Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

2011/02/17
XML
カテゴリ: カクテルブック
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
  コクテール

【編者おことわり】 本書で登場するカクテルはアルファベット順でも、五十音順でも、ベース別でもなく、なぜか「イロハニホヘト順」となっている。なお、原著では頭の番号は付られていないが、復刻版では便宜上、番号を付した。また、原著のレシピでは副材料→ベースとなる酒の順で紹介されているが、復刻版ではベースとなる酒→副材料の順で紹介することにした。各カクテルには、可能な限り補足的な 【注】 を添えた。

【注】 の中で、比較の意味で頻繁に例をひいたハリー・マッケルホーン(Harry MacElhone)のカクテルブック「Harry’s ABC of Mixing Cocktails」は1919年の発刊、サヴォイ・ホテルのチーフバンテンダーだったハリー・クラドック(Harry Craddock)が著した「サヴォイ・カクテルブック(Savoy Cocktail Book)」は1930年の発刊である。1924年に世に出た本書「コクテール」は、その歴史的な二大カクテルブックのほぼ中間の時期に、はるか遠く離れた東洋の国で発刊された名著である。


1.インカコクテール【注1】
 調合グラスに約半分の氷を入れ之に

 プリマウス・ジン 【注2】       三分の一オンス  
 フレンチベルモット 【注3】      三分の一オンス
 ドライパール・セリー 【注4】     三分の一オンス
 オルゲートシロップ 【注5】  二振り    オレンジビタ 二振り

 を加え、バースプーンにてよく攪(か)き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之れに小さいパインアップルの一切れ及びレモン皮の小片を入れてすすめる。


【注1】 「インカ(Inca)コクテール」は、ハリー・マッケルホーンの本やサヴォイ・カクテルブックにも登場する古典的なカクテルの一つだが、両書では、上記に加えてスイートベルモットも使うレシピとなっている。前田氏のレシピは何に依拠しているのかは不明。

【注2】 「プリマウス・ジン」は現在の一般的な表記では、「プリマス・ジン」(Plymouth Gin)。英海軍基地のあるプリマスで製造されている歴史と伝統あるジン。ギムレットのオリジナル・レシピで使用されたジンとしても有名だ。

【注3】 「フレンチベルモット」とは、今で言う「ドライベルモット」を指す。

【注4】 「ドライパール・セリー」の「セリー」とは「シェリー」のこと。「パール」とは現代の表記では「ペール(Pale)」。「ドライペール・シェリー」とは、残糖分が限りなくゼロに近いフィノ・タイプのシェリーのこと、或いはフィノに濃縮ぶどう果汁を少量加えたフルーティなシェリーのこと。

【注5】 「オルゲート(Orgeat)・シロップ」とはビター・アーモンド・シロップのこと。オルジェート・シロップとも呼ばれる。現在でも「MONIN(モナン)」社のシロップ・シリーズで入手可能。


…………………………………………………………………………………………
2.イミニテーブルコクテール【注6】
 コクテールグラスに小さい氷の一塊を入れ之に

 オールドトム・ジンまたはドライジン  一オンス
 砂糖  テースプーン半杯    アンゴスチュラビタ  一振り

 を加え、レモンの皮の小片を搾り込み、テースプーンにて静かに混和してすすめる。


【注6】 「イミニテーブルコクテール」は、現時点では前田氏の本以外では見当たらないカクテル。「イミニテーブル」とはどういう意味かは不明。英語表記の綴りで似たような言葉には「immutable(不変の、変えられない)」があるが…。


…………………………………………………………………………………………
3.インデアコクテール【注7】
 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に

 ブランデー     一オンス  アンゴスチュラビタ  一振り
 オレンジキュラソー 一振り   マラスチノー     一振り

 を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、一個のマラチノー・チェリーを入れ、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。


【注7】 「インデアコクテール」は、現時点では前田氏の本以外では見当たらないカクテル。


…………………………………………………………………………………………
4.イディスコクテール【注8】
 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に

 アニセット        三分の二オンス
 アブサン         三分の一オンス
 アンゴスチュラビタ    二振り 

 を加え、よくセーク(攪拌)したる後、コクテールグラスに注ぎ、之にパインアップルの小片を入れてすすめる。


【注8】 「イディスコクテール」は、現時点では前田氏の本以外では見当たらないカクテル。「イディス」も何を指すのかは不明。「セントイデス(St.Ides)」というハーブ系ベルギービールの銘柄があるが、このカクテルもレシピを見れば、ハーブ系の酒が中心なので、その辺りと関係あるのかもしれない。


…………………………………………………………………………………………
5.ロンドンコクテール【注9】
 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に

 ロンドン・ドライジン   一オンス
 オレンジビタ  一振り   ガムシロップ  一振り
 アブサン    一振り   

 を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之にオリーブを加え、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。


【注9】 「ロンドンコクテール」は、サヴォイ・カクテルブックにも登場する古典的カクテル。前田氏のレシピはサヴォイのと同じだが、サヴォイはシェイク・スタイル。


…………………………………………………………………………………………
6.ロンツリーコクテール【注10】
 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に

 オールドトム・ジン或いはドライジン  一オンス
 フレンチベルモット  少量

 を加え、稍(やや)久しくセーク(攪拌)したる後、コクテールグラスに注いですすめる。


【注10】 「ロンツリーコクテール」は、「ローンツリー(Lone Tree)」の名でサヴォイ・カクテルブックやNBAカクテルブック(1963年刊)にも紹介されているが、サヴォイやNBAのレシピ(ジン、ドライベルモット、スイートベルモット各3分の1ずつ、オレンジビターズ2dash)は前田氏のとかなり異なっている。


