Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2021/12/31
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カテゴリ: ITTETSU GALLERY
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 ITTETSU GALLERY:もう一つの成田一徹(421)~(440)

 バー・シーンを描いた切り絵で有名な成田一徹(1949~2012)ですが、実は、バー以外をテーマにした幅広いジャンルの切り絵も、数多く手掛けています。花、鳥、動物、職人の仕事、街の風景、庶民の暮らし、歴史、時代物(江戸情緒など)、歴史上の人物、伝統行事・習俗、生まれ故郷の神戸、小説やエッセイの挿絵、切り絵教則本のためのお手本等々。

 今回、バー・シーンとは一味違った「一徹アート」の魅力を、一人でも多くの皆さんに知ってもらいたいと願って、膨大な作品群のなかから、厳選した逸品を1点ずつ紹介していこうと思います(※一部、バー関係をテーマにした作品も含まれますが、ご了承ください)。
※故・成田一徹氏の切り絵など作品の著作権は、「Office Ittetsu」が所有しております。許可のない転載・複製や二次利用は著作権法違反であり、固くお断りいたします。




(421)かまくら(上)  1992年
 ※「冬」をテーマにした一徹氏の作品、きょうは雪国の風物詩でもある「かまくら」を。大手旅行会社からの依頼で、空港リムジンバス車内の中で読んでもらう英文の観光ガイドの挿絵として制作された。実際に掲載されたのはカラー版だが、一徹氏の遺品の中にはなぜかモノトーン版も残されていた。







(422)かまくら(下)  1990年代&2000年代
 ※昨日に続き、雪国の風物詩「かまくら」をテーマにした作品を。探してみたら、まだ2点あったので、まとめてご紹介。1枚目(90年代)は自著の切り絵技法書の「作例」として収録。2枚目は落款があるので、おそらくは2000年代に、何かの挿絵として制作されたのだろう(斜めに傾けて描いた意図は不明です)。





(423)焚き火  1990年代前半
 ※本日も冬の風物詩で、「焚き火」と題された作品。子どもたちの表情がかわいい。自著の切り絵技法書の「作例」として制作された。





(424)討ち入り  1994年
  ※「討ち入り」題されたこの作品は、作家・半藤一利氏の連載エッセイ「歴史探偵かんじん帳」(1994~95年、毎日新聞日曜版)の挿絵として制作された。討ち入りを終えた後、雪道を歩く浪士たち。その足元だけを描いた一枚。一輪の落椿が良いアクセントとなり、絵全体を引き締めている。
 きょう12月14日は、かの「赤穂浪士」の討ち入りがあった日として歴史に記録されている。今から319年前、元禄15年(1702年)の出来事である(ただし、12月14日は旧暦なので、新暦では1月30日だという)。
 歌舞伎や映画、ドラマになるほど有名な事件なので、詳細は省くが、大石内蔵助率いる赤穂藩の武士四十七人が、江戸・本所松坂町(現在の両国辺り)にあった、吉良上野介邸に討ち入り、亡き主君・浅野内匠頭の恨みを晴らすために、吉良の首を取った事件である。
 発端は、前年江戸城内・松の廊下であった浅野と吉良の刃傷沙汰だった。この事件で浅野は即日切腹させられたが、吉良にはお咎めなし。赤穂藩はお取り潰しとなった。この幕府による「不公平な裁定」に憤慨した大石以下の家来が、亡き主君の仇をとるために決起したというのである。細かい部分では、いまだに諸説あるが大筋ではこういう話である。
 個人的には、15年ほど前、両国の吉良邸跡(現在もごく一部が残り、碑が立っている)と、四十七士が眠る高輪の泉岳寺を訪れたことがある(討ち入り2カ月後、1人を除き「切腹」の処断を受けた)。墓石に刻まれた年齢を見ると、10代、20代も目立つ。自分がもし彼らと同じ立場だったら、最後まで「志を貫く」ことが出来ただろうかと自問した記憶がある。









(425)Merry Christmas!<1>サンタ三態(カラー)  1990年代~2000年代
 ※本日からクリスマス本番の25日までの間は、一徹氏が描いたクリスマスにちなむ作品をシリーズで紹介する。1回目は、カラー切り絵で制作されたサンタクロースを。1枚目は、何度か登場している「八・一トリオ」の3人展告知はがきのための作品(2002年)。2枚目、3枚目は、93~95年頃、毎日新聞休刊日お知らせチラシのために制作された。









