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転落死：タミフル服用の中２少女、マンション１０階から----愛知・蒲郡

　１６日午後０時４５分ごろ、愛知県蒲郡市三谷町のマンション敷地に、１０階に住む同市立中学校２年生の女子生徒（１４）が倒れているのを別の住人が見つけ、１１９番した。生徒は病院に運ばれたが、全身を強く打っており死亡が確認された。同県警蒲郡署の調べで、マンション１０階の通路から落ちたとみられる。生徒は同日朝、病院でインフルエンザと診断され学校を休み、治療薬のタミフルを服用していたという。遺書などはなかった。同署は事故と自殺の両面で捜査している。

　調べや母親によると、生徒はこの日午前、風邪の症状を訴えて母親と病院に行き、インフルエンザと診断され、タミフルを処方されたという。母親は午前１１時前に仕事に出かけ、生徒は自宅で１人になった。処方されたタミフルは１錠なくなっており、生徒が服用したとみられる。

　自宅前の通路には高さ約１・３メートルのさくがあり、地上までの距離は約３０メートル。一度、真下の自転車置き場の屋根に落ちた形跡があるという。生徒はスエット上下姿にフリースを羽織っていた。靴を履いておらず、通路にも靴はなかった。

　また、自宅から遺書は発見されておらず、両親は同署に「自殺するような理由は思い当たらない」などと話しているという。一方、中学校は取材に対し「生徒は成績もよく、バレーボール部のレギュラーとして活躍していた」と説明。「悩んでいる様子などもなく、いじめなどのトラブルは把握していない」などと話している。

　生徒を発見した１階に住む女性は「居間でドンという大きな音が聞こえ、外に出ると女の子が倒れていた」と驚いた様子で話していた。

　現場はＪＲ東海道線三河三谷駅の西約５００メートルの住宅街。【加藤隆寛、鈴木顕、宮里良武】

　◇異常行動、副作用の指摘も

　タミフルを巡っては、飲んだ人が異常行動で死亡したり、突然死するなどの副作用を指摘する声がある。名古屋市では昨年７月、全国で初めて被害者の会も結成された。だが 異常行動との因果関係は公式には認められていない のが現状だ。

　厚生労働省などへの報告によると、愛知県の男子中学生（当時１４歳）は０５年２月、タミフルを服用した２時間後に自宅マンションの９階から手すりを越えて転落死した。他に▽少年（当時１７歳）が服用２時間後にトラックに飛び込み死亡（０４年）▽少年（当時１２歳）が服用後にマンションから転落死（０６年）----などの報告もある。

　インフルエンザ患者の異常行動の原因は、厚労省の研究班のこれまでの調査で、タミフルの副作用に直接結びつくかどうかの判断はついていない。しかし 米食品医薬品局（ＦＤＡ）が昨年１１月、製薬会社からの報告を基に、タミフルの添付文書を改訂して異常行動への警戒を促すよう求めるなど、注目は高まっている。

　県警は今回の転落死についても、生徒が服用した状況について、さらに調べを進める(毎日新聞社)。