たとえば「座りなさい」という言い方を、英語に直すとしましょう。日本語は動詞中心の言語なので、この文章の中心を成すのは、「座る」という動詞です。ですから、日本人は通常、この「座る」という日本語の動詞を、英語の動詞に変えようとします。つまり、「sit」ですよね。で、「座りなさい= Sit down.」ということになる。
ところがベーシックの世界には「sit」という動詞がありません。「座る」ということに関連して、ベーシックの世界に残っているのは、「seat(椅子)」という名詞しかない。そこでこの名詞に、ベーシックの世界にある16個の動詞のうち「have(ないし、take) 」を組み合わせ、「Have a seat. Take a seat.」という言い方をするわけ。ベーシックでは、大概、基本的な動詞と名詞を組み合わせて発話することになっていますのでね。
ちなみに、「Sit down.」という、まるで警察が犯人に向かって命令するような口調の英語と、「Have a seat. Take a seat.」という英語と、どちらが一般的な英語表現として優れているかは、言うまでもないでしょう。