存生記

存生記

2009年11月12日
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「アンヴィル 夢を諦めきれない男たち」を吉祥寺で見る。売れないロックバンドが30年活動つづけて皆おっさんになってしまった。それでもロックしているというドキュメンタリー。

80年代のハードロックやヘヴィメタルのバンドの映像が流れる。知っているバンドばかりだ。十代の頃、よく聴いた。そのなかにアンヴィルがいたとは知らなかった。少なくともレコードを買ったことはなかった。それから何十年もたつ間、彼らはアルバイトで食いつなぎながらヨーロッパをツアーし、アルバムを制作し続けた。売れなくてもそれなりの家に住み、家族に囲まれ、人間的な生活をしているのは、さすがカナダというべきか。日本だったらもっと悲惨だろう。

ヨーロッパのオーディエンスはマッチョな男たちが多い。連中が集まる地下の酒場みたいなところで演奏している。ギャラの支払いでもめるあたりが生々しい。日本のライヴ映像も流れるが、小ぎれいな観客が多い。体臭が臭ってきそうなまがまがしさはない。日本では肉食系は矢沢永吉のコンサートに行くのだろうか。ヤザワが60歳を越えてもロックするのとアンヴィルのような活動歴の長さだけが取り柄のようなバンドが続ける意味はおのずと異なる。なにしろアルバムを制作する費用もなかなか捻出できないのだ。

継続は力なり。一つのことを10年頑張っていれば、一目おかれるようになるというが、彼らは30年間、ドキュメンタリー映画になるほど、ロックし続けた。情けないほど客も入らず、メジャーレーベルの売り込みも却下されたが、今回は自分たちのストーリーや私生活もカメラにさらして知名度を高め、音楽に付加価値をつけた。映画がヒットして、最近はミシェル・ゴンドリーの新作映画にも出ているようだし、状況はよくなったようだ。

それほど音楽がガンガン流れる映画ではないので、彼らの音楽の魅力というのはよくわからない。少なくともあまりうまいとは思えなかった。だが喜怒哀楽の激しいボーカルに愛嬌があって憎めない。彼のキャラクターのおかげで、このドキュメンタリーは成功している。

久しぶりに出演した日本のロックフェスティバルで大観衆を前に演奏して晴れやかに終わる。この手の音楽を聴きに集まる日本の若者がこんなにたくさんいるというのは嬉しいものだ。観客を熱狂させるために、貧乏を余儀なくされたおっさんたちが力一杯演奏している。帰国したらまたバイト生活に戻っていく。「糞みたいな仕事」に耐えられるのは、音楽があるからだ。うだつの上がらないおっさんは、音楽の神によって元気に生かされている。性懲りもなくいっちょやったろかと何か企んでいる。夢なんて月並みな言葉で未来をイメージしてしまうから、目先の安全に飛びついて、目指していたものは蜃気楼となって消え去るのだろう。





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最終更新日  2009年11月13日 10時29分48秒


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