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2023年11月16日
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カテゴリ: 病院


​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​おはようございます










先日身寄り無し患者さんに関してのコメントを頂いたので、簡単にまとめていきたいと思います





この身寄りの無い患者さんへの支援に関してはMSW界隈では数年前より結構話題になっていて、MSW協会の学会関係でもよく取り扱われるテーマになっているのと





厚生労働省からも2019年に




「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン及び事例集」





という形でアナウンスが出るほどの話になっています
身寄り名が無い人への対応について/厚生労働省
(↑↑厚生労働省HP参照)




また厚生労働省から各医療機関あてにも 身寄りがないと言う理由で入院受入れを拒否しないように との案内も発送されていますが





実際のところは救急を受け入れていない急性期の病院や急性期以外の回復期、地域包括、療養型などでは 身寄り無しの患者さんだと転院を渋られたり 受け入れの条件をあれやこれやと提示されたり 順番を後回しにされたり なんかは良くある話だと思います





そこで本日は以下のようにまとめて話をしていきます(久々にちゃんと時間をかけて記事作成しました)



1.身寄り無しとは



3.身寄り無し患者の権利擁護と現行制度の落とし穴 ​​​

4.期待するサービス



質問者さんコメントありがとうございました




追加で質問ありましたらWEB会議でも何でもお答えできますのでまたご連絡ください





1.身寄り無しとは



まず 身寄り無し についてですが、辞書的には「身寄り」が 頼りになる親族、縁者 との意味なので、こうした人がいない人を身寄り無しと呼ぶようです





ただ実際に支援をする中で身寄り無しと言っても本当に誰も家族もおらず 天涯孤独のような方はほとんどいません





大抵の方は 親族はいても縁を切ったり、切られていたり




親族は遠方にいるが連絡先もわからなったり、もう何十年も会ってもいなかったり






親族はいるけれども皆高齢で認知症だったり、介護が必要で協力者にはなりえなかったり





本来は協力してくれるかもしれないが、本人が連絡を取りたがらなかったり連絡先も住んでいる場所も本当にわからなかったり





等と言う状況の方がほとんどです





そのため最初は身寄り無しと言うふれこみで入ってきた方も、 ​「後々協力してくれる親族や友人が現れる」​ なんて話も決して珍しくはありません






また親族がいなくても、 知人や友人が親族の代わりのように困った時に助けてくれる なんて言う方も決して多くはありませんがいらっしゃいます





そのため私達医療福祉系の関係者が言う身寄り無しという時は 「契約や日常生活上で必要な援助をしてくれる人が誰もいない人」 という認識をしています






また身寄りのない方でも経済的に困窮していて生活保護を受給している方もいれば






身よりはないけれども預貯金は数千万円あり経済的には全く困らないという方もいて






当たり前ですが、 身寄りがないからと言って全員が全員経済的にも困っているとは限らない というのが大前提となります






また 日常生活を送る上では特に身寄りがいないからと言って不利益を被ることはほとんど無い と言ってもよいかもしれません

(親元、地元を離れて見知らぬ土地で一人暮らしをしている人と何ら変わりはありません)




2.身寄り無しで困ることは



それでもやはり身寄り(協力者)がいる人に比べると 様々なハンディキャップを抱えている のもまた事実です





私がこれまでに支援したり関わってきた身寄りのない方で、日常生活上での大きなハンディとなるのが





まず ​見守りや自身の安否を気づかってくれる人がいない​ と言う事です





例えば自身が体調が悪く倒れてしまい、意識不明になったとして誰も日頃から連絡を取る人がいなかったり社会との繋がりも薄い状態であれば倒れていることにすら気づかれないと言う状況に陥ります






ここ数十年で言われている 高齢者の孤独死問題 なんかもこれに当たると思います







さらには健康面だけでなくても、 社会との繋がりを保ちづらくなること もまた一つ挙げられます






だれか家族がいれば定期的に自宅へ来てくれたり、外出したり周囲の人と関わりを持つことを提案したり環境をセッティングしてくれるかもしれませんが、そういった支援も無くなるので自分から積極的に外へ出ていくようなことが出来ない人は どんどん社会から孤立していきがち です





ソーシャルワーカーとして関わる時に特に気になるのがここの問題で、入院してから身寄りのな患者さんと話をするととても楽しそうに話をしてくれる人などもおり、普段人とのコミュニケーションを取る機会がほとんど無い(取りたくても取れない人と、本当に取りたくない人の2種類)ことも多いです






