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2025.07.18
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2025/7/9  父と暮せば 「井上ひさし全芝居・その六」所収・新潮社刊、こまつ座第154回公演、紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA  演出:鵜山仁、音楽:宇野誠一郎、福吉美津江:瀬戸さおり、福吉竹造:松角洋平、


           図 父と暮せば 資料 パンフレットと半券より

 必見の芝居。被爆体験文学の最高峰。

 広島・原爆投下から50年、井上ひさしがきめ細かい調査資料と被爆体験者の証言を精緻に鏤めてまとめ上げた至高珠玉の本。

 この本が完成したのは1994年、題目も配役も決まり初演の日が迫ってもまだ完成せず、遂に初演を延期した末、幕が開いたという。そういうエピソードをしていても知らなくても、父と娘の二人芝居で完璧に計算された演劇空間には、尋常でない圧倒的な掴み、吸引力がある。

 父と娘、どちらが主役とも言いがたいような気がし、実際に過去の配役表を見ると、そのたびに父と娘の順が違う様な案配だ。そして配役に書かれた順とは無関係に、その年の演劇年間表彰で、この二人芝居の二人の出演者のどちらかが受賞対象になっている事が多いという案配なのだ。

 脚本が好演を引き出しているのだ。 脚本が俳優を育てる。 そして多分演出家も! 
この「父と暮せば」のあと、井上ひさしは沖縄戦を主題に「木の上の兵隊」、長崎の被爆を書いた「母と暮せば」を構想し、戦争三部作と呼ばれているが、2010年の逝去まで、遂に未完のままであった。
 余りに精緻な構築物は、時としてそれを創造しようとしている作家の体力と精神力が耐えきれない域に達してしまうのか。離婚した西館好子が、離婚後も井上ひさしと長電話をして軽口をたたき合っていたというようなエピソードを語っていた。
 ニャンスケはこの芝居を観ながらそのエピソードを思い返し、納得納得だったのだ。アフタートークを仕切っていた井上麻矢さんのことばもその納得を確固としてくれていた。 

 蛇足だが、この芝居を観ながら、今まで余り深く考えずに使っていた言葉の意味を、ニャンスケは再認識させられた。原爆投下を指す言葉、ピカドン。ピカは爆発時の光、発生する電磁波のことだ。実態を忘れていた。赤外線(熱い)・可視光・紫外線(皮膚が真っ黒に・分子再構成)・X線(人体が透視されちゃうかも)・ガンマ線(原子が変化して放射化されてしまう)。ピカを直視したら多分生きられない。当たった面は焼き物も生き物も表面が半溶解状態になりズルズルに。ドンは爆風。全てがなぎ倒され、ピカで半溶融状態になった面が吹き飛ばされて爆風の向きにたなびいた針山状になって固まる。 そして、頑丈な壁の影にいたものは生き残った。 生き残った人々は、福島で15年前に経験したのと類似の放射能汚染による長期災害との戦いに臨んできたのだ。

 「父と暮せば」、数年ごとにリピート観劇の価値あり。出来れば井上ひさしの血筋に人たちが関わる形の上演で、


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最終更新日  2025.07.18 12:00:45
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