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2026.04.03
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【熊本・鹿児島】地図を持たない気ままな旅 <<その2:球磨川・人吉編>>
から続く

そこから少し走ると、大口市への案内板がひょいと目に飛び込んできたにゃ。
まるで「こっちに来るにゃ」と呼ばれているみたいで、そのまま国道267号線へと進路を取るにゃ。

山道に入って、木地屋町を通過する頃になると、空気がぐっと素朴な匂いに変わるにゃ。
そしてコーナーをひとつ、またひとつと曲がるたびに、不思議な光景が目に入ってくるにゃ。
コーナーの途中で、きじ車たちが「こんにちわ」「こんにちわ」って話しかけてくるみたいに並んでいるにゃ。

思わずバイクを止めて見てみると、この土地の伝統玩具であるきじ車を交通安全のお守りみたいに飾っているらしいにゃ。
ひとつひとつ表情が違っていて、空に向かって叫んでいる子、餌をついばんでいる子、じっとこちらを見つめている子と、まるで小さな物語がコーナーごとに転がっているにゃ。
中にはなぜかトトロまで紛れ込んでいて、「きみ、ここで何してるにゃ」って思わず笑ってしまったにゃ。


※AIさんが描いた、路肩で見つけた「キジ車」

きじ車は、九州でも球磨川と筑後川に挟まれた地域に伝わる素朴な木のおもちゃにゃ。
もともとは子どもたちの遊び道具だったけど、やがてお土産として作られるようになって、色もついて小さくなっていったらしいにゃ。
だから道端に置かれているあの大きめのきじ車たちは、むしろ昔ながらの本来の姿に近いのかもしれないにゃ。
名前の由来も面白くて、「木地」と「雉」の二つの意味が重なっていると言われているにゃ。
木のぬくもりと、山の鳥の気配がひとつになったような存在にゃね。

そんなきじ車たちに見送られながら峠を越えていくと、今度は延々と続くコーナーの連続にゃ。
本来ならワインディングは楽しいはずなのに、この日はちょっと様子が違ったにゃ。

下り坂に入ると、思ったより速度が落ちないにゃ。
いや、体重が重いわけじゃないにゃ、きっとブレーキが優しすぎるだけにゃ。

キャー曲がんないにゃ。

コーナーの途中で無理やりバイクを起こして、もう一度ブレーキをぎゅっと握るにゃ。
さらに困ったときの奥の手、リアロックも発動にゃ。
ギュンギュンとタイヤが鳴きながら、もう一度体を預けて倒し込んでいくにゃ。
なんとかコーナーを抜けた瞬間、「生きてるにゃ…」って心の中でつぶやいたにゃ。

そんなギリギリのやり取りを何度も繰り返しているうちに、大口市に入る頃には心臓のバクバクもようやく落ち着いてきたにゃ。
頭の中では「ブレーキ強化するべきかにゃ」とか「軽量化できるかにゃ」とか、いろいろ考えがぐるぐる回っていたせいで、気づいたら大口市内をぐるりと一周してしまっていたにゃ。

峠の疲れを癒すために、三度目の休憩を羽月川の河川敷でとることにしたにゃ。
最初は周りの視線がちょっと気になりながらバイクを川岸へ移動させていくにゃ。
すると、たまたま小さな盛り上がりの頂点で止まってしまって、今度は立ちごけとの静かな戦いが始まるにゃ。
ぐらり、ぴたり、ぐらり、ぴたり…と、バイクとにらめっこしながら耐える時間が妙に長く感じたにゃ。

その後、鹿児島方面へと走り出して、宮之城あたりまで来ると、いくつもの魅力的な看板が現れるにゃ。
観音滝公園、竹林公園、そしてかぐや姫の里。
どれもこれも「ちょっと寄っていくにゃ?」って誘惑してくるにゃ。

でもこの日は地図もないし、どんな場所かもわからないにゃ。
泣く泣くその誘惑を振り切って先へ進むことにしたにゃ。

あとで調べてみると、竹林公園はぐんぐん伸びる竹をテーマにしたモニュメントが印象的な場所で、世界中の竹を集めた庭園が広がっているにゃ。
風が吹くたびに竹がさらさらと鳴って、まるで自然が奏でる音楽みたいな空間らしいにゃ。

かぐや姫の里は、「竹のまち」として知られる宮之城ならではの場所で、竹取物語の世界観を感じられる公園にゃ。
竹に囲まれた静かな空間で、昔話の中に入り込んだような気分になれるらしいにゃ。
心がすっと落ち着く、不思議な優しさを持った場所にゃね。

観音滝公園は、清流が大きな岩を貫くように流れ落ちる観音滝を中心に整備された自然公園にゃ。
水しぶきと緑が織りなす風景は迫力もあって、夏には涼を求めて訪れる人も多いらしいにゃ。
キャンプや川遊びも楽しめて、家族連れにも人気のスポットにゃ。


