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長い間闘病されていましたし、演奏活動もしていませんでした。いつこのときが来てもおかしくなかったし、覚悟もしていましたが遂に来てしまいました。 2月6日心不全で小澤征爾さんが亡くなりました。享年88歳。 小澤さんの業績をあげればきりがなく、私のような素人に彼の芸術を語る資格もないのですが、思い出話をひとつ。 クラシック音楽に目覚めたばかりの中学3年生のある日、学校の図書室で「僕の音楽武者修行」という本を見つけ、夢中になって読んだのが小澤征爾という指揮者を知るきっかけでした。以来、50年以上ずっと彼のファンであり、父と同世代であることもあって勝手ながら(音楽の)父と思っていました。私にとって小澤さんとは憧れでありアイドルであり目標でもありました。結局私自身は何も成し遂げることなくサラリーマン生活を終えてしまいましたが、仕事で苦しい時期に小澤さんの活躍ぶりを見ては自分を叱咤してきました。 かつてNHKの「100年インタビュー」という番組に出演した際、100年後の人たちにメッセージをと問われ小澤さんは「差別のない世界になっているだろうか」と答え、私は思わず涙しました。「世界のオザワ」と功なり名遂げた人がいまだに闘い続けているのは東洋人が西洋音楽をいかに表現するかといったこと以上に、西洋社会に根強くはびこる人種差別や偏見との闘いだったのです。その長く苦しい闘いこそが小澤さんの功績だと思います。その後に続く日本人の、いやアジアの演奏家たちが欧米で現在活躍していられるのも小澤さんという偉大なる先達のおかげであることは間違いありません。 音楽的なことはいずれまた書きますが、何よりもまず言いたかったのはこのことです。音楽家である以前に、日本人としてアジア人として人して素晴らしい、偉大なる巨星でした。 どうぞ安らかにお眠りください。長い間お疲れさまでした。そして、ありがとうございました。
2024年02月11日
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最近はすっかり涼しくなっていつの間にやら秋の気配ですね。しばらくぶりの更新です。 さて、今年のサイトウキネンフェスティバル松本ではついに小澤さんがお元気な姿で渾身の演奏を繰り広げたようです。(以下、朝日新聞デジタルより転載)松本市で開催中の「サイトウ・キネン・フェスティバル(SKF)松本」で、メーンプログラムのオーケストラ・コンサートが29日夜、キッセイ文化ホールで開かれた。ベルリオーズ「幻想交響曲」を指揮する総監督の小澤征爾さんが舞台に姿を現すと、観客から拍手が送られた。 SKFのオーケストラ・コンサートで小澤さんが指揮するのは4年ぶり。幻想交響曲は2010年にも演奏されたが、このとき小澤さんは腰痛で降板し、代役が指揮した。 同コンサートは31日、9月2日にも公演が予定されており、チケットは完売している。http://www.asahi.com/articles/ASG8Y41QJG8YUOOB008.html ファンとしてはこれほど待ち望んだ日はありません。幻想は小澤さんのオハコの曲、特にサイトウキネンオーケストラ(SKO)とは2007年に松本ライブ、2010年にニューヨークライブをそれぞれ録音しています。2007年盤の息詰まるような高揚感と迫真性、2010年盤ではさらにドラマティックな表情が加わり(しかもともに精緻なアンサンブルは相変わらず)、有名なミュンシュ盤をも超えたと確信しています。 今回の幻想では更なる高みを目指した演奏になっていると思われ、録音されていれば是非聞いてみたいものですね。 コンサートはあと2回あるようなので、全公演をお元気に乗り越えることができるよう、心からお祈り申し上げます。とは言うものの無理しないでほしいですね。今の小澤さんならかつてのシューリヒトのように目だけで指揮できるのですから。 来年はベルリオーズの「ベアトリスとベネディクト」という晩年の短いオペラ(といっても約100分ぐらいかかる)を上演するとか。本格的なプログラムへいよいよ取り組むようです。これも今から期待できそうですね。【楽天ブックスならいつでも送料無料】【もう1枚でポイント10倍】ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14 [ 小澤征爾 ]若き小澤さんの記念すべき幻想初録音(1966年12月)。トロント響はがんばってるけど、小澤さんの要求に応えきれていない感じがします。しかし解釈は根本的に変わってないことに驚きです。【楽天ブックスならいつでも送料無料】ベルリオーズ:幻想交響曲 ラヴェル:ボレロ 亡き王女のためのパヴァーヌ [ 小澤征爾 ]ボストン響の音楽監督に就任して最初に取り組んだのがベルリオーズでした。ミュンシュ先生の影響が残る名門オケに、音楽構造を明確に提示する(例えば低弦の動きを「うねり」とせず、はっきり弾かせるなど)小澤さんの指揮が見事な効果をあげています。私にとって長らく小澤さんの代表盤でした。1973年2月録音。【楽天ブックスならいつでも送料無料】ベルリオーズ:幻想交響曲/ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ [ 小澤征爾/サイトウ・キネン ]上記のSKOとの2007年9月録音。特に第4楽章のラストで聞かれるティンパニーの裏打ちの正確さに驚き、しかもこれがライブ録音ということにさらに驚きました。ベルリンフィルの名ティンパニスト、ゼーガスが加わってからSKOはより迫力が増したと思います。【送料無料】 Berlioz ベルリオーズ / 幻想交響曲 小澤征爾&サイトウ・キネン・オーケストラ(2010) 【SHM-CD】上記のSKOとの2010年12月録音。小澤さんを育てたアメリカへの恩返し公演とおそらく考えておられたのではないでしょうか。幻想に限らず、このニューヨークライブシリーズは何か特別な感情が支配しています。2007年盤より若干精緻さに欠けるものの熱気と劇性においては比類なく、古今東西最高の幻想と言って良いでしょう。
2014年08月30日
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続けての訃報で気が重くなってしまいます。 ヴァイオリニストの潮田益子さんが、5月28日、アメリカのマサチューセッツ州ケンブリッジで、白血病のため亡くなられました。71歳でした。1961年桐朋学園卒業後レニングラード音楽院に留学、1963年エリザベート国際コンクールに入賞。 1966年チャイコフスキー・コンクール第2位以来、世界中で演奏活動を続けていらっしゃいました。また、水戸室内管弦楽団、サイトウ・キネン・オーケストラの中心メンバーとしても活躍され、ボストンのニューイングランド音楽院教授として多くの後進を育てるなど教育活動にも力を入れておられました。 この経歴からもお分かりの通り、小澤さんとたいへん近しい方で、初期のサイトウキネンでは度々コンサートミストレスを勤められていました。例えばブラームスの交響曲第1番第2楽章のヴァイオリンソロや、ストラヴィンスキーの「ミューズを率いるアポロ」のソロは潮田さんです。水戸室内管のモーツァルト録音ではヴァイオリン協奏曲第5番のソリストでした。 協奏曲録音と言えば、1971年にまだ30代の小澤さんと20代の潮田さんが日本フィルとシベリウス、ブルッフを録音していました(EMI)。これは未聴ですが。 ともに早くから世界に出て演奏活動を続けてきた後輩であり同志であった潮田さんの訃報に、小澤さんもおそらく落胆されていることと推察されます。 あらためて、ご冥福をお祈りいたします。【送料無料】 Mozart モーツァルト / 交響曲第41番『ジュピター』、ヴァイオリン協奏曲第5番 小澤&水戸室内管、潮田益子(vn) 【SACD】現代風な切れよりは豊かに歌う、オールドスタイルなモーツァルト。潮田さんは常に真剣勝負を挑んでいるように聞こえます。【ポイント10倍】送料無料!!新品未開封【CD】イザイ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ全曲潮田益子 [FOCD-3284]これも未聴ですが、難曲に挑まれている姿勢が素晴しい。そしていつまでもお美しいです。【送料無料】シェーンベルク:浄夜 ストラヴィンスキー:ミューズの神を率いるアポロ [ 小澤征爾 ]サイトウキネン自慢の弦が楽しめる好アルバム。私の「無人島の一枚」と言ってもいいです。すばらしい!
2013年06月01日
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アンリ・デュティユーさん(フランスの作曲家)が、5月22日にパリで亡くなったそうです。97歳、大往生です。私がデュティユーの曲を聞いたのは結構遅くて、チョン・ミュンフン指揮のサンサーンス交響曲第3番のCDに併録されてた「メタボール」という作品でした。メシアン、ブーレーズとフランス現代作曲家には割と抵抗の少ない私ですが、なぜか聞かず嫌いという感じでした。聞いてみると実に美しい音響で、サンサーンスより聞いてしまいました。 さて、小澤さんも昔から付き合いがあり、小澤さんからの委嘱により作られ、ボストン響で初録音した「時の影」(1998年3月録音)や、2007年にサイトウ・キネン・フェスティバルで初演された「時の大時計」など、実際に手がけた作品も多い。メシアンとも違う独特の音響感覚(和声感覚?)がもたらす浮遊感が何とも心地よく、ゲンダイ音楽が嫌いな人でも意外と抵抗無く聞けるのではないでしょうか。 訃報に接し小澤さんからメッセージが出ていました。縁のあった方が亡くなるつらさが伝わって来ます。 心よりご冥福をお祈りするとともに、遅まきながら遺された作品を聞いていきたいと思います。【送料無料】デュティユー.時の影 [ 小澤征爾 ]30分に満たない収録には多いに疑問だけど、ボストン響の響きが美しい。【送料無料】小澤征爾/デュティユー:時の大時計このライブ直前にデュティユーが補筆したそうです。ジャケットはそのときの指示か?ルネ・フレミングも困った顔してる?(笑)これも短い曲で最後のトラックにフレミング、デュティユー、小澤さんのインタビューが録音されてます。
2013年05月26日
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また半年ばかり間が空いてしまいました。 その間に小澤さんは1年間療養に専念すると宣言し、一切のコンサート活動を止めておられます。そうは言っても音楽への情熱は止みがたく、教育活動は続けるとのこと。スイスの音楽アカデミーまで行かれるかどうかはわかりませんが、夏のサイトウキネンフェスティバルには顔を出すそうです。 サイトウキネンフェスではオネゲルの「火刑台のジャンヌダルク」を山田和樹指揮、カラヤンの長女イザベルがジャンヌ役で出演するそうです。この曲は小澤さんが若い頃からのレパートリーだし、師匠のお嬢さんが出るのですから是非小澤さんに振ってもらいたかったけど、まあそれも致し方ないでしょう。若い山田さんが小澤さんの薫陶を受け継いでくれればと想います。 こんなことを言っては不遜ですが、小澤さんは今後レコーディングを通じて音楽活動されてはいかがでしょう。先日NHKで水戸室内管との協演を見ましたが、1楽章ごとに疲労していく様子がわかります。確かにコンサートは演奏家にとって醍醐味ですが、今の小澤さんには体力的にも負担が大きいと思われます。 かつてブルノ・ワルターが晩年、コロンビア交響楽団とレコーディング活動をしたように、サイトウキネンオーケストラを母体とするレコーディングオーケストラを結成、1日1楽章ずつという贅沢なスケジュールなら、無理なくできるのではないでしょうか。 1ファンとしては少しでも今の小澤さんの音楽に触れたいという思いからですが、皆さんいかがでしょうか?
