Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2005/04/05
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カテゴリ: BAR
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 「この世に、永遠というものはない」。そんな言葉を以前、ある本で読んだ。確かに、人は貴賤を問わず、必ず死ぬ。形のあるものも、いつか不幸にして壊れることがある。その業界では老舗といわれる大会社だって、昨今は、瞬く間に姿を消してしまう。

 BARも然り。銀座の名BAR「クール」は2003年11月、55年の歴史に幕を閉じた。オーナーの古川録郎さんは、後継者を作らず、自ら幕を引いた。「それが古川さんの美学だったのでしょう」と、ある銀座のバーテンダーは語った(そう言えば、神戸の名BARとして知られた「神戸ハイボール」の河村さんも、後継者を作らず、自分一代で店を閉じてしまった)サン・スーシー

 「クール」に先立つこと数年前、銀座6丁目で1軒の老舗BARが店を閉じた。「サン・スーシー(Sans Souci)」( 写真右 は、店の正面)。フランス語で「憂いなし」という意味の店名は、文豪・谷崎潤一郎の命名という(谷崎は「サンボア」の名付け親でもある。よほどBAR好きの酒飲みだったんだろうなぁ…)。

 「サン・スーシー」は交詢社ビル( 写真左 )という銀座のランドマークとして有名な建物の1階に、昭和4年(1929)、開店した。初代オーナーは西川千代さんという女性だった。「舶来物に関心が強く、ハイカラな女性だった」西川さんは、当時は珍しかった、洋酒を飲ませるBARを開く。そして、店は新しもの好きの作家や、会社経営者、船会社の関係者らに長く愛されてきた。交詢社ビル

 それが、交詢社ビルの建て替えに伴って、2000年に店を閉じることになってしまった(実際はもう少し早く閉店したのかも)。僕が、「サン・スーシー」に初めてお邪魔したのは、もう20年以上前だろうか。

 店のオーナーは、千代さんの娘である、と志さんに代変わりしていたが、店の内装やステンドグラスの窓など、レトロな雰囲気は(たぶん)昔のままだった。と志さんやカウンターのバーテンダーの方は、関西から来た若造を実に温かく迎えてくれた。

 カウンターの後ろには、ゆったりとしたスペースに広いソファ席もあって、BARというより、サロンかラウンジのようで、家庭的な感じの店だった。音楽はない、静かな空間。本でも読みながら飲むと、とても似合いそうな雰囲気だった。

 その「サン・スーシー」も、今はない。なぜ建て替え後の交詢社ビルにテナントとして入らなかったのか、不思議で仕方がない。最後は、と志さんの娘の富美子さんが3代目を継いでいたが、その後の消息は知らない(移転したという噂も聞いたが本当なのだろうか?)。

 大阪でも「仏蘭西屋」「Be-in」、神戸でも「神戸ハイボール」「ルル」「ギルビー」などという素敵なBARが、今はもう、なくなってしまった。店を閉じた理由(事情)は、さまざまだ。「この世に、永遠というものはない」と分かってはいても、通いつめたBAR好きの人間にとっては、やはり寂しさだけが残る。






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うらんかんろ

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Comments

kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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