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2005.06.25
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前回練習場に使ったアートサロン「Regalo」は音の響きがとてもよかったと書いた。 その音の響きについて思い出したことがある。

アルトリコーダーの個人教授についてからしばらくして、ベネルクス3国を旅行することになった。数年前のことだ。
折角行くのだからベルギーかオランダで笛が買えないか(スペアとしてもう1本欲しい)と思って旅行社に楽器屋の調査をお願いしておいた。

ベルギーについてブラッセル、ゲント、ブルージュと周りアントワープ(アントヴェルペン)に着いたときに添乗員より3軒の楽器屋の店名と住所を紹介された。丁度日本からFAXが届いたみたいだった。

幸いアントワープでは午後から自由時間となっている。午後一番で市内をぐるり回る乗合馬車に乗って大体土地勘を得、市庁舎のそばのインフォメーションに駆け込む。(上の写真は市庁舎)

さて3軒のうち、どれにしようか? 迷ったがそのなかに「Pro Arte」という店が眼にとまった。 ここならリコーダーを置いているかもしれない。ほかの店は行ってみたらCDだけしか売っていなかったなどというのでは困る。直感でこの店に決め、所在を尋ねた。

インフォメーションではcity map上に印を付けてくれ、ここだという。幸いにもそう遠くなさそうだ。しかも大通り(通りの名前は忘れた)に面している。歩いていくことにした。
キリストの昇架
小説「フランダースの犬」で有名な大聖堂の横を通り抜け、その通りに入る。
-この大聖堂は主人公「ネロ」少年が憧れに憧れ、この大聖堂で凍死する寸前に偶然にも月明かりで垣間見たルーベンスの描く「キリストの昇架」「キリストの降架」があるところ。現在でも国内外の見物客で賑わっている(私たちが行ったときは丁度修学旅行シーズンで小・中学・高校生が多勢来ていた-

結構歩くがなかなか目的地に着かない。心細くなったので途中オープンカフェでお茶しているオバサン連に道を訊く。これを真っ直ぐ行けば良いといわれる。
かれこれ25分ぐらい歩いたろうか、「PRO ARTE」の看板のある店に出会う。ところが中は電気も点いておらず、ハープの半製品が所狭しと置いてある。あれ、この店はハープの製造専門なのかとがっかり。気を取り直して通りの反対側を見ると同じ「PRO ARTE」の看板の店があり、電気も点いている。
PRO ARTE楽器店
出てきた店員にリコーダーはあるかと聞く。それでは担当者を呼ぶから一寸待てとのこと。やがて小柄の若い女子店員が対応してくれた。
棚の上のほうから引っ張り出してきたのがメックのメープル材のロッテンブルグ。「ほかのモデルは無いのか」ときくとこれしか置いていないとのこと。一寸がっかりする。ひょっとしたらコルスマあたりがあると思ったのに。リコーダーはあまり売れていない様子。

ロッテンブルグはエボニーを持っているが、アントワープの人だし、これも何かの縁、折角来たのだから記念にと思って試奏してみて買うことにした。

いま領収書をみてみると値段は249.48ユーロ、このうち付加価値税が43.30ユーロとなっている。すごく高い税率だ。自分は外国人なので免税の書類を作って欲しいと頼んだが免税の経験がないらしく、奥に入って相談してきて、「うちでは免税の扱いはしていません」といわれてしまった。

日本では48,000円程度の価格なので約6割程度の価格で買ったことになる(確か当時1ユーロ110円ぐらいだったと思う)。

先程、通りの名前が分からないと書いたが、領収書の住所はGeuzenstraat 19となっている。つまりGeuzen通りだった。

そんなことで午後は笛の購入で時間をつぶし、ルーベンスハウスに来たときは閉館30分前ぐらい、これでは見学は無理だと思って諦めた。というのは閉館時間にぴったりと業務を終えるため早めに客を追い出すからだ。
日本に帰ってきて案内書を見るとここは是非とも見ておくべきところと書いてあった。残念! しかしあまり欲張ってはいけない!

ホテルに帰ってきて改めて試奏する。 ホテルの部屋の構造もあるのだろうが、すごく軽やかな、吹いているのかいないのか頼りないような軽い音。やはりメープルはこの程度の音なのかと。現在持っているエボニーの同じモデルのしっかりとしたつやのある音とはぜんぜん違う、対極にあるような感じ。

しかし軽い息ですごく樂に吹ける。

帰国してから自分の部屋で早速試してみた。音が重~い。アントワープのときと全然違うのに唖然とする。

自室は吸音系のパネルで壁と天井を仕上げてあるので音響的には確かにデッドな空間ではある。だから音は吸収されやすい。それにしてもこの違いは何なんだろう。

私の結論は、空気の違いではなかろうか と推測している。

ヨーロッパの空気は乾燥している。したがって空気が軽い。また笛も乾燥して軽くなっているに違いない(もっともメックのメープルは素材をパラフィンに漬けて置いてから加工に入ると誰かから聞いたことがあるので、それが本当なら笛の乾燥状態は関係ないかもしれない)。そのような事で軽く吹け、軽い音が出たのではないだろうか。あくまでも推測である。

先日、バロック フルーティスト前田りり子さんの公式ホームページ「 りり子の部屋
http://www2.odn.ne.jp/~cco69970/index.html/lililko.html )を見た。

(「リコーダーの広場」(通称リコヒロ、
http://www.asahi-net.or.jp/~AY4S-AKYM/recorder/ )の掲示板の書き込みで紹介されたので)。

トップページや過去の「近況報告 08.ベルギーの田舎の教会でやったCDレコーディング(2002年6月)」にプロだからこそより敏感に感ずる空気中の水分や部屋の音響効果の良さについての記述が出ている。
このホームページは実に素晴らしいページだ。

さて、旅行のほうはアントワープからアルデンヌ地方のワーテルローの古戦場や古城を見て、ルクセンブルグに行き、オランダを縦断して終着のアムステルダムとなる。ゴッホ美術館、国立博物館などでゴッホ、ゴーギャン、レンブラントの作品の数々を、デン・ハーグのこじんまりしたマウリッツハイス美術館ではレンブラントやフェルメールを鑑賞、満ち足りた旅行であった。

特にキュウケンホフ公園は天国のような感じであった。

キュウケンホフ公園







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Last updated  2014.01.10 21:03:47
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Mitch29 @ Re:獅子咲きの椿(04/14) ChatGPTの返事 「申し訳ありませんが、は…
Mitch29 @ Re:夕暮れ富士(11/10) 昨今は日中雲が多く、富士はなかなか姿を…
はざくら2005 @ Re:夕暮れ富士(11/10) すてきな景色ですね。 こんど久々に東京に…
Mitch29 @ Re:令和4年 初富士(01/01) XONG清水 さん 新年、おめでとううござい…
XONG清水@ Re:令和4年 初富士(01/01) あけましておめでとうございます いつも…

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