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毘夷零

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2006.09.08
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カテゴリ: 歌姫
それからは時間との戦いだった。
やる事があり過ぎていくら時間があっても足りなかった。
そして気がつけば、ライブ当日になっていた。
やり残した事は、まだあるが出来る限りの準備はやったつもりだった。
後は自分達の力を100%出し切るだけだ。
泣いても笑っても幕は開いた。

まずはメリーのエネルギッシュなステージで始まった。
客席は始まったばかりなのに、もう総立ちになっていた。
今更ながらメリーの歌は凄いエネルギーに満ち溢れていると感じた。
本当にメリーはロボットなのかと疑いたくなった。
私も思わずメリーの歌に酔ってしまった。
こんな風にメリーを楽しめたのは始めてだった。
気がつくとメリーの歌に合わせてリズムを取っていた。

「マリーさん・・そろそろお願いします。」
スタッフが出番を告げてきた。
いよいよ私のステージだ。
不思議と緊張はしていなかった。
軽く深呼吸をして、私はステージへ向かった。

自分で言うのも変だが、メリーの歌声と私の歌声が合わさって見事なハーモニーを生んだ。
観客の声援が心地よかった。
今、ステージに立っている自分に感動していた。
こうして、私とメリーのステージは、あっという間に過ぎていった。
そしてラストナンバーになった。

ラストは、メリーと私のディオでバラードを歌う事になっていた。
ステージの袖で私とメリーが出待ちをしていた。
そこで私は菜緒子を呼んだ。
そして
「私の歌声の補完をさせる装置を止めてくれる。」
と菜緒子に頼んだ。
「え?!」
菜緒子は私の言った事に吃驚していた。
「最後は本当の私の声で歌いたいの。」
私は機械で作られた声じゃなく、本当の自分の声で歌いたくなっていた。
望む望まないに関わらず、今の私の声はこうなのだから・・・・
そんな自分を否定したくなかった。
もう・・自分の状況から逃げるのはやめようと思っていた。
菜緒子はそんな気持ちを理解してくれたかどうか分からないが
「わかったわ。」
と一言言って、メリーの発声装置停止させてくれた。
そしてラストナンバーを歌う為にメリーと一緒にステージに向かった。

ステージの真ん中に立つと、さっきとは違って凄く緊張していた。
私はマイクを強く握って
「今日はメリー&マリーのライブに来てくれてありがとう!!」
そう言った。
その声は普段の、かすれた声だった。
客席からざわめきが聞こえた。
「ごめんなさい。さっきまでの歌声は偽者なの。
 私は事故にあって手術の影響で声が出なくなりました。」
さらにざわめきが多くなってきた。
「ショックだったし自暴自棄にもなりました。
 だって大好きな歌が歌えなくなったんだから・・・・
 で・・私は私の身代わりにメリーを歌わせました。」
今度は逆に客席は静まり返った。
私は軽く息を吸って
「メリーのステージを見続けていて、私は歌を歌いたかった。
 でもこんな声だから無理だとあきらめてました。
 そんな私に親友は魔法をかけてくれました。
 また元の歌声で歌える魔法を・・・・ありがとう!菜緒子・・・」
私はステージの袖に居る菜緒子に向かって言った。
菜緒子は少し照れたようだった。
「そしてメリーもありがとう!!」
そうメリーに言った。
しかしメリーは何の反応も示さなかった。
「でも・・・魔法は必ず解けてしまうもの。
 もう魔法は解けて元の声に戻ってしまいました。
 だけど、私は良かったと思ってる。
 だって私は今の自分も大好きだから!だから今の私のこの声も好き。
 こんな声ですけど、本当の今の私の歌を聴いてください!!」
私は客席に向かって頭を下げた。
するとバンドが演奏を始めてくれた。
菜緒子に感謝し、あの女の子に感謝し、そしてメリーに感謝しながら
その気持ちを込めて精一杯歌を歌いました。

歌い終わると観客が静まり返っていた。
やっぱり・・・こんな声じゃ・・・
そう思いかけた瞬間、もの凄い拍手が沸き起こりました。
スタンディングオベーションが起きた。
私とメリーはその歓声に包まれていた。
「良かった!!」
「頑張って!!」
色んな声援が聞こえてきた。
私はこんなにも素晴らしいファンに恵まれていたのかと改めて感じて
涙がこぼれてきた。
メリーを見ると、彼女も感動しているような気がした。
そんな事菜緒子に言ったらバカにされそうだが、そう私は感じた。
「メリーやったね!!」
そう言ってメリーを抱きしめた。
するとメリーは私の方へ倒れてきた。
やばっ・・・バッテリー切れだ・・・
私は慌ててメリーを抱えてステージを降りた。

それから私は・・・と言うか私たちは引っ張りダコになってしまった。
結局、私は最後のステージだと思っていたのに、私の歌を希望するファンが殺到した。
メリー&マリーのステージをまたやって欲しいと言う要望が多すぎて、
やめるにやめられなくなってしまった。
もうグダグダと考えることをやめて素直な気持ちで歌を歌っていこうと決めた。

そして私たちはステージの準備に追われる日々を過ごすことになった。


                    Fin







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Last updated  2006.09.08 19:12:39
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