2012年07月03日
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1/25水戸室内管の倉敷公演、やはりキャンセルでした。主治医からのドクターストップです。おそらく22日もストップがかかっていたんじゃないでしょうか。でも天皇皇后両陛下ご臨席とあっては無理をしてでも出なくては、そんな想いがあったのだと思います。勝手な想像ですけど。 さて、これで水戸室内管の公演はすべて終わりました。初日の録音、映像は撮られているのかどうか。これからは1回1回の公演がすべて重要です。映像があれば是非見て聞いてみたいものですね。
2012年01月24日
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さて22日の水戸室内管の東京公演は天皇皇后両陛下をお迎えした、大事な公演でした。 小澤さんは19日の水戸定期のあと、体調を崩し20日の公演をキャンセルしました。それは22日が大事な公演であることがわかっていたためでしょう。しかも明日23日の足利公演は早々とキャンセルが発表されていることを考え合わせると、22日は何が何でも出るぞ、という小澤さんの並々ならぬ決意が感じられます。 本日の公演、私はもちろん行けなかったのですが、どうやらプログラムを変更して、小澤さんは後半のみ出たようです。<前半> ディベルティメント、交響曲第35番「ハフナー」・・・指揮者なし<後半> チェロ協奏曲(ハイドン) ・・・小澤さん 両陛下はもともと後半のみお出ましになる予定だったそうです。そこにハイドンをあえて持ってきたのは、小澤さんが将来有望な若者(宮田大)を聞かせたかったからに違いありません。1961年5月5日、バーンスタインはニューヨークフィルとの来日公演の舞台で、ある日本の若者に日本の現代音楽を振らせました。それが小澤さんだったのです(曲は黛敏郎の「饗宴」)。小澤さんにとってレニーは世の中に紹介してくれた大恩人だったのです。それと同じコトを小澤さんもやりたかったのです。 若者にチャンスを与えること、これは世界的ビッグネームになった小澤さんがやらなければならない最期の仕事のひとつと考えているのではないでしょうか。カラヤンも有能な若者と競演することでチャンスを与えてきました。ムターやキーシンもそうやって世界に羽ばたいていきました。 多くの人が小澤さんを非難するでしょう。せっかくの公演、やはり小澤さんのハフナーを聞きたかった、と。けれど大事な舞台で自分ひとりだけ喝采を浴びるのではなく、将来ある若者と協演し道を開かせる、小澤さんのこの気持ちをわかってあげましょう。 それにしてもこう考えると故・朝比奈隆御大は偉大でしたね。最後までお元気だった。大阪で公演する折、小澤さんは挨拶に伺っていたらしい。今生きておられたら、小澤さんに何と声をかけていたでしょうか。「小澤君、76なんてまだまだじゃよ。」 小澤さんが次に登場するのは、小澤征爾音楽塾のオペラ「蝶々婦人」の公演です。見守りましょう。
2012年01月22日
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やきもきさせますね、小澤さん。 1月19日、水戸芸術館において水戸室内管と久しぶりのコンサート復帰で、ついに再始動!と書きたかったのですが、翌20日は体調不良でキャンセルし公演は指揮者なしで行われたとか。 プログラムは以下のとおり。 モーツァルト ディベルティメント ニ長調K・136 ハイドン チェロ協奏曲第1番ハ長調 モーツァルト 交響曲第35番ニ長調「ハフナー」 はっきり言って、そんなに大変なプログラムとは思えないです。ディベルティメントもハイドンもオケにお任せしてもいいくらいだし、35番も力んで振るほどではないはず。 リハーサルでは大変調子が良かったそうですから、うれしくて調子にのって若い頃のようにからだ使い過ぎたんじゃないでしょうか。 今の小澤さんなら指一本、眼光だけでオケを動かせると思います。まあそうしないところが小澤さんらしいんですけどね。 さて、本日22日はサントリーホールで天皇皇后両陛下をお迎えした「天覧演奏会」のはず。果たしてコンサートは行われるのでしょうか。
2012年01月22日
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仕事が一段落するもからだを壊してしまい、いまだに体調が優れません。喉に痰がからまって寝てるときに息が詰まったりします。危険ですよね。 さて、最近小澤征爾さんが元気です。ファンとしてはうれしい限りです。まずはコンサート情報から。◎水戸室内管弦楽団 東京公演【日程・会場】2012年1月22日(日)18:30開場・19:00開演サントリーホール 大ホール【曲目】モーツァルト:ディヴェルティメント ニ長調 K.136(125a)ハイドン:チェロ協奏曲 第1番 ハ長調 Hob.VIIb-1 チェロ独奏:宮田 大モーツァルト:交響曲 第35番 ニ長調 K.385 「ハフナー」 ⇒お~ハフナーですかあ。録音されるのかなあ。まずは腕試しって感じですかねえ。ハイドンのチェロコンは故ロストロポーヴィチとよく演奏していました。昔、夏の音楽キャラバンでもやってましたね。◎小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトXI プッチーニ 歌劇「蝶々夫人」■一般発売日:'12/1/15[日]■日程:3/17[土]15:00 神奈川県民ホール 大ホール 3/21[水]18:30 愛知県芸術劇場 大ホール 3/24[土]15:00 滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール 大ホール3/25[日]15:00 神奈川・鎌倉芸術館 大ホール(かまくらプレミアム・オーケストラ・シリーズVol.18)3/28[水]18:30 東京文化会館 大ホール ⇒演出が浅利慶太となれば、一癖ありそうな感じですが、どうなりますか。乞うご期待。◎ベルリンフィル定期 6月22日Gustav Mahler Lieder eines fahrenden Gesellen Matthias Goerne(Baritone) Piotr Ilyich Tchaikovsky Symphony No. 5 in E minor ⇒ベルリンフィルのHPに上がってます。実現すればヨーロッパ復活公演になりますね。 あと公の場にも出ておられるようで、12月3日の恩師丸谷才一の文化勲章受章を祝う会にも顔を出してスピーチをしたみたいです。ユーモア溢れるスピーチは愛情の証でもあります。 このままの調子で上記1月の公演に元気なお姿を拝見できることを楽しみにしております。【20%OFF】[CD] 小澤征爾&水戸室内管弦楽団/小澤征爾 水戸室内管弦楽団モーツァルトシリーズ1 モーツァルト: 交響曲第40番K.550&協奏交響曲K.297B突然発売された水戸室内管とのモーツァルトシリーズの第1弾。物凄く濃密なアンサンブル、そして意外にも分厚い響きなモーツァルトです。遠くにカラヤンのモーツァルトが聞こえてくるようです。
2011年12月06日
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のろのろ台風は各地で被害をもたらしました。被害に遭われた皆様には謹んでお見舞い申し上げます。 関東圏は短時間に豪雨が降り、かと思うとかあっと陽が射したりと変わりやすい天気でした。とにかく蒸し暑くてたまらなかった。 ここは派手に鳴る曲をチョイス。小澤さんが若き才能を世界の舞台でフルに発揮し始めた頃の録音です(1967年7月18日録音)。Mussorgsky ムソルグスキー / ムソルグスキー:展覧会の絵、ブリテン:青少年のための管弦楽入門 小澤征爾&シカゴ交響楽団 輸入盤 【CD】 楽天ではCDですが、私の持っているのはビクターXRCDです。XRCDは初めて聞いたのですが音の鮮明さ、実在感は最新録音かと思われるほど(40年以上前の録音ですよ)。低音はぶりぶり鳴るし、高音はさすがにキレが若干悪いかな思うけど、良質なアナログ盤を聞いているような錯覚に陥ります。 さて肝心の演奏ですが、これはもうオケの機能性、個々人の力量の凄さに圧倒されます。惚れ惚れするような巧さと華やかさに終始ご機嫌になっちゃいました。 小澤さん32歳(正確には9月生まれなので31歳ですが)ながら、シカゴ響の機能を存分に使いブリリアントな響き、爽やかと言っていいぐらいの音色美、しかも音楽は常に前進し続け、実に堂々とした演奏です。この思い切りの良さが小澤さんの魅力ではないでしょうか。この盤がシカゴ響との本格的な初録音でした。 これならラヴィニア音楽祭を任される(64年から69年まで)のは納得です。【22%OFF】[CD] 小澤征爾(cond、ナレーション)/RCA Red Seal THE BEST 21 プロコフィエフ: ピーターと狼 サン=サーンス: 動物の謝肉祭 ブリテン: 青少年のための管弦楽入門 92年に「青少年のための管弦楽入門」を手兵ボストン響と再録音しています。全体にまろやかで豊麗な響きで、難しい部分もすらすらと弾いてしまうため、余裕がありさらりとした印象です。これはこれで大変な名演なのですが、己を信じて未来を切り開いていくぞという気迫と集中力が旧盤の魅力で決して劣るものではありません。 どちらも是非お聞きいただきたいです。
2011年09月05日
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本日は小澤征爾さん76歳の誕生日です。ここ最近はサイトウ・キネン・フェスティバル松本で誕生日を祝いながら、盛大に盛り上がっていました。 しかしながら今年、ご本人は入院中となってしまいました。 昨年のサイトウ・キネン・フェスティバルでは腰痛のせいでチャイコフスキーの弦楽セレナーデ第1楽章しか振れませんでした。ご本人は精一杯の誠意のつもりだったのでしょうが、ファンとしてはそれだけでもう十分、早く休んで欲しかった。その後再び入院、さすがの私ももう無理かと思ったら、12月のニューヨークで行われた催し物に3公演出て、「奇跡の復活」と絶賛されました。このときのブラームス交響曲第1番、幻想交響曲、戦争レクイエムはアルバムとして発売、涙無くしては聞けない演奏となっています。 小澤さんにしてみれば、自分を見出し、ここまで育ててくれたアメリカへの恩返しのつもりだったのでしょうね。でも無理を押して行った結果、また入院。 今年のサイトウ・キネン・フェスティバル松本はさすがに無理かなあと思っていたら、出演のアナウンスがホームページに載り、驚きました。ただオペラ1曲のみ、しかもバルトークの「青ひげ公の城」。1時間かかりません。まあ体調からすればこのぐらいから始めるのがちょうどいいのかな。 毎夏に行っていた「スイス国際音楽アカデミー」も、7月6日のパリでの特別公演(モーツァルトのディヴェルティメント、チャイコフスキーの弦楽セレナーデ)も終え(今から思えばこれも自分を見出してくれたフランスへのお礼だったのだろう)、順調にフェスティバルへの準備にとりかかっていました。 オペラ初日の8月21日ではNHKのニュースに取り上げられるほど注目を集め、まさに復活を印象づけました。私もたまたまテレビを見ていました。ほとんど体は動いてなく、ポイントで腕を振り下ろす指揮ぶりでしたが、オケはものすごい音を出していました。ただカーテンコールでの小澤さんの顔色は真っ白で、「これはもうだめかもしれない」とショックを受けました。 案の定、次の23日、25日は代役の指揮になりました。疲労と軽い肺炎との発表でしたが、相当悪いんじゃないかと気がかりでした。ところが27日の最終公演ではまたもや復活、これも小澤さんらしいケジメのつけ方かなと思いました。 このあと中国公演をするはずでしたが、こんな体調で行けるはずもなく、8月29日にはサイトウ・キネン・フェスティバルのホームページに小澤さんの降板告知とコメントが掲載されていました。 こうした流れで現在入院中の小澤さん、気になる病状は「嚥下障害」と「肺炎」だそうです。ご家族も心配されているでしょうが、長年の1ファンである私も心配しております。 順調な回復をお祈りしております。【新品CD】【5000円以上送料無料】奇跡のニューヨーク・ライヴ/小澤征爾/サイトウ・キネン・オ【UCCD.9802】[新品]不屈の精神とはこのことか。涙無くしては聞けません。
2011年09月01日
