Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2009/07/09
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 ブログでお店のことを書く際の法律上の注意点について、友人でもある弁護士のやまうちんさんがお忙しい中、私の度重なる質問に、法律家として的確な助言を下さいました。この場を借りて心から感謝いたします。

 せっかくなので、頂いた貴重な助言に、その後私が改めて確認した(学んだ)名誉毀損罪等の一般的・基礎知識を参考にしながら、自戒を込めて自分なりにポイントを整理してみました。ブログなどSNSをされている方には、きっと参考になると思いますし、かつ常に頭の片隅に覚えておかねばならない大切なルールだと思います。
 (※やまうちんさん、もし小生の理解・解釈が間違っていたら、ご指摘くださいませ。他にも、この辺りの法律に詳しい方がいらっしゃれば、よろしくお願いいたします)。

1.訪れたお店を感想等を了解なくネット上で書いてよいのか?

 店側の了解を取る必要はありません。私たちは公権力との関係では、「表現の自由」(憲法第21条)を有しています。私人の間においても、書きたいことを書くに際して了解を取らないといけないような義務などはありません。感想、意見、論評の程度であれば、まず何の問題もありません。「世間に出て自分の顔と名前で商売をしながら、『了解もなく書いてくれるな』と言うのは不合理」というのが法律解釈上の多数意見です。

 ただし(※この段落は私の意見です)、了解なく書いたことを後に店側が知って、「了解なしに書くのは違法行為」という間違った認識を持っていた場合はトラブルことになります。しかし、もし好意的な紹介内容なら、書かれて困るという店はほとんどないでしょう。私もそういうクレームは過去一度も受けていません。そのためにも、普段から馴染みの店とは良好な信頼関係を保ち、旅先で初めて訪れた店には好印象を与えておくことも大切でしょう。

2.書いた内容で問題になるケースは?

 書いた内容が、誹謗中傷であったり、ことさらに他人の名誉やプライバシーを侵害するものであったり、虚偽の事実によって営業を妨害するようなものであったりした場合は、民事上または刑事上の責任を問われるのは当然です(侮辱罪、名誉毀損罪、偽計業務妨害罪等)。

 しばしば問題になる「名誉毀損」の場合、名誉毀損罪が成立するのは、「公然と」「事実を摘示し」「他人の社会的評価が害される危険を生じさせる(た)」場合です。「公然と」とは「不特定多数に知れ渡る状態にした」ということで、ネット上に書いたり、本を出したりする行為等がこれに当たります。また、「事実を摘示」の「事実」とは「虚偽の事実」か「真実」かは問われないということです(※「摘示(てきし)」とはあまり耳慣れない言葉ですが、法律用語としては「要点をかいつまんで示すこと」「あばくこと」を意味するとか)。

 ただし、(1)事実の公益性(2)目的の公共性(3)事実の真実性の証明――の3つの要件を満たせば違法性は免れ、罪には問われません(「違法性阻却事由の規定」=刑法230条第2項)。例えば、「A議員は万引きした」とネット上で書くと、たとえ事実であっても(通常であれば)「名誉毀損」の要件が成立すると思われるかもしれませんが、A議員は公人であるために、当然「公共性」「公益性」があるので書いても罪には問われません。言い方を変えれば、「公共性」「公益性」があれば相手が一般人であったとしても、「名誉毀損」は成立しません。

 なお、侮辱罪、名誉毀損罪は親告罪なので、「被害を受けた」という告訴がなければ訴追されません。

【追記】 たとえ店(相手)を匿名で表記し、内容的にも名誉毀損は成立しない、違法性がない論評・感想・意見であっても、(1)書かれた店(相手)の名前が、たとえごく一部の人にであっても推定できる場合で、かつ(2)店側が不快感を持つような内容が含まれている場合(批判的なことを書いている場合は当然といえば当然ですが…)は、トラブる可能性があります。店側から修正要求などのクレームが来た場合は、弁護士さんに相談することも必要ですが、裁判で争う手間や労力を考えれば、当事者間で直接話し合って解決するしかないでしょう。


3.特定の店(BAR等)を論評したり、批判したりすることに公共性・公益性があるのか?

