存生記

存生記

2006年06月21日
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 ワールドカップのせいで忙しさが倍加した気がする。深夜まで見て寝て、早起きして録画した試合を見ると約90分。映画一本の時間だ。一日の通常のスケジュールに映画三本ほどの時間が加わることになる。忙しくなるわけだ。忙しくなれば、細かなミスも増える。例によって、あれこれの用事を忘れたりして困ったものである。そういえば、先日の日記でも「神父」と書いているが、プロテスタントだったから「牧師」と書くべきであった。プロテスタントでは「ミサ」ではなく「礼拝」、「聖母マリア」ではなく「マリア」と呼ぶ違いがあるという話をしたところなのに、日記ではミスをしている。

 サッカーというのは、22人がボールをやりとりするシンプルなゲームである。そこに主審などの審判、監督や控えの選手、観衆が加わってスペクタクルを構成する。ボールがあっちにいったりこっちにいったりした後で、ゴールが決まる。〇対〇で決まらないこともあるほどだから、ゴールが決まる率は低い。今大会で使われているボールはシュートしやすいボールのようで、ゴールキーパーから苦情が出ているが、それでもゴール率は野球の得点などと比べると低い。だからこそ価値があるともいえるし、ドラマティックでもある。あるいは、大差がついてしまうと時間的にも実力的にも大逆転がないともいえる。ゴール場面だけ見たければ、スポーツニュースを見ればいい。でもそれでは推理小説の結末だけチェックするような味気なさがある。

 天候ややる気、組み合わせなどのさまざまな要素が勝負を演出する。「運」や「流れ」も関係する。これが実に不思議で、前半は劣勢だったのが後半になるととたんに優勢になったりする。監督たちは「流れ」をたぐりよせようと選手を替えたり、檄を飛ばしたりと工夫をこらす。この間のイングランドとスウェーデンのゲームなどは、スウェーデンが粘って二度も追いついて引き分けに持ちこんでイングランドに対するスウェーデンの不敗神話をみせつけた。実力が拮抗しているのにイングランドは、なぜか40年近くスウェーデンに勝っていない。スウェーデン人のエリクソン監督がイングランドを率いても、このジンクスを打ち破れなかった。

 書店には「幸運を呼ぶ笑顔」などといったハウトゥー本が並んでいる。誰もが幸運をも求めている。そこになにか法則があるのではないか、うまくすればこちらに引き込むことが可能ではないかという願望がこうした本が売れる背景になっている。実際には、日銀の福井総裁のようにインサイダーじみた情報でも握っていないと、大儲けすることはできないわけだが。笑顔をバカにすることはできないが、現実には笑顔ぐらいでは幸運に恵まれることはない。好感を与えようとしたら笑顔ぐらいはあたりまえの配慮なので、それだけでは競争から抜け出る決定力にはならない。名監督や名選手が経営術や人生訓を説いた本が売れるのは、彼らがありきたりな処世術ではなく「運」や「流れ」をトレーニングに裏打ちされた勘や判断力でつかむことができるからである。ちょっと運がいいだけではトータルな成績は残せない。運が悪いときにもそれなりの構えでしのぐ術をもっていなければ、大記録や好記録は残せない。

映像としては、サッカーは緩急をおりまぜながらボールがテレビ画面上をいったりきたりするだけではあるが、複雑にして迫真のドラマが展開されている。「運」という「流れ」を引っ張り合うドラマを見ることによって、「運」の不思議さを感得することになるわけだが、だとすると、圧倒的強さを誇るブラジルが実力のままに優勝してしまうのではなく、「運」の不思議さから別のチームが優勝してしまう展開こそが一番盛り上がるだろうし、個人的にも一番見てみたい試合である。





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最終更新日  2006年06月21日 17時20分33秒


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