ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Jul 22, 2020
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カテゴリ: 映画、テレビ
「ちょっぴり気が弱いけど素敵な人だから」(評価 ★★☆☆☆ 二つ星)

 テノール歌手ポール・ポッツさんの半生を脚色した映画。舞台はウエールズ。美声だけが取り柄の地味男が、数々の障害を乗り越え、恋を実らせ、テレビの才能発掘系番組に出演する。http://onechance.gaga.ne.jp/

 うーん、映画づくりがあまり浅いという印象。初心者向け映画というか。主人公の波瀾万丈の人生をもっと整理して起承転結/メリハリをつけるか、あるいは、じわじわと盛り上げる演出をしたほうが良かった。なんだか尻切れトンボ。

 てか、音楽ネタなのでぼくはどうしても厳しい目で観てしまう。ほんとはみんなみたいに感動して泣いてみたいんだけれど、いろいろ気になってしまい集中して鑑賞できなかった。あまりに非現実的な演出にドン引き。

 オペラを学ぶなら絶対イタリアじゃなきゃだめ、というのも短絡的な発想だし、そのくせ音楽学校がベネチアのど真ん中で、学生たちは観光しながら声楽家を目指すってのにも苦笑。絵的にはお美しいけど違和感ありまくり。観光促進動画じゃないんだから。
 イタリアで学ぶなら、舞台をミラノにして、連日スカラ座の安い席でホンモノのオペラに触れて感性を磨いていく、とかのほうが現実的。スカラ座の舞台装置とか衣装とかのほうが、ベネチアのお舟の映像よりもこの映画に合うはず。
 ロンドンのロイヤルアルバートホールは登場するけど、荘厳な外観だけ映しといて、せっかくの演奏会場内部の場面はあまりにテキトー。

 主演のジェイムス・コーデンさんに関しては、ミュージカルとかで実際に歌えるお方だし、優れた音感をお持ちなのは有名。でも本作での歌唱場面は全てホンモノのポールさんが吹き替えてるとのこと。ならば別にコーデンさんでなくてもいいはず。もっと田舎者くさい陰気な男を演じられる役者さんのほうが良かった。
 そもそも、恋のお相手嬢が紆余曲折あっても彼と結ばれたのは、彼の美声に惹かれたからではなく「人柄」に魅せられたからみたいだし。

 ちなみにイギリスご出身のコーデンさん、今はご活動の拠点をこちらアメリカに移して大人気。特に司会業としてだけれども、深夜番組で、Carpool Karaoke(彼の運転する車に有名歌手を乗せて一緒に歌唱)とか、Crosswalk The Musical(横断歩道で歌って踊る)とか、ほんとに何でも歌えるみたいで感心してしまう。話術にも長けていらっしゃる。





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最終更新日  Jul 22, 2020 09:42:49 PM
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