 まず、その文章が「名誉毀損的な内容でない」「あくまで事実や真実を書いている」ということが前提です。そのうえで、そのお店を論評することの「公共性」「公益性」を考える必要があります。

 「公共性」とは、そのテーマや問題が他の人(お客さん)にも関係あるのかがポイントです。貴方とそのお店(マスター)との個人的な関係のなかでの話なら、微妙です。論評した問題が他の人にも影響を及ぼす可能性があることが必要です。
 「公益性」とは、単なる悪口や腹いせ、個人攻撃ではなく、例えば、「この店は他のお客さんにも同じことをやっているかもしれないから、注意を呼びかけたい」という正当な目的がなければなりません。

 有名シェフ(マスター)や有名人が経営するようなお店なら、当然、「公共性」「公益性」がある訳ですが、たとえ有名人でない人が営んでるお店でも、常連さんが多くいる場合は「公共性」がありますし、ネット上や出版物上でそのお店について感想・意見を述べたり、論評したりすることにも当然「公益性」があると言えます。

4.その論評・批判において、相手を匿名にした場合は?

 名誉毀損は「公然性」が必要ですから、実名をさらさなければ原則として名誉毀損は成立しません。しかし、その内容に本人の特定につながるようなデータが含まれておれば、「公然性」が認められ、論評内容によっては名誉毀損になるケースもあります。

 批判的な論評を公表する場合に、「公共性」や「公益性」に100%自信が持てなければ、実名は出さない方がいいと私は考えていますので、ブログでも、本でも批判的な記述の際は、原則として相手は「匿名」にしています。

5.ブログで書いたお店の訪問記・感想を、(1)本にして個人的なルートで無料で配る場合、(2)本にして個人ルートで販売する場合、(3)本にして一般書店ルートで販売する場合--のいずれも店側の「了解をとる」必要はあるのか?

 上記3種の配布方法はいずれも、ブログ(ネット)上で書く場合と同じ考え方で、原則として「了解を取る」必要はありません。
 ただし、内容に名誉毀損的なことが書いてあれば問題になるのは言うまでもありません。配布規模の違いはあれ、ブログと同様に不特定多数の読者を想定している以上、ネットでも、個人出版でも、書店販売でも、名誉毀損(罪)や侮辱(罪)は成立します。

 言わずもがなですが、「了解を取る必要がない」のは、憲法第21条で認められている「表現の自由」が故であって、不特定多数の読者を想定していることが理由ではありません。

6.BARで撮った店内の風景(バック・バー等)や、お酒(ボトルやカクテル)の写真を、了解なくブログまたは本で公開(使用)するのは法的に問題ないのか?

 違法性はありません(=やまうちんさんは「個人的な見解、解釈」と断っておられます)。自宅の中など、他人が出入りすることを前提としない場所は、プライバシー空間ということで、それを写して公開すればプライバシー侵害になります。名誉棄損罪という犯罪はありますが、プライバシー侵害罪という犯罪はないので(どこかの条例くらいには引っかかるかも知れませんが)、民事上の精神的苦痛に対する賠償の問題となります。

 しかし、BARは、いちおうは開かれた場であり、プライバシー空間ではないので、撮影と公開は、違法とはなりません。これはあくまでマナーのレベルの問題です。仮に、店舗入り口に「撮影禁止」と掲げておけば、そこに来る客はその「条件」を承諾したことになり、一種の「契約」が発生して、撮影・公開してはならない義務を負うと解することもできます(寺社仏閣などにはこれが多いです)が、さすがにBARでそういう無粋な看板を掲げるようなところはないでしょう。

7.BARで撮ったマスターの顔が写った写真(あるいはたまたま撮ったら写っていた写真)を、了解なくブログまたは本で公開(使用)するのは法的に問題ないのか?

 人の容貌となってくると微妙です。公権力との関係では、国民は「みだりに容貌を撮影されない」という憲法上の権利を有します。根拠は「個人の尊重・尊厳」を規定した憲法13条で、幸福追求権にこれが含まれると最高裁も認めています。

 しかし、私人の間においては、撮影・公開を禁止するような直接的な根拠規定は何もありません。結局、一般的な話に戻って、ことさらに当人に不快感、不安感を与えるような態様で撮影・公開したとすれば、プライバシーや人格権の侵害を根拠にして民事上の責任が発生します。また、写真とともにその人を誹謗中傷するようなことを書き加えれば、名誉毀損や侮辱罪といった刑法上の問題が発生します。あとはマナーの問題に委ねられます。


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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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