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「最近、ものすごーく、いい被写体がいるんだよね」
「へー、誰誰」
「ハナちゃん
特に寝顔がメチャメチャ可愛いよ
」
写真担当である第二秘書が最近、とってもお気に入りの被写体
可愛い手袋とソックスのハナちゃんです
ハナちゃんと言えば…
ワンルーム時代、小顔の美人猫ビビのお隣さん
最初はとても怖がっていたハナちゃんとビビ
しかし、2匹をお隣同士にしてからというものの、双方とも気が大きくなったようでした
『ハナちゃん一緒にコイツら、怒ったろか』
『うん、ビビちゃんそうしよう、そうしよう』
何だか2匹はそんな協定を結んだようで、前を通りかかり、何気なくお顔を見るだけで…
まるで鬼のような形相の2匹
「…いつか怒るのやめて、慣れてくれるかな」
「まあ時間はかかるかもしれないけど、きっと大丈夫でしょう」
新しい「猫の部屋」にやって来てから、ハナちゃんも見事にワンルーム脱出
念願のドミトリー生活を送ることになりました
お隣さんのビビと威嚇協定を結んでいた時は、強気で怒っていたハナちゃんでしたが…
みんなと共同生活を始めてすぐは、少し怖さも戻って来ていたのか、箱の中や棚の隙間、裏道など、こっそり隠れていることが多かったそうです
「あっハナちゃん、みっけた」
偶然、ハナちゃんが隠れていた場所を見つけて、そう声をかけようものなら…
逃げながら怒る隠れながら怒る
怒ってからダッシュで逃げる
何だか不思議な状態がしばらくの間、続きました
ハナちゃんは元々、3匹一緒に捨てられた猫でした。
「ある日突然、美術館に置いていかれたんです…」
そうSさんが話しておられたそうです。

ハナちゃんたちと同じようなケースは、何度もあったと聞いています。
まだ目も開かない小さな小さな赤ちゃん…
年をとって、明らかに病気をしているような老猫…
いろんな猫たちがいたそうです。
明らかに人と生活した経験がありそうな成猫…
『ここはどこどっちに行ったらいいの
お家に帰りたいよ…』
悲しそうなお目々をして、ウロウロと途方もなく歩いていたと聞きました。
「何年も前のことなのに、いまだにあの姿が目に焼き付いて離れないんですよ…」
Sさんは悲しそうにそう言っておられたそうです。
置き去りにされたハナちゃんたちのことを、どうしても放ってはおけなくて
結局、他の仲間たちと一緒にSさんがお世話することになりました。
あまりにも色や柄がバラバラな3匹
「これって、別々に捨てられた子たちなの」
Sさんは最初、そんな風に思ったそうです。
しかしハナちゃんたちを見つけた人によると、どうやら3匹はずっと一緒にくっついたまま、静かにジッとしていたそうです。
「兄妹なのかどうかは、結局わからないままです。
でも、3匹が同じ環境で一緒に過ごしていたのは間違いないでしょう…」
置いていった人に、どんな理由があったにせよ…
その時のハナちゃんたちの気持ちを考えると、やりきれない思いがします
人懐っこかった2匹と比べて、ハナちゃんは当時から警戒心の強い子だったそうです
「でも可愛くてねご飯の時間くらいになると、ちょこんと座って待ってるんですよ」
Sさんはそう言って笑っておられました。
きっとハナちゃんは、Sさんがやって来るのを心待ちにしていたのでしょう
警戒心が強い子ほど、本当に自分を可愛がってくれる人はきちんと見抜くものです。
「ハナちゃん、Sさんのことは信頼できるって、きっとすぐにわかったんだよ」
「うん、そうだよね」
「何が起こるかわからない場所で生きるには、警戒心って持ってないとダメなんだよね」
「うん、信頼できる人を見極める力もね…」
「本当はそんなのなくても、安心して生きられる環境なら幸せなんだろうけど」
誰も守ってくれる人のいない猫たちにとって、生きていくには絶対に必要なもの…
でも、それを身につけるということは、本当は悲しいことなのかもしれません。
しばらくして、ハナちゃんと一緒にやってきた女の子が行方不明になりました。
Sさんが探しても見つからなかったそうです。
そして、もう1匹の男の子は…
お散歩をしていて、道路まで出て行ってしまったのでしょう。
交通事故に遭い、旅立ってしまったそうです。
「きっと事故に遭ってから、安全な場所まで帰ろうとしたんでしょうね…。
いつも過ごしていた美術館まで戻って来て、そこで亡くなっていました。」
こうしてハナちゃんは、ひとりぼっちで中之島公園に残されました。
「あっ、ヒロコが出たよ」
「はいはい、ご飯ですね」
「ペペが特等席でお待ちです」
「はいはい、ダッシュで作ります」
「コウイチ、発見」
「…もう、わかったって」
「あのぅ、ハナちゃん鳴いてる」
「…」
「猫の部屋」ドミトリー生活を送る、最近のハナちゃん
もう不思議な状態は抜けて、近づいても怒らなくなりました
相変わらずの怖がりさんで、もちろん警戒心は持っているようですが…
ご飯を待つ時も、みんなと一緒に近くまでやって来ます
そして待ちきれない時は、可愛い声で鳴くようになりました
『みゃーん、みゃーん』
秘書たちは最初、誰が鳴いているのかわからなかったそうです。
可愛い手袋をそろえて、ちょこんとお座りをして…
ハナちゃんが優しく、小さな声で鳴いているのを見た瞬間
何とも言えない嬉しい気持ちになったそうです
優しいお顔でスヤスヤ眠るハナちゃん
これからも第二秘書のパソコンには、そんなハナちゃんの写真が増えていくことでしょう
猫の連絡帳

Aさんの保護猫くるちゃん
今日、お家猫さんになりました
ママのお膝で甘えているそうです
本当におめでとう
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