ねこと猫女神の徒然日記

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2015年07月23日
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この文章には原本があり、それをワタクシ週にするとどうなるか、実験的な要素が含まれております。
よって盗作ではありません。


「・・・・・・・・・・・・3、2、1、ワープアウト」
 カウントが終わると同時に、虹色の風景は漆黒の闇へと変貌した。素早く座標のチェックを行い、現在位置を確認する。続いて、周囲の状況確認、機体のチェックと続く。この間にも船は前進を続け、目的の地が徐々に近づいてくる。
 太陽系国家ラーグナの第3惑星フォーケント。
「着いたな・・・・・・・・・・・・」
 横目でチラと隣を見て、裕が呟く。だが、その視線の先の相手は、ただ黙々と作業を続けていた。
 今、彼女の中にはどんな思いが駆けめぐっているのだろう。
 ここは、彼女――遠藤美奈の生まれ故郷であった。
 人生に挫折し、家を飛び出してから、既に7年の歳月が流れている。
 しかし、その間、1度もこの地に戻ってくることはなかった。
 そういう機会がなかったせいもあるだろうが、やはりつらい記憶が風化するには時間がかかると言うことなのだろう。
 だが、意外な形で帰参が実現することになった。
 運び屋(ペルシアン・キャット)の仕事としてある。
 この仕事の件を聞いたとき、美奈は驚いたようだったが、仕事ならば構わない、といった様子であった。スケジュールも余りなく、同じ地にいるといっても広い星の上である、そう気軽に知人に会うわけにもいかず、また、そんな余裕もなかった。帰りの積み荷の受注でも探していれば、すぐに滞在時間は過ぎてしまうだろう。同じ空の下と言うだけのことで、気にならないのかもしれない。
「遊びに行く訳じゃないから」
と、彼女は誰にも連絡をしなかった。
 裕としては、友人に会うくらいの時間を作ってやりたかったが、現実にはできそうにない。人手が足りないからである。昔のように、趣味的に仕事をやっていた時代なら、整備なりなんなりをのんびりとやっていても良かったが、きっちりとしたビジネスとして動いている今は、やるべき事はやらねばならなかった。
 途中で、幾度も軍のパトロール艦とすれ違う。遠くには守備艦隊が集結しているのが見えた。
この辺りは、現在も続いている大戦の最前線に近いのである。補給用の宇宙ステーションやドックの建設も、急ピッチで進められていた。軍需産業やその関連は、たいへんな好景気であった。
「重力圏に入ったわ。間もなく大気圏突入よ」
「判った」
 地上の宇宙港からの誘導に乗った(ペルシアン・キャット)は、順調に降下を続けていった。摩擦熱による電波障害が収まると、映像が回復して、地上の様子が見て取れる。
 青い海と緑の大地。そして、所々には人類の力を象徴する、人工建造物の輝き。人々の生活を感じさせる都市が見える。
 だが、その中に時折、赤茶けた大地がある。1か所ではなく、あちこちに点在していた。
「こうして目の当たりにすると、酷いな・・・・・・・・・・・・」
 噂では聞いていた。日増しに酷くなる戦火は、このフォーケントに類を見ない現象を引き起こしたのだ。
 地球連邦の絶対的な権威主義から抜け出すために反旗を翻した惑星国家アンクードを筆頭にした連合国は、自軍の勢力地に近いこのフォーケントを、新兵器の実験場にしていた。
 その兵器は単独で行動し、自らの意思で破壊活動を続ける。1度投入すれば後はほったらかしなので、実に都合のいい兵器であった。
 もちろん、問題もある。あまりに強力すぎるため、自分たちですら倒せないのだ。敵国を焦土と化すのは構わないが、占領して有効利用できないのが頭の痛いところであった。
 国力で劣るアンクードは、この兵器を完全なものにして、切り札として使うつもりだった。
 それが生物兵器「使徒」である。
                    ☆
 今時大戦――地球連邦とアンクードの対立から始まったこの争いは、親地球派と反地球派に分かれての全面戦争に発展した。戦前の予想では、地球側の力が勝っていると言われていたが、アンクード陣営も新たな兵器や巧みな戦術で、五分の戦いを繰り広げていた。予測より多くの国が、反地球側に回ったことも、その理由のひとつに挙げられるだろう。それだけ、地球の権威主義に反発しているものがいるということなのだが、これまで甘い汁を吸ってきたものたちにとっては、そう簡単に禁断の果実を手放すことは出来なかった。