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このGWはいろいろなことが重なり考えさせられました。 GW始めに小澤サイトウキネンの2008年オペラ公演ヤナーチェクのオペラ「利口な女狐の物語」をNHK-BSで観ました。不思議なオペラです。あらすじはこちらをご覧ください。 女狐ビストロウシュカの物語のはずなんですが、第3幕始めであっけなく死んでしまいます。じゃあ森の番人かと言うと、これは狂言回しの役割のようです。つまりこのオペラの主人公は別のところにいるようなのです。 番人に捕まった女狐が鶏たちを煽動しようとアジったり、女狐に言い寄る雄狐が(当時の)現代女性になぞらえたり、女狐が撃たれるときに「狐だから撃たれるのか」と意味ありげな台詞が吐かれたり、あるいは校長が村一番の美女に恋したり、牧師が昔の恋を思い出したりと様々なエピソードが挿入されていますが、これらも本筋とは言えない。 最後の場面で番人が死んだはずの女狐そっくりの子狐を見つけ、蛙が「お前のことはじいさんから聞いている」と言われたときのうれしそうな懐かしそうな番人の表情、続いて森の多くの動物たちが現れオーケストラが力感溢れる音楽を奏でるとき、このオペラの主人公は「生命の繋がり」であることを知り、幕となるのでした。 小澤さんの明るく躍動感のある音楽は生命の輝きを叙情的に聞かせていて、ヤナーチェクとの相性の良さを感じました。特に森の番人が「俺は日没のこの時間が好きだ」というときのきらきらとした美しさと言ったら、例えようがありませんでした。 翌日、実家に帰り祖母を見舞いました。私は外孫なのですがどの内孫よりもかわいがってもらいました。祖母は寝たきりで惚けてしまって、娘の(つまり私の母)顔も覚えていません。私が行っても多分わからないだろうとのことでした。病室で祖母はテレビを観ていましたが、私を見るなりじっと目を離しません。父が耳元でわかるかと尋ねると「わかるよ」と何度も言ってくれました。骨と皮だけですっかり痩せてしまいましたがその瞳は赤ん坊のように無邪気にさえ思えました。細くなった手を取り「また来るからね」と言うとちょっと悲しそうな表情でずっと見ていました。 そのときふいに、自分は祖母から生命を受け継いでいるのだという考えが頭に浮かびました。ともすると独りで自分勝手に生きている気になっていましたが、自分もまた連鎖のなかのひとつなのだと。これはもちろん昨日見た「女狐」のせいです。受け継いだ生命をどうすべきなのか、自分勝手に使いきってしまっていいのか。 この日、会社の同僚が交通事故で亡くなったとの知らせがあり、急遽戻ることにしました。マラソン大会に出場中の事故でした。新人のとき同じ部署に配属され以来、ずっとお互いに気遣ってきました。たまに会社に戻ると声をかけてくれる優しい快男児でありました。 お通夜には多くの人が集まり、故人の交遊の広さ、人徳が偲ばれました。奥さんも一人息子も健気に参列者へ挨拶して回っていました。献花し最後に顔を見せてもらったとき、今にも起き上がって「よお」なんて声をかけてきそうで、思わず涙が出てしまいました。 息子は気丈に元気に振る舞っていました。みんな嘆き悲しんでいるので戸惑っていたのかもしれません。元同僚と話しているのを傍で聞きながら、友人は亡くなってしまいましたが、ここに確かに生命が受け継がれているんだなと思いました。すると少し気持ちが和らいだ気がしました。 それはあの森の番人のうれしいような懐かしいような表情であったかもしれません。 合掌。【送料無料】Janacek ヤナーチェク / 『利口な女狐の物語』全曲 ペリー演出、小澤征爾&サイトウ・キネン・オーケストラ、ベイラクダリアン、ケルシー、他(2008 ステレオ) 【DVD】動物たち、昆虫たちは着ぐるみで登場。でも内容は大人の寓話かも。音楽は素晴しい。
2011年05月04日
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東日本大震災で被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復興を祈願しております。 私はただの音楽バカなのでこんな程度のご挨拶しかできないことをお許しください。 直接の被害はなかったものの、首都圏の停電と交通の運休騒ぎで振り回された1週間でした。11日は帰宅出来ず、13日は電車が最寄り駅まで来ないので(休みたかったけど)電車の来てる駅まで1時間半かけて歩きました。お客は停電になったらシステムはどうするんだっと(停めるしかないだろ!)対応しなくてはならず。遅く帰宅してもコンビニにはパンも弁当もおにぎりも無く、首都圏ながらひもじい思いもしました。 そんな騒ぎからようやく音楽を聴ける状態になったのは幸せな事です。 何を聞くべきか。被害者の霊に捧げるためレクイエムとか、悲愴とか、マーラーとかいろいろ考えた挙げ句、これにしました。 ショスタコーヴィッチの第5番は「革命」なる渾名がついてますが、小澤さんは例によってそんな曲にまとわりつく物語に見向きもせず、ひたすら楽譜に、音楽そのものに集中しています。 音の美しさ、響きの豊麗さ、滑らかに歌い進む演奏に多くのヲタクどもは「中身がない」「奇麗ごと」などとほざいてますが、作品の美しい再現を目指す小澤さんの至芸を理解してない戯言にすぎません。 第1楽章は圧倒的迫力で開始します。それは憤怒のように聞こえます。でもどこかやるせない感じさえ与えます(これは全篇を覆う雰囲気です)。叙情的な部分での(フルートソロをはじめとする)柔らかな美しさはショスタコ演奏としては異例かも知れません。 第2楽章はスケルツォですが、諧謔性よりもどことなくいびつな踊り。ホルンが出てくる前のちょっとした間の取り方は盟友ロストロポーヴィチの同曲演奏をよく研究しています。でもスラヴァ盤よりオケはずっとうまいですが。 第3楽章はロシア民衆の苦しみでも悲しみでもなく、深い深い祈りの音楽です。なぜこの世に争い事が絶えないのか、なぜ不幸が存在するのか、憤りでもなく、葛藤でもなく、ただ祈り続けます。その深さに涙してしまいました。 第4楽章は革命による民衆の勝利ではなく、ひたすら前へ前へと突き進む音楽です。開始はゆっくり始まりますが鞭を打たれるたびにテンポが速くなり、アンサンブルが崩壊寸前になるところでテンポダウン(ここもスラヴァのアイデア)、この部分は何度聞いても鳥肌が立つほどの凄み、狂気さえ感じます。初めてこの演奏を聞いた時は殺されるかと思いました。 ホルンの息の長いソロ、叙情的なふわっとした美しさに浸る間もなく、また進んで行きます。小澤さんにしては珍しいぐらい長くねばってコーダに入ります。遅いテンポながら、何か決意にさえ聞こえます。 このコーダを初めて聞いたとき「小澤さんが初めて音楽で自分を語った」と涙が止まりませんでした。そこには何の保証も無くヨーロッパに音楽武者修行(というよりやけっぱち)に来て以来、常に将来に不安を持ち、無理解と苦労に押し潰されそうになりながらも、懸命に生きて来た一人の男の後ろ姿を見た気がしました。 21世紀には社会主義的リアリズムなどもう必要ないでしょう。ただ今もって先が見えない混沌とした世界情勢、どんなに繁栄していても大自然の猛威に一瞬にして失われてしまう文明の脆さ。そんな中で我々は何を光明にして生きて行けば良いのでしょうか。 この演奏はこう言っています、希望を常に胸に抱きながら前へ進め、と。人の持つエネルギーには限りが無い、「希望を捨てるな」と。 ショスタコ交響曲第5番は21世紀にも残る名曲として新たな命が吹き込まれ、そんな新鮮な感動がここにはあります。Shostakovich ショスタコービチ / 交響曲第5番 小澤征爾&サイトウ・キネン・オーケストラ 【CD】
2011年03月20日
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新年あけましておめでとうございます。 本年もよろしくお願いします。 昨年を振り返ると、小澤さんは食道がん長期療養により1年間ほとんど演奏活動を行っていませんでした。サイトウキネンフェスでもチャイコフスキーの弦楽セレナーデの第1楽章を振っただけ。これについてはネット上でも論議がありましたが、小澤さんなりに誠意を見せたかったのだろうと思っています。 そして12月になり、ニューヨークのカーネギー・ホールが主催する日本芸術祭“JapanNYC”にサイトウキネンオケとともに出演しました。小澤さんが芸術監督を務めるこの“JapanNYC”ではNYの街全体が舞台となりクラシック音楽はもちろんジャズやポップス、映画、舞踊、美術など、日本のあらゆる分野の文化がとりあげられるすばらしい企画です。以下、サイトウキネンオケのプログラムをあげておきます。----------------------------------------------------------------------- 12月14日 オーケストラ・コンサートA ○権代敦彦/デカセクシス(SKF松本、カーネギーホール共同委嘱作品)演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ指揮:下野竜也○ベートーヴェン/ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調 作品37演奏:サイトウ・キネン・オーケストラピアノ:内田光子指揮:下野竜也○ブラームス/交響曲第1番 ハ短調 作品68演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ指揮:小澤征爾 12月15日 オーケストラ・コンサートB ○武満徹/ノーヴェンバー・ステップス演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ尺八:三橋貴風 琵琶:田中之雄指揮:下野竜也○ベルリオーズ/幻想交響曲 作品14演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ指揮:小澤征爾 12月18日 ブリテン/「戦争レクイエム」 ソプラノ:クリスティーン・ゴーキーテノール:アンソニー・ディーン・グリフィーバリトン:マティウス・ゲネル合唱:SKF松本合唱団、栗友会合唱団児童合唱:SKF松本児童合唱団演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ指揮:小澤征爾------------------------------------------------------------------------ まだ全ステージというわけにはいかず前プロは下野さんに任せ、後半メインのブラームス、ベルリオーズそしてブリテンを最後まで振り抜きました。奇跡の復活にカーネギーホールの聴衆はスタンディングオベーション、その模様はYoutubeでも配信されています。(このときのブラームスは来月早速CD化されるそうです。期待しましょう) と、心配やらうれしいやらでどたばたしましたが、来年こそはお元気に活躍されることを祈念いたします。なによりお体大事になさってください。
2011年01月01日
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9日に終了したばかりですが、もう来年のサイトウキネンフェスの基本構想が発表されました。 1.期間:8月8日~28日の21日間 2.公式公演:10公演 3.メイン公演: 歌劇「青ひげ公の城」(バルトーク) バレエ「中国の不思議な役人」(同) 指揮:小澤征爾 4.オーケストラコンサート: ピアノ協奏曲第1番(ブラームス)など 指揮:ディエゴ・マディウス 5.海外公演: 9月2日~同11日:上海と北京にて 来年はバルトーク生誕130年にあたるためか、バルトーク作品をメインに据えていますね。「中国~」はボストン響で2回録音している小澤さんの得意曲、「青ひげ公」もボストンで演奏会形式で上演したことがあります(1980/81シーズン)。バルトークは昔から小澤さんが得意とする作曲家です。本格復帰の演目としては良いプログラムだと思います。 コンサートは小澤さんの負荷軽減のためか、ベネズエラ出身のマディウス氏が担当します。ブラームスのピアノ協奏曲しか発表されてませんが、ピアニスト、メインの曲等はこれからなのでしょう。できればメインの曲だけでも小澤さんに振って欲しいですよね。 上海と北京ではバルトークを演奏するのでしょうか。中国への思い入れが深い小澤さんですから無理をしてでも公演すると思いますが、あまり無理をしないほうがいいのでは? ご本人にはそのほうが生活にも張り合いがでるのでしょうけれど。ご家族はじめスタッフの皆さんが支えてあげてください。 来年すっかりお元気になられてのバルトーク。期待してますよ、小澤さん。【送料無料】バルトーク:管弦楽のための協奏曲/弦、打、チェレスタのための音楽/小澤征爾,サイトウ・キネン・オーケストラ[CD]【返品種別A】【smtb-k】【w2】小澤=SKOのバルトーク。オケコンの鉄壁のアンサンブルをご堪能ください。個人的にはボストン響とのオケコンの録音が好きですけどね(笑)。
2010年09月12日
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9月9日をもってサイトウ・キネン・フェスが終わった。今年は小澤さんの食道がん治療で開催自体も危ぶまれたが、ご本人の意思によりどうにか終わったという印象だ。 何よりも、小澤さんの癌治療は成功したものの、激しい腰痛のため指揮ができないという体調の中、出演がチャイコフスキーの弦楽セレナーデの第1楽章のみという、中途半端な事態にファンはがっかりしたことだろう。かく言う私も迷走したフェスに多少疑問に思うことはあった。全ては小澤ご本人の気持ちと体調とのギャップによるところ大だろう。 代役を引き受けたのは下野竜也氏、オペラはオメール・メイア・ヴェルバー氏。世界のオザワの代役はかなりのプレッシャーだったと思うが、重責を見事に全うしたのではないか。 2チャンネルからは絶賛ではないが、それなりの高評価が見受けられる。もちろん小澤さんの演奏には絶賛が集まっている。 1日も早いご回復と本格的な活動再開を願わずにはいられない。【送料無料】チャイコフスキー:弦楽セレナード/モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク/小澤征爾,サイトウ・キネン・オーケストラ[CD]【返品種別A】【smtb-k】【w2】92年の録音。まだ熱かった頃のサイトウキネン・サウンドが堪能できます。凄まじいエネルギーの噴出!
