人とロボットの物語

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毘夷零

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2006.09.20
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カテゴリ: 機械仕掛けの天使
「次は鈴木さんか・・・」
思わずつぶやいてしまった。
それに対して助手席の相棒は返事が無かった、
当然、返事が来るとは思ってはいなかったが、なんとなく拍子抜けだった。
俺は訪問介護サービスの仕事をしている。
そして相棒は人間と言っても疑われないくらい、そっくりな介護ロボットだ。
介護サービスの仕事は過酷である。
こちらは良かれと思ってやっている事の対して、相手は感謝してくれる事は以外に少なかった。
別に感謝されたいと思って、この仕事をやっている訳ではないが
やはり言われ無き罵倒をされたりすると、良い気持ちはしない。
どんなに酷い事言われても、笑顔を絶やさずに仕事をしなければならない。
ストレスはかなり溜まる。
何人も同僚だった奴が辞めて行った。
だから、いつも人手不足だった。
その人手不足解消案として、会社は介護ロボットを導入する事を検討した。
第1号のテストケースとして俺の相棒がロボットになった。
俺は自分が優秀な社員だとは思っていない。
なぜなら、サービスしているお年寄りとは、極力距離を置いて接している。
相手の言っている事は殆ど聞かず、契約内容の仕事だけをこなしていた。
その為に、売上としては良かった。
だから会社としては優秀だと思っているらしいので、今回のテストケースに
選ばれたのだろう。
ただ、自分の仕事の姿勢は介護サービスとしたらどうなのだろうか?
最近、ふとそんな事を考えるようになっていた。
「そろそろ鈴木さんのお宅です。」
相棒がGPSで位置を確認したようだ。
「分かってるよ。」
俺は無愛想に答えた。
そして車を鈴木さんの駐車場に止めた。
鈴木さんは一人暮らしだった。
軽い認知症ではあったが、普通接している分には、そんな事感じさせなかった。
詳しい事情は分からないが、家族は居ないようだ。
俺はいつものように笑顔で
「鈴木さん・・・お元気ですか?」
仕事モードで挨拶した。
鈴木さんは俺の顔を見て、軽く会釈した。
「今日は、新しいメンバーを連れてきました。」
俺はそう言って相棒を呼んだ。
「よろしくお願いいたします。」
相棒が挨拶すると
「マイコぉ!!」
突然、鈴木さんが立ち上がり叫んだ。
「帰ってきてくれたんだ。良かった、良かった・・・」
鈴木さんは相棒の手を握り泣き出した。
俺には何が起きたのか理解できなかった。






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Last updated  2006.09.20 18:56:12
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