ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

May 17, 2009
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カテゴリ: 映画、テレビ
「家政婦は見たっ!」

 フランス映画「夏時間の庭」を鑑賞した。日本でも現在公開中。

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 それぞれに家庭を持ったり外国に移住してたりして普段はバラバラな三人兄妹が、老母の誕生日を機に子連れで賑々しく大集合する場面で映画は幕を開ける。

 やがて母は天寿を全うし、三人には閑静な森の中に建つ広大な邸宅と膨大な数の骨董家具や美術品が遺される。
 思い出とともにそれらを大切にとっておきたいのだが、現実的にはそうもいかない。世代や生活環境が違えば価値観も違ってくる。
 結局は家は売りに出され、家具や絵画は美術館が買い取ることになる。

 三兄妹のなかでは、基本的に長男の微妙な心理がしっとり描かれている。妹も弟も「家」への執着が薄いし、それにみんな自分の生活や家族のことで精一杯。ジュリエット・ビノシュですら、しっぽりと脇に徹し、アメリカかぶれの軽い女をさらりと演じている。しかも金髪だし。

 生まれ育った家とか愛着のある品々を手放すのは誰にとっても辛いはずなのに、この映画、むやみに感傷に浸り過ぎていないとこが気に入った。
 実際、亡き母の謎めいた秘密が明らかになったり、10代の娘が非行に走ったり、彼らは感傷的になってる暇もない。

 特に一家を長年見守ってきた家政士のおばちゃんが好演。もしかしてこの映画の真の主役は彼女なのかもとさえ感じた。

 映画の後半、パリのオルセー美術館での場面も見応えがあった。自分が幼少の頃から見慣れていた母の骨董家具を、長男は「展示品」としてじっと見つめることになる。

 あと、最後の場面が映画の幕開けの場面とうまく対をなしていたのにも観ててスッキリした。1楽章冒頭のアレグロ・ビバーチェの快活な主題が、終楽章コーダで再現されてるような心地よさ?

 フランス映画、おそるべし。
 これといって劇的な展開に欠ける内容なのに、じっくりと魅せていくのはさすが。こうゆう「間」を活かした映画づくりができるのって、フランスのほかには日本だけなんじゃないかと思う。小津安二郎監督を筆頭に。

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最終更新日  May 19, 2009 07:05:01 AM
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