天国での共通言語は「ココロ語」・・・・だから「警察犬カール」の言葉も「ソクラテス」の言葉も・・・・頭に響いてくるだけで意味が全てわかるのです。
「心」での会話になりますから、話す内容は全て嘘偽りのない真実ということになるのですが、今・・・・姿を見せない謎の「影」の正体は、心にも響いてこない・・・つまり何も考えていないということなのでしょうか?
「神様」を含め・・・4人の頭の中に不安が広がります。
その「影」が何かを考えているのであれば、少なくとも何か伝わってくるはずなのに・・・何も考えないと言うことがあるのでしょうか?
「神様」
「孔雀」は「神様」を守ろうとしているのか、あるいは逆に不安でいっぱいの気持ちを「神様」に託そうとしているのか、近くに擦り寄ってきました。
「ヨシヨシ・・・・大丈夫じゃ・・・・・そこにいらっしゃっていて・・・心の中を外に見せない・・・あるいは無心でいられるというのは・・・・もう高い徳を積まれて、悟りを開かれたお方であろう・・・・」
「神様」は「孔雀」を安心させるように彼女の肩を軽く叩きながら、そう話したのです。
もちろんそれは、・・・相手の「影」の心にも通じるだろうと思い話したのですが・・・・・
「よくぞ見抜かれた・・・・わしじゃよ、わし・・・・ゴータマ・シッタールダじゃ」
突然、天全体から響くような(実際は頭の中に響いているだけなのですが・・・)声が聞こえてきたのです。
「ア、お釈迦様!」
「神様」は思わず天空を仰ぎ見ました。
そうなんです・・・何かの気配は小さな物体がそこにあった・・・またはいたわけではなく・・・天空全体を覆っていたから見えなかっただけ・・・・
それがお釈迦様でした。
「見えないものに不安を感じるというのは、まだあなたも修行が足りませんな」
「お釈迦様」は「神様」を少しからかいました。
「申し訳ございませぬ・・・・天国ではいまだ経験しておらぬことでしたから・・・」
「神様」も少し照れながら返事をします。
ゴータマ・シッタールダ・・・もちろん皆さんご承知の「お釈迦様」ですが、インド出身ということを聞いたことがあると思います。
しかし、じつはインド出身ではなくネパールのタライ地方ティロリコートを中心とした小さな国の王子として生まれました。
ちょっとしたマメ知識で・・・物語には関係ないんですけど・・・・
「ところでお釈迦様・・・・突然何の御用で?」
「ああ・・・さようさよう・・・・あなたたちを見ていたら昔を少々思い出してのう・・・すっかり声をかけた理由を忘れておりました。」
声をかけられたわけではないのですが、4人は「お釈迦様」の次の言葉を待ちました。
「むかし、毘沙門天が足の下に踏みつけていた邪気を逃したことがあった。・・・その邪気が鬼が島に渡って住んでおったのを・・・わしが桃太郎に命じて退治させたのじゃが・・・・あなたたちを見ていたらその時のことが蘇って来てのう・・・」
「お釈迦様」は遠い昔を懐かしむような声でそういいました。
「ところがじゃ・・・・最近の世相を反映してか・・・またぞろ鬼どもがのさばり始めてのう・・・こんどは毘沙門天の下に踏みつけている邪鬼ではなく・・・・仏教には関係ないところから発生した鬼のようなのじゃ・・・・キリスト教の神や、イスラム教の神から・・・鬼を退治するのは仏教の係りだ・・・といわれて・・・・それで誰を派遣しようか考えておったところに、あなたたちがやってきたのです。」
「私たちが鬼退治ですか?」
「神様」は、自分より年長者には敬意を表して「私」と自分のことを呼ぶのです。
「そうそう・・・・ちょうどお供も3人・・・・猿もおれば犬もいる・・・雉はいないがその代わり孔雀がいる。」
「ちょっとお待ちください・・・・猿には似ていますがこやつは人間・・・孔雀だって式神で・・・・ごらんのような体型です・・・・とてもとても鬼退治など・・・・」
「神様」は固辞したのですが、「お釈迦様」はにこやかな声でこうおっしゃいました。
「先ほど、その猿が懐に桃を入れておるのを確認した。」
なるほど「藤吉郎」は先ほど桃のようなものを懐に入れ、「のどが渇いた」ときにそれを出しては食べておりましたが・・・・・
「イザナギの命が亡くなったイザナミの命に会いにいって、その姿のあまりのおぞましさに逃げ出し・・・・亡者どもに追いかけられたとき・・・・桃を投げつけて助かったという・・・・じゃから桃太郎を前回は差し向けたが・・・・今回もそれと同じ布陣・・・・桃も天帝「西王母」様の桃園の桃じゃから・・・霊験あらたかです。・・・ぜひお願いしたい」
断りきれない響きがありました。
こうして、「神様」は桃太郎の身代わりとなって・・・・鬼が島に・・・・いや、待てよ?・・・・「鬼が島とは言ってなかったなあ・・・・・?
「お釈迦様・・・鬼どもはどこにいるのですか?」
「それは今回とんとわからぬ・・・・あなたたちで探すところから始めてもらいたいんじゃが・・・・」
鬼が島へ行った「桃太郎」とはえらい違いで・・・・・探索から始めなければならない・・・・・
「神様」は思いました。
「コリャ、お釈迦様・・・・四天王に命じたのに・・・四天王に断られたな?」
四天王とは仏教における守護神・・・・・
須弥山を中心として東南西北をそれぞれ守護する、持国天、増長天、広目天、、そして多聞天(毘沙門天が四天王として呼ばれるとき名前が変わる)の四天王が・・・どういうわけか断ったとしか思えませんでした。
はてさて・・・このあとこの「偽・桃太郎一行」はどのような冒険を始めようとするのでしょうか?
次回を待て!・・・・つづく
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