さらには 住む家を探す際の賃貸契約や保証人の問題






入院や手術をする際の医療同意、施設入所時などの契約の問題




死後の対応として死亡診断書の提出や火葬、遺骨の問題



等々、入院や施設入所、死亡時等生命にかかわる大きなイベントが発生した時にはよりハンディが顕著に現れることになります




ちなみに本人が意思疎通できる間は入院の際でも本人との話し合いや契約のみでしっかりと医療を受けられるように対応してくれる病院もあります






しかし入院や手術が必要な状況となった場合などでは、必ずしも本人の意思疎通が取れるとは限らないので




そうなった際に プライバシーや人権保護、医療の説明と同意等 の観点からもおいそれと周囲の人たちだけで何でも決定できない状況もあり、余計に身寄り無しの人たちを敬遠しがちになるという背景があります





また先にも述べた通に身寄り無しだと思っていた人に 後から親族が現れて、病院や介護施設などで決めたことに対して不満を言って来たり、最悪訴えられたり する可能性もあるのでリスク管理上もなるべく受けたくないと思う施設が出てくるのも全く理解できない訳でもありません






3.身寄り無し患者の権利擁護と現行制度の落とし穴 ​​​



ではこうした身寄りのない方への支援が何もないのかと言うとそういう訳でもありません






公的な制度で言うと 日常生活自立支援事業、成年後見制度 という制度を使えば、 金銭管理や入退院や施設入所、賃貸等の契約 に関して本人の代わりに代行して行ってくれる制度もあります





これらは本来本人か親族の方に行ってもらうことになるので、本人が出来ず協力者もいない無い場合にはとても役に立つ制度です







ただし、日常生活自立支援事業でも成年後見制度でも 医療に関する同意は出来ない(入院・手術等の治療方針をどうするかの判断) のと日常生活自立支援事業では 長期での入院になる場合や自宅へ帰れる見込みがない場合は制度の対象外 となります







また制度的には基本的には生きている間の制度なので、 亡くなったあとの遺体の引き取りや死亡診断書の提出や火葬許可証の受け取りと提出などは成年後見制度では出来ない ことになっています(後見人によっては善意でやってくれる方もいるようですが、基本的には業務外です)








さらに急性期の病院としての一番のデメリットは、 制度利用の申請から実際に制度を利用できるまでにスヶ月単位で時間がかかる ことです








急性期の病院としては数日から週の単位で次の行先を探すことを求められているのに、利用決定まで2,3か月以上は確実にかかりますと言われるので、急性期的にはほぼ使えない制度です








さらにこれらの制度の対象者は 認知症や知的障害、精神疾患等が原因で判断能力が落ちている人 が対象なので、身寄りがないと言う理由だけで事前に準備を整えておくことも出来ません








また意識が無くなったり判断能力が落ちてきた段階ですぐに申請しようとしても、 「症状が出たばかりではまだ改善する可能性がある」と言われてすぐには申請すら出来ない ことの方が多いです








成年後見制度の中で 任意後見 (あらかじめ自分が判断能力が低下した時に、後見人を付けるように決めておく)の申請は可能ですが、そもそも理解力があるうちにお金と時間をかけて準備をしようと思ったり、元気なうちからこれらの制度に適切に結び付けてくれるような人はほぼいないです








そのためあらかじめ成年後見人や日常生活自立支援事業を利用している人でなければ、 緊急性が求められる(治療方針を決めたり、亡くなった時の対応に2,3ヶ月も待っていられません)医療の現場ではほぼ使えない制度 となっています









日常的な生活の支援として 民生委員、包括支援センター、ケアマネ、介護保険サービス 等は使うことが出来ますが、後見人等と同様に 医療に関する同意やその他もろもろの契約等は当然誰も担えません







入院中の支援では最近は入院中に必要な備品(ティッシュ、箸、スプーン、洗面道具、歯磨き道具、タオル、オムツ等)は 入院セット と言う形で有料で貸し出している所も増えているので、お金さえ払えれば(自分で用意するより割高です)必要な備品の準備は心配いらなくなっています





あとは私達 MSWがいて特に身寄り無し対応になれている病院 であればMSWが身寄りの方がいないかを探してくれたり、本人が入院中で出来ないもろもろの支払い関係や、自宅の様子を見に行きたい(ペットが心配、鍵を開けっぱなしで来てしまった、(冬場は凍結して破裂するので)水道を止めたい)等々困ったことに関係機関と協力しながら対応してくれます







