2011/01/13
XML
カテゴリ: 醸造所訪問
2010年は最悪の生産年 ----リリース前からそんな評もある生産年だが、それはやがて良い方向で裏切られることになるかもしれない。少なくとも甘口に関しては。



土曜日に訪れたモーゼル中流のエルデン村にあるDr.ヘアマン醸造所。
我々を出迎えた猫のミーツ。人懐こくセラーまでついてきて、とある樽の上に飛び乗ると毛を逆立てて牙をむいた…なんてことはなかったが、ツェラー・シュヴァルツカッツの伝説を思い出した。




二代目主人で醸造責任者のクリスチャン・ヘアマンがガラス管でステンレスタンクからワインを吸出し、我々のグラスに注いだ。ユルツィガー・ヴュルツガルテンのリースリング・カビネットから野生酵母の香りが立ち上った。研磨される前の原石のようだ。収穫時の酸度は13.5g/Liter以上。リンゴ酸のみを減らす単純除酸を行い、発酵で自然に2g/Literほど減少し、9g/Liter前後に落ち着いた。熟したグレープフルーツの甘みに酸味は溶け込んでいて、舌の上に心地よい重みがあった。

シュペートレーゼ、アウスレーゼ、ベーレンアウスレーゼと、クリスチャンは次々に注いでまわった。いずれも酸は出しゃばることなく甘みを下から支えるようにして全体に調和し、澄んだフルーツ感にリンゴやアプリコットの魅力的なアロマに満ちて、シーファーのミネラル感が深みをそえていた。最悪の生産年という評価は少なくとも、この醸造所の甘口にはあてはまらない。他の醸造所でも3月以降のリリースで驚かされるワインも多いのではないか。我々は期待に満たされつつセラーを後にした。

しかし、辛口に力を入れる生産者には、確かに難しい生産年だったという。
適切に除酸を行った醸造所はともかく、自然のもたらしたものを、出来る限り損なわずにワインに込めたいと思う生産者の中には除酸を拒んだところもあり、その結果は意見の分かれるところらしいが、リリースされるまでは確かなことはわからない。

その後、クリストッフェルJr.醸造所の2010ユルツィガー・ヴュルツガルテン・アウスレーゼ三ツ星を試飲した。しっかりした骨格と長い余韻に綺麗な白桃とカラントの甘みが広がり、125エクスレに完熟した収穫の、高い酸度が恩恵となって現れていた。それは2010年のモーゼル中流の甘口の仕上がりに、一層の期待を抱かせるものだった。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2011/01/13 09:25:43 AM
コメント(4) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Comments

李斯。@ お久しぶりです。 御無沙汰しております。 何時も拝見してい…
pfaelzerwein@ Re:ひさびさのドイツ・その64(04/05) 「ムスカテラー辛口」は私も買おうかと思…
mosel2002 @ Re[1]:ひさびさのドイツ・その54(03/14) pfaelzerweinさん >私の印象では2013年…
pfaelzerwein@ Re:ひさびさのドイツ・その54(03/14) 私の印象では2013年からは上の設備を上手…

Profile

mosel2002

mosel2002

Keyword Search

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: