拷問されている妖怪と老人を何とか助けられないものかと、ノブは思案をめぐらしましたが、今騒ぎを起こすことは良策ではありません。
かといって、このまま「見殺し」にするというのはノブにとっては耐えられないことでした。
もし、この二人を助けたとすると、ザウラブダグはノブたちが助け出したと思うに違いありません。
なぜなら、彼が前任の「討伐隊」から取り上げたであろう「本」を持っていると思われるからです。
本の中には、「今の状況」がきっと書かれているに違いありません。
「いや、待てよ?・・・・・」
それじゃなぜ、ザウラブダグはノブの先手を取って攻撃を仕掛けてこないのでしょう?
そのとき、ノブはふと以前聞いた話しを思い出していました。
それは自分たちの前に失敗したという「討伐隊」の事でした。
「前の討伐隊も、確か4人編成の討伐隊だったはず・・・・」
以前聞いた話では、「青」と「赤」の魔法使いはあまりの恐怖のために、いまや魔法使いとしては役に立たなくなってしまったという話し・・・・・
そして、「猫背で姿勢の悪いウィザード」と呼ばれた「猫又のニタリ」は、いまやカラバ公爵の国の大臣になっていましたが・・・・もう一人、その討伐隊の隊長だった少年がいたはずです。
ノブの師匠である「西の魔法使い」や「太陽の魔法使い」も、その隊長の話はしてくれませんでしたし、話の状況ではザウラブダグに殺されてしまった・・・とみんな思っているだけのようでした。
「でも、もしかしたら、いまだに生きていて、そしていまだにザウラブダグと戦っているんじゃないだろうか?」
「カブトムシの王子」が逃げ出したとき、誰かが鍵を開けた・・・・・・
なぜか、ノブはその少年がまだ生きているのではないかと予感しました。
ノブは目の前に立っている「魔法の木」にテレパシーで聞いてみることにしました。
「前の討伐隊の隊長は、ザウラブダグにやられてしまったのですか?」
「”青”と”赤”からの報告で、”サキ”がやられたという話しは聞いたんだ。・・・彼らの様子がおかしくなる前だけどね。」
「もちろん例の本は、隊長が持っていたんですよね?」
「隊長が責任を持って本を管理していたはずなんだが・・・・・」
「もし、そのサキさんという隊長がやられていなければ、本もそのサキさんが持ってるはずですよね?」
「猫又の件で失敗をしてしまったのだが、あのサキという少年もお前と同じ能力を持っていたからね。・・・そんなに簡単にやられるとは思えないんだがね・・・・」
その時です。
「君は新しいザウラブダグ討伐隊なんだね?」
ノブの耳元で誰かがささやきました。
「あなた・・・・サキさん・・・そうなんですね?」
「ああ、魔法の木に聞いたんだね・・・そう・・・僕がサキだ」
でも、サキは、姿を消したままノブと話しをしていました。
「あなたがまだ本を持ってるんだよね」
その質問に、なぜかサキは返事をしませんでした。
「ここで君と話し合ってる余裕はないんだ・・・・できたら他の場所で話したいな」
「でも、あの妖怪と老人・・・何とか助け出さないと」
「ああ、それなら心配ない・・・あの2人をよく見てごらん」
ノブがテーブルに寝かしつけられ、水滴を目と目の間に落とされている2人を見ると、・・・・・実はその寸前で水はどこかに消えているのです。
「僕は確かにザウラブダ後の討伐に失敗した責任者さ・・・・でも、まだ敗れたわけじゃない・・・・これくらいの魔法で、あいつをごまかす事ぐらいできるさ」
これなら、あの妖怪と老人もしばらくの間はおかしくなることもなく過ごせるはずです。
「サキさん・・・僕の仲間もそろそろこちらへ入ってくるはずです。・・・・その仲間とあって話しを聞かせてください・・・・これからの、ザウラブダグの攻撃の方法についてみんなで検討しましよう。」
こうして、ノブとサキはマチュぴチュのトンネルの入り口で仲間たちを待つことになりました。
つづく
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