2010年09月11日
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ベルリオーズという人は音楽の革命家です。名作「幻想交響曲」や「ロメオとジュリエット」「レクイエム」「ファウストの劫罰」など、どれも斬新な作品ばかり。この人がいなかったらリストもマーラーも今日知るような作品を書いていたかどうか。 彼はまた破天荒な一生を送ったのですが、基本的に永遠の青年なのでしょう。年を取れば少しは角が取れ人生の重みを感じさせるものですが、晩年まで瑞々しさと情熱を持ち続けています。(晩年の作品が記念碑的大オペラ「トロイの人々」やオペラ・コミーク「ベアトリスとベネディクト」ですからねえ) こういう人を日本ではあまり評価しないようです。日本では「枯れる」ことが芸事の完成形と見るからでしょう。深みの無い作品や人生には「味わいがない」と。 さて、言わずと知れたシェークスピアの「ロメオとジュリエット」を題材にした交響曲です。劇的交響曲となってますが古典的な交響曲とは違います。編成はアルト、テノール、バスの独唱者とソプラノ、テノール、バス各2部の合唱団が必要な上、オケの巨大編成を要求。ベートーヴェンの第9交響曲の拡大版といえなくもないですが、オペラ的な雰囲気はありませんし、オラトリオとも明らかに違います。 そう言う意味では、ベルリオーズ自身が名付けたように、交響曲の世界に新たな地平を切り開いた「劇的交響曲」としか名付けようがなかったのかもしれません。 本日は活動再開を祝して小澤=BSO盤で。LP発売当時は欲しくて溜まりませんでした。ジャケットはロメオとジュリエットの死の場面、ジュリエットがロメオの胸にもたれ手を握っているロマンチックな絵でした。この絵のごとく叙情的で甘美な響きを持ちながら、何てドラマチックな(特に両家が和解するところから最後まで)演奏なんでしょう。第3楽章(愛のシーン)冒頭の繊細な響きと続くメロディの爽やかな歌いだしには天性の叙情家、オザワの面目躍如たるものがありました。 ホセ・ファン・ダムの重厚なロレンス神父は説得力十分で、仲違いするキャプレット家、モンタギュ家もこの迫力には圧倒されてしまうでしょう。最後の「誓います、今や永久に友であることを!」という合唱には祈りよりも、力強さを感じます。 75年録音なので小澤さん40歳、ボストン響の監督としてまさに上り調子の時期でした。また75年と言えばベトナム戦争の終結。このような年に「ロメオとジュリエット」を録音しようとした小澤さんの意図はわかりますね。 確か同時期にマゼールがクリブランド管で同曲を録音してました。当時の評価はマゼールのほうでしたが、いやいや小澤盤の叙情と情熱だって素晴らしいです。 年を取っても瑞々しい感性や若々しい情熱を持ち続ける難しさは大人になればなるほどわかるものです。世間の無理解や批判などが徐々に感性を磨耗し、情熱の炎を弱めてしまうのでしょう。 それでもベルリオーズの音楽を聴くたびに胸の奥から熱い何かがこみ上げてきませんか。 「忘れていないか、思い出してくれ」とその音楽は訴えています。ベルリオーズが好きな人はきっとそれを探し続けている人なのでしょう。ベルリオーズ / 幻想交響曲、劇的交響曲『ロメオとジュリエット』 ミュンシュ&ボストン響(2CD) 輸入盤 【CD】小澤盤はカタログから消えてます。彼の恩師ミュンシュさんの録音で。
2010年08月15日
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8月1日、食道がんで療養中だった小澤さんが復帰会見を開きました。抗がん剤の影響でしょうか、髪も短く薄くなり、全体にしょぼくれた印象でした。胃がんから復帰したアバドはもっとミイラみたいだったことを考えれば、まだまだお元気なほうであり、1ファンとしては嬉しいというか、ほっとしました。 ただ心配なのは腰痛が相当ひどいようで、5、6歩歩くともう痛くて堪らないとのこと。あのダイナミックな指揮を支えていた腰もついに支えきれなくなってしまったのでしょうか。椅子に座って指揮となると音楽が変わってしまうのは、クレンペラーやチェリビダッケの例を見るまでもありません。音楽のテンポが遅くなると同時に、躍動感が失われるといわれています。今後小澤さんの音楽にどう影響が現れるのでしょうか。 12日、サイトウキネンフェスティバルのため松本入りした小澤さんは記者会見を開きました。来年は引越し公演を行うことを発表し、意欲と情熱だけは以前と変わらない小澤さんに拍手を送るとともに、9月の指揮姿を楽しみにしています。 このまま健康を取り戻し、より高みを目指していただきたい。これからのご活躍に期待しております。 【送料無料】 CD/小澤征爾 (指揮)/ブラームス: 交響曲第1番/ハ...価格:1,800円(税込、送料込)今年の小澤さんの演目「ブラ1」(90年録音)。あれから20年、小澤さんの更なる深化を期待しましょう。
2010年08月14日
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随分放っておいてそろそろ書き込まなくては、と思っていた頃にまたまた大事件です。 4月9日に小澤さんが今年9月のサイトウキネンフェスティバルのオペラ公演を降板すると発表されたのです。 小澤さんは喉頭がんが早期発見され治療に専念するため、今年前半の活動を全てキャンセルしたばかり。本格的復帰はサイトウキネンフェスから、その後10月からのウィーンフィルのヨーロパ・日本公演を指揮する予定でした。 ところが、今回の発表では、サイトウキネンフェスのオペラ「サロメ」(R.シュトラウス)公演は降板、オケプロのみ指揮するとのこと。またウィーンフィルのヨーロッパ・日本公演は全てキャンセル。ウィーンフィルとの共演を楽しみにしていたファンも多かっただけに、残念です。 小澤さんのコメントによれば、長時間のリハーサル、体力を極端に消耗するオペラ、移動が多いツアーに耐えられるだけの体力回復を待て、との医者の支持に従うとのこと。元気な頃ならともかく、もうお年(今年で75歳)ですから「無理しない」という選択は正解かもしれません。 それにしても徐々に活動期間が短くなっているような気がします。体力の衰え、精神的疲労。ウィーンの音楽監督は想像以上の伏魔殿ですから、要らぬ神経を消耗してしまったのでしょうね。 そろそろ音楽だけに専念できる体制を日本で整えてあげる必要があるのではないでしょうか。これだけ世界に実績を残し、影響力もあり、人気、実力もある方ですから、日本の音楽界のためにも、何らかの援助が必要だと思います。 もっとも、もう日本の楽壇に収まらないくらいビッグになりすぎた、ともいえますが。 とにかく一日も早い回復と復帰をお祈り申し上げます。
2010年04月11日
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さてそろそろ小澤さんの公演予定でも、と思っていた矢先、トンでもない記事が。。。 小澤さんに食道がんが見つかり、6月までの全公演キャンセル。。。。6月と言えばウィーン最後の公演とも言うべき6月12日「シェーンブルン宮殿野外コンサート」もキャンセルです。なんてことでしょう。 本日、記者会見がありました。こちらをご参照ください。 ご本人は自覚症状なくお元気な様子。ほっとしました。 またガンのほうも早期なもので、治療と療養で半年と決めたようですね。小澤さんはサイトウキネンフェスには戻るつもりのようです。でも今年はヨーロッパツアーするんじゃなかったけ?大丈夫かぁ。 年齢的なことを言えば、無理せず治療に専念していただきたい。 そしてこれを乗り越えて、また一回り大きな音楽が聴けることをファンのひとりとして楽しみにしております。 ウィーンでは忙しさに加え、東洋人の音楽監督ってことで風当たりも強かったことでしょう。ウィーンに限らず歌劇場てのは伏魔殿らしいので、権謀術数、いろいろあったでしょうね。音楽以外のストレスからきたのかなぁ。などと要らぬ詮索もしたり。 お元気そうな顔を拝見して少し落ち着きました。
2010年01月07日
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更新しなきゃと思いながら信念を迎えてしまいました。 昨年はプロジェクトが変わったり引越ししたりでばたばたしてました。言い訳ですけどね。新しいプロジェクトにも慣れ、これからまた更新していきます。 よろしくお願いします。 さて年末恒例の「第9」ですが、小澤さんの第9録音は2種類あります。1.ニューフィルハーモニア管盤 録音:1974年2月11-13日 ロンドン ウォルサムストウ(セッション)2.サイトウキネンオーケストラ盤 録音:2002年9月5日、7日、9日 松本市 長野県松本文化会館(ライブ) ベートーヴェン畢生の大作ですから、小澤さんも力を入れて臨んでますね。 1の録音は、当時ロンドンの電力ストのため電力事情が悪いさなかに行われたという曰くつきの録音で、そのせいでセッション録音ながらほとんど一発撮りに近い状態だったとか。まさにライブさながらの緊迫感と自然な高揚感があり気迫のこもった素晴らしい演奏です。 少々荒削りなところも散見されるし、流線型なフレーズの作り方に師カラヤンの影響も見られます。合唱は人数を削って透明なハーモニーを作り出し、独唱は多少重ったるい感じもあります。がそれを上回る小澤さんの気迫で、徐々に熱っぽくなるところが面白い。 当時この録音が出たときは、その新鮮で熱い響きに「ベートーヴェンかくあるべし」と思ってた重厚長大な人たちからは驚きと反感があったかもしれない。 なおこの録音は昭和49年度レコードアカデミー賞「日本人演奏家部門賞」を受賞したが、日本人は小澤さんだけだったので、その後物議をかもし、現在この部門はなくなっています。 2の録音は、サイトウキネンとのベートーヴェン全集の最後を飾る、これもまた熱っぽい演奏です。ここでの小澤さんは、全集のどの演奏でもいえますが、古楽器演奏の要素をあちこちに入れ混ぜ、重厚さより軽快さ、より生き生きとした表現を求めています。 小澤さんは古楽器演奏について「斉藤先生の言ってたことに通じる」と話していました。具体的にどこがどうなのか知りたいところですが、古楽器演奏が持っている弾けるような軽快さ、スポーティーさは小澤さんの以前からの特徴と通じるものがあります。 小澤芸術とはこの「生き生きとした躍動感」だと私は思います。これでマーラーやブラームス、メシアン、バルトークなどを聴いたらどうなるんだろうか。小澤さんを聞くとは、ある演奏家をずっと聞き続けるとはこういうことだと思います。すでに亡くなった演奏家は素晴らしいでしょうが、こういう楽しみはないんですね。 話がそれましたが、サイトウキネン盤は確かに素晴らしいのですが、ちょっと熱っぽさが空回りしている感があります。淀みなく流れる第3楽章は美しいのですが、そのほかの楽章は何だか前へ前へと急かされているような感じを受けました。これも私の耳がまだ小澤さんに付いていけてないのかもしれませんね。 小澤ベートヴェンは誰の真似でもない、日本的でさえもない、まさに「オザワのベートーヴェン」です。一度聴いてみてください。小澤征爾(cond)/SUPER BEST 100 7: ベートーヴェン: 交響曲第9番《合唱》(CD)旧盤。小澤さんの気迫に圧倒されます!【ポイント10倍】\2000以上で全国送料無料!!※代引き手数料を除くベートーヴェン:交響曲第9番<合唱>小澤征爾 【プラチナ謝恩200912】現在の小澤ベートーヴェンの総決算。生き生きとしたベートヴェンを古楽オケではなく現代の大オーケストラで演奏しできることを証明しました。
2010年01月01日
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ご無沙汰しております。忙しい仕事が片付きホッとしています。 最近はDr.DACの改造などしておりました。と言っても電解コンデンサーをオーディオグレードに取り替えただけですが。まだ音だししたばかりで音がよくなったのかどうかはわからないです。Dr.DAC2への腕試しのつもりでしたが、ハンダの腕前があまりに悪くて躊躇してます。 さて小澤さんの朗報が入ってきました。水戸室内管弦楽での活動に対する評価のようです。いつまでも東京中心ではなく地方から世界に通用する活動を発信することが、地方活性化につながっていくですね。経済的なことばかりでなくこういった活動も必要じゃないでしょうか。小沢征爾さんら出席し水戸市文化栄誉賞贈呈式 「地方で最高を追及」 水戸市文化栄誉賞の贈呈式が27日、水戸芸術館(同市五軒町)で開かれ、市室内管弦楽団の音楽顧問を務める世界的指揮者、小沢征爾さん(74)ら受賞者5人に加藤浩一市長から記念品などが贈呈された。 小沢さんは「東京中心の時代に、地方でも最高のものを追求するのが水戸の素晴らしいところ」と受賞の喜びを述べた。 同賞は優れた功績を残して水戸市の名を国内外に広め、市ゆかりの文化人ら個人や団体に贈られる。 今回、受賞したのは小沢さんのほか、旧制水戸中在学中にオセロを考案した長谷川五郎さん(76)▽市内を拠点に活動する一中節(いっちゅうぶし)三味線奏者で人間国宝の東(ひがし)峯子さん(74)=雅号・宇治文蝶(うじ・ぶんちょう)▽市出身の元大関・武双山、藤島武人(たけひと)さん(37)▽市芸術振興財団理事長を務めるファッションデザイナー、森英恵(はなえ)さん(83)。 藤島さんは大相撲九州場所のため、代理で父、尾曽(おそ)正人さんが出席した。 同賞を受賞したのは、平成元年の東京ゲーテ記念館長(当時)、粉川忠さんや洋画家、鈴木良三さんをはじめ昨年までに8人。市制施行120周年と水戸藩会館400年となった節目の年となった今年は5人を選出した。 MSN産経ニュース2009.11.27より これからもご活躍、期待してますです。NHKクラシカル 水戸室内管弦楽団 メンデルスゾーン・プログラム 小澤征爾 小菅優【Blu-rayDisc Video】小澤=水戸室内管の最新録音はオール・メンデルスゾーン!今年生誕200年にふさわしい華麗な演奏に期待大です。(小澤征悦(朗読)の親子共演も楽しみのひとつです)
