2008年03月31日
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 呼んでいる。呼ばれている。だれを呼ぶのか。なにを呼ぶのか。深く昏い熟寝のなかに、かの声は近づき、また遠ざかる。差しのべる腕からするりと抜け出してしまう。永劫の振り子運動。触れずにすむ安堵。つかまえたい苛立ち。相反する心情が彼女の動きを止め不意に重みを増したまぶたが視界を厚く覆う。このまま真っ暗な眠りを落ちていけば、もう迷うことも嘆くこともなくなって何もかも忘れられる。自分がここにたどり着いた軌跡。石の街を支配していた育ての親であり師でもあるハデスを倒して数日、パイフウはいまだエンポリウムに帰ることなく石の街に留まり続けていた。ハデスが死んで以降、不気味に繰り返される原因不明の地震。様々な組織同士による小競り合い。そして、石の街の中心深くからしだいに侵攻していく謎の異変。そんな中、世界に存在してはならない事物・現象を闇から闇へと抹消し去るザ・サードの特命機関「イレイザー」、「イレイザー」に敵対する謎の組織が石の街やハデスの遺産をめぐり動き出していた。パイフウは、姿を透明化できる「滅殺気」使いの殺し屋・昼顔に襲われて・・・。
 「ザ・サード」シリーズは、大昔の「大戦」により荒廃した世界を舞台に主人公のなんでも屋の少女・火乃香が気功を駆使した驚異的な抜刀術を武器に星の運命を左右する巨大な事件を解決することになるというストーリーです。世界を支配するのは「ザ・サード」と呼ばれる額に第三の目を持つ種族。彼らは「大戦」によって世界中に散らばる旧世界の危険な遺物を管理・監視・規制しています。しかし、人間よりもはるかに優れているザ・サードたちといえども世界を滅ぼしかねない遺物の数々は手に余り、度々大きな危機にさらされることになるのです。ザ・サードのエリートである浄眼機から一目置かれる火乃香は何でも屋としての依頼を受け、こうした世界の危機に立ち向かうことになります。他の星から火乃香たちの住む惑星を観察するためにやって来た青年イクス、長年の火乃香の相棒である自ら思考・行動する戦車ボギー、元殺し屋で機械の街エンポリウムからの依頼や火乃香への好意から手伝うことになる美女パイフウ、など心強い仲間たちに助けられ火乃香は超兵器の暴走や平行世界からの干渉など様々な敵たちと戦うことになっていきます。
 今回の「迷宮の街の忘れもの(ゲシュペンスト)」は前巻の「死すべき神々の荒野(ゲヘナ)」(上・下)の後日談というか直接の続きになっています。主人公は火乃香ではなくパイフウでハデス亡き後の混沌とした石の街で育て親兼師匠兼宿敵を失った喪失感を抱えながら冒険を繰り広げることになります。大戦時の超兵器の影響で時空間が捻じ曲がり、一発で戦車さえ吹き飛ばすミサイルやあらゆる攻撃を無効化する歪曲場シールドが無造作に放置され、広大な裏社会の盟主であるハデスに支配されていた「犯罪都市」と称される石の街。ハデスがいなくなった後は、自警団「メタルゴーレム」や街を陰から守る「ハルピュイアの三姉妹」など屈強な戦士や異能者たちがこの街を守ります。しかし、「イレイザー」をはじめとする外部からの訪問者たちの出現、以前からの怪奇現象やアンドロイドの暴走など街に次々と異変が起こることになり、何者かに呼ばれたパイフウも混乱の中で戦いを繰り広げながら石の街の中心に向かうことになるのです。何が起こるか分からない混沌とした街、そこで繰り広げられる壮絶な闘いなど凄まじいアクション・シーンがとても面白かったです。また、元殺し屋で現在は学校の保健医をしていて、同性愛者の美女というミステリアスなパイフウの魅力が満載で良かったと思います。
 ジャンルはSFアクション・ファンタジー。SFやアクションが好きな人にお薦めです。<終>



ザ・サードシリーズ


短編集や外伝もあります


DVDもでてます














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最終更新日  2008年03月31日 17時48分25秒
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