Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2015/10/11
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 「チェコの人って、お酒は何を飲むんですか?」。旅から帰ってきてよく聞かれた質問です。

 チェコは言わずもがなですが、ビール大国です。世界最大のホップ生産国で、チェコ国民一人当たりの年間ビール消費量は約130リットル(3日でほぼ1リットルも!飲んでる計算)で、世界一なんだそうです。従って、最初の質問の答は「圧倒的にビール」です(ワインも少しは飲まれるようですが…)。

 チェコ国内には大小様々なビールメーカーがあり、現在ではビールの主流になっているピルスナータイプ(下面発酵)のラガー・ビールは、チェコで誕生したと言われています。プラハなど大都市の街中にはたくさんのビアホール(チェコ語では「ホスポダ(Hospoda)」と言い、ビール居酒屋のような雰囲気)があり、店内に醸造設備を持ち、自家製のビールを提供している処も少なくありません。

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 チェコ国民に言わせれば、ビールは酒ではなく「液状のパン」なのだとか(笑)。お値段も中ジョッキ1杯(500mlくらい)で30~40コルナ(150~200円)くらいと、信じられないほどリーズナブルです。今回はたくさんの種類のビールを飲みましたが、どの銘柄も飲みやすくて、美味しかったのは意外な驚きでした(写真は、ライトアップされた夜の旧市庁舎。プラハは日が暮れてからも美しい街です)。

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 残念ながら、チェコのビールの知名度は(ドイツやベルギーのビールに比べると)日本ではいまいちです。チェコ三大有名メーカーの銘柄「ウルクェル」「ブドヴァル」「スタロプラメン」(写真=昼間のカフェで)は、ネット通販なら日本でも購入できますが、大手の量販店ではほとんど見かけません。日本人の口にもきっと合うと思うので、チェコのビールをもっとPRしてほしいと思うのは僕だけでないでしょう。
 ちなみに、「ブドヴァル」を販売する国営会社の銘柄「ブドヴァイゼル(Budweiser)」にちなんで、米国のアンハイザー・ブッシュ社(現在はベルギー資本が買収)が製造・販売し始めた「バドワイザー」は訴訟沙汰となり、現在でも欧州では「バドワイザー」名で販売できないとか。

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 さて、2日目の晩ご飯は初日の夜に「貸し切りで満席」とふられた、市民会館地下のホスポダ「プルゼニュスカー・レスタウラツェ」へ。ところが時間が少し遅かったせいか「あいにく、40分待ちです。待たれますか?」。ここまで来たからには「はい、待ちます」。でも、隣のウェイティング・バーで飲んでいると幸い、20分ほどで呼ばれました。

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 店は大バコですが、今夜も満員の盛況です。欧米人の団体客が目立ち、初日の店とは違って、アジア系の客はほとんど見かけません。

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 店の内装はアールヌーヴォー様式で、ミュシャの絵のような趣のある壁画には歴史の重みが漂い、木製の椅子やテーブルもとても年代を感じます。

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 灯りや窓など、細部にまでこだわったインテリアが素敵です。市民会館自体は1911年の完成なのでもう100年以上。このホスポダもおそらく相当長い歴史がある老舗なのでしょう。

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 とりあえず、ビール。メニューの一番上の一般的なものを頼んだのですが、少し濃いタイプです。でも旨いです。「ナ・ズドラヴィー(乾杯!)」。

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 サワー・クリーム系のソースを焼いた牛肉にかけた「スヴィーチェコヴァ・ナ・スメタニェ」という料理。ビールにとてもよく合います。周囲にはマッシュポテト。

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 「グラーシュ」という地元の代表的な料理。パプリカをたっぷり使い、刻んだ牛肉とジャガイモが入ったシチューという感じ(パンと一緒に食べます)。聞けば、「グラーシュ」はハンガリーやオーストリアなどの隣国でもポピュラーな料理なんだとか。

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 店内では時折、アコーディオンとベース&歌のバンドが入ります。客も一緒に歌いやすいように、演奏されるのは欧米でも有名な曲が多いみたいです。歌が入るとさらに賑やかになり、広い店内は一体感に包まれます。2日目の夜もしっかりお腹がいっぱいとなりました。それでは、「プラチット、プロスィーム(お勘定お願いします!)」。

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 最後の写真は、すみません、食事とはまったく無関係な1枚です。泊っていたホテルの近くにろう人形館がありました。毎日、何度も何度もその前を通りましたが、その際、ロビーに座っているジョン・レノンが嫌でも目に入ってきました。

 レノンとチェコと、どういう関係があるんだろう?と思い、少し調べてみました。すると、民主化実現の「無血革命」(1989年)の原動力となった若い世代を後押ししたのは、レノンの「愛と平和の思想」だったという分析もあることを知りました。レノンが凶弾に倒れたのは、革命9年前の1980年。悲報はチェコの若者にも届き、レノンを弔う一人の若者がカレル橋のそばで描き始めたのをきっかけに、多くの若者がその壁に思い思いのメッセージを絵や言葉で残しました。名曲「イマジン」は今もチェコの若い世代の愛唱歌で、「レノンの壁」は現在、プラハの名所の一つにもなっています(壁画を見たい方は、 こちらのページへ )。

<プラハ編(6)>へ続く。


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Last updated  2015/10/12 09:25:43 AM
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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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