2009年11月29日
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もうすっかり秋ですね。今年は夏らしい夏もなくいつの間にか秋って感じです。 世の中政権交代でバタバタしてます。批判も少しずつ出始めてますね。新しいことをやるのに批判は当然。でも亀井さんはやりすぎだと思いますが。。。 さて、来年のサイトウキネン・フェスの概要が発表されています。来年は久しぶりにヨーロッパ・ツアーに行くそうです。 小澤さんが振るオーケストラコンサート、メインはブラームスの交響曲第1番とベルリオーズの幻想交響曲です。また幻想!2007年にやったばかりですよ。どうなってるんでしょうか。 ブラームスはサイトウキネンO結成時に集中的に取り上げました。サイトウキネンの特質が一番よく表れると小澤さんも言ってました。あれから20年、再びブラームスを取り上げることで成長の証を聞かせたい、ということです。 それからオペラはR.シュトラウスの楽劇「サロメ」。CD('90録音)は廃盤になって久しいですが、小澤さんらしいすっきりとした響きの中に繰り広げられる狂気の世界は白日夢のようでありました。ウィーンでのオペラ体験を経てどんなサロメを聞かせてくれるのか、楽しみですね。ブラームス:交響曲第1番/ハンガリー舞曲集/小澤征爾,サイトウ・キネン・オーケストラ[CD]90年録音。ヨーロッパ楽旅の余勢をかった勢いと緻密が織り交ざった激演です。
2009年10月02日
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今日はまったりとしたいい天気でしたね。こんな日が続けばいいのにと思いました。 このところ全週末を徹夜作業でつぶしているせいか、少し精神的にささくれ立っていましたが、いい天気はやはり良い!音楽で心を癒すよりもはるかに気持ちがほぐれてきます。 さすがは太陽です! さて、小澤征爾音楽塾は毎年オペラを続けてきましたが、昨年の発表ではオペラをやらずにオーケストラプロジェクトだけになっていました。不況の波がこんなことろにまで、と驚きとも諦めとも言えぬ複雑な感慨を抱いていたのですが、先週突如オペラプロジェクトが発表されました。 2009年オペラ・プロジェクト X の詳細 いやあ、やるんですねぇ。しかもフンパーディンクとは思いもよらぬ選択です。 これは皆さんよくご存知の「ヘンゼルとグレーテル」のオペラ版でドイツ・メルヘン・オペラの代表作であり、作曲家フンパーディンクの出世作でもあります。1893年12月23日、リヒャルト・シュトラウス指揮によりヴァイマルで初演されました。 あちらではクリスマスによく上演されていて、子供も大人も楽しめる良品です。 子供好きで、子供のためのオペラ上演をウィーンで続けている小澤さんにとって、またメンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」で美しく生気溢れる録音を残している小澤さんにとって、この作品はまさにうってつけですね。まさに、「この手があったか」という感じでした。メンデルスゾーン:真夏の夜の夢/小澤征爾,ボストン交響楽団[CD]日本盤のナレーションはあの吉永小百合さん。サユリストは是非!(笑)
2009年03月15日
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昨日、ウィーンからこんなニュースが来てました。 小沢氏最後のプレミエ…ウィーン国立歌劇場 ウィーン国立歌劇場の音楽監督、小沢征爾氏(73)は7日、同劇場でチャイコフスキーのオペラ「エフゲニー・オネーギン」のプレミエ(新演出の初演)を指揮した。同劇場によると、2010年8月末で契約切れを迎える音楽監督として、同劇場での最後のプレミエ指揮となった。 小沢氏は約3時間の公演で精力的に指揮。カーテンコールで舞台に上がった同氏に対して、満員の観客から「ブラボー」の掛け声と大きな拍手が送られた。 一方で現代的な新演出に対しては、一部観客からブーイングが起きた。 小沢氏は02年に音楽監督に就任。06年から07年にかけて体調不良で同劇場での活動を休止するなどした。(共同) (2009年3月8日21時08分 スポーツ報知) いやあ、嬉しいじゃないですか。小澤さんウィーンで最後のプレミエは「ブラボー」で迎えられたんですから。対して、演出にはブーイング?気にしない、気にしない(笑)。 ヨーロッパの演出家なんて最近は「ブーイングもまた評価」とばかり、原典の読み替え、現代風俗へのアレンジ、低俗嗜好と何でもありなんですから。 我々小澤ファンとしては、小澤さんの作り出す音楽がどれだけ彼の地で受け入れられたかのほうが重要なのです。 まずは、おめでとうございます!
2009年03月11日
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今年のサイトウ・キネン・フェスティバル(SKF)の概要が公式HP上にて発表されました。 すでに、オペラ公演の代わりにブリテンの「戦争レクイエム」が発表されていました。小澤さんが指揮するオーケストラプログラムは以下のとおりです。オーケストラコンサート<Bプログラム> ○ラヴェル/道化師の朝の歌 ○ラヴェル/シェエラザード (メゾ・ソプラノ:スーザン・グラハム) ○ブラームス/交響曲第2番 ニ長調 作品73 演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ 指揮:小澤征爾 うーん、ブラ2かぁ。すでにブラームスの交響曲はサイトウ・キネンと全集をフィリップスに録音済です。 なぜ今頃、ブラ2?まだやる曲いっぱいあるでしょう。あるいは全集のブラ2はあまり気に入っていなかったのか。かつて北京で振ったブラ2を覚えているファンにとっては、確かに期待ほどではなかったけど。 その代わりといっては何だが、ラヴェルやりますねぇ。実は水戸室内管との録音も合わせて隠れ全集進行中?来年は「ダフニスとクロエ」?そんなあらぬ期待をしてしまいます。 まあ小澤さんがやりたいなら、何でも構いません!サイトウ・キネン・オーケストラ/小澤征爾/ブラームス: 交響曲第2番 ※再発売(CD)
2009年02月17日
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またご無沙汰です。仕事が忙しいです。疲れが取れません。歳ですね。さてテレビ欄を見ていたら、なんとあの「徹子の部屋」に小澤さんが出演するらしいです。 2月16日(月)13:20~13:55 テレ朝系列「徹子の部屋」 出演:小澤征爾、小澤征良(以下、ヤフーのテレビ欄より)~亡き母の肉声に涙…~小澤征爾さん、小澤征良さんが今日のゲストです。 征爾さんは文化勲章を受章したことに「指揮者は仲間がいて初めて成り立つものだから、自分だけもらうのは…」と語る。また、征良さんは祖母・故入江麻木さんに捧げる小説『しずかの朝』を書き上げた。今日は入江さんが31年前に出演した時の映像に涙する場面も…征良さんは大好きだった祖母への思いも語ってくれた。 親子出演って珍しいと思ったら、本の宣伝か?(笑)もちろん仕事中なので見れないんですが、楽しみですね。
2009年02月14日
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仕事が期をまたいで忙しく、ずっとブログを更新していなかったところへ、10月28日、小澤さんが文化勲章を授章することが決まったというニュースが入りました。 実は、とっくに授章していたと思い込んでいたので、「あれっ?」と正直思いました。日本芸術院賞と勘違いしてました。 小澤さんは9月24日に「フランス芸術アカデミー」の正式会員(外国人会員)に就任したばかり。2001年に準会員となっていたが、今年正式会員になったわけだ。 今回の文化勲章授章に際し、小澤さんからのメッセージがアップされてました。 音楽家はほんとは演奏が評価されるのが一番だと思いますけど、長年の海外での活躍、最近の音楽教育への力の入れよう、近年のオペラ上演などが評価されたのでしょう。 小澤さん、おめでとうございます! これからも元気でご活躍ください。
2008年10月28日
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また忙しくなってきました。今月は上期の締めもあり、今月までに仕上げなきゃいけない仕事もありで、3連休を楽しむ気分ではありません。 とグチを言ってもしょうがない。 せめてウチでPCに向かってるときは音楽でも楽しみたいものです。 さてさて、サイトウキネンフェスティバルも無事終わり、来年の計画が発表されてました。2009サイトウ・キネン・フェスティバル松本 基本計画期間:2009年8月17日~9月8日(予定)1.オーケストラ・コンサート 1)小澤征爾指揮 サイトウ・キネン・オーケストラ (曲目未定) 2)ゲストコンダクター ロバート・マン指揮 サイトウ・キネン・オーケストラ (曲目未定)2.ブリテン「戦争レクイエム」 指揮:小澤征爾 ソリスト:3名 合唱:200名 演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ 会場:長野県松本文化会館3.室内楽 ・武満徹メモリアルコンサートXIV ・ふれあいコンサート ・若い人のための「サイトウ・キネン室内楽勉強会」4.若手演奏家・青少年育成事業 来年はオペラではなく、イギリスの作曲家ベンジャミン・ブリテンの大作「戦争レクイエム」ですかっ。この曲、ボストンでも日本でも演奏してる小澤さんの得意曲ですね。不思議と録音はないですけど。大曲になるほど小澤さんの指揮は冴え渡るので、これは来年も楽しみですね。ブリテン:戦争レクイエム指揮者としても並々ならぬ力量だったブリテンの自作自演盤。かつての敵味方の国々からソリストを集めての感動あふれる演奏。楽天市場にはないけど、若きサイモン・ラトルの振った盤はあっけらかんとした明るい響きがむしろ戦争の空恐ろしさを感じさせました。
2008年09月13日
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本日9月1日は小澤征爾さんの73回目の誕生日です。あなたの音楽には明るい光が常に輝いています。悲しみや怒りや苦悩ばかりの混沌としたこの世の中にあって、その光は「希望」を射しています。どうぞいつまでもお元気で。その精力的な活動と指揮ぶりで私たちに勇気と活力と微笑を与えて続けてください。
2008年09月01日
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先週は北海道旅行でした。毎夏気の合う同僚たちと競馬旅行です。と言っても競馬のことは全くわからないので、適当に馬券を買ってます。当然、当たりませんが。。。 今年は札幌競馬場へ行く前に十勝へ行きました。最高気温18度。寒かった。札幌も最高気温20度で、観測史上最低だったらしい。 羽田に着いたら暑いんだろうなと話をしていたら、意外に涼しく、すっかりあてが外れました。外れついでに体調が思わしくなく、梅雨に戻ったんじゃないかと思うほどの雨続きですっかり気持ちがふさいでしまいました。夏らしくすかっと晴れて欲しいものですね。 さて、サイトウキネンフェスティバルは順調に進んでいるようで、今年の目玉のひとつ、ヤナーチェクのオペラ「利口な女狐の物語」も好評なようです。SKFオペラ初演 生命の営み表現サイトウ・キネン・フェスティバル(SKF)松本の主要プログラムとなる、オペラ「利口な女狐の物語」の初回公演が26日夜、松本市のまつもと市民芸術館で行われた。国際的なソリストと小沢征爾総監督指揮のサイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)が共演。自然と生命が循環する世界を躍動感たっぷりに表現し、約1600人の観衆を魅了した。 チェコの作曲家ヤナーチェクの代表作で全3幕構成。女狐ビストロウシカの冒険や恋をユーモラスに描きつつ、生死の局面に立つ動物と人間との関係、途絶えることのない生命の営みを伝える。 公演は、イタリア・フィレンツェ歌劇場との共同制作による新演出で行った。女狐のほかニワトリやハエなどの動物、虫に扮した出演者が次々と登場し、人間役のソリストと合わせて60人余りが、舞台狭しと踊ったり優美な歌声を披露した。森や花畑などを細かくデザインした舞台装置や衣装も注目を集めた。 オーディションで選ばれた岡谷市のカノラ少年少女合唱団メンバー、地元松本市の子どもたちも子狐役などを熱演。特訓を積んだチェコ語ではつらつと歌い、大きな拍手を浴びていた。 オペラはいずれも同館を会場に28、31日と9月2日と合わせて4回公演。チケットは完売している。 (長野日報8月27日より) 仏教の輪廻転生を思わせる永遠の生命のつながりを主題にした物語と動物が主人公であるので、日本の聴衆にも受け入れやすいと思います。これはぜひテレビ放映して欲しいなぁ。 もちろん小澤さんもパワフルに指揮されているようですね。 この上演に関する感想がネット上に見受けられないのが、ちと残念ですが。ヤナーチェク:歌劇≪利口な女狐の物語≫全曲ヤナーチェクといえば第1人者でもあるマッケラスの指揮で。ウィーンフィルも東欧の味を良く出しています。【エントリーで店内全品ポイント5倍!8月30日am9時59分迄】 パリ・シャトレ座 ヤナーチェク: 歌劇 利口な女狐の物語 全曲(DVD) ◆20%OFF!これはシャトレ座でのマッケラスの上演DVD。
