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第18章. 絶対してはいけない 司法書士との「財産管理委任契約」,「任意後見契約」,「公正証書遺言」の三点セット契約―――これが悪の温床だ!!!
司法書士はその肩書きを背景にして,資産のありそうな高齢者に対して,相続人や関係者がいることが判っていても,「これから認知症になっても一生安全に財産を管理してあげます」,「相続トラブルも回避できます」と言って「財産管理委任契約」と「任意後見契約」,そして司法書士を遺言執行者とする「公正証書遺言」の 三点セットの同時契約を勧誘する
.
親族の財産トラブルが多いことを背景にして,司法書士なら安全ですよと言わんばかりに高齢者を説得し信頼させて,これらの契約をさせることはいとも容易なことだと思われます.
契約時に公正役場で「元裁判官などの経歴を持った公証人が契約内容を厳正にチェックします」というが,実際は,それは形式的なもので, 高齢者の理解力(弁識能力)が正常かどうかを見極めることは困難なのです
.
契約すると,預貯金通帳,カード類,銀行印,実印そして権利証など,すべての財産は受任者の司法書士の手もとに渡されます.
相続人や親族など身元引受人に対しては「依頼者はまだ認知症ではありません. これは二人の間の契約で第三者には関係ありません
」と言って親族の関与を排除するのです.
契約時の手数料が数十万円と月々の報酬が2~5万円ぐらいです.そんなに高額でもないので,契約書通りに業務を履行してくれるのなら,「身元引受人や子供や孫などに面倒な仕事をしてもらわなくても良い」と気持ちになって,同意してしまうヒトも多いと思われます.
司法書士の財産管理状況のチェックは,本人がすることになっている.契約書では3ヶ月毎に報告書を作成するとなっているが,母のケースでもそんなものは作成されていませんでした.
最大の問題は,依頼者の弁識能力のチェックは最初に契約する時だけで, 年を経ていくにつれて,判断能力も財産管理状況をチェックする能力も低下していく一方なのです
.肉体的にも精神的にも衰弱していくと,自分の健康のことで頭がいっぱいで,財産のことなどどうでもよいという精神状態になっていくのです.
第二の問題は,「財産管理委任契約」を締結したとき,預けた財産はその後の出入りが把握され,記帳されて,きちんと管理してくれる(つまり,包括的財産管理をしてくれる)と思っているのではないでしょうか.しかしながら,この契約は必ずしもそうではないのです.
大阪高裁の判例では, この契約は包括的なものではない
というのです.つまり,本契約は「 “
包括的 ”
に受任者が管理するといった厳格な管理方法をさだめたものでなく,金融機関等の手続きに必要に応じて同行するといった比較的軽易な内容を予定していた」というのです.
このようなケースでは,財産が流出して使途不明になっていても,受任者自身が勝手に財産を使い込んでいたとしても,あるいは受任者と意を通じた一部の相続人へ資金が流出させていたとしても,これら三点セット契約をしておけば,これらの悪事を隠しとおせることが可能です.このことに疑問を抱いれても,依頼者の死後で,「 依頼者が費消したのでしょう.知りません
」と言って対峙できるのです.
本制度では,認知症になって,依頼者が受任者による財産管理状況をそのチェックできなくなると,家庭裁判所へ後見監督人の選任の申し立てをして,監督人によるチェックの下に,受任者の司法書士が後見人となって管理するのです.しかしながら,高齢者の認知能力や理解力には波があり朝と夜あるいは日によっても違うので,認知症を見極めることは難しく,認知症と診断されたときには既には財産管理能力など全く無くなってから月日が経過してからなのです.
母のケースでも,受任者の司法書士は死亡前およそ9ヶ月前に訪問しただけで,その間に認知症と診断されて任意後見契約へ移行されるべき状態になっていましたが,勿論,後見監督人選任の申立もされることなく,しかも問題の司法書士は入院から死亡まで全く何も知らない状態でした.
これでは,この制度で高齢者の財産は守られないし, この制度で相続人間のトラブルを回避できるどころか,司法書士が高齢者の財産を食い物にするための悪の温床として,この制度が利用されている危険性があるのです
.
このような3点セット契約では,財産が横領されていたとしても隠し通すことができるのです.たとえ横領が疑われても,「依頼者本人の意思で費消した」として対峙するのです.「公正証書遺言」において,自分を遺言執行者になっていて遺産残高はこれだけですよと言われればそれまでで,不正を暴くことは殆ど不可能と言ってよいでしょう.
法務当局は司法書士の懲罰申立を無視している.法務局のこのような姿勢が司法書士の悪行の温床を現出させているのです
.
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