日本語で話そう

July 26, 2009
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カテゴリ: 日本文化
南信州の桜で有名な高遠という町から少し奥まった山の中に一軒の鄙びた古い温泉宿がある。山室鉱泉という。ずっとずっと以前夫と2人で泊まったことが会った。川べりの小さな宿で当時、隣の部屋との境が壁ではなく襖だった。隣に逗留している子供達に田舎が無いから夏はここですごすのだという家族連れの、子供の声が聞こえるような宿だった。
しかし今日はその宿の話ではない。

その宿からまだ奥のほうの田んぼのなかに小さなお寺がある。その時われわれは宿から歩いてそのお寺に行き見学させてもらったのだ。ちょうど作ったからと柏餅もご馳走になった。

しかし、そのお寺の話でもない。

宿への帰り道。カッコウの姿を生まれて初めて見たのである。カラスより少し小さい黒っぽい鳥。なぜそれがカッコウかと分ったかといえば、その鳥は飛びながら「カッコウ、カッコウ」と鳴いていたのであった。
その時はカッコウを見たという感激と同時に鳴きながら飛ぶなんてずいぶんずぼらな鳥だなと思ったものだ。

山の家にいるといろいろな鳥の鳴き声が聞こえる。カッコウ、雉、山鳩。どんな姿をしているのか、あるいは名前さえ知らない鳥の鳴き声がたくさん聞かれ、それをいつも知りたいと思っている。

先週旅行中、諏訪湖で鰻を食べた後、反対側のほとりにある小坂観音というところに紫陽花を見に立ち寄った。

IMG_0928.JPGIMG_0941.JPG

門前に、「この寺にはブッポウソウが住み着いています」と説明書きが有った。
あまりにも有名なこの鳥の名前、だけど見たこともないし、鳴き声も聞いたことが無い。

ところが、紫陽花を見物していると寺の森の中に何かがスーッと飛び込んだ。その飛び方が今まで見た鳥からは感じられないオーラを発していたのである。

「あの鳥トンビやカラスじゃなかったよね」と長女が言う。
「足が赤かった。あれはブッポウソウ?」

そうなってみると今度はその声が聞きたくなるのが心情というもの。
駐車場への帰り道、木々の上を見ながら4人で多分「ブッ・ポウ・ソウ」と鳴くんだろうなと思って耳を澄ませたがその鳥の声を聞くことは出来なかった。

ブッポウソウは古い神社や仏閣に住み着く渡り鳥だという。
「仏閣は分るけど仏法僧なのに神社は変だよね」なんて鳥には分るべくもないしゃれを皆で言いながら帰って来たが、あの鳴き声はどうしても聞きたかった。


次の日、八ヶ岳高原ホテルの土産物ブースで娘達が私を呼ぶ。
見ると山野の鳥図鑑と鳴き声が聞くことが出来る道具の見本が置いてあった。
娘達がブッポウソウを試してみる。

「ゲッ」

それがブッポウソウの鳴き声であった。





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Last updated  July 26, 2009 07:58:12 PM
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