2008年08月30日
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局地的な大雨が降ったかと思うと一転、強い日差しで一日猛暑と、今年の夏は落ち着かない。 自宅マンションが雑木林の中にあるせいか、セミが夜中でも鳴き止みません。あまりに暑いので昼間と間違えたのでしょうか。網戸にとまって鳴き出した日にはうるさいのなんの。(笑) 朝出かけると、外廊下にセミの死骸が散乱してるし、蝉害も甚だしい。 と言っている間にも実はサイトウキネンフェスティバル(通称、SKF)の準備は着々と進んでおり、いよいよ来週13日開幕です。そんななか、小澤さんは本日松本入りを果たしました。 小沢氏松本入り 今月13日開幕のサイトウ・キネン・フェスティバル(SKF)を前に、総監督の小沢征爾氏が6日、松本入りし、まつもと市民芸術館で菅谷昭市長と対談した。 小沢氏は昨年11月末に腰を痛め、5、6月は公演をキャンセルしたが、「今は8割ぐらい良くなった」という。今年のオペラ「利口な女狐の物語」については、「動物が主役のファンタジーで難しいが、SKFならできるだろう」と意気込みをみせた。菅谷市長は「(体調不良で)小沢総監督(の参加)は無理じゃないかという声があったが、こんなにお元気でうれしい」と話した。この後、セットが組まれた舞台でオペラのリハーサルを行った。小沢氏はSKF閉幕まで松本市に滞在する予定。 (2008年8月7日 読売新聞HPより) 体調は8割ぐらい、という小澤さん自身の言葉から、まだ8割なのか、もう8割なのか、今ひとつはっきりしませんね。残り2割がまた悪化しないよう祈りつつ、9月9日までのスケジュールをお元気に精力的に過ごされることを願って止みません。
2008年08月07日
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ほんとに暑いですね。明日はもっと暑いらしですが。(苦笑) こう暑いと家に閉じこもりがちですが、今日は仕事に出かけたりします。はあ~。 さて、今年ベルリン・フィルとのカラヤン・メモリアルコンサートは近年の小澤さんの深化を示す重要なコンサートであり、その模様はBSハイビジョンで放映され、またブルーレイディスクとして発売もされています。 ただしこれは、2008年1月23日、ベルリンのフィルハーモニーホールで行われたコンサートからチャイコフスキーの「悲愴」交響曲だけ収録したものです。実際のコンサートでは、アンネ・ゾフィー・ムターとのベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲も行われており、中途半端な感無きにしもあらず。 が、ブルーレイなどと高価な物を持っていない身としては如何ともしがたく、欲求不満は溜まる一方、連日猛暑で体力も限界(笑)・・・というところへ朗報が舞い込んできました。 2008年1月28日 ウィーンで行われた演奏会の模様がそっくりそのまま「DVD」で発売されることになりました(10月3日)。【曲目】ベートーヴェン: ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61J.S.バッハ: 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第2番 ニ短調より 第3楽章サラバンドチャイコフスキー: 交響曲 第6番 変ロ短調 作品74「悲愴」【収録】2008年1月28日 ウィーン【仕様】本編100分/カラー/リニアPCMステレオ/16:9/日本語字幕(特典映像のみ)<特典映像>ゾフィー・ムターへのインタビュー小澤征爾へのインタビュー注目はムターとの競演とアンコールに応えてムターが演奏したバッハの無伴奏バイオリン・パルティータまで収録されていること。ブルーレイより断然お得じゃないですかっ!カラヤン・メモリアル・コンサート2008/小澤征爾,ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団[DVD]楽天ではここが一番お安いようです。予約しようっと。(笑)小澤征爾 ベルリン・フィル 「悲愴」 2008年ベルリン公演【Blu-rayDisc Video】こちらはブルーレイディスク。圧倒的なハイビジョン画面とサウンドを楽しむならこちら。
2008年08月02日
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大阪に出張行ってました。あちらも暑い!朝から太陽ががんがん照りつけるし、東京に比べて蒸し暑く感じます。昨日帰ってきたら、東京は涼しい、と思ってしまいました。(笑) さて、小澤さんの「こうもり」、大変好評のようです。その一端を中日スポーツの記事から。ドアラがオペラ“乱入” 小澤征爾指揮「こうもり」小澤征爾さん(72)指揮のオペレッタ「こうもり」が24日夜、名古屋市東区の愛知県芸術劇場で上演され、プロスケーターの荒川静香(26)、歌舞伎俳優の中村七之助(25)、ドアラまで特別出演した。 東海テレビ主催の小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトは毎年、早々と完売。今年は同局の開局50周年記念とあってサプライズ企画を用意、イベント出演など局と縁のある“3人”を招待した。 「こうもり」は、社交界の恋の駆け引きを描いたヨハン・シュトラウス2世の代表的な喜歌劇。第2幕の晩さん会シーンで突然、オーケストラが「燃えよドラゴンズ!」を演奏すると、ドアラに続いて静香と七之助が舞台に登場した。ドアラは「ドラゴンズを応援して」とお願い。出演者全員と乾杯して退場した。 オペラでは前代未聞?のハプニングに、満員の会場から驚きの歓声と拍手が沸いた。3人は2幕のカーテンコールにも登場、大きな拍手を浴びた。 2008年7月25日 楽しそうですねぇ。乾杯のシーンのどんちゃん騒ぎは演出家の腕の見せ所でもあります。乱痴気騒ぎにしたり、品よくしたり、世相をうまく取り入れたりと。オペラで笑っっちゃいけない、という先入観のある人にこそ、見てもらいたいです。 今回はオーケストラも好評のようですし、明日の浜松でもどんな舞台になるのか、楽しみですね。【エントリーで店内全品ポイント5倍!7月29日am9時59分迄】 ヨハン・シュトラウス こうもり(DVD) ◆20%OFF!世評高い、カルロス・クライバー指揮の「こうもり」。この頃のクライバーの音楽は輝いてます。“Forever Collection DVD”シリーズワーナーミュージック・ジャパン ドミンゴ/J.シュトラウス:喜歌劇「こうもり」全曲ドミンゴ指揮、キリテカナワ、ヘルマンプライと豪華な顔ぶれのグラインドボーンの舞台は必見かも。
2008年07月26日
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梅雨も明けて、本格的な夏が来ました。今日も各地で夏のイベントが開かれていることでしょう。 小澤ファンとしては心配されていた「小澤音楽塾」の初日を明日に控え、小澤さんの近況を知りたいところ。そんなところへ、うれしいニュースが入ってきました。 小沢征爾さんが久々に指揮棒、「こうもり」舞台げいこで復帰 椎間板(ついかんばん)ヘルニアのため、5月下旬から活動を休止していた指揮者の小沢征爾さん(72)が18日、横浜市の神奈川県民ホールで、小沢征爾音楽塾オペラ・プロジェクト公演「こうもり」の公開舞台げいこを行い、久々に指揮をする元気な姿を見せた。国内の活動は、21日から全国5か所を巡る同公演から再開する。 小沢さんは、音楽監督を務めるウィーン国立歌劇場が6月、5週間休養すると発表し、同下旬に予定されていた歌劇「スペードの女王」の指揮を降板。水戸室内管弦楽団の欧州ツアーへの参加なども中止した。療養の結果、まだ腰の痛みは残るもののかなり回復。6月末にはスイスへ行き、自ら主宰する「スイス国際音楽アカデミー」で若手音楽家に指導していた。 この日のウィーン生まれのオペレッタ「こうもり」は華やかな音楽で、イスに座ったり立ったりしてオーケストラを指揮した。本番でもイスを用意するという。 (2008年7月18日21時09分 読売新聞) 椅子に座りながら、ということで腰のほうはまだまだ完治というわけではなさそうですが、元気な様子が伺えます。明日の初日ではどんなすばらしい舞台になることか、楽しみですよね。そして、この調子でサイトウキネンフェスティバルも迎えて欲しいです。
2008年07月20日
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さきほど、NHK教育で「東京の森オペラ公演」の番組を見ました。 チャイコフスキーのオペラ「エフゲニー・オネーギン」全3幕(2008年4月13、15日 東京文化会館)でした。 小澤さんのチャイコフスキーは欧州でも評判が良く、独特の透明な響き、清潔なカンタービレはチャイコフスキー音楽の「弱音部の魅力」を存分に聞かせてくれ、新しい発見に満ちています。 この公演でもそれが発揮されており、イタリアオペラの物真似と言われかねないこの作品を陰影と色彩に富んだ、人間ドラマに仕上げていました。 主役もさることながら、友人レンスキーのアリアには心打つものがありました。まさに弱音の魅力!ここには人の心の弱さが見えます。 全幕見るのは初めてで、このオネーギンとレンスキーに作曲者自身の影を見たような気がしました。女性からの求愛を拒絶したり、愛の告白をうまく伝えられなかったりする彼らは、(同性を)愛することを社会から禁じていた時代に生きたチャイコフスキーの煩悶が投影されているんじゃないかな。 さて、幕が下り、指揮者が舞台に上がると客席から大歓声。けど、いつもの颯爽と小走りに出ては来ないで、よぼよぼと登場。このときからよほど悪かったんでしょうね。 おそらく、衣装のしたにはガードルつけてたんじゃないかな。妙にからだが大きくみえたよ。
2008年07月18日
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水戸室内管の欧州公演はキャンセルしたものの小澤さんは活動を再開しておられます。 「小澤征爾音楽塾」はオペラを通じて日本の若い音楽家を育成しようと2000年から始めた教育プログラムです。 今年は歌劇「こうもり」。J.シュトラウス2世の有名なオペラだが、ウィーンの香りを人生の悲哀をどこまで表現できるか、なかなか難しい演目だと思います。 公演日程などはこちら。 鎌倉芸術館ではリハーサルを無料で学生向けに公開するそうです。小澤征爾音楽塾は八月一日、小学生から二十五歳までの音楽愛好家を対象に無料公開リハーサルを鎌倉市大船の鎌倉芸術館で開く。同塾が同日夜に行う喜歌劇「こうもり」を抜粋した特別演奏会(有料)PRの一環で若い世代に音楽に親しんでもらおうと企画された。 同塾は世界的指揮者の小澤征爾さんが若手音楽家に学校では学べない実践の場を提供しようと二〇〇〇年に設立。参加する塾生は海外有名歌劇団の来日公演で控えを務める実力者ぞろい。ところが出演者が体調不良で出演できないなど控えが登場する場面は限られているため、実力を試す機会が少なく、昨年から同芸術館で年一回の定期公演を行っている。 (以下、省略) 神奈川新聞(08/07/03)より 応募要領等はこちら。若い人たちがこれでオペラに興味を持ってもらえればいいですね。こうした地道な試みがクラシック人口を増やすには必要でしょう。 最近は何でもネットで手に入る時代です。私もいろいろ活用させてもらってます。でも本物はやはり現場で現物を目の当たりにしないとわかりませんね。音楽は録音されたものではなく、ライブ体験があって初めて真の感動が得られます。そのとき、その場所で起きたこと、それはその場に居合わせた人たち(プレーヤーだけでなく、聴衆も)が作り上げたものですから。録音はその追体験にすぎません。 公開リハーサルは音楽を作り上げていく過程を垣間見ることができます。出来上がったものに至るまでにはこれだけの準備が必要なんだということがわかるだけでも、見る価値があるんじゃないかな。無料だし。
