#1,2再放送予定
#1
11/3(火・祝)深夜3:45
12/7(月)深夜0:30
#2
11/4(水)午前4:30
12/7(月)深夜1:20
いずれもWOWOWプライム
#3以降の放送予定
#3
10/29(木)深夜0:00
11/4(水)午前5:20
#4
10/29(木)深夜0:50
11/4(水)午前6:10
#5
11/5(木)深夜0:00
12/7(月)深夜3:50
#6
11/5(木)深夜0:50
12/8(火)深夜3:00
以降は→ https://www.wowow.co.jp/detail/171263?utm_source=yahoo&utm_medium=cpc&utm_campaign=2gether_202010&prefix=w&yclid=YSS.1001036882.EAIaIQobChMIoYfOuf7V7AIVi9eWCh0GnwTlEAAYASAAEgK8U_D_BwE#
いずれもWOWOWプライム
「最近、ツイッターのTL(タイムライン)にアジア系イケメンの画像が増えた」「知り合いがなぜかタイ語のツイートを大量にRTしている」「いつも夜更かしの友人が金曜深夜だけ音信不通」
そんな人も少なくないのではないでしょうか。原因はいま日本で、そして世界で、多くの人が熱狂するタイのBL実写ドラマ(タイBL)です。放映中の2gether The Seriesをはじめ、タイで作られ世界中で視聴できる数々の作品が人びとを魅了し、Stay Homeに一役買っています。
BL人気に注目したタイのテレビ局の「本気」
「実写BL? どうせ若いイケメンがいちゃいちゃしてるだけでしょ」と思ったあなた、大間違いです。若いイケメンは確かにいちゃいちゃしており、それはとても素敵なことなのですが、作品の完成度の高さはおそらく想像をはるかに超えています。
これまでBL実写ドラマやBLそのものにあまり関心のなかった層からも高い評価を得ているのが特徴で、日本でも『朝日新聞』が昨年末、アジアにおけるタイBLの爆発的な人気をいち早く報じました(*1) 。
日本で生まれたBLマンガや小説は海外でも人気を博し、タイでも多くの作品がつくられてきました。その人気に注目したのがタイのテレビ局。先述の記事にある通り、もともとテレビ離れが進むタイの若者たちをひきつけようとつくられた作品がヒットし、いまタイでは年に20本ほどのBLドラマが公開されています。
とりわけ2gether The SeriesやSOTUS The Seriesなどの人気作は、タイでの放送に加えYouTubeの公式チャンネルで英語字幕付きで全世界へ配信されるため(全編無料)、その人気はアジアを中心に世界へと広がることになりました。
おそらく、YouTubeでの公式配信はさらなる海外マーケット展開を見越した一種の文化輸出戦略でもあるのでしょう(各地のファンの手により多言語の字幕が付けられている場合も多く、熱気を実感できます。2gether The Seriesなど、日本のファンのボランティアによる丁寧な日本語字幕が付けられているものもたくさんあります)。
特に今年2月から放映が始まった2gether The Seriesの人気はすさまじく、毎週金曜夜にYouTube版が公式配信されると、再生数は瞬く間に数百万回に達します。先述の記事のインタビューでドラマプロデューサーのジャルポーン・カントーンオップクンさんは、「タイではもう、禁断でもサブカルでもなく、メインストリーム。韓国がポップ文化の世界的発信地になったように、これからタイはBLドラマで世界の中心になる」と語っていますが、作品の質の高さがこの言葉の信憑性を裏付けています。
日本でのブームのきっかけはあるツイート
日本での人気の火付け役の一つとなったのは、3月下旬あっという間に数万回RTされたあるバズツイートでした。タイBL4作品を紹介する魅力的な文章に惹かれ、たくさんの人が軽い気持ちで視聴を始め、ドはまりしました(私もその一人です)。
一度はまると抜け出すことができない世界は「沼」と呼ばれますが、年齢層や性別を問わず多くの人がタイ沼の住人となり、沼の外には伝わらない暗号のようなツイートをくり返し、タイ語の入門テキストをAmazonで在庫切れにするほどの事態を引き起こしています。
私は日本のBL作品は長年愛読してきたものの、タイBLについてはまだいくつかのシリーズしか視聴していないにわかファンに過ぎませんが、そのレベルの高さに圧倒され続けています。練り上げられた脚本、絶妙な表情で魅せる俳優陣の演技。物語のテンポがよく、飽きない作りで、「タイBLは1日2時間まで」などと決めておかないといつまでも観続けてしまい要注意です。
細部の演出も凝っているため、視聴者は安心してフィクションの世界に耽溺することができます。しっかりお金と時間、そして情熱をかけて大切につくられたことが分かる作品ばかりなのです。
この春、私の職場もコロナ禍への対応のためここ数年になく多忙な日々でしたが、激務でヘロヘロになる私を支えてくれたのがタイBLでした。長期戦を強いられる中、上質のエンターテインメントによる気分転換、仕事やコロナのことを忘れられる一時は本当に貴重です。仕事以外の時間はほぼ全て、タイBLを観るか、親しい友人とタイBLについて語るかに費やしました(研究者仲間をふくめ、実にたくさんの友人が同時期にタイBLにはまりました)。
タイBLが描く「受容と変容の物語」
今後おそらく、日本でもタイBLの人気とマーケットは急速に広がることでしょう。現時点の私はまだ沼の入り口におり、本格的な論考を書ける域には達していません。ただ、この1か月間をタイBLとともに過ごした1人のゲイ男性として、そこで繰り広げられる「受容と変容の物語」について、新鮮な感動とともに書き留めておきたいと思います。
