福島県二本松市に到着した一行は・・・すぐに「鬼婆伝説」のある「岩屋」に向かいました。
「ねえ・・・鬼ばばあって・・・・鬼じゃないんでしょ?・・・・鬼のようなばばあなんでしょ?」
「いや・・・・人を食ったんだから鬼だろう?」
「だって・・・このパンフレットに描いてある鬼婆の絵は・・・角が生えてないわよ?」
さっき、駅に置いてあった観光パンフレットを見て、孔雀は考えていたのです。
「角がないから鬼じゃないとは言えないだろ?」
藤吉郎が答えました。
「現にこのパンフレットには鬼になったって書いてあるじゃないか・・・」
「ちょっと待って?・・・ということはもともと人間だったのが鬼になったって言うこと?」
「ああ・・・ここにはそう書いてある・・・・」
ここで「安達が原の鬼婆」伝説について触れてみましょう・・・・・
もともと話しは平安時代にさかのぼるという・・・・・
京都のある公家に乳母として奉公していた「岩手」という名の女がいたのだそうです。
あるとき、自分が世話をしていたお姫様が思い病に罹り・・陰陽師に見せたところ「まだ母親の胎内にいる赤ちゃんの生き胆を食べさせれば治る」といわれ、「岩手」は日本各地を探し回ることになりました。
しかし、いくらなんでも生きたままの妊婦を殺し、腹を割いて「赤ちゃんの生き胆」をとるというような恐ろしいこともできないので、そのうち奥州安達が原に住み着くようになったのです。
数年後のある日、その「岩手」の住む家に身重の妻とその亭主が一夜の宿を求めて訪ねてきたのです。
「岩手」はかわいそうに思い、その夫婦を泊めたのですが・・・・その夜・・・・・ 突然その妻が産気づいたのです。
夫はあわてて産婆を呼びに行き・・・・「岩手」とその妻のふたりきりになってしまったのです。
これぞ千載一遇の機会とばかり、「岩手」はこの妻を殺し、とうとう「赤ちゃんの生き胆」を手に入れましたが・・・・・・
この時まだ息のあった妻が・・・「自分は小さい頃、生き別れになった母を捜している」と話して息絶えたのですが・・・ハッと思った「岩手」がその妻の荷物を調べたところ、自分が昔京都で生き別れになった娘に渡した「御守り」がでてきたのです。
「なんということを!・・・」
「岩手」は嘆き悲しみました。
こともあろうに自分の血をわけた娘と孫を・・・・「岩手」は手にかけてしまったのです。
あまりの悲劇から・・・「岩手」は気が触れてしまい・・・・それから人を食らう「鬼婆」になったというお話・・・・・・
「鬼婆って・・・かわいそうな人だったのね・・・・・」
「だけど・・・・気が触れて鬼になったというなら・・・・・もともと人間だったってことだよな?」
「そうなると桃太郎に出てくる”鬼ヶ島”って言うのはかわいそうな人たちが集まった島ってこと?・・・・・そこを桃太郎が攻め滅ぼしたって・・・桃太郎って酷い奴って事になるわよね?」
「でも、鬼は悪さをして鬼になったんだから・・・・やっつけたっていいのさ」
「たしかに人の肉を食べたり、人を襲って強盗したり・・・悪いことをしてるんだけど・・・」
なんとなく釈然としない「孔雀」でした。
つづく
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