2008年07月14日
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暑いですねぇ。梅雨明けしてないのが、信じられないくらいです。 出張第1弾は今週終わりました。約1ヶ月間、体力的にきつかった。若いころはホテル暮らしはかっこいいと思ってましたが、年齢を経るとつらくなります。まあ、帰って寝るだけという生活は変わらないのですが。(笑) さて、タワーレコードのHPをチェックしたところ、なんと小澤さんの初録音がCD化されてました。5月16日発売ってずいぶん古いソースですが。 黒人霊歌、ミュージカル・ハイライト/小澤征爾、東京混声合唱団 小澤征爾&東京混声合唱団の共演!小澤征爾、最初期の録音が初CD化!!1959年ブザンソン指揮者コンクール第1位、1960年タングルウッド音楽祭でクーセヴィツキー賞受賞、1961年NYPの副指揮者に就任し、来日公演に同行した小澤征爾は、NHK交響楽団と初共演し放送録音が行われました。翌62年にN響客演指揮者に就任するも、社会的騒動となったいわゆる小澤事件(N響の演奏会ボイコット)が起こり、活動を日本から海外へと移していきます。その後、トロント響、サンフランシスコ響、ボストン響、ウィーン国立歌劇場等の監督就任など、その活躍はよく知られています。このアルバムは日本での最初期の指揮活動中に収録されたもので、「黒人霊歌」&「ミュージカル・ハイライト」を取り上げています。東京混声合唱団を指揮しての「黒人霊歌」演奏は、小澤征爾の最初期の演奏記録としても貴重です。また「ミュージカル・ハイライト」には、名ビックバンドとして、また歌謡曲の伴奏など幅広い活動・活躍を行っていた“原信夫とシャープ&フラット”を迎えて共演、小澤征爾異色の注目アルバムです。 (タワーレコードHPより引用) 以前、CBSから小澤さんのオーボエ協奏曲(1965年)のCDが発売され、ここでも紹介しました。あれは小澤さんにとって初の世界リリース録音となったわけですが、これはブザンソン指揮者コンクールに優勝、ニューヨーク・フィルの副指揮者として1961年4月24日に凱旋帰国した直後の、まさに小澤さんにとって初めての商業録音だったのです。 当時は「あの」ニューヨーク・フィルの副指揮者で、バーンスタインの弟子という話題性、小澤さん自身のキャラクターも手伝って、急に有名人になってしまったようです。 そんな彼目当てに国内レーベルが商業録音を企画するのも当然でしょう。 それにしても、合唱曲しかも「黒人霊歌」「ミュージカル・ソング」というのはあまりに安直すぎないか。 このCD、タワーレコードとビクターの共同企画なので、タワーでしか買えないのですが、私のようなコアな小澤ファンは必携ですな。
2008年07月13日
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ご無沙汰しております。 5月後半より出張続きで(明日からまた出張ですが)、忙しく慌しく。7月いっぱいまでは確実にこんな生活です。 週末だけ帰ってこれるのがせめてもの救いです。ホテル住まいは特に不自由は感じないのですが、音楽聴けないのはつらいですね。イヤホーンは音がよくないので使わない主義(?)ですが、背に腹は変えられない。今度から持っていくことにします。音源はPCに入れてと。。。 さて、久しぶりに小澤さんのニュースがフランスから入ってきました。 今年の人に小沢征爾さん…仏批評家協会 フランスの演劇や音楽、舞踏に関する批評家協会は19日までに、音楽部門の「今年の人」に指揮者、小沢征爾さんを選んだ。フランス公共ラジオが伝えた。 小沢さんがパリ・バスチーユの新オペラ座で昨年12月に指揮したワーグナーの「タンホイザー」などを評価。フランスの音楽に対する貢献をたたえた。 小沢さんは椎間板(ついかんばん)ヘルニアのため、今月予定されていた水戸室内管弦楽団の欧州ツアーや、ウィーン国立歌劇場(オペラ座)での出演を見合わせることが、明らかになったばかり。(共同) 小澤さんはこれまでも様々な賞を授与されてますが、こういう批評家側から賞をもらうのが芸術家としては一番うれしいのではないでしょうか。何しろ批評家というのは批判するのが商売ですから。その彼らが芸術活動を讃えるということは批評家をも認めさせてしまったということでしょ。 もちろんこれからも常に批判の矢面に立つことに変わりはないのでしょうけど、ひとつの評価として今回の授与の意味は大きいと思います。 体調に関しての情報はまだないようですが、ファンとしては一日も早いご回復を願うばかりです。
2008年06月22日
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前回、小澤さんの「腰椎椎間板ヘルニア」により欧州ツアーが危ぶまれた水戸室内管ですが、先日速報により「指揮者なし」で予定通り実施されることが決まりました。 詳細はこちら。 大変な英断だと思います。小澤さんの代役、しかも欧州ツアーですから、誰だって簡単に引き受けられるものではありません。欧州では小澤さん指揮だから聞きに行くという方もいらっしゃるでしょうし。代役のリスクは計り知れません(成功すれば破格のチャンスですが)。 それにツアー直前の代役探しも困難だったでしょう。水戸室内管は以前より指揮者なしによる演奏も行っており、今回はその利点を活かす形に(図らずも)なったわけです。 水戸室内管には是非成功させて欲しいですね。それによって、病床の小澤さんにも喜びと勇気が与えられると思いますから。小澤征爾&水戸室内管弦楽団モーツァルトシリーズ1::モーツァルト:交響曲第40番&協奏交響曲K.Anh.9(297B)(レヴィン復刻版)「世界一美しいモーツァルト」を!小澤=水戸室内管のモーツァルトシリーズ第1弾。
2008年05月31日
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小澤さんが顧問を務める水戸室内管弦楽団との定期演奏会およびヨーロッパツアーの代理公演のお知らせが、本日付けで水戸芸術館より広報されました。--------------------------------------水戸室内管弦楽団第72回定期演奏会および第3回ヨーロッパ公演についてのお知らせ--------------------------------------5月28日(水)から30日(金)にかけて予定しております水戸室内管弦楽団第72回定期演奏会、およびその後に実施する予定の第3回ヨーロッパ公演についてお知らせを申し上げます。本公演は、水戸室内管弦楽団音楽顧問・小澤征爾氏が指揮する予定でした。しかし、小澤氏は「腰椎椎間板ヘルニア」との診断を受け、医師からの指示によって当分指揮することが不可能となりました。従いまして、水戸における第72回定期演奏会は、小澤征爾氏が推薦する広上淳一氏を指揮者に迎えて、別紙の内容で実施いたします。第3回ヨーロッパ公演につきましては、小澤氏に代わるしかるべき指揮者を選定すべく、目下、小澤氏とともに必死になって探しているところです。決定次第ただちにご連絡いたします。ご諒承ください。私どもは、小澤氏の一日も早い回復と、指揮活動への復帰を心よりお祈りするとともに、第72回定期演奏会を皆様にお楽しみいただくために全力で取り組む所存です。なにとぞご理解くださいまして、ご協力お願い申し上げる次第です。 小澤さんからのコメントも発表されています。「腰椎椎間板ヘルニアのため、主治医の指示に従い1ケ月の治療に専念することを決めました。まったく残念ながら、予定されている水戸室内管弦楽団公演を指揮することができなくなりました。水戸の仲間をはじめ、皆さまに多大なご迷惑をかけることとなってしまいましたが、腰の痛みが強く、今回の決断に至りました。ファンの皆さまにはご心配をおかけいたしますが、少しでも早く元気な姿を見せられるようがんばります。」 今月17日の新日フィルとの演奏会では疲れた表情だったという声が聞かれたが、腰痛が酷くて苦しかったのですね。全身を使ったダイナミックな指揮なので腰に相当な負担が掛かっていたのでしょう。 1ヶ月の養生で腰痛が完治するとは思えないけど、小澤さんは自身の「音楽塾」公演(7/21-8/2)には間に合わせるお気持ちなのでしょう。その意気に期待するしかありません。 今後は小澤さんも椅子に腰掛けて指揮するようになるのだろうか。そうなった場合、また音楽にも変化が生じていくだろう。クレンペラーもチェリビダッケも座って指揮するようになってから、テンポが遅くなりスケールが巨大になったと言われています。 小澤さん、どうぞお体を大切に。そして小澤さんの音楽の変化(深化)をこれからも聞き続けたいと、1ファンとして願わずにはいられません。
2008年05月23日
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2008年5月18日【謹告】小澤征爾指揮・特別演奏会(大阪・三重) 公演中止のお知らせ5月19日(月)大阪/ザ・シンフォニーホール5月20日(火)三重/三重県総合文化センター三重県文化会館で予定しておりました、小澤征爾 指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団特別演奏会 は指揮者の体調不良により中止となりました。(中略)多大なるご迷惑をおかけしますこと、ここに深くお詫び申し上げます。財団法人 新日本フィルハーモニー交響楽団 (同楽団HPより) 小澤=新日本フィルの大阪公演が中止となってしまいました。東京公演ではメインの悲愴がたいへん感動的だったそうで、大阪のファンの方々も期待が大きかっただけに残念でしょう。 「体調不良」以外に具体的な病状が明らかになっていないだけに、心配です。 5月28日~30日には水戸室内管の定期演奏会が、その後6月3日~12日まで同管と欧州ツアーが予定されています。是非、元気な姿で指揮して欲しいですね。 でも、何よりも、お体大切に。
2008年05月20日
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ふと「サイトウキネンフェスティバル松本」のHPをのぞいたら、小澤さんの演奏曲目が変わっていました。<オーケストラコンサートBプログラム>モーツァルト : 交響曲第32番 ト長調 K318武満徹 : ヴィジョンズマーラー:交響曲第1番 ニ長調「巨人」演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ指揮:小澤征爾モーツァルトは31番から32番へ。そして新たに武満徹のヴィジョンズが入りました。ヴィジョンズは1989年シカゴ交響楽団創立100年記念の委嘱により書かれたオーケストラ作品で、初演はバレンボイムが指揮しました。フランスの画家オディロン・ルドンの作品に因み「神秘」「閉じた眼」の2楽章から成ります。シカゴ響の力強い響きを意識してどっしりと重厚な響きの作品を小澤さんがどう演奏するのか、楽しみですね。サイトウキネンフェスティバル松本のチケット発売は5月24日(土)~30日(金)まで。ただし毎年、発売2時間くらいで売切れてしまいます。(苦笑)【送料無料】武満徹:ヴィジョンズ / バレンボイム初演時のライブ録音。予習しておきましょう!(笑)
2008年03月28日
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オペラはヤナーチェクの「利口な女狐の物語」が決まってたけど、コンサート曲目がまだでした。ようやくHPにアップされていたので、ご報告まで。○オーケストラ・コンサート <Aプログラム>(1公演) スメタナ:交響詩「わが祖国」(全6曲) 演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ 指揮:下野達也 (ゲストコンダクター)期待の新人下野さん。SKOを前にわが祖国全曲とはなかなかやるなぁ。オペラがヤナーチェクなら、コンサートはスメタナとチェコの作曲家つづき。これ、ちょっと聞いてみたいなぁ。○オーケストラ・コンサート <Bプログラム>(3公演) マーラー:交響曲第1番 ニ長調 「巨人」 モーツァルト:交響曲第31番 ニ長調 K.297(300a) 「パリ」 演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ 指揮:小澤征爾おお、小澤さんは「巨人」かぁ。ショスタコ10番かと予想してました。(ベルリンで今春振る予定だったので)小澤さんの巨人と言えばボストン響との旧盤がいまだに人気高いですが、今年の演奏はいかに。もともと小澤さんはこの曲が好きなんだそうです。確かに甘酸っぱい青春の感傷や気分の高揚などは、繊細にしてスケール大きく描く小澤芸術にぴったりかもしれない。ショスタコの5番(革命)の超名演から聞こえた小澤さんの芸風の変化にも期待します。(これについてはまた後日)■チケット発売予定■ 2008年5月24日(土) 午前10時から全国一斉発売 またすぐ売り切れちゃうんだろうなぁ。行けないけど。小澤征爾/マーラー/交響曲第1番ニ長調「巨人」こちらは新盤(87年)。洗練された自然体な演奏です。 こちらが旧盤(77年)。柔らかな響き、適度な粗さが「青春」を表現するに相応しい。楽天にないのが残念。
