ノブとサキが「マチュピチュのトンネル」の前で待っていると、モルトスとピンク、そして虫たちが現れました。
ノブは、みんなを引き連れて緑が隠れている洞窟へ向かいます。
ピンクは緑の記憶喪失を心配していましたが、とりあえず生きていたことに感謝し、涙を流しました。
この洞窟の前でノブはみんなにサキを紹介しました。
「第一次のザウラブダグ討伐隊の隊長、サキさんです。」
「え?第一次討伐隊って・・・ニタリと一緒だった人?」
「うん、ニタリと青と赤の魔法使い・・・・それとこの人で4人の討伐隊だったんだけど、この人だけ行方不明だったんだよ。」
「何で、この人だけ、行方不明だったんだ?」
モルトスが聞くと、サキが自分で答えました。
「僕は他の3人と離れ離れになっちまって・・・・みんなやられてしまったと思ったんだけど、討伐隊の最後の僕が残っているうちはまだ負けじゃないと思って、一人で戦っていたんだ・・・」
「それで、本は持ってるの?・・・ザウラブダグ討伐隊の本のことだけど」
ノブは、その本がザウラブダグに取り上げられていると思っていたので、そのことが気になっていました。
「ニタリがやられてしまったと思ってたから本の結末と違うだろ?・・・だって、僕が本物なら最後に僕とニタリが生き残っているはずなんだもの。・・・・だから、本が間違っていると思って棄てようとしたんだ・・・そのとき、ザウラブダグに見つかって・・・・殺される・・と思ったとき、もみあっているうちにザウラブダグ城の火口に落としてしまったんだ。」
「じゃあ、燃えてしまったの?」
「僕が落としたとき、その本を追いかけてザウラブダグが飛んでいったんだけど・・・その間に僕は逃げちゃったからどうなったか知らないんだ・・・・ザウラブダグの手に落ちたのか・・・・火口で燃えてしまったのか・・・・・」
サキは唇をかんで悔しそうにいいました。
しかし、ザウラブダグの手に入ってなかったとすると、勝負は互角だと思っても間違いではないと、ノブは思いました。
そのとき、緑が洞窟の中から、ピンクの肩を借りて出てきました。
「サキさん・・・・・ホッキョクグマはどうなったんでしょうか?」
「ああ、さっき連れてこられたホッキョクグマですね・・・・彼は、カブトムシを助けた仲間だと思われて連れてこられたんですけど、ハイエナ妖怪と向き合ったとき、彼に向かって吼えたんですよ。・・・だから仲間だとは思われてないようです。」
「それでさっきの裁判のときも呼ばれなかったんですね?」
ノブや緑は少しほっとしたんですけど、サキは逆に心配そうな顔をしました。
「ザウラブダグは、無駄なものを残しておかない主義です。・・・だから僕は、ホッキョクグマがよけい危ない状況だと思います。」
「というと?」
「食用として始末されるか、それでなければ、妖怪どもの狩りの獲物として狙われるか・・・・どっちにしろはやく手を打っておいたほうがいいと思います。」
その話しを聞いた緑が今度はノブに話し始めます。
「わたしが、記憶をなくしたという話は皆さんからも、このピンクさんからも聞きました。・・・・でもどうしても思い出せないのは確かです。・・・しかし、ホッキョクグマには助けてもらった恩義があります。・・・どうぞホッキョクグマを助け出してください」
もしかしたらピンクにあえば記憶喪失は治ると言う淡い期待は消えたようです。ノブは、寂しそうにしているピンクに訊ねました。
「ピンクさん・・・・ホッキョクグマさんはずっと緑さんの面倒を見てくれました。・・・だから、なんとしても助け出したいと思ってるんだけどそのためにも、何とかして緑さんの記憶を取り戻したいんですが、なんかいい手立てはないものでしょうか?」
「そういえばひとつだけ手がないわけではありません」
ピンクも緑に治って貰いたい一心で、必死です。
「魔法使いを最初に作ったのは”魔法の木”だという言い伝えが残っています。・・・・だから傷ついた魔法使いを治すには、魔法の木の根元に、その師匠と一緒に一晩いて、その師匠がもとに戻るように祈れば治ると聞いた事があります。」
「青や赤の魔法使いさんの場合はどうしてそれをしないのですか?」
「ああ、そうか・・・・そういえば、彼らの師匠である春の魔法使いと秋の魔法使いが一生懸命、魔法の木の根元で祈ったのに、ダメだったって聞いたなあ・・・・単なる、言い伝えだけだったのかなあ・・・・」
ノブは、その答えを聞いてがっかりしました。
そのとき、モルトスがポツンといったのです。
「自分が魔法使いになったときの師匠は確かに春や秋の魔法使いだったかもしれないけど、ここに来るとき、俺たちの場合はノブが隊長だって言われてきたじゃないか・・・・・だから、その時点で師匠も隊長に変更になってるんじゃないのかな?」
「という事は、青や赤の魔法使いの場合はサキさんが一緒にいて祈ってやらなければ治らないという事か・・・・・緑さんの場合は僕が・・・・・」
とりあえず、ダメでもともと・・・・試してみる価値があるとノブは思いました。
しかし、今から他の広場に行ってそこの「魔法の木」の根元に一晩いるということは時間的に無理です。
その間にホッキョクグマがやられてしまう可能性が非常に高いのですから・・・・・
「しょうがない・・・・ザウラブダグ城の魔法の木にお願いして、その根元に一晩緑さんと一緒にいよう・・・そしてお祈りしてみるんだ」
「時間がないということは今すぐ?」
「そう・・・・もしそれでダメなら明日の朝、いっせいに攻撃を開始しましょう。」
そう決めると、そこにいた魔法使い一同は、すぐに姿を消しました。
もちろん、緑も他の応援の虫たちも、魔法使いたちの手によって姿を消してもらいます。
こうして全員で魔法の木のある、ザウラブダグ城の「中央広場」に向かったのです。
つづく
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