あとは 身寄りのない方の死亡時 には 市役所の生活保護課、介護福祉課、障害福祉課 等が協力者になり得ますが、同様に 医療同意や契約までは関与できません








このへんは地域ごとによっても差はあると思いますが、私の働いている病院では急性期で救急車も無条件で受け入れるので身寄りのない方が入院して来たり、そのままなくなることも多いので私達MSWのいる部署から市役所へ働きかけて








身寄りのない方が亡くなりそうな場合には 生活保護を受けている方なら生活保護課 それ以外の65歳以上の方なら介護福祉課 65歳未満なら障害福祉課 で死後の対応をしてもらうように事前の約束を取り付けています









死亡時の対応として行う必要があるのは具体的には ご遺体や本人の荷物の受け取り、葬儀社の手配、死亡診断書の市役所への提出と火葬届の受け取り、火葬後の遺骨の引き取り などです









このうちの病院として代行すのは葬儀社の手配と死亡診断書を葬儀社へ渡すところまでで、残りは市役所へ依頼します






こうしたルールは病院対市役所との間での個別の約束なので、普段身寄り無しの方の入院を引き受けない病院などではこの 「死後の対応に関して出来ないから」 「入院費の支払いや必要物品の準備が出来ないから」 という理由で受け入れを断られることが多いです





4.期待するサービス



こうした公的なサービスでは賄いきれない制度の穴を埋めるために民間のサービスの介入も少しずつではありますが増えてきています






例えば 「便利屋」 のようなサービスでどんなことでも相談に乗りますというサービスを提供している事業所もあるので





例えば入院中の金銭の引き落とし対応、外出の際の付き添い、本人との事前の意思確認の上での医療同意の代行や身元保証人としての役割、必要備品の確保等が挙げられます






何よりも一番求められるのは 有事に陥る前から契約を結んで、有事の際に親族のように本人の意向を代弁出来て、保証人と同様に立ち回れるサービス です





家族代わりの安心保険 みたいなサービスが出来て、老後の賃貸契約や入院時、施設入所時に心配がある人を対象とした保険契約で事前に保険料を徴収し、 契約時に今後の賃貸や施設入所、入院時等本人の意向を社会福祉士や専門の契約職員と面談 して意向を確認



その後も 3カ月ごとに担当の社会福祉士等の専門スタッフと現在の困りごとの相談や、意向の再確認 が出来ます




みたいな商品があれば事前の信頼関係の構築や、意思決定をその人に任せてよいと言うところまでいけて、有事の際に家族同様に契約の代行等が出来るのではないかと思います






身寄り無しと言うとそれほど対象者もいない気になりますが、今の時代 少子化 で兄弟が少なかったり、 核家族化 で親族との関わりも希薄になりがちだったり、 離婚率の増加 によって親も片親になっている世帯が増えたりと 将来身寄り無しになる可能性がある人は間違いなく増えています






さら に高齢者の住居問題や孤独死 などが世間的にも認知されているので、意外と老後に不安を抱えている人は多いのではと思います(事前のリサーチしたわけではないので、仕事する中での体感ですが)





そのため






一人っ子、地元以外のところで生活、独身、結婚していても夫婦仲悪い、子供がいない、親族付き合い薄い





上記に当てはまる方は、この先身寄り無しになる可能性が高いです






ただでさえ 高齢になれば周りも皆高齢になっていき、外出や社会との繋がりも希薄 になっていくので







加齢に伴い頼れる人が少なくなっていくのは間違いありません






そのため 身寄り無しは誰にでも起こりうる問題 であるので、制度や民間サービスの充実を期待するのと






個人レベルでは自分の子供や甥っ子姪っ子、孫等自分よりも世代の若い人たちには優しくして、 「おじいちゃん、おばあちゃん大好きだから助けてあげたい」 って言われるような老人を目指していくことを目標にしていきたいと思います(たまにこの手の患者さんに出くわします)



__________
皆さんからも何か気になることがあれば少しはお時間は頂きますが、必ずまとめて記事にしますので何かあればコメント欄にお願いします



ブログを見てくださっているみなさんが疑問点を解消できたならまさの「オンライン相談室」になれると思うので、困っていることがある方は是非コメントを残してください





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最終更新日  2023年11月16日 06時49分23秒
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