神様一行は急いで天国に戻りました。
そしてお釈迦様を探したんです。
「鬼は本当に悪いことをしたんですか?・・・・桃太郎の鬼退治は本当に正しかったんですか?」
それをぜひとも確認したかったのです。
しかし探しているときはなかなか見つからないもので・・・・
「みんなで手分けして探そう」という事になりました。
神様と孔雀・・・藤吉郎とカール・・・このペアで探し始めたのです。
現世と違い、天国にいると全ての人がテレパシーを使えます。
だからもし見つかったら、連絡はテレパシーを使うことにしました。
お釈迦様といえば「西方浄土」というくらいですから、神様ペアは西の方向を探します。
そして藤吉郎たちは逆の東方向へ向かったのです。
「ねえ・・神様・・・・あたくし達は避暑のために天国に来たんでしたよね・・・・」
最初の目的はそうでした。
「なのに・・・洞窟の中を探検させられたり・・・お釈迦様を探させられたり・・・・普段よりいっぱい汗をかかされてる様な気がするんですけど・・・」
「孔雀」は不満たらたらです。
西に向かって最初に出会ったのは・・・・川で釣りをしていた老人でした。
「あら?・・・あのおじいさん・・・・釣りをしてるのかと思ったら・・・水の中に針を入れてませんことよ?・・・それに神様・・・あの針を見て御覧なさいな・・・・縫い針のように真っ直ぐな針・・・・餌もつけないで・・・どうやって釣るんでしょうね?」
このとき、神様ははっと気付きました。
これは殷の時代、周の文王に仕えた「太公望」ではないかと思ったのです。
太公望は学問に身を入れ、商売はとんと顧みなかったので、愛想のつきた奥さんに逃げられた人物でした。
文王に仕えてから、めきめきと頭角を表し出世をしたとたん、その元奥さんがやってきて復縁を迫ったそうです。
その時太公望は少しもあわてず・・・・そばにあったお盆に水をいれ・・・その水を庭にこぼしました。
そして、「もしこの水をお盆に戻すことができたら復縁しよう」といったそうです。
その元奥さんが一生懸命水を汲もうとしましたが、いったんこぼれ・・・流れたり土にしみこんだ水は泥になるばかりで水を元に戻すことはできない・・・・・
その時、太公望は「覆水盆に返らず」といったそうですが・・・・・・
神様はその太公望に尋ねました。
「お釈迦様を見ませんでしたか?」
「私はずっと釣りをしていたんじゃ・・・・それなのにお釈迦様を見ることなんぞできるはずはない」
「マロには釣りをしていたとは到底思えませんが。。。。」
「うん・・・確かに釣りはしておらん・・・わたしを吊り上げようとする人を待っておるのじゃ」
「失礼ですがあなたは太公望?・・・・」
「わしの名か?・・・わしの名は呂尚・・・・・太公望という名ではないが・・・」
「ああ、そうでしたね・・・・太公望という名前は・・・周の文王が、祖父(太公)が望んでいた人・・・という意味であなたのことを呼んだのですから、まだ太公望ではありませんでしたね」
「ほう・・・わしを釣り上げる人物は文王と申されるのか・・・」
「そんなことよりお釈迦様なんですけど・・・」
「わしは見ておらんからなあ・・・・」
「そうでした・・・・でもひとつだけお聞きしてよろしいですか?」
「なんなりと・・・・」
「鬼は悪者ですか?」
「人間の中にも様々おりますからのう・・・・いい人もおれば悪い人もおる。・・・・だから鬼じゃからといって全て悪いものとは限りませんなあ」
「えてして、鬼は悪者として扱われ・・・・豪傑といわれる人が退治していますが・・・どう思われますか?」
「鬼が全て悪者とするのは間違いじゃろうが・・・・退治してしまったものはどうにもならん・・・・覆水盆に返らず・・・じゃ・・・しかし、それを反省する事はできる。・・・二度とそういうことが起らないようにせねばのう」
太公望の言葉を聞くと神様は決心したように立ち上がりました。
という事で・・・実はこのあと少し仕事しますから・・・・続く
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