福内鬼外(月日が往く)

福内鬼外(月日が往く)

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

http://buycialisky.com/@ Re:コメント読めんと(07/07) which works best viagra cialis or levit…
http://cialisvu.com/@ Re:コメント読めんと(07/07) alternare cialis e viagracialis clonete…

バックナンバー

2024年11月
2024年10月
2024年09月
2024年08月
2024年07月
2024年06月
2024年05月
2024年04月
2024年03月
2024年02月
2004年01月30日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
看護士として林の中の町立病院に勤務している和夫。
肺癌の為、そこに入院していた単身赴任宣教師・マイクの病室に、
脳卒中が再発した和夫の父・松吉が部屋を移すことになった・・・ 表題作他3編収録

70になる父は、かつて電気鉄道の運転手だった。
トロッコを改良して作った非力な小さい電車は、この町では花形だった。
宣教師のマイクは、かつてベトナムでファントム戦闘機に乗っていた。
マイクと打ち解けた松吉は、退院した後、「水車を、つくる」と言い出した。

さて。
初めて読む作家ですが、穏やかさと厳しさが同居した味のある作品でした。
病院の内科医長でもあるという南木さんの経験がもたらしているもの。
【死】に対してのスタンス。そして【生】に対する思い。

『冬への順応』
タイ・カンボジア国境で三ヶ月間、難民医療活動に参加した医師のぼく。
帰国後、つとめる病院に入院してきた患者は、かつての恋人だった。
しかしぼくは、倒れた老医の代わりに過疎の村の診療所にいくことになった。

こちらもタイ・カンボジア国境に赴いた自身の想いが強く出ていることでしょう。
タイでの医療活動と、帰国後の村の診療所、そしてかつての恋人との思い出が入り混じる。

『長い影』
帰国した一年後の、カンボジア難民医療団の忘年会。
酔って、大浴場の男湯にやってきた一人の女。
彼女は現地で難民と結婚・妊娠したという噂があった・・・

『ワカサギを釣る』
難民医療団の一員として働いていた種村と、現地で助手を務めていたミン。
“氷が張った湖に穴を開けて釣りをする”という話をしていた。
5年後、ミンは種村のもとにやってきて、二人は湖へと向かった・・・


ワカサギに限らず、“釣り”は他の話でもよくでてくる。間違いなく、南木さんの趣味でもあるだろう。医療と深く関連するのかはわからないけれど、主人公が息をつく重要な役割を担っている。
また、巻末の加賀乙彦氏との対談には「小説の中の季節がほとんど秋から冬にかけて」とある。滅びゆくものへの想い、というのは肺癌患者を数多く見、その死にも触れてきたということと無関係ではないだろう。繰り返しになるが、厳しさのなかに穏やかさを求めることは必要なのではないか。決して何もかもがうまくいくわけではないけれども、それでも進まなければならないのだし。

表題作で第100回芥川賞受賞作。
ちなみに作者は、【なぎけいし】とよみます。

本文とはあまり関係ないが、気になった巻末の加賀氏の発言。
「精神病の人というのは、妄想の世界の中で自己充足して幸福なんですね。それを治すと、安定した世界を壊しちゃうわけですね。すると突然、自分の悲惨な現実が見えてくる。いままで自分が大天才だと思ってやってきたことは、全部病気がなせる業だということに気がつく。精神分裂病なんかは治り際に自殺しちゃう人が多くて、これは私たち精神科医にとっては大問題なんです。」P234

『ダイヤモンドダスト』 南木佳士 文春文庫 (1992年2月第1刷)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2004年02月03日 00時14分46秒
コメント(4) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


Re:『ダイヤモンドダスト』 南木佳士(1/30  
rugerman  さん
こんばんは。はじめて訪れます。『ダイヤモンドダスト』は芥川賞受賞時に、ということは相当前ですね・・・・・・読みました。とっても良い作品で印象に残っています。ああ、このころの芥川賞はレベルが高かったなと改めて思いました。これからもよろしく。 (2004年02月01日 23時52分57秒)

Re:Re:『ダイヤモンドダスト』 rugermanさんへ  
123mao  さん
はじめまして。書込みありがとうございます。<br>猫ゆりさん経由で、何度かおじゃましてました。<br><br>>『ダイヤモンドダスト』は芥川賞受賞時に、ということは相当前ですね・・・・・・読みました。とっても良い作品で印象に残っています。<br><br>きちんと表現出来ないですが、読んで良かったなと思わせる内容でした。ずしりと響くものがありました。<br><br>>ああ、このころの芥川賞はレベルが高かったなと改めて思いました。これからもよろしく。<br><br>私は、リアルタイムで読むことがほとんどなく、芥川賞読むぞ!といって手にとるわけでもないので、昔と今の違いなどは良く分かりません。過去の受賞作で「これはどうかな?」と言うのもありましたし。まぁ、今回の選考にはいろいろと思惑があるだろうな、というのは明白ですが・・・。作品を読んでいないので、何とも言えません。<br><br>私も、たびたびお伺いします。<br>こちらこそよろしくお願いします。<br> (2004年02月02日 07時17分12秒)

Re:『ダイヤモンドダスト』 南木佳士(1/30)  
この本もかなり惹かれたんですよ。<br>買うまではいかなかったんですけど。<br>やっぱり良さそうですね。<br>また見つけたら買います。<br>ところで、<br><br>>【なぎけいし】<br><br>こんな読み方だとは思ってもみませんでした。ビックリ!<br>なんか、名前が「漢字」として印象に残っていて、読み方まで頭が回っていませんでした。<br> (2004年02月02日 18時26分33秒)

Re:Re:『ダイヤモンドダスト』 かま玉うどんさんへ  
123mao  さん
>この本もかなり惹かれたんですよ。<br>買うまではいかなかったんですけど。<br><br>ありますよね~、そういうの。<br>“気になるけど、まだいいや”と。あと皆さんの日記を読んで、その時は、買うぞ!とまでは思っていなかったのに、本屋で見つけると思わず手にとってしまったり・・・<br><br>>【なぎけいし】<br>こんな読み方だとは思ってもみませんでした。ビックリ!<br>なんか、名前が「漢字」として印象に残っていて、読み方まで頭が回っていませんでした。<br><br>これまた良くありますよね。私も良く。字面だけで記憶してしまいます。思い込みで読み違えている方も、結構います。<br> (2004年02月03日 00時14分46秒)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: