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2009年3月
まだ寒い土曜日の「猫の部屋」
バラ園の黒猫、 ジジ
は
毛布も敷いていない箱の中で
うずくまっていました
呼びかけても
あまりに反応が薄く
まるで寝ぼけているような様子
次第に大きな瞳からは光が失われ
少しずつ、少しずつ
前のめりに倒れていく、ジジ
口を開いているものの
確認しなければならないほど
ゆっくりした呼吸と
徐々に冷たくなっていく体
明らかに眠気などではない
不自然なジジの姿を
妹の 悟空
は、そばに寄り添い
ジッと見つめていました
その光景を見て
秘書たちの頭をよぎったのは
前年12月、突然逝ってしまった
ジジの兄、 ヒュウマ
の姿
あの日も寒い土曜日
箱の中に見つけたヒュウマは
いつもと同じ穏やかな顔
まるで眠っているようでした
もしかしたら、ヒュウマも
こんな風にウトウト眠ってしまって
永遠に目覚めることが
なかったのかもしれない…
そう思った瞬間
冷たくなったヒュウマを抱いた感触が
心優しいsinsinさんが大声で泣いていた声が
秘書たちの手に、耳に
蘇ってきました
司令塔Aさんや運び屋Tさんの顔
バラ園のお母さん、Sさんの顔…
ジジを可愛がる人たちの顔が
次々に浮かびました
わがままかもしれない…
自分勝手なのかもしれない…
けれど、もうヒュウマの時のように
突然、別れるのは嫌だと
秘書たちは思ったそうです
そして、ヒュウマを亡くしてから
いろんな思いを込め
ジジを見守ってきたsinsinさんに
もう、自分を責めるほどの
悲しい思いを
させたくはないと思いました
暢気そうに見えた公園でも
いつも一緒だった
大好きな兄を亡くしたショックも
ジジには、大きかったかもしれません
極度の 貧血
と
明らかな免疫力の低下
風邪
の症状も 口内炎
もありました
彼女の小さな体は
とても弱っていたのです
緊急入院し、治療は始まったものの
予断を許さない状況
そんなジジに会うため
sinsinさんは、ジジの好きな缶詰や
ドライフードを持って
何度も、病院に行きました
そして、ジジを優しく撫でながら
悟空の話や仲間たちの話を
聞かせていたそうです
あの頃だったでしょうか…
秘書たちは、初めてsinsinさんの口から
こんな言葉を聞きました
「いつかジジを家に連れて帰りたいんです…」
ヒュウマと、とてもよく似ているジジ
彼女を見つめ続けたsinsinさんの目が
いつでも優しく、温かく
愛情で満ち溢れていることは
随分前からわかっていました
けれど、あの頃のsinsinさんには
すぐにジジを迎えられない事情がありました
そして、もちろん突然倒れたジジにも
大きな問題がありました
けれど、もし
今のこの状況を
どちらもが乗り越えられたなら…
きっと、その時
彼女たちの進むべき未来が
はっきりするだろうと感じました
「もしかしたら造血機能自体が
戻らないかもしれない…」
病院の先生から
いちばん心配されたのは貧血
数値は改善されないまま
ジジは、司令塔Aさんの家
通称「猫キャバ」で
療養生活を送ることになりました
しばらくの間
一進一退を続けていた彼女が
先生を驚かすほどの生命力を見せたのは
あの土曜日から、2ヶ月が過ぎた頃
あれだけ心配された貧血は
通常の数値に戻り
まるで何もなかったように
ジジは、元気になったのです
ずっと祈り続けていたsinsinさん
献身的に看護を続けたAさん
そして、秘書たちはじめ
ジジを大切に思うすべての人たちは
どんなに喜んだかわかりません
妹思いのヒュウマに
拓夢
、 チョビ
、 さくら
が
彼女を守ってくれたのだと思いました
貧血はなくなったけれど
口内炎の症状だけは、完全にはなくならず
悪化すると、ご飯を食べなくなるジジ
その都度、Aさんは
病院へ連れて行ったり
薬を調整したり、右往左往
少しすると、何事もなかったように
ご飯を食べ出すけれど
いったい、どのタイミングで痛くなるのか
良くなるのか
どうも注射や薬だけで
見極めるのが難しい…
Aさんと第一秘書が
電話でジジの話をしていると
後ろから、やけに甘えた彼女の声が
聞こえてくることがありました
Aさんが撫でると
ケージの隅で転がったり
お尻を上げて、喉を鳴らして
ご機嫌になるジジ
そして、次の朝には
「ご飯を食べた」とのメール
何となく、彼女の意図することがわかり
苦笑した日もありました
人見知りで、怖がりだけど
本当は、とても寂しがり屋で
甘えん坊なジジ
けれど、Aさんの家には
20匹以上の家猫さんたちがいて
好きな時に甘えることも
自由に動き回ることもできない
大きなケージの中で過ごす彼女を見て
Aさんが、いつも言っていたこと
「ジジだけを可愛がってくれる人のところへ
行かせてやりたい…
家の中を自由に動き回れる環境で
暮らせるようにしてやりたい…」
今まで、たくさんの仲間たちが
出会うべき家族と
幸せになる姿を見てきました
初めて会った時から
引き寄せられるようだった出会い
長所とは言えない部分さえ
すべてが愛しいと
受けとめてもらえた出会い
いくつかの問題を
すべて解決しても迎えたいと
望まれた出会い
ジジとsinsinさんは
保護猫とお当番さんとして出会い
共に過ごしてきた3年間
楽しく、嬉しいことも多かったけれど
悲しいことや難しい問題もありました
けれど、sinsinさんは
そのすべてを乗り越え
ジジを迎えることを決めました
長い時間を経ても
いろんなことがあっても
何も変わらなかった愛情は
やっぱり本物だったと感じました
sinsinさんは、ジジを迎える前に
Aさんに、こんな頼み事をしたそうです
「私の家に来てもいいかって聞いてみてください…」
Aさんは笑っていたけれど
ちゃんとジジと向き合い
いろんな質問をしました
ジジは、大人しく話を聞き
何かを考えているように見えたそうです
彼女が何を考えていたのかは
わからないけれど…
ジジがsinsinさんの家に
初めて行った日
彼女は、新しい環境に
怖がったりすることもなく
sinsinさんに撫でられ
お尻をあげて、転がりました
きっと、それが
ジジの出した答えだったのでしょう
sinsinさんとジジには
これからも、いろんな出来事が
待っていると思います
けれど、彼女たちには
この3年間で育んだ 深い絆
があります
きっと、どんなことでも
乗り越えていける…
私は、そう信じています
「中之島公園猫対策協議会HP」
web@nakanoshima-cats.com
「中之島公園の猫たち
」 nakanoshima_cats@yahoo.co.jp
いつも司令塔Aさんの家に行くと
sinsinさんは、体ごとケージの中に入り込み
長い間、ジジを撫でながら二人だけで話をしていました。
今は懐かしい思い出です
やっと、一緒に暮らせるようになったsinsinさんとジジ
きっと毎日、たくさん話をしていることでしょう
その姿を想像するだけで、とても幸せな気持ちになります
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