 人類の生活圏から見れば、もはや地球圏は辺境の位置にあり、新たな時代を構築するためにその中心地を移し、地球は聖地として静かに残すべきというのが、アンクード陣営の大義名分である。もはや人類は、地球以外の大地を多く手に入れている。地球にすむ必要はないのだ。
 これは正論であった。政治、経済の中心地が版図から外れた位置にあるとあっては、不経済の極みである。地球は人類発祥の地であり、宇宙進出への道を切り開いたが、その役目はもはや終えようとしているのだ。
 それを由としない一部の権力者は、アンクードを「宇宙の平和を乱す反逆者」と呼び、あわよくばさらに権限と利益を増大させようと、戦争へと導いていったのである。
 それは、反対側のアンクード陣営も似たり寄ったりで、大義名分はともかく、地球派を一掃できれば、新たな時代の枠組みの中で、自身の地位、権力は今よりも大きくなるだろうと確信し、実現に躍起になっていた。
 権力者による、ゲームのような戦争は、あちこちに爪痕を残し多数の悲劇を量産しながら、今日も続いている。
                   ☆
「こちら(ペルシアン・キャット)。指示通りに着陸する」
『(ペルシアン・キャット)へ。しばらくそのまま待機されたし』
「待機?」
 着陸コースに入っていた(ペルシアン・キャット)に、宇宙港から意外な言葉が返ってきた。間もなく視界に宇宙港が見えようかという位置に来ているのに、一体何が起こったというのか。
 裕が疑問に思っていると、新たな通信が入ってきた。
『こちらは、特務機関エルフ。(ペルシアン・キャット)へ。こちらの指示に従って、コースを変更されたし』
「なに?」
 これにはさすがに驚いた。特務機関エルフとは、今回の仕事の発注主である。
「こちら(ペルシアン・キャット)。どういうことか?」
『入国審査や臨検を受ける必要はありません。直接、こちらに来ていただきます』
 通常、入国時には各種審査が行われる。乗員の人数、身分照会から、所持品の検査、船の臨検に積み荷のチェックなどだ。それが一切無しというのは、地球の特権階級の人間に対してだけである。そして裕もその中の1人なのだが、今回はどうも事情が異なるようだ。一体どういうことなのだろうか。
 そこで裕は思い出した。
 特務機関エルフというのは、ここフォーケントにあっては超法規的組織なのだ。
 アンクード軍が実験的に投入した、謎の生物兵器「使徒」。
 その構造、生態等が一切不明の生物は、環境に応じて進化し、ただただ破壊活動を続ける。
 通常兵器を一切受け付けないこの生物に、ラーグナ政府は手を焼いた。どこからともなく唐突に現れ、また、姿を消す。一切が不明な為に、まともな攻略方法が見つからないのだ。各地に残る焼け野原は、その過激な戦闘の跡だったが、これまで、ただの1体も倒すことができていなかった。
 地球連邦もまた、この兵器には恐怖を抱いた。今は実験的だが、これが完全に実用化され大量投入されたら、戦局は一変する。勝てる見込みがあり、いろいろと利益を得ながら進めている戦争計画に、支障が出てしまうだろう。
 それを防ぐためにも、ここでくい止め、あるいはデータの収集を行わなければならなかった。
 そのために設立されたのが、特務機関エルフである。
 設立には膨大な資金と裏工作が必要だったが、この生物兵器が地球に使われるよりはよほどましだ。膨大な資金といっても、地球の資産家にしてみれば微々たるもので問題にならないし、戦場となるフォーケントがどうなろうと興味はなかった。
 この機関は、「使徒」の調査、及び殲滅を目的に設立された、地球連邦政府の組織である。
 あくまでも支援と言うことなので、軍の組織ではないが、形はどうあれ駐留していることには変わりはなかった。
 そう、エルフは、ラーグナの中にある地球なのである。そのため、ラーグナ政府が定めた手続きを一切踏まなくてもいいのだ。
 しかもここでは、エルフ指令がラーグナ大統領より権限が強いというのだから、その権限というのは絶大だ。これまではなかったが、設立における条約では、ラーグナ軍がエルフ指令の指揮下に入ることも明文化されていた。
 そうと判れば、何も迷うことはない。裕はエルフの指示通りにコースを変更した。





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最終更新日  2015年07月23日 16時24分49秒
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