型をこよなく重んじるも、嵌ることをめっぽう嫌がる作曲家の日記

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2019.01.01
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テーマ: 新しい音楽(16)
カテゴリ: 新しいこと
1989年から1994年の5年間は20代後半から30代で、
大学を卒業後ストレートで、洗足学園、尚美学園の講師もしながら、
たくさんの仕事をした日々を送りました。
その間にコンクールを受けてもいました。

1991年からは多様式性を採り入れた作風になりましたが、
それでも多くの委嘱を受け新しい作品を発表することに遑はありませんでした。
テレビやJ-popの仕事も請け負いながら、
中でも影響を受けたのは日本オペラ振興会のオペラ「天守物語」の、
地方公演用アレンジをした時のこと、
作曲者の水野修孝先生もジャンルを超えた作風であったため、
本当に共感できる仕事になりました。

また、舞踏の山海塾・蝉丸さんとのコラボレーションにおいて、
音楽についてのたくさんの話をしたことが大きかったように思います。
この時期に名だたる人との人脈はできました。
自分は作曲家の中でも何でも忌憚なく言われるタイプのようです。
現代的な作風について迷っていた自分に、
在京プロオーケストラの重鎮からは旋律による叙情性を勧められ、
現代音楽における多くが荒唐無稽な論理として批判されていると諭されもしました。

無調音楽は文法をなくした文と同じく、
もはや単語として意味のない音の羅列において、
どれだけの意味を持たせるかということでもあります。
例えば単なる12音技法においてそこから意味を見出すことは難しい、
そのようなことであろうかと思います。
ただし、そこに何かしらの別の文法を当てはめた時に音楽が成り立つと考えられます。
そのようにして多くの無調音楽がつくられているわけですが、
その文法が数学的、生物学的などの論理で音を連ねた場合に、
音楽として成立するかという意味で苦言をいろいろいただいたわけです。

先日、区とある音楽大学が共催した「音(楽)のかたちをもっと知り、いまを聴く」
という講演会に、自分の認識を確認するために行ってみました。
そこで講師で来ていたのはその音楽大学の准教授で作曲が専門でした。
内容も20世紀の音楽から現代の音楽を志向するものを考えるという、
興味深いものであったのですが、音楽史を学生相手に説明しているような、
専門用語をマメに説明せず大雑把にすっ飛ばしていく内容で、
説明しづらい箇所は語尾がはっきり聞き取れないようなものでした。
おまけに配布されたレジュメの半分しか説明できず時間切れという、
今時こんなお粗末な講演があるのかと目を疑いました。

このような講演は現代の音楽の聴き方を示すレクチャーとして、
とても有効なものであるにも関わらず肝心の21世紀の音楽が説明されず仕舞い。
結局現代音楽の理解には繋がらないと感じられました。
また、人によって感じ方はそれぞれですが、
その講師は12音技法については難解であるという位置付けをしていましたから、
講師の考えがそもそも先進的ではないこともわかりました。

現在12音技法の曲を進んで演奏する演奏家の数は本当に少ないのは確かです。
音楽史的な意味と作曲としての意味がある時、あるいは仕事でなければ、
演奏されづらいものであることは確かだと感じます。
純粋に12音技法による楽曲の演奏は大学院でも本当に少ないと思います。

全体を通じて感じたことは、自分が知っている1990年頃の音楽史と、
この講師が説明しようとしたことはほぼ同じであるということです。
四半世紀の間、なぜ音楽史の大きな発展はなかったのかということ、
それは今の時代や社会に理由がありそうです。





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最終更新日  2019.01.01 00:59:59
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