お城では「カラバ公爵領主着任式」が行われました。
4匹の「もと妖怪」から降伏文書の署名提出が行われ、「カラバ公爵」が始めて領民の前で挨拶することになりました。
「親愛なる領地領民の皆さん・・・・・妖怪に占領されていたこの麗しいわが祖国が、今日こうして、私たちの元に返されることになりました。
妖怪たちが潔く返還に応じてくれたのです。
今までのうらみつらみもあるでしょう・・・・しかし彼らは一滴の血を流すこともなく、降伏文書に署名してくれました。
これからは森の中で静かに暮らしてくれるそうです。
どうぞ、皆さんも忘れるところは忘れて頂き、いつまでも平和な国になるようともに手を携えてがんばっていきましょう。」
民衆の間から大きな拍手が沸き起こりましたが、カラバ公爵はそれを手で制して話を続けます。
「今日この国に平和が訪れたのも、ノブさん、モルトスさん、ピンクさん・・・そして今はもう次の目的地でがんばっておられる緑さん・・・・この4人の魔法使いの皆さんのおかげです。私はこの地の領主として、そしてスノーホワイトの国王の代理者として、この4人にナイトの称号を贈り、感謝と敬意を称します。」
もう一度大きな拍手と大喚声が起こりました。
ニタリはどうなったのでしょう?
ニタリは、カラバ公爵の大臣になって、この国の政治を任せられることになっていました。
さて、これから城内では祝宴が始まります。
遠くスノーホワイト城からは、わざわざ王様とお妃様、そして可愛らしいお姫様がやってきてくださいました。
冬の魔法使いは、一人留守番をして、万が一に備えています。
美味しい食事を取りながら、みんなは楽しそうです。
4匹の「もと妖怪」がノブのもとに近づいてきました。
「ノブ・・さん・・・・これからあんたたちはザウラブダグ城に行くんだろ?・・中の様子を少しでも覚えておいたほうが言いと思うんだ。・・・・だからここに図面を書いて持ってきたよ。」
ネズミは図面をテーブルに広げながら説明を始めました。
「ザウラブダグ城は、高い山の頂上にあるんだ。・・・・でもただ頂上にあるだけじゃない・・・・もともと火山で、今も噴煙を上げているんだけど、お城はその噴火口のど真ん中にある。・・・・その噴火口のど真ん中に魔法でこしらえたお城があって、その中にいればさほど暑くもないんだけど、お城の周りにあるお堀は水がたたえられているのではなくて、溶岩が赤い炎を上げているような場所なんだ。」
ノブは、ごくりとつばを飲みました。
「お城の大きさは、このお城の倍はある。・・・・図面の通りなんだけど、お城のてっぺんが牢獄になっていて、例のお姫様の人形がその牢獄に入れられている。・・・・俺、前にこの部屋の掃除係だったんだけど、それはとてもかわいらしいお姫様で、もしかしたら、今日来ているスノーホワイトのお妃様より美しいかもしれないよ。・・・・大きさは30センチほどの高さだけど、これは元の大きさの5分の一ほどで、ザウラブダグが持ち運びしやすいように小さく縮めたという話だ」
ノブは、まだ見ぬお姫様の姿を見ていました。
なぜできるかって?
それは、その人形を見たことのあるネズミの頭の中を覗けばできるのです。
それは、ピンクのきれいなドレスを着た、可愛らしいお人形でした。
「ザウラブダグは毎日決まった時間、ちょうどお昼12時から二時間だけこの部屋に入ってお人形に話しかけるんだけど、もちろん返事もしなければ何にもしない人形だから、、最後部屋を出てくるともう怒り心頭に発してるから、決まっていちばん近くにいる妖怪仲間の首を引きちぎって自分の部屋に戻るんだ。」
ザウラブダグは残酷なことも簡単にやってしまうような悪のようです。
「でも僕がザウラブダグより強くなれるって言うのがわかったでしょ?」
ノブは、大丈夫だというように、彼らに説明しましたが、
「でも、あなたは優しすぎる・・・・残酷非道なことも平気でやってのけるザウラブダグですから・・・・その優しさが仇にならなければいいけど・・・・」
強いのは認めるけど、優しさがタマに瑕・・・・そういってるようでした。
さて、祝宴も終わり、「ピンク」が、ノブとモルトスをせかせます。
「早くザウラブダグ城に行きましょうよ・・・緑が待ってるわ」
かなり心配しているようでした。
出発間際に、カブトムシの王様がやってきました。
「ノブさん・・・・私の仲間も連れてってくれないだろうか?・・・・見ると大勢ののカブトムシやクワガタ・・・・そのほかたくさんの虫たちが一緒に来ていました。
「これから危険なところに行くんだ・・・連れて行けないよ」
「でも、わしらの仲間も奴隷のようにされているんだ・・・・助けに行かなくては」
そこで、ノブはカブトムシを3匹と、アリを10匹だけ連れて行くことにしたのです。
「魔法の木」その49
ノブたち一行はいよいよザウラブダグ城に向かいます。
一緒に同行することになった昆虫たちを小さな箱に入れ、空間のゆがみを利用してマチュピチュの「緑」の待つ洞窟へと急ぎました。
気が気ではないのは「緑」の恋人の「ピンク」です。
「ミミズの妖怪」をノブたちの元に届けるために、マチュピチュの洞窟に「緑」を残し後ろ髪を引かれる思いで別れてきたのですが、その後、テレパシーで呼びかけてもまったく返事がないのですから・・・・・・
どうしたんでしょう・・・まさか捕まっているはずはないのになあ・・・・
そんなことを考えながらようやくの思いでマチュピチュへ到着したのでした。
マチュピチュの遺跡群は祭事のときに神官たちが住んでいた住居跡だという説もあるし、戦争で負け戦のとき避難した場所だとも言われていますが,実際のところはどうだったのでしょうか・・・・・
もしかしたら、ザウラブダグの城で働くものたちの休暇のために作られたのかもしれません。
ノブはここへ来る前ネズミの妖怪たちから教えられたことがありました。
それはザウラブダグ城のある場所の、劣悪な環境の事でした。
火山の火口のど真ん中に作られたザウラブダグ城・・・・それは誰をもの侵入を防ぐために作られたものですから、お濠には水の代わりに溶岩で充満されていてその溶岩も赤い火柱がはっきり見えるほどですから外での熱ははかり知れないほど劣悪なもののようでした。
そんなところで働かされていると、どんな手下でも妖怪でも・・・・ずっと勤めることはできません。
新たな手下や妖怪を募集するよりも、今働いているものを騙し騙し使い続けるほうがいいと考えたザウラブダグが、きっと少しだけの憩いの時間を作ってやるために作られた休憩用の住環境だったのです。
しかし、今はトンネルを人工的に落盤させていますから、ザウラブダグもここに労働するものを送り込む事をあきらめていて、誰も住んでいないのです。
つづく
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