベルク、アウスレーゼ**ファインヘルプは20hl/haを下回ったという極端な低収量を補って余りある偉大なワインだ。パイナップル、桃、ヴァニラ、完熟したりんご、レッドカラントなど、極上のフルーツバスケットの香りが舌の上で爆発する。極めて複雑で多様、かつフィネスを備え、26.50Euroは自分の財布さえ考えなければお買い得だ。

アウスレーゼ、BA, TBAはいわずもがな-TBAには干し葡萄というか、樹上で乾燥した葡萄のニュアンスが時々目立つが、おしなべて蜂蜜に完熟したりんご、ベリーのエッセンスがあり、クリーミィ。カビネットが一本もなく、QbAからいきなりシュペートレーゼ、アウスレーゼ以上しかリリースされないが、ファインヘルプか甘口は素晴らしい。辛口、ヘルブは好み次第、シュペートブルグンダーもブルゴーニュに比肩しうる高品質だが、価格もまだ同様。2005Brauneberger Klostergartenは見事だが39.50Euroとなると、まてよ、これなら他にも選択枝はあるかも、と考えてしまう。

いずれにしても、マルクス・モリトールの2006は見事な仕上がり、とりわけファインヘルプ、甘口はお勧めできる。2007も上出来となることを期待したい。

Weingut Markus Molitor (Bernkastel-Wehlen/Mosel)
www.markusmolitor.com

Am letzten Wochenende habe ich die Jahrgangspräsentation von Markus Molitor (Wehlen/Mosel) besucht. Die Hektarerträge des 2006ers solle bei ihm weniger als 20hl/ha liegen, aber dafür die Weine waren sehr fein, komplex, tief und reintonig. Vor allem feinherb und Edelsüßenbereich kann man nichts Besseres erwarten. Mein Liebling war 2006er Zeltinger Schlossberg Auslese** feinherb. Ein sehr komplexes, explosives Aroma mit Korbvoller reifen Obsts wie Ananas, Pfirsich, rote Apfel, Johannisbeere, sehr lange Nachhall mit mineralischem Akzent. Wunderbar!!





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Last updated  2007/10/05 08:11:06 AM
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Comments

李斯。@ お久しぶりです。 御無沙汰しております。 何時も拝見してい…
pfaelzerwein@ Re:ひさびさのドイツ・その64(04/05) 「ムスカテラー辛口」は私も買おうかと思…
mosel2002 @ Re[1]:ひさびさのドイツ・その54(03/14) pfaelzerweinさん >私の印象では2013年…
pfaelzerwein@ Re:ひさびさのドイツ・その54(03/14) 私の印象では2013年からは上の設備を上手…

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