(426)Merry Christmas!<2>サンタ三態(モノトーン1)  1990年代
 ※本日も「クリスマス」にちなんだ作品で、一徹氏が得意にしていたテーマ、「サンタクロース」を、昨日に続き紹介する。きょうと明日はモノトーンの傑作をお楽しみください。いずれも自著の切り絵技法書の「作例」として制作された。









(427)Merry Chistmas!<3>サンタ三態(モノトーン2)  1990年代
 ※本日も「クリスマス」にちなんだ作品で、一徹氏が得意にしていた「サンタクロース」を紹介する。きょうはモノトーンの傑作をさらに三つお楽しみください。いずれも自著の切り絵技法書の「作例」として制作された(3枚目の作品は、一昨日紹介したカラー作品のバリエーションんとも言える)。









(428)Merry Christmas!<4>サンタとトナカイ  1980年代末&1990年代前半
 ※「クリスマス」にちなむ作品シリーズ。本日はサンタクロースとトナカイという鉄板コンビ。1枚目は(80年代末に)友人の娘さんのためにつくったクリスマスカードで、実際に贈られた。少し見えにくいが、右下に茶色い文字で「T. Narita」とのサインがある。2枚目と3枚目は90年代前半、自著の切り絵技法書の「作例」として制作された。3枚目の図柄、一徹氏のユーモアのセンスが、ほのぼのと楽しい雰囲気を生み出している。





(429)Merry Christmas!<5>はり絵のサンタ  1980年代末
 ※「クリスマス」にちなむ作品シリーズ。本日は、厳密に言えば切り絵と言うより「はり絵」かもしれない。金と銀の紙を切って黒い紙に貼り付けたもの。余白には銀文字で「Here comes Santa Claus」と。シンプルだが、おしゃれで、センスの良さがにじむ作品だと思う。これも昨日の1枚目と同じ友人の娘さんのためにクリスマスカードとして贈られた。









(430)Merry Christmas!<6>子どもたちのクリスマス  1990年代前半
 ※「クリスマス」にちなむ作品シリーズ。本日は、子どもたちが登場する。一徹氏は他にも、「子どもを登場させるクリスマス」を描いた作品を残しているが、私はこの3枚が一番気に入っている。









(431)Merry Christmas!<7>クリスマス・キャンドル  1990年代
 ※「クリスマス」にちなむ作品シリーズ。本日は、キャンドルの絵を。遺された作品には、同じようなクリスマスのキャンドルをテーマに制作した絵が3点あった。どの順番で制作したのかは不明だが、試行錯誤の跡がうかがえる。貴方はどれが一番お好き?





(432)Merry Christmas!<8>クリスマス・リース  1990年代前半
 ※「クリスマス」にちなむ作品シリーズ。本日は、リース。昔はリースって何という感じだったが、近頃は、自宅の玄関や室内に飾る人も増えた。この作品は、自著の切り絵技法書の「作例」として制作された。











(433)Merry Christmas!<9>クリスマスちなむ作品あれこれ  1990年代前半
 ※「クリスマス」にちなむ作品シリーズ。本日は、クリスマスにちなんだ作品をあれこれと4点。いずれも自著の切り絵技法書の「作例」として収録された。





(434)Merry Christmas!<10>ウェルカム・ボードのためのデザイン  1990年代前半
 ※「クリスマス」にちなむ作品シリーズもあと2回となりました。ラス前の本日は、クリスマス・パーティーの会場入り口に置かれるウェルカム・ボードのために一徹氏が考えたプラン。実際にボードが制作されたのかは分からないが、楽しい図柄に仕上がっている。自著の切り絵技法書の「作例」としても収録された。







(435)Merry Christmas!<11=最終回>猫サンタ(2態)  2000年代前半
 ※「クリスマス」にちなむ作品シリーズも本日が最終回。最後にご紹介するのは、猫のモチーフが大好きな一徹さんならでは可愛い作品を2点。右側の絵は「八・一トリオ+1」のクリスマス展(2004年)の案内はがきのために制作された。





(436)小雪の中、歩く男  1980年代前半  デッサン用黒鉛筆&水彩
 ※クリスマスも終わって、次はお正月を待つ。全国的に雪予報が目立つ26日。強い寒気が列島を覆っている。本日紹介するのは、スケッチブックに残されていたプロデビュー前の作品。空には鉛色した雪雲。小雪が舞う中、トレンチコート姿の男が、落葉した林の方に向かって歩く後ろ姿である。モデルは誰かは分からない。上京する決意はしたものの、絵(自分の画力)だけでプロとして生きてゆく厳しさはどれ程のものか。未知の世界へ踏み込んで行こうとする自分自身を、このコート姿の男に重ねたのかどうか…。





