存生記

存生記

2006年06月23日
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「プロデューサーズ」(2005)を池袋で見た。1968年のメル・ブルックス監督のコメディがブロードウェイで芝居になって、また映画化された。二時間以上の上映時間はまったく長く感じない。出資金をつのり、史上最低のミュージカルを上演することで一儲けしようとするプロデューサーズ。ある日、会計士と帳簿を調べているときにヒットしないほうが儲かるというカラクリに気付いたのである。最低の脚本とスタッフを調達すべく奔走する二人。ヒトラーを崇拝する劇作家の作品をゲイたちが明るく楽しく上演する。歌って踊れるヒトラーがナチの隊員たちと軽快なダンスを披露する。唖然とし、憤然とどよめく客達も次第に底抜けに明るいヒトラーとその仲間たちに引きこまれてゆく。

 ヒットしないように作れば作るほどヒットしてしまうというストーリーは、コメディのお約束の展開で想像がつくものだが、芸達者たちが磨き抜かれた演技を披露するのでまったく退屈しない。ユマ・サーマンが演じるちょっと頭の足らないスウェーデン美人も嫌味なくはまっている。プロデューサーズの一人が子供のころから愛用している毛布の切れ端がないとパニックを起こしてしまうというのも微笑ましい。ネイサン・レイン演じるマックスは、小太りのジャック・シラクというか、売れないみのもんたというか、胡散臭いけど憎めない陽気なキャラクターで画面を明るくしてくれる。裁判所のサンバや刑務所でのミュージカル「愛の囚人」の稽古、老婦人たちのダンスなど、ヒトラーネタ以外も盛りだくさんで楽しめる。

 舞台関係者が演技をかついでGood luckと言わずにbreak a legと言う習慣もネタにしているが、その由来は諸説あるようだ。リンカーンを暗殺した俳優が逃亡後に足を折ったからというのや、ドイツ演劇界の風習がアメリカに伝播したという説もあるそうである。公式サイトをみると、いろいろ小ネタを仕込んであったことがわかるが、そうとうブロードウェイの芝居に詳しくないとわからないものまで含まれている。最近の映画は、ネットと連動して帰宅してからも楽しめるものになっているようだ。エンディングの歌で『我が闘争』はアマゾン・ドット・コムでも買えるよ、と紹介されていたが、サイトにはご丁寧にリンクまで貼られていた。この映画を見た後、『我が闘争』を読んだらきっとあれこれ思い出して笑えるに違いない。

 サッカー競技場ではブラジル人たちが華麗なタップを披露するなかで、日本人たちはおろおろと右往左往して疲労困憊した姿をさらしたまま、舞台を去ることになった。梅雨の湿気で鬱陶しいなかで、ミュージカル映画は暑気払いにうってつけだと言えるだろう。
producers





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最終更新日  2006年06月24日 00時24分13秒


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