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元禄七年五月初めに江戸を発ち、故郷 伊賀に帰りついたのは同月二十八日。
静養も兼ね、伊賀での弟子や親戚筋などへの挨拶回りも済ませ、各地の弟子衆のうちでも、最も愛しんだ弟子達の待つ近江・膳所へむかったのは翌月、 閏五月十六日のことだった。
大津では先ず乙州亭に草鞋を脱ぎ、智月尼や乙州の妻の笑顔に出迎えられた芭蕉の笑顔はいかばかりだったろう・・・
乙州の妻が、用意した湯桶でかいがいしく芭蕉の御足を洗い、座敷に通されると、先に京から来て師匠の到着を待っていた支考・丈草と破顔一笑、久しぶりの再会を喜び合い、 左に 丈草・右に去来像と並ぶ 義仲寺翁堂の芭蕉像)

その夜は、乙州家の女衆 心づくしの近江堅田の小エビや
野菜八珍
を肴に酒を酌み交わしたが、お疲れのご様子を察した智月が目配せし、道中や江戸の話もそこそこに、長旅の骨休めを乙州宅でぐっすりとお休みしたことでした
翌十八日からは膳所の曲水宅に移り、四日ほど逗留。
そこには江戸で入門し、肝胆相照らす彦根藩の上士、許六からも熱烈な彦根来駕要望の手紙も届いていたが、
芭蕉は何故か訪問の機会を、再度来春の江戸下りの折に・・と延ばし、結局再会を果たす事はなかったのは、後々、お互い心残りではあっただろう・・・
曲水宅でのその間、京の去来に直に上京する旨、書を送り、江戸の 杉風、曾良、猪兵衛 宛にもそれぞれ書簡をしたため、旅の纏めに、まだまだ多忙な日々を過ごしていた芭蕉であった
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