2013/12/17
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4. 試飲




試飲ワインは以下の通り。

フライト1:粘板岩と石灰質土壌

1. Pauly, Spaetburgunder trocken 2011 (モーゼル)
2. Ralf Hass, Spaetburgunder Rose Feinherb 2012 (モーゼル)
3. Meyer-Naekel, Blauschiefer Spaetburgunder trocken 2010 (アール)

フライト2:青色粘板岩土壌

4. Zur Roemerkelter, Honiberg Blauer Schiefer, Riesling Kabinett feinherb 2010(モーゼル)
5. Batterieberg, Zeppwingert Riesling 2011 (モーゼル)
6. Dr. H. Thanisch, Berncasteler Doctor, Riesling Spaetlese 2012 (モーゼル)
7. Nicolas Joly, Coulee de Serrant 2010 (サヴァニェール/ロワール)

フライト3:灰色・緑色などの粘板岩

8. Weingut St. Urbanshof, Mehringer Riesling Alte Reben 2011(モーゼル)
9. Prinz Salm, Felseneck Riesling GG 2012 (ナーエ)
10. Nicolas Joly, Les Vieux Clos 2009(サヴァニェール/ロワール)

フライト4:赤色・青色などの粘板岩

11. Prinz Salm, Johannisberg Riesling GG 2012 (ナーエ)
12. Heymann-Loewenstein, Winninger Roettgen Riesling (モーゼル)

試飲解説を担当したT氏は、いつものように本質にまっすぐ切り込んでいった。モーゼルは雨が多く日照が少ない。これは果皮が薄くなることを意味する。果皮が薄いということは、フェノール分つまりタンニンが少ない、つまりゴリゴリしない。また雨が多いということは、葡萄にストレスが少ないことを意味する。多すぎたら問題だが、幸いモーゼルは急斜面でしかも粘板岩土壌なので水はけが良い。雨水の一部は表面に堆積する粘板岩の隙間を通ってその下の粘土に吸収されるが、粘板岩は表土に蓋をして水分の蒸散と土壌流出を防ぐ。この恵まれた給水環境のおかげで葡萄はストレスもなく成長するので、しなやかな酒質の、あたかも磨かれた水晶のようなワインとなる。さらに地中の岩石を迂回するようにして根は伸びるので、それだけ長くなり、粘土からより多くのミネラルを吸収することが出来る。つまり、ミネラリティのあるワインとなる。

さて、試飲のフライト1は粘板岩と石灰質の比較。1.はモーゼル中流の粘板岩土壌のピノ・ノワール、2. はモーゼル上流の石灰質土壌のピノ・ノワールロゼ、3.はアールの粘板岩のピノ・ノワール。粘板岩土壌と石灰質土壌の比較だ。T氏によれば粘板岩土壌のワインは味わいの外縁部がソフトで中心が堅牢。一方石灰質土壌は逆で、外が堅牢で中心が柔らかい。たとえて言えば粘板岩は見かけは軟派だが気骨のある武士、石灰質は見かけは突っ張ってても中身は甘えん坊のツンデレ系。3.のアールの粘板岩のピノ・ノワールはゴリゴリ感があるが、これは降雨量がモーゼルよりずっと少ない550-650mmだからではないかと推定。

試飲フライト2は青色粘板岩同士の比較。青色粘板岩のワインの特徴は、香りがフローラルで鼻を抜けて頭頂部に向かって伸びるとともに、味に雑味がなく肌理が細かいことにある。またふわふわとしてつかみどころがなく実態感に欠け、ある意味スピリチュアルな、あるいは霊的な気配感に満ちて、世俗とはかけ離れた世界を持つワインだとT氏。それが最も良く現れていたのは7.のクーレ・ド・セランだった。ハーブティーのような繊細な香りでアルコール感に乏しく、確かにスピリチュアルだ。そこは修道士の開拓した畑で、彼らは精神を覚醒させるようなワインを求めたが故に、青色粘板岩の土地を選んだのではないかと言う。一方モーゼルも香りは上方へ伸びてキレが良く澄んでいて、垂直的な構造が見て取れた。

試飲フライト3は様々な色の粘板岩。8が灰色、9はナーエの緑、10がロワールの黄色、灰色など色々混じった粘板岩。青色に比べるとゴツゴツとした感じが目立ち、あまり伸びやかでもない。とはいえ、8のウルバンスホーフのアルテ・レーベンは非常にバランスが良く自然な広がり感を持つ。9.のナーエ特産緑色粘板岩は酸がやや分離して、さらにゴリゴリ感が気になった。10.のニコラ・ジョリーのノーマルキュベは酸化気味でやや散漫な味。青色粘板岩のクーレ・ド・セランとはいささか趣が異なり興味深い。灰色粘板岩は青色に比べると香りが地味で肌理が粗め、頭蓋への伸びも控えめで物質的・実体的な味とT氏。

試飲フライト4は本来赤色粘板岩のセットの予定だったが、手違いで11.はナーエの赤色粘板岩、12はモーゼル下流の青色砂質粘板岩に黄茶や青黒色が混じる土壌の比較となった。11は9と同じナーエの生産者。T氏によれば赤色粘板岩のリースリングは香りは鉄っぽいミネラル感があり、上昇度は灰色と青色の中間で、表面の肌理は粗めだが内的な構造は灰色よりも緻密で垂直的、重心は灰色と同じく真ん中にあり、青色とは対照的に下の方への伸びがあるという。12は香味が開いてほどよく香ばしい熟成感のある甘みと奥行きで、素直に美味しく魅力的だった。青色粘板岩の、ある意味素っ気なく突き放すような感じとは若干違う親しみやすさで、赤と言われてもああそうか、と納得してしまう。


以上、モーゼルの4億年の歴史を振り返り、その多様性と特徴を探ったセミナーでした。ちなみにこの『いまどきドイツワインセミナー』はFacebookのTokioドイツワインサークルの主催で、誰でも参加できます。詳細はそちらをどうぞ。

(以上)





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Last updated  2013/12/18 12:57:23 AM
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李斯。@ お久しぶりです。 御無沙汰しております。 何時も拝見してい…
pfaelzerwein@ Re:ひさびさのドイツ・その64(04/05) 「ムスカテラー辛口」は私も買おうかと思…
mosel2002 @ Re[1]:ひさびさのドイツ・その54(03/14) pfaelzerweinさん >私の印象では2013年…
pfaelzerwein@ Re:ひさびさのドイツ・その54(03/14) 私の印象では2013年からは上の設備を上手…

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