タイBL作品では、一組あるいは複数の男性同士の恋愛が緻密に描かれます(サブプロットとして男女間の恋愛が描かれることもあります)。恋によって人が素直に、大胆になったり、あるいは不器用になったりする、そんな恋愛の機微が脚本の、そして俳優たちの熱演により紡がれていきます。
しかしタイBLが描くのは、恋愛する当事者たちの心理だけではありません。彼らの周りにいる友人たちや家族、あるいは会社の同僚といった人たちが、男性同士の恋愛をどう受け止め、その受容を通じてどう変化していくかが、とても丁寧に描かれるのです。
ネタバレにならない程度で書くと、2gether The Seriesではサラワットとタインという主役2名のそれぞれの男友達が、恋愛を見守り、2人の背中を押す様子がコミカルにあるいはシリアスに描かれます。
日本版DVDも発売されたLove By Chanceでは主役のエーがおくてなため、同室のポンドがピートとのキューピッド役を務めます。自信を持てないピートを励ます、チャエイムという女性の存在もとても魅力的です。SOTUS The Seriesのシーズン2は、まさにこの「受容と変容の物語」がメインテーマとなり、感動的なクライマックスに繋がります(詳しく書けないのが残念です。ぜひ本編をご覧ください)。
社会に残る同性愛への差別や偏見について触れながらも、周囲の登場人物たちが男性同士の恋を見守り、応援し、祝福する。それだけではなく、周囲の人びともまた、2人の恋愛を見守るプロセスを通じて、少しずつ変化していくのです。
YouTubeを通して世界中のファンが主人公たちを応援することに感動
私たち日本の――そして多くの国の――ゲイ男性にとって、「自分たちの恋愛を応援してくれる人」は、とても心強い存在です。
恋愛は、2人の閉じられた関係とは限りません。自分たちの関係を認め、話を聞いてくれる周りの人びとの存在が必要な場合も多くあります。しかし同性愛への偏見が残る社会では、男女間の恋愛なら当たり前にできるようなこと――友達に相談したり、愚痴を言ったり、のろけたり――ができないケースも少なくないのです。相手が同性であるというだけで周囲から承認されない寂しさ、つらさを、タイBLは優しく癒してくれます。
2人の恋を応援するのは劇中人物ばかりではありません。TVと公式YouTubeを通じて2人の恋は世界の人びとに見守られ、応援され、祝福されます。2gether The Seriesの最新話がYouTubeで配信された日は、各国の言葉で2人の恋をことほぐツイートが溢れます。これはマンガや小説とは異なり、全世界でほぼ同時に視聴し、感想を述べることができるというメディアの特性による現象でもあります。
私はタイBLファンのゲイ男性として、この「受容の物語」に参加すると同時に、世界中の人びとが男性同士の恋愛を応援する様子に励まされます。フィクションの中だけではなく現実世界でも、いつか私たちゲイ男性の恋を、たくさんの人が当たり前のように見守り、応援し、祝福してくれる日が来るのではないか。私たちの世代のゲイ男性が若かった時代には難しかったことが、次の世代の人たちにはできるのではないか。そんな風に社会が変容していく可能性を、そこに見るのです。
BLとゲイ男性の架け橋に
日本では、ゲイ男性の立場から「BLはゲイ差別ではないか」という問題提起がなされるなど、BLとゲイ男性が緊張関係に置かれることもあります。逆に、BLを愛読し、BLに励まされているゲイ男性も少なくありません(この辺りの詳細は7月に有斐閣より刊行予定の『BLの教科書』所収の拙稿「ゲイ男性はBLをどう読んできたか」をご覧ください)。
タイにおいてもBLとゲイ男性の関係は時に敵対することがあるものの、本質としては両者は対話的であり、BL人気がタイ社会における「現実上の同性愛に対する寛容性の向上に貢献している」という指摘もあります(*2) 。
BLは女性たちが紡ぎ、育ててきた文化です。そしてBL研究者の堀あきこさんや溝口彰子さんの論考、あるいは昨年出版された『BLが開く扉』で論じられているとおり、近年のBLにはホモフォビック(同性愛嫌悪的)な現実社会を変えていけるような、可能性の光が見られます。その光はタイのBL実写ドラマにも確かに宿っており、それが作品をさらに輝かせているように私には思えるのです。
小説やマンガ以上に多くの受け手に開かれたメディアであるTVやYouTubeを通じて配信される分、その影響力はより一層の広がりを持つかもしれません。女性同士の恋愛や、あるいは他者に恋愛感情や性的な気持ちを抱かない人もふくめ、さまざまなマイノリティを尊重することにも繋がってほしいと願っています。
「2gether The Series」は伏線の張り方がとにかく素晴らしい
もちろん、社会を変える可能性といった難しいことを考えなくても、タイBLは素晴らしいひと時を私たち視聴者にもたらしてくれます。まずは現在放映中の2gether The Seriesを第1話からご覧いただき、5月中旬の最終回をリアルタイムで観てほしいと思います。
この作品は特に伏線の張られ方が見事で、毎週新しいエピソードが流れるたびに「あああ、あれ伏線だったのか……!」と以前のエピソードを再視聴することとなり、そこで新たな感動に震えているうちにあっという間に次の週が訪れます。公式配信されるメイキング映像(Behind The Scenes)や、もちろん他の作品に手を出すこともできます。
気づくとあなたはサラワットとタインのことを、あるいはコングポップとアーティット先輩のことを、あるいは個性溢れる脇役陣のことを、考えるようになっているはずです。
外に遊びに行けなくてもタイBLの世界を訪れれば、ちょっと他では得られない種類の潤いで心を満たすことができます。今年のGWは私たちと一緒に、タイ沼で過ごしませんか。
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