(437)てっさ(ふぐ刺し)  2007年
 ※冬の鍋の王様と言えば、やはり「ふぐ(てっちり)」ではないか。とりわけ、ふぐ刺の「てっさ」は極上至福の旨さ。私も昨晩はこの冬初めて、家で「てっちり」と「てっさ」を堪能した。という訳で、本日は一徹氏が描いた「てっさ」の絵を。この作品は落語家・桂文楽氏の連載エッセイ「四角い顔で まぁーるいイキ噺」(2005~2007年、週刊実話誌上)の第73回の挿絵として制作された。





(438)干し餅  1990年代前半
 ※「干し餅」はエネルギー源が豊富で、腹持ちのよい保存食。主に東北や信越など寒い地方の家庭(主に農家)で造られ、地域によっては「凍り餅」ともよばれる。通常より水を多く加えてついた餅を切り、わらで長く編んで、寒い日に屋外に吊るして凍らせ、さらに風干しにする。風干しの光景は冬の風物詩でもある。
 そのままでも食べることができるが、軽く焼けば米の甘みが感じられて美味しい。造る際、ごまや煎り大豆、しその葉、クルミなど様々な具を入れたりもする。ただし、寒さの中で造る手間の大変さや、保存食があまり必要でなくなったこともあり、現代の一般家庭で造られることは稀れかもしれない。





(439)囲炉裏端で  1990年代前半
 ※この作品も自著の切り絵技法書の「作例」として制作された。普通の家では望むべくもないが、寒い冬に、囲炉裏端でアマゴでも焼きながら、熱燗をちびちび味わえたらと夢想してしまう。一徹氏は、徳利をつけた鉄瓶から立ち上がる湯気を余白だけで表現し、あとは見る人の想像力に任せている。





(440)百人一首(藤原基俊)  1990年代後半
 ※百人一首かるたの一枚。昔、京都の祖父母宅で、正月休みに三世代で「かるた」を楽しんだ記憶があるが、小学生の子どもにはかなり難しい遊びだった。
 この切り絵に描かれた人物は藤原基俊(ふじわらのもととし 1056~1142)。絵に登場するのは「契(ちぎ)りおきし させもが露を命にて あはれ今年の秋も去(い)ぬめり」という基俊の歌(元は「千載集」所収)の上の句である。一徹氏が何のために制作したのかはよく分からないが、おそらくは誰かのエッセイか何かの挿絵として制作されたのだろう。
 基俊は平安時代の優れた歌人の一人で、藤原道長の曽孫にあたる。歌の弟子には藤原俊成(定家の父)もいる。現代語訳では「あなたが約束してくださった、させも草についた恵みの露のような言葉を、命綱のように頼ってきましたのに、それもむなしく、今年の秋もすぎてゆくようです」となるそうだ。
 しかし、専門家の解説によれば、この歌には以下のような背景(裏の意味)があるという。
 基俊は(興福寺の僧でもある)我が子の光覚を「名誉ある維摩講の講師に推挙してほしい」と前の太政大臣・藤原忠通にたびたび頼んでいた。熱心な頼みに忠通は「なほ頼め しめぢが原の さしも草 われ世の中に あらむ限りは」(現代語訳「私を一心に頼りなさい。たとえあなたが、しめじが原のヨモギのように思い悩んでいても…」)と応じたが、その年も光覚は講師に選ばれなかった。
 親の願いはなかなか叶えられない。それ故、恨みを込めて「あの約束はどうなったのか。ああ、今年の秋も過ぎていくのか」と嘆いたのだ。「秋の物哀しさと、約束が叶えられてない哀しさを重ねていて、余情が感じられる秀逸な歌」なのだという。斯様に、単純な内容ではない(学者の解説力に脱帽)のだが、要は、子を思う「平安朝の親バカ」の歌でもある。



◆故・成田一徹氏の切り絵など作品の著作権は、「Office Ittetsu」が所有しております。許可のない転載・複製や二次利用は著作権法違反であり、固くお断りいたします (著作権侵害に対する刑罰は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金という結構重いものです)。

※「ITTETSU GALLERY:もうひとつの成田一徹」過去分は、 こちらへ

★過去の総集編ページをご覧になりたい方は、 こちらへ。

【Office Ittetsuからのお願い】成田一徹が残したバー以外のジャンルの切り絵について、近い将来「作品集」の刊行を計画しております。もしこの企画に乗ってくださる出版社がございましたら、arkwez@gmail.com までご連絡ください。


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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。 ▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。
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