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2022年12月03日
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テーマ: 東芝-TOSHIBA-(56)
 大きすぎて潰せない東芝は、安全保障などの観点もあり、外資に買収されず国内企業として残った。
 下記の記事は、東芝を倒産させられない事情と復活のためのリーダーが不在の状況を描いている。
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【復活できない名門「東芝」】
“倒産せず”で再建は泥沼に、リーダーも見当たらず
マネーポストWEB 2022年11月21日
 “日の丸家電”の一角だった東芝が国内企業十数社の共同出資によって買収され、ついに非上場化に向かう見通しだ。これから本格的な再編へと舵を切るが、社員12万人には“茨の道”が待っている──。『東芝解体』の著者・大西康之氏がその深層に迫る。東芝再建が泥沼化する背景には5つの理由があり、ここではその2つを紹介する。【全3回の第1回】
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「東芝解体」が始まる。東芝との優先交渉権を持つ国内投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)が2兆2000億円程度の買収提案を出した。実現すれば投資ファンドの元で不採算事業や不稼働資産の売却、人員削減といったリストラが加速する。
 だが経済産業省の影が見え隠れする今回の手法では、かつて死地からの生還を果たした日本航空(JAL)や日産自動車のような復活劇は望めそうにない。国家に取り憑かれた東芝を待つのは「緩やかな死」。東芝再建が泥沼化する背景には、企業再生の原則を無視した5つの理由がある。
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【1】「倒産」は極めて不都合
 まず東芝再建が泥沼化する最大の理由は「倒産しない」ことだ。
 東芝は2017年に約6000億円の増資をしているが、この時点で2年連続の債務超過だった。2015年に発覚した粉飾決算がなければ、財務の破綻はもっと早く表面化していたはずで、裁判所に会社更生法か民事再生法の適用を申請して「倒産」するのが、最も一般的かつ確実な再生の道だった。
 なぜ倒産した方が再生しやすいのか。それは裁判所が選任した管財人が全権を握り、コストカットを一気呵成に進められるからだ。
 2010年に2兆3000億円の負債を抱えて倒産したJALは、会社更生法が適用されたことにより、1万6000人の人員削減や金融機関による5215億円の債権放棄、資本金2150億円の100%減資などが実行された。さらに不採算路線の廃止や維持費の高かった大型機103機の退役など、政治的なしがらみで手をつけられなかった部分に大鉈を振るった。
 会長に就任し再生の立役者となった稲盛和夫氏は筆者の取材に対し「倒産という劇薬を使っていなかったら、再生は難しかった」と語っている。
 だが東芝は倒産しない。改正外為法で国が特に重要な「コア業種」として位置付ける原子力事業を抱え、防衛省からレーダーシステムなどの開発を委ねられているからだ。外資が買収する時にも国の重点審査が必要になる。
 東京電力福島原発事故の後始末である廃炉作業を請け負っているのも東芝だ。そんな会社が「倒産」するのは経産省にとって極めて不都合であり、国家の沽券にかかわる。
 だから、東芝が粉飾決算という上場企業にあるまじき行為を働いた“不良企業”であるにもかかわらず、政府は総力をあげてその倒産を阻止してきた。今回のJIPによる買収も、その前に浮上した「会社分割案」も、要は倒産を回避するための弥縫策に過ぎない。
 株主、債権者、取引先、経営陣、従業員。それぞれのステイクホルダー(利害関係者)が上場廃止、債権放棄、経営陣の総入れ替え、大規模な人員削減で痛みを分かち合い、事業再生を目指すのが「倒産」である。
 良薬口に苦しの諺通り、関係者の痛みは小さくないが、重荷を取り払われた分、会社は早く復活する。国の都合と経営陣の保身で良薬を口にできない東芝は、病に蝕まれたまま衰弱していく。
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【2】「リーダー」がいない
 倒産せずに復活した企業もないわけではない。1990年代の終わりに約2兆円の有利子負債を抱え「倒産寸前」と言われた日産だ。ダイムラークライスラー(現ダイムラー)との資本提携に望みを託していた日産は、そのダイムラーに支援を断わられたが、1999年に仏ルノーから6430億円の出資を受けて生き延びた。大株主になったルノーは副社長だったカルロス・ゴーン氏を送り込み、苛烈なリストラを断行させる。
  …  (略)  …
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「粉飾に関わっていなかった」という理由で社内昇格した室町正志氏、綱川智氏は、それぞれ思惑が異なる経産省や投資ファンドとの利害調整に追われ、その後を受けた銀行、投資ファンド出身の車谷暢昭氏は、外部から招聘されて東芝を立て直して経団連会長になった石坂泰三氏、土光敏夫氏に自らを準えたが、かつて自分が在籍していた投資ファンドに東芝を売却しようとして批判を浴び、辞任に追い込まれた。
 現社長の島田太郎氏はこの車谷氏が社長時代に「DX(デジタルトランスフォーメーション)の専門家」として招き入れた人物である。鈍重な重電メーカーからソフトウエアの会社に変身した独シーメンスで同社のDXに立ち会った経験を買われての東芝入りだったが、外資に20年近く身を置いただけあって社内遊泳術に長け、車谷氏の降板で真空状態になった東芝で社長の座を射止めた。
  ―  引用終り  ―
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 不正の積重ねをうまくやっていることで生き残ってきたマネジメント層に、正常な判断ができる者、現在の経営陣の思いつかない革新策を唱える者は社内に残っていないことだろう。
 自己革新ができない企業体であれば会社分割して各々の得意分野で生き残りをはかるのが定石。
 非上場化を経て「解体」というのが普通の道。





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最終更新日  2022年12月03日 06時00分09秒
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