2008年02月17日
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NHKオンラインで、先日紹介した「ベルリン・フィル、カラヤン生誕100年記念コンサート」の放映予告が出ていました。夢の音楽堂 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ~世界最高のオーケストラ~ 3月20日(木) 午後1:00~8:00 ハイビジョンの長時間特集として好評を得ている「夢の音楽堂」。第3弾は、120年を越える歴史を誇る世界最高のオーケストラ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を特集する。NHKは、1994年から99年にかけて、12回のベルリン・フィルの定期コンサートをハイビジョン収録している。その中には、20世紀最後の巨匠といわれたギュンター・ヴァントのベルリン・フィルとの最後の共演となったブルックナーの交響曲第9番やクルト・ザンデルリンクのショスタコーヴィチの交響曲第8番といった名演奏が含まれている。 さらに、フルトヴェングラーが指揮するリヒャルト・シュトラウスの「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」の演奏(1950年)を35ミリフィルムからハイビジョンに変換したり、カラヤン指揮のブラームスの「悲劇的序曲」の未公開映像(1984年)など、数々の“お宝映像”をたっぷりと紹介しながら、ベルリン・フィルの歴史を振り返り、世界最強といわれるそのハーモニーの秘密に迫る。番組では、1882年の創立から現在まで120年を越えるベルリン・フィルの歴史をたどったドキュメンタリー番組も紹介するとともに、1月23日に“カラヤン生誕100年”を記念してベルリンのシンフォニーホールで行われる特別コンサートから、小澤征爾指揮のチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」を、5.1サラウンドでお送りする。マエストロ小澤はベルリン・フィルとどんな音作りをするのか、めったに見ることができないリハーサルの様子もあわせて紹介する。 スタジオには、ビオラ奏者としてベルリン・フィルで40年あまりにわたって活躍した土屋邦夫さんを招き、世界最強のオーケストラの“秘密”を徹底分析する。【司会】高橋美鈴アナウンサー 「悲愴」だけなのが残念ですが、現地では大変話題になったコンサートだそうで、是非見たいものです。(私はBSが見れないので) DVDかCDになることを期待しています。【送料無料選択可!】チャイコフスキー: 交響曲第4番&イタリア奇想曲 / 小澤征爾 (指揮)/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団小澤=BPOのチャイコフスキー4番。派手な演奏が多い中、凝縮し透明な響きでこの名曲の新しい魅力を聞かせてくれます。
2008年02月03日
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小澤さんの新年は中国のニューイヤーで始まったわけですが、1月23日にはベルリン・フィルでコンサートがあります。○1月23日(水)ヘルベルト・フォン・カラヤン生誕100年記念コンサート ・ヴァイオリン協奏曲(ベートーヴェン) ソロ:アンネ・ゾフィー・ムター ・交響曲第6番「悲愴」(チャイコフスキー) 所縁のある者同士によるカラヤン記念コンサート。曲はカラヤン得意のベートーヴェンとチャイコフスキー。小澤=BPOによるチャイコフスキーは4番、5番のみなのでこのコンサートが録音されれば後期交響曲集となるんだがなぁ。期待しましょう。 なお、カラヤン記念コンサートは3月16日、21日にもザルツブルグで行われます。 出演者は同じで、「悲愴」の代わりにショスタコーヴィッチの交響曲第10番(カラヤン唯一のショスタコのレパートリーだった)だそうです。5番に続く小澤さんのショスタコ、これも楽しみですね。 さて、2月の予定です。○2月1日(月) ウィーン国立歌劇場 子供のためのオペラ 「魔笛」(モーツアルト) 子供の音楽教育にも熱心な小澤さんらしい活動。将来のオペラファンを育成すべく今から本物の舞台に触れさせようという企画です。○2月24日、26日、29日 フィレンツェ歌劇場 歌劇「エレクトラ」(R.シュトラウス) プレミエ 演出:R.カーセン 出演:A.バルツァ、S.バロック、C.ゴーキー、M.ゲルネ 1988年にボストン響とライブ録音をしているこのオペラ(現在は廃盤)。大編成オケによるギリシャ悲劇という滅多にお目にかかれない舞台です。大編成なればなるほど小澤さんの指揮が冴える。今回はどんな舞台になるでしょうか。
2008年01月12日
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最新録音は2000年9月8日-10日、小澤さん65歳の誕生日直後です。BSO録音から20年近く経って、遂にと言うかやっとと言うか、交響曲全集の録音を実行しました。もうすでに世界の巨匠(マエストロ)のひとりであり、押しも押されぬ大指揮者となった小澤さんが、恩師斎藤秀雄から学んだベートーヴェンを同じ釜の飯を食った斎藤門下のメンバーと演奏し、世界に問うという壮大な試みです。その意気やよし! この録音はサイトウキネンフェスティバルの余勢を駆ったもので、なんと以前の録音よりも演奏時間が短い!第1楽章はCSO、BSOともに7分19秒に対し、SKOは6分54秒と25秒も速い。 さて、前回と同じポイントをチェックしてみます。 a)前回BSOの録音より切迫感があります。「ソソソミーファファファレー」の「ミー」は2秒半、「レー」は3秒半。「レー」が短くなりしかもすーっと音を小さくします。ここは古楽奏法の影響を感じました。 松本のホールはあまり響かないのと、百戦錬磨の奏者が集うサイトウキネンの面々にこの大名曲を飽きさせずに最後まで弾かせるために途轍もない驀進力を求める必要があったのかもしれません。 b)ここははっきりと違いを聞かせます。BSOメンバで最も小澤の理解者であるエヴァレット・ファースのテインパニーとトランペットが最後のアクセルを踏み込むようにしかも品位を保って大音量で応えています。こういう演奏を聴きたかった!満足しました。 例の部分はもちろんファゴット。オーボエのカデンツは宮本さんの透明な音色で、オーケストラの中からすーっと立ち上がり、実に美しい歌を披露しています。この演奏で初めてこのオーボエの歌が254小節目から始まっていたことを知りました。振り返るとBSOの演奏もそうしていますが、気付かせてくれたのは宮本ソロが最初です。彼の、オケの中でも一際よく通る音があってこそ可能な表現でしょう。 気合を感じる部分としては、21小節目の第1ヴァイオリンだけが「ソー」とフェルマータで伸ばすところ。CSOもBSOも単純に音を伸ばしているだけなのに対し、「ソーーーオッ」とちょっとクレッシエンド気味にして次の「ラララファー」の全奏につないでいます。この辺りは気心知れた仲間との感興なのかな。 時々古楽奏法を取り入れた響きがする(流行を取り入れたのか)ものの、全体としては極めてオーソドックスな大オーケストラによるベートヴェン演奏と言ってよういでしょう。古楽演奏の流行により、軽くて見晴らしのいい響き(どの楽器も聞える)と刺激的な解釈(時にアイデア倒れ)の演奏が多い中、これだけのオーソドックスな演奏を堂々と張れることこそ、小澤さんのキャリアの賜物だと思います。 アバドでさえ最近はベルリンフィルを小編成にして演奏しているのに、「響きの透明度は編成の大きさに関係ないんだ」とばかり。響きの凝縮度と爆発的な推進力は物凄い集中度の高さを示しています。 かつてカラヤン、ミュンシュ、バーンスタインから学んだ日本人指揮者が彼らの響きを体内に消化しつつ、卓越した指揮の技術と数多い演奏経験、挫折と栄光の狭間で繰り返される人生経験、様々な人(演奏家だけでなく)との出会いを通じて演奏家として人間として成長し、このような厳しくも輝かしい響きと伸びやかな歌でストレートに聴く者の胸を打つベートーヴェン像を作り出したことに改めて感動を覚えずにはいられません。 まさに小澤さんでしか作りえないベートヴェンだと思いました。【送料無料選択可!】ベートーヴェン:交響曲 第5番 ハ短調 作品67「運命」 / 小澤征爾気迫のこもった「運命」をお聞きください。
2008年01月11日
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明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。 さて、年末年始の仕事も無事終わり、ようやくお正月気分を味わえます。昨年購入したきりのCDを聞きながら、ネットを見ていたらこんな情報がありました。小沢征爾が北京でニューイヤー・コンサート 指揮者の小沢征爾が中国国家交響楽団(チャイナ・ナショナル・シンフォニー・オーケストラ)、同合唱団などとの共演で31日と1月1日、9月に使用が始まった北京市内の国家大劇院でニューイヤー・コンサートに出演する。 独唱者はソプラノのキャスリーン・バトル、バイオリンのワディム・レーピン、中国人はピアノの郎朗(ランラン)、二胡の姜建華、チェロの趙静、パイプオルガンの沈凡秀。 中国のクラシックファンの間で、特に前評判の高いのが、小沢征爾と郎朗の初共演。曲目はベートーベンの「合唱幻想曲」。同曲は、交響曲第5番(運命)と同時期の作品だが、ピアノ独奏部分で始まり壮大な合唱付きのクライマックス部分を持ち、交響曲第9番(合唱付き)の原型とされている。 29日の記者会見で郎朗は、「小沢征爾さんと共演でき、とても光栄です。この曲は11年前、14歳の時にも演奏したことがあり、今回のコンサートは、私にとって記念的な意味を持つものです」と述べた。 中国情報局NEWS(12月30日)より 小澤さんも年末年始はお仕事だったんですねぇ。(笑) それにしてもキャスリーン・バトル・・・随分久しぶりに聞く名前のような。まだ活動していたんですねぇ。・・・おっと、新年早々口が過ぎました。 ニュース動画はこちら。 それから、来年のウィーンフィル・ニューイヤーコンサートはダニエル・バレンボイムだそうです。小澤さん、北京でニューイヤー振ってる場合じゃないですよ~。(苦笑)
2008年01月05日
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小澤征爾氏が名誉会員に=ウィーン歌劇場 【ベルリン12日時事】ウィーン国立歌劇場は12日、音楽監督を務める指揮者の小澤征爾氏(72)に名誉会員の称号を贈ると発表した。17日にオペラ「スペードの女王」の公演後、ホレンダー総監督から授与される。 小澤氏は1988年に同歌劇場デビューを果たし、2002年に音楽監督に就任した。これまで指揮したオペラやコンサートは163公演に上る。06年1月に体調を崩し、公演を一時キャンセルしていたが、今年4月に復帰。10年に任期切れとなり、フランツ・ウェルザーメスト氏(47)が後任の音楽監督に就任する。 (時事通信社より) 指揮者としてまた名誉ある称号を授与されることになりました。かつてシューリヒト、師バーンスタインなどにも授与された「名誉会員」。小澤さんもこうした人達の仲間入りを果たしたということですね。
2007年11月13日
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「運命」の聴き比べは後日アップします。 ロッキーズ―レッドソックスのワールドシリーズは日本時間の29日午前、クアーズ・フィールドにてレッドソックスが4―3で勝ち、3年ぶり7度目の世界一に輝きました。 すでに遅い情報ですが、レッドソックスといえばボストン。ボストンといえば小澤さんの元ホームグラウンド。小澤さんは73年にボストン交響楽団の音楽監督就任以来、地元球団のレッドソックスとは縁が深く、年間シートを持っているぐらいの熱烈なファンなんだそうです。 2002年にボストンを離れ、ウィーン国立歌劇場の音楽監督に就任してからも、レッドソックスの試合は気になるようで、シーズン中には仕事のデスクに試合に勝った負けたのFAXが置かれるそうです。 今年はワールドシリーズ優勝、しかも日本人投手が活躍と二重の喜びでしょうね。 これで明日からの歌劇「スペードの女王」プレミア公演にも張り切って臨み、大成功を収めて欲しいものです。
2007年10月31日
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