※AIさんが描いた「曽木の滝(東洋のナイアガラ)」のイメージ

そして大口市周辺も、実は静かな見どころがいくつもあるにゃ。
曽木の滝は「東洋のナイアガラ」とも呼ばれる豪快な滝で、水量の多い時期には圧倒される迫力になるにゃ。
曽木発電所遺構は、水位が下がる季節になると姿を現す幻想的な遺跡で、まるで時間に取り残された建物みたいに佇んでいるにゃ。
郡山八幡神社は歴史ある神社で、静かな空気に包まれていて、旅の途中で心を整えるにはぴったりの場所にゃ。

あのときは通り過ぎてしまったけど、こうして振り返ると寄り道しなかったことをちょっとだけ後悔するにゃ。
でもにゃ、その「知らなかった」っていう余白が、また次のツーリングの理由になる気もするにゃ。

道に誘われて、迷って、また進む。
そんな旅のリズムが、この日も心地よく続いていたにゃ。

海岸線に出た後は、串木野市内から西薩の工場地帯へ抜けて、そのまま海側をなぞるように走りながら、友人のいる川内へ向かうにゃ。
潮の匂いがほんのり混じった風が、ヘルメットの隙間からするりと入り込んできて、旅の温度がひと段階やさしく変わるにゃ。
金属の街から海の街へ、景色がゆっくりとほどけていく感じがして、それだけで心が軽くなるにゃ。

川内、いまの薩摩川内市の白浜あたりを走っていると、視界いっぱいに水平線が広がるにゃ。
写真に収めるとどこか平面的で、あとから見返すと「こんなもんかにゃ」と思ってしまうのに、その場で見ると胸の奥がじんわり騒ぐにゃ。
目の前の世界がゆるやかに丸く閉じているようで、不思議な安心感すらあるにゃ。

昔、天動説が当たり前だった頃の人たちの気持ちが、少しだけわかる気がするにゃ。
水平線はほんのり丸く見えて、その向こうに世界の果てがあって、大きな滝みたいに海が落ちていくと言われたら、たぶん信じてしまうにゃ。
ただただ、なだらかな曲線と、そこから湧き上がるように流れてくる雲。
それだけなのに、時間を忘れて見入ってしまうにゃ。

視線を手前に戻すと、緑の草花がそよ風に揺れているにゃ。
遠くからエンジン音が聞こえるのに、車の姿は見えないにゃ。
音だけが空間をすり抜けていく感じで、まるで世界が少しだけ広くなったみたいにゃ。

工事中の区間もあったけど、まるでセスナ機がそのまま滑走できそうな真っ直ぐな道が続いていて、アクセルを開けたくなる衝動と、景色を味わいたい気持ちがせめぎ合うにゃ。
これまで何度も来た川内とは違う顔を見せてくれて、「同じ場所でもこんなに変わるのかにゃ」と思わず感心してしまったにゃ。

泊めてもらう家に着いて荷物を降ろすと、そのまま温泉へ直行にゃ。
この街は温泉の宝庫で、薩摩川内市の市街地だけでも気軽に入れる公衆浴場が点在しているにゃ。
その中でも今日は、高城温泉へ向かうにゃ。


※AIさんが描いた「薩摩川内市内の温泉」....瓦版風に描いて頂きました。

西郷隆盛が湯治したことでも知られるこの温泉は、観光地というより「暮らしの中にある湯」って感じが強いにゃ。
源泉は約59℃とかなり熱めで、加水せずに自然のまま適温へと調整されているにゃ。
湯はほんのりとろみがあって肌にまとわりつくけど、不思議と刺激が少なくて、敏感な体でも安心して入れるにゃ。

蒸し風呂に入ると、源泉から立ち上る蒸気が体を包み込んで、じわじわと芯から温めてくるにゃ。
汗と一緒に疲れや余計なものが流れ出ていく感じで、体が軽くなっていくのがわかるにゃ。
外に出て川沿いの露天風呂へ向かうと、対岸には竹林が広がっていて、風に揺れる音が耳にやさしいにゃ。
温めて、冷やして、また温めて。
その繰り返しが、今日一日のツーリングの疲れをすっと溶かしてくれるにゃ。

薩摩川内には他にも魅力があるにゃ。
新田神社は深い森に囲まれた歴史ある神社で、静けさの中に力強さが宿っているにゃ。
また、鎧や甲冑を製作する工房も点在していて、職人たちが一つ一つ手作業で仕上げていく様子は、まるで時代をまたいでいるように感じるにゃ。
鉄の響きと革の匂い、そのすべてが重なって、武士の文化が今も息づいているにゃ。

夜は友人たちと宴会にゃ。
特別なことは何もないけど、笑い声が絶えない時間がいちばん贅沢だったりするにゃ。

<<つづく>>





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最終更新日  2026.04.04 09:49:38
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