…………………………………………………………………………………………
7.ロブロアコクテール【注11】
 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に

 ライ・ウイスキー    二分の一オンス
 フレンチベルモット   二分の一オンス
 キュラソー  一、二振り   アンゴスチュラビタ  一振り

 を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之に一個のマラスチノー・チェリーを加え、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。

【注11】 「ロブロアコクテール」(現代の表記では「ロブロイ(Rob-Roy)」)は、ハリー・マッケルホーンのカクテルブック(改訂版)や、サヴォイ・カクテルブックにも登場する代表的な古典的カクテルの一つ。後書の著者でもあり、サヴォイ・ホテルのバーテンダーだったハリー・クラドックが、1920年代前半に考案したと伝わるが、渡英前のクラドックが1910年代に米ニューヨークで考案し、渡英後にサヴォイ・ホテルで職を得てから発表したという説もある。
 前田氏は、現代の標準的なレシピではスイートベルモットを使うところをフレンチ(ドライ)ベルモットを使い、さらにキュラソーも少し加えるなど、若干異なったレシピにしている。


…………………………………………………………………………………………
8.ロシングトンコクテール【注12】
 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に

 ゴルドン・ドライジン 【注13】   三分の二オンス
 チンザノ(スイート)ベルモット 三分の一オンス
 オレンジジュース  少量

 を加え、よくセーク(攪拌)したる後、コクテールグラスに注ぎ、之にオレンジの皮を浮かべてすすめる。


【注12】 「ロシングトンコクテール」は、サヴォイ・カクテルブックにも「ロージントン(Rosington)・カクテル」の名で紹介されている。前田氏のレシピはサヴォイにほぼ同じ。

【注13】 言わずもがなだが、「ゴードン・ドライジン」のこと。


…………………………………………………………………………………………
9. ロワイヤールコクテール【注14】
 調合グラスに約半分の砕き氷を入れ之に

 オールドトム・ジン     三分の二オンス
 デュボンネット 【注15】   三分の一オンス
 オレンジビタ  一振り   アンゴスチュラビタ  一振り

 を加え、バースプーンにてよく攪き廻したる後、コクテールグラスに漉し、之に一個のマラスチノー・チェリーを加え、尚ほレモン皮の小片を搾り込んですすめる。


【注14】 ハリー・マッケルホーンの本やサヴォイ・カクテルブックにも同名の「ロイヤル(Royal)・カクテル」カクテルが登場するが、レシピ(ジン+ドライベルモット+チェリー・ブランデー+マラスキーノ)は前田氏のものと大きく異なっている。このレシピが前田氏の創作かどうかは不明。

【注15】 「デュボンネット」とは、赤ワインにキナの樹皮、オレンジの皮、コーヒー豆とスパイスを漬け込んで、樫樽で熟成させたリキュールで、欧州では食前酒として親しまれている。名前は、1800年代中頃に考案したデュボネ氏に由来する。現在では、単に「デュボネ」と表記されるのが一般的。


…………………………………………………………………………………………
10. ロングレンジコクテール【注16】
 コクテールセーカに二三塊の氷を入れ之に

 伊太利ベルモット 【注17】  五分の二オンス
 アブサン         五分の二オンス
 ブランデー        五分の一オンス
 ガムシロップ  一振り    アンゴスチュラビタ  一振り

 を加え、よくセーク(攪拌)し、レモンの皮を搾りたる二三滴の汁を以て内面を濡らしたるコクテールグラスに注いですすめる。


【注16】 「ロングレンジ(Long Range)コクテール」は、現時点では前田氏の本にしか見られないカクテルである。

【注17】 「伊太利ベルモット」とは、現在の「スイートベルモット」を指す。

…………………………………………………………………………………………

※復刻版監修者の能力不足のために不明の点が多々あります。もしご教示頂ける点がありましたら、メール(arkwez@gmail.com)でお寄せいただければ幸いです。


こちらもクリックして見てねー! 【人気ブログランキング】






PR

Profile

うらんかんろ

うらんかんろ

Comments

汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

Free Space

▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。 ▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

神戸の残り香 [ 成田一徹 ]
価格:1980円(税込、送料無料) (2021/5/29時点)


▼コロナ禍の家飲みには、Bar UKのハウス・ウイスキーでもあるDewar's White Labelはいかが?ハイボールに最も相性が良いウイスキーですよ。 ▼ワンランク上の家飲みはいかが? Bar UKのおすすめは、”アイラの女王”ボウモア(Bowmore)です。バランスの良さに定評がある、スモーキーなモルト。ぜひストレートかロックでゆっくりと味わってみてください。クールダウンのチェイサー(水)もお忘れなく…。

Favorite Blog

「続^8・実山椒のし… はなだんなさん

LADY BIRD の こんな… Lady Birdさん
きのこ徒然日誌  … aracashiさん
きんちゃんの部屋へ… きんちゃん1690さん
猫じゃらしの猫まんま 武則天さん
久里風のホームページ 久里風さん
閑話休題 ~今日を… 汪(ワン)さん
BARで描く絵日記 パブデ・ピカソさん
ブログ版 南堀江法… やまうち27さん
イタリアワインと音… yoda3さん

© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: