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今日はケイトが昼間から飲みたいので白を一本開けろと言います。彼女は今日テニスがお休みですからね。昨日ル・トワ・ド・パリの送り迎えをしていただいた(酔っぱらってしまいました、毎度のことながら……。お品書きをいただいたら一部始終報告します)関係もあって、断ることはとても出来ない。夫婦の間柄とはいえ、貸し借りの義理人情を欠くと、後で大変なしっぺ返しが待っていますからね。本当言うと、Rokkuは暇ではありません。すぐにも片づけなければならない仕事があります。それにもかかわらず、ジョギング・水泳の運動義務(?)があるにもかかわらず、ちょっとだけ味見したら?という軽いケイトの誘惑にうかつにも引っかかってしまう。で、おいしい。さすが2002年だ、ということになる。で、結局、Rokkuもつい飲んでしまいました。もちろん、最初はフィットネスに出かけるつもりでいました。でも、仕事はほろ酔いでもできないことはありません(仕事とは字を読んで――つまり本を読んで――考えることですから)が、水泳は無理です。死にそうになる。年を考えたら、やめるのが無難。くどいようですが、飲むつもりではありませんでしたから、これでも垂涎のワインはやめたのです。数少ない白のコレクションから、一番飲まれても惜しくない(卑しいでしょ?)ものを選びました。それがこの、モレ・ブラン オークセイ・デュレス(Morey Blanc, Auxey-Duresses)'02です。2002年といえば、言わずと知れたブルゴーニュ白の当たり年です。かなりレベルが高いうえ、若くして熟成感のある傑物ぞろいです。ま、オークセイ・デュレスぐらいならいいっかあ、という軽いノリで開けました。でも、02年は今いいですねえ! ちょっとだけ口に含んでみる(それもボルドー・グラスではありませんよ)と、いいじゃないですかあ! 酸は確かに落ち着いてきている(もともと酸は柔らかい性質だと思う、02は)ので、なかなかの熟成ぶりです。ミネラル感はかなりゴージャスです。こうなると、待てない。やっぱり飲んで、名古屋国際マラソンでも楽しんで、走った気になろう!と安逸の道まっしぐらと成り果てました。天国の先生(指導教官のことです)、ごめんなさい! Rokkuはまた道を踏み外しました!せめてもの罪滅ぼし(?)に、モレ・ブランについて調べましたよ。ドメーヌ・ピエール・モレ(Domaine Pierre Morey)がやっているネゴシアンだったのですね。道理でうまいはずです。というのも、この人物あのルフレーヴの醸造長なのですって。そういえば、ルフレーヴに通じる舌触りでしたなあ。くどいようですが、うまいはず!しかも、その前はなんと、「コント・ラフォンの畑の折半小作人としてモンラッシェなどを造って」いたのだそうです(リカーランド・コモリ ドメーヌ・ピエール・モレ/モレ=ブランHPより)。そのせいなのでしょう、確かにモンラッシェに通じる道を感じさせる本格的味わいです。2001年のオークセイ・デュレスを飲んだ人の去年の記録も見つけました。それによると、オークセイ・デュレスはプチ・ムルソーと呼ばれているとのこと。位置関係はよく知りませんが、おそらく南に位置するのではないでしょうか。こちらのほうが、ムルソーより分かりやすいというか、太いというか、フィネス感において少し劣るかもしれませんが、よく似ているとも言えます。だから、割安に高級白ワインを飲んだ気になるにはいい選択なのだと思います。だって、分かりやすいとはポップということですからね。消費社会にはうってつけです。記録から引用させていただくと、 色は、イエローとオレンジをまぜあわたぐらいの色、薄い味醂や蜂蜜のような色合いである。香りは、とてもフレッシュで華やかな気分にさせてくれる。すがすがしい香り。味わいは、果実味豊かで酸がきりっとしめてくれてとても飲みやすい。余韻もきれいに残り、飲み応えがある。とてもリッチな味わいで、コストパフォーマンスもよいと思う(約3,500円)。かなりおすすめのワイン。(けろぶろ: 2007/02-2007/03HPより)正直な話、これで3,500円かっ!ちゅう感じです。ちょっと高い。そんなことしてるから、かなりよい白が買いにくくなるんだ、と、Rokku義憤の声です。白って、すぐに飲み終えてしまうし、そのうえ、次の赤のことを考えると、そんなにお金は使えない。だから、けろぶろにあるように、「日常飲みとしてはちょっと高い」という感想に容易につながってしまうのです。Rokkuは仲買が儲けすぎだと思います。だって、FinestWine.COMという海外のサイトによると、02年でケース僅か143ドルなんです。ということは1本約12ドル、1,320円(ドル110円で計算)相当です。もっとも、重いものだから送料が高くつくし、業者なら保険にも入らなけりゃならんでしょうし、もろもろ計算すると3倍ぐらいになるのも仕方ないかもしれない。やっぱり、仲買の儲けすぎは撤回かな? 日本がアジアの端っこにあって、ワインの生産地から遠いのが一番の問題かも。近くすると、人件費がかかるし。ここは一つ、中国で本格的なワイン作りに取りかかってもらうしかないか。もう誰かやり始めているかもしれませんねえ。ひょっとしたら……。さて、味です。ここで、Rokkuはグラスをボルドーに変えました。そうすると、これは無茶苦茶いいです。酸はやはり、あまり感じない。むしろミネラルです。香りは心地よいフルーツ香。でも、蜂蜜感はあまりない。でも、香りより味わいにこのワインの真骨頂はあるでしょう。舌触りの滑らかさは、本気でルフレーヴを想起させます。ルフレーヴ(もっと酸があるけど)をお手軽に味わいたいのなら、絶対に買いだと思いますね。Rokkuはいくらで買ったかですって? 実はこれ、某酒屋さんの福袋に入っていたものです。だから、値段がはっきり分からない。かなり長い間購入ワインの記録もとっていなかったですから、全体でいくらだったかもはっきり記憶がありません。何が入っていたかも、実を言うと、はっきりしないぐらいなんです。こういうとき困るので、また購入記録をとるようになりました。さて、写真ですが、残念ながらバッテリー充電が間に合わず、今回はあきらめます。楽天内にはありませんでした。でも、サン・トーバンがありました。ここも、オークセイ・デュレスと同じく、あまり有名ではないものの、なかなかいい白が出る村です。そこに目をつけるところといい、このモレ・ブランというネゴシアンは要注意です。Rokkuの経験によると、サン・トーバンはさらに分かりやすい白という印象ですから、柔らかい(しかも高級感のある)白がお好きな方には、うってつけのワインと言えるでしょう。モレ・ブランならルフレーヴを感じることができるはずですよ。サン・トーバン ”レ・ピュセル”[2002]/モレ・ブラン Saint Aubin "Les Pucelles" 2002, Morey Blanc金沢マル源酒店3,990円 残り3本くどいようですが問題になるのは、やはり値段でしょうねえ。飲めばお手頃感が納得できるのですが、最初に値段だけ見るとなあ。ちょっとひく。もう一声安いと、即購入となるのですが。バーゲンを待つ? でも、そこまで残っているか? 果てなき疑問の応酬です。
Mar 9, 2008
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仕入れたばかりの安いイタリア・ワインを飲みました。今日は、その試飲結果をご報告。買ったのは モンテプルチアーノ・ダブルッツォ(Montepulciano d’Abruzzo)2003, グラン・サッソ(Gran Sasso)と、トレッビアーノ・ダブルッツォ(Trebbiano d’Abruzzo)2003, グラン・サッソ(Gran Sasso)です。6本ずつ混載でケース買いしたので、割引してもらえて、お買い得でした。Gran Sasso というのはアブルッツォ(Abruzzo)州の山の名前で、スキー・リゾートもあるようですが、この Gran Sasso は、その山の名前にちなんで付けられた、ワインを造っている醸造業社の名前です。日本リカーという会社が日本に輸入していて、www.nlwine.com にいけば、ボトルの写真とともに、簡単な紹介文を読むことができます。実は、今週は例の認知症の母が一週間我が家に滞在しています。Rokku の日記がまたしても少々遅れ気味なのも、もちろん、そのことと無関係ではありません。いずれそれについても触れたいと思っていますが、今日は、ワインの話です。そんな初日であるからこそ、景気づけに Rokku とケイトは、届いたばかりのワインを飲もうということになったのですが、ダンの送り迎えがあって、ケイトは夕方飲むわけにいきません。そこで、用が終わって、母も寝てから、飲むことにしたわけです。このほうがくつろぐんです。母には悪いけど。つまみも何にもなしで、ただワインだけ飲みます。マリアージュはこの際考えません。それなら、やはり白がいいだろうと、トレッビアーノから開けました。トレッビアーノ・ダブルッツォというのは、前にお話しましたように、アブルッツォという州で採れた白ワイン用ブドウ、トレッビアーノで作られたワインという意味です。このブドウのワインは軽めのものが多く、ジョンソン先生も、水っぽい(thin)とか凡庸(mediocre)と、およそ誉め言葉とは考えられない形容をしていらっしゃいます。まあ、日常遣いにこそ本領のあるワインということですね。しかし、このトレッビアーノ2003グラン・サッソは、意外に健闘していますよ。普通水っぽいと形容されるワインは、ひょっとして水で割ってある?と思えるほど薄いものですが、これは辛目のコクがしっかりとあって、要するにボディを感じるのです。飲んでいるだけでは辛いので、料理にはよく合うでしょうね。さすがに値段が値段(定価はもう少し高いですが、うまく特価品に当たったりすると千円以下で買えるかも)ですから、高級ワインの代用とまでは行きませんが、コスト・パフォーマンスは、かなり高いですね。2003年がいいのかも、とヴィンテージ・チャートを覗いてみましたが、パーカー先生はまだイタリアの2003年をテイスティングしていないとみえて、NTとなっていました。Wine Advocate のHPも覗いてみましたが、Rokku が持っているのと同じ表でした。というわけで、お墨付きがありませんので、Rokku の推測の域を出ませんが、2003年のイタリアは出来がいいのかも知れませんね。というか、「アブルッツォはいい」と言うべきでしょうか。何度も言いますが、まだ推測の域は出ませんよ。2003年はフランスが記録的な暑さとなった年ですから、ヨーロッパ全土がそうだったのかもしれません。さあれば、イタリアも同じ傾向だったと推測することはできそうですので、どうせアフィリエイトでご紹介するのなら、ここは一つ、2003年にこだわったほうがよさそうです。そこで、ちょっと値段は高めになって申し訳ありませんが、有名な醸造業者のものをここにご紹介します。ここの赤(モンテプルチアーノ)はとても美味しいですから、おそらく白も大丈夫と思います。↓ここをクリックバローネ・コルナッキア・トレッビアーノ・ダブルッツォ 2003年 価格 1,226円 (税込) 送料別 残り本数はわかりません 「コルクの気持ち」さん残念ながら、売り切れになっていて楽天内にはありませんが、ファルネーゼ(これも有名な醸造業社です)のトレッビアーノ2003 も、どこかで見つけられたら逃す手はありません。お買い求めになったほうがいいと思います。さて、Rokku とケイトは、あまりにトレッビアーノがいけるので、モンテプルチアーノのほうも開けることにしました。このブドウ、安いわりには、香りもアロマもかなりイイ線行ってます。お値打ちなモンテプルチアーノ・ダブルッツォを見つけたら、買ったほうがいいと思いますが、このグラン・サッソはメチャクチャおいしいです。きっと、2003年のブドウの出来もあるのでしょうね。何度でも言います、あくまで推測ではありますが。しかも、有名どころのモンテプルチアーノって結構高めに推移していて、こんなに安いのはそんなにない。絶対のお買い得です。ありましたよ、楽天に。ズバリの千円以下。↓ここをクリック首都圏中心に大ブレイク!モンテプルチアーノ・ダブルッツォ/グラン・サッソ 価格 980円 (税込1,029円) 送料別 残念ながら、残りあと 6 本しかありません。お急ぎください。キタザワさん
Sep 19, 2005
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ケイトって、肉離れのくせに、暇だからと酒を飲みたがります。一応、健全なシティズンのつもりでおりますから、さすがに昼間から飲むのはキッチン・ドリンカーへの道!と厳しく戒め、日々努力を重ねて、夕方から飲んでます。さすがに父君が肝硬変でお亡くなりになっただけのことはある!そういうわけで、我が家では日々酒を切らすわけには行きません。Rokku は大して飲めませんから、二人揃って大酒をということはありません。まあ、健康に害を及ぼさない程度に、アル中になどならなくてすむ程度に、健全に飲んでいます。これがおそらく、最近ワインの消費量がいくらか増えてきた大きな原因でしょうね。あれだけ夏飲まなかったのに、今年に入ってからの本数は78本になってしまいました。この調子だと、今年は120本の大台に乗りそうです。ま、買い過ぎたせいもありますから、しようがないんですが……。と、やっと本題。セラーに入りきらなかったことも大いに手伝って、ちょっと安いワインが手薄になっていたのです。今すぐ飲める手ごろな値段のストックが減ってしまい、ちょっと高級品に手を出そうかなという今日この頃。とうとう、以前楽天内の「みちのく岩手のワイン屋竹澤さん」で仕入れた、ポール・ガロデのヴォルネイを開けてしまいました。このワイン屋さん、オススメですよ。なかなか掘り出し物を、かなりの掘り出し価格で提供してくれるお店です。ただし、Rokku のように、いただいた最新情報メールを翌日の朝のんびりと開いてそれからチェックしても、めぼしいものはほとんど売り切れという状態ですから、事前に教えていただける次回のお知らせ期日にはしっかりチェックしたほうがいいと思います。マニア垂涎モノをかなりお値打ちに出してくれます。ワイン好きの方は可能な限りチェックなさるべきではないでしょうか。そう言う割りには、Rokku さん、なかなか買わないじゃないですか?と、竹澤さん(あるいはメール担当者さん)の声が聞こえてきそうですが、何度も言っているでしょ、Rokku のセラーはもう入らないんです! お金もありませんけど、他にもいつも買うことにしているお店からDMをいただくので、それで手一杯というところもあってね。食指は伸びるのですが、やはり最後の一手が遅れるのです。でも結局、お金がないのが一番かも。もうじき秋ですね。やっと涼しくなります。いよいよ赤ワインが飲めます。じゃあ、その前哨戦ということで、99年はそろそろどうかな?と、試金石のテイスティングをしてみるかあ、なのでした。ワインは、銘柄をきちんと言いますと、ポール・ガロデ(Paul Garaudet)のヴォルネイ1級レ・ロンスレ(Volnay 1er Cru Les Rocerets)1999です。ラベルの写真撮りました。あんまりきれいじゃありませんが、まあ、見てください。またしても手ブレです。難しいですね、軽いデジタル・カメラって。でも、汚いのはそのせいだけではありません。写真でははっきりしませんが、Rokku の片方のセラーは、ワインのエチケットがかびるんですよ、ひどく。これが家に届いたのは今年の5月4日。ちょうどゴールデン・ウィークの頃なんです。それなのに、こんなにかびてしまいました。昔はいちいちサランラップを巻いてましたが、あんまりひどいので、最近は無視です、カビなんか。2,840円で買ってますね、Rokku は。そんな値段だったこと、もう忘れてましたが、一級畑にしては安い。ジャン・ガロデ(Jean Garaudet)というパーカー3つ星から4つ星の生産者がいるのですが、その従兄弟なんですって、この人。そのことにほとんど賭けるようにして買ったワインですが、果たしてその結果は?グラスに注いでみると、端の色は熟成感が少し出ている様子です。オレンジ色までには至っていませんが、もっと白い地のところにグラスをかざしてみると、少しだけですがオレンジが混ざっているようにも見える、そういう茶色です。やはり熟成を迎えていますね、そろそろ。香りは、あまりよくないピノ・ノワールという感じか。決して香りたつピノとはいかない。でも、軽く土の香りもします。さすがに、このあたりに値段は隠せない。一口飲んでみます。クリーミー。樽香の影響かもしれませんが、ブドウはそれなりのコク、ボディを感じさせます。もう一口飲んでみると、そのクリーミーさが、ミルクキャラメルらしさであることに気づきます。ただし、それなりにあったボディ感はすぐに消え、フィニッシュはあまり長いとは言えません。最後に少しえぐみを感じさせますから、そこがたぶん素性なのでしょうね。でも、冷たくして飲むとかなりいけますので、点数としては83点ぐらいはあげていいと思います。ヴォルネイといえば、伝統的には軽いピノを想像しますから、そのことを考慮すると、このワインは伝統的な作りよりは、現代的、今風のストラクチャを指向していると言えるでしょう。このワインを皆さんが飲むかどうかは措くとして、このワインから今言えることは、99年のブルゴーニュはもう十分熟成を迎えつつあるということです。実は Rokku は、99年のワインを31本持っているんです。ボルドーも入っているから、全部が飲み頃とは行きませんが、持ちワインにだいぶ熟成したものが増えてきたことを予感させるテイスティングでした。試みに、ヴォルネイのロンスレが楽天内にあるかどうか調べてみたら、一本だけありました。ただし2000年です。が、年は悪くないですね。この作り手は知りませんが、どうかな? 3,500円はちょっと高いかな。↓ここをクリックヴォルネー ロンスレ 1級 【2000】 ニコラ・ロシニョール 価格 3,500円 (税込3,675円) 送料別 残りあと 1 本です アッシュワインショップ 本田酒店さん
Aug 25, 2005
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8月10日付けの朝日新聞のシリーズ記事「週間アジア」に、シンガポールの流行前線として最新ワイン事情が掲載されていました。今日はその話を Rokku なりに咀嚼してお話したいと思います。シンガポールといえば、最近景気がいいので有名ですよね。記事によると、アジアの金融危機がほぼ終焉を告げた2000年頃から、シンガポールは国民の所得が上がって、それとともにワインが飲まれるようになったのだそうです。ご多分にもれず、オーストラリアやチリの安いワインが始まりだとかで、国民所得の上昇とともに海外経験をした人々が増え、そのときの習慣をシンガポールに持ち込んで、ワインを飲むようになったといいます。ですから、事情は日本とほぼ同じですね。2000年頃までは稀だったんですって、ワインを飲むというのは。ウィスキーやブランデーを飲んでいたというのですから、本当に昔の日本と同じです。Rokku の一家とケイトの兄ちゃん一家が連れ立ってシンガポールへ行ったのはいつのことだったでしょうか。ダンが5年生ぐらいだったような気がするから、ちょうどその頃かもしれませんね。ほとんど何の期待も感慨もなく、ただ「行く」というからついて行った気分だった Rokku は、そのときに、日本の夏が南国とほとんど変わらないかそれ以上の酷暑であること、南国とは梅雨の蒸し暑さに通じるものがあること、オーチャード通りはアジアとイギリスがごちゃ混ぜになったような、散策するには面白い通りであること、などを感じました。そして、よく知らない観光客にとっては、意外に中華料理が美味しくないことが印象的でした。ほとんど期待していなかった Rokku の唯一の楽しみは、「食べる」ことだったのですが、よその国のチャイナ・タウンの雑多な雰囲気と美味しい中華料理と違って、それはほとんど観光客用の料理でしかありませんでした。このことを書いていて、海岸沿いの野外レストランで食べた鍋風の料理のときは、どこかのガツガツした一家と同席になって、自分たちが損しないで食べることしか考えていない人たち(もちろん日本人です)の浅ましさを見て、うんざりしたことを思い出しました。その印象もいくらか重なっていますが、それにしても、あんなものは食べたくありません、もう二度と。パック旅行ですから、多分、連れて行かれたところがそういう観光客用なのでしょうね。ですから、この一回の経験だけで一般化するのは無理がありますけど、それにしても、子供たちが寝静まってから大人四人でホテルにあるレストランで食べた西洋風アジア料理(あるいはアジア風西洋料理?)の美味しさに比べると、中華料理はまったく冴えを見せませんでしたね。とにかく、Rokku にはそれがすごく意外だったことを思い出します。そういえば、このとき、オーバーブッキングのおかげで、Rokku たちはなんと!シンガポール航空のビジネス・クラスでシンガポールに来たのでした。いやあ、その料理の美味しかったこと! そして、帰りのエコノミーの窮屈なこと。もう、飛行機なんか乗りたくない!と思ったほどです。さて、話を戻して、シンガポール航空のビジネス・クラスですが、その料理とホテル(イギリス系)の料理の美味しさは一脈通じるものがありました。英語もよく通じました。当たり前のことですが。しかし、もっと印象的だったのは、それにもかかわらず、一歩踏み込むとそこはまごうことなきアジアというか、中国文化圏だったことです。シンガポール滞在の最後の夜に、人力車みたいなもの(すみません、細かいこと覚えていません)に乗って中国人街を案内してもらうツアーがあって、参加しました。面白かったです。だって、それまでの表面的には西洋風のアジアの観光地が一変して、突然、地層に深く根を張る中国文化を見たからです。ここで食べれば中華料理はきっと美味しかったでしょう。でも、そこは、ちょっと中国人でなければ入りにくい、よそ者が足を踏み入れることを徹底的に嫌う排他性を色濃く持った空間のように見えました。その一画のツアーが終わると、Rokku たちは、また観光客にお馴染みの、いつもの界隈へと帰って行ったのですが、そこに帰ってみると、あれが同じシンガポールなのかと思わせるほど、その中国人街は異質な空間でした。そして、その中国人街から考えると、ビジネス・クラスの料理も、ホテルのレストランの西洋風アジアン料理も、オーチャード通りを通じて見るシンガポールは、まるで夢で見る幻かのような気がするのでした。さて、話は唐突に新聞の記事に戻ります。実は、そのビジネス・クラスで飲んだワインが美味しかったのですよ。細かい銘柄はまったく覚えていませんが、シャンパンも白も赤も、とても上質だった記憶があります。ところが、シンガポールのホテルではビールを飲んだのです。思い返してみても、シンガポールでワインという感じはまったくなかったような気がします。それがどうも、最近では事情が変わりつつあるらしいのですね、記事によると。日本だって、日本酒という特殊事情は措くとして、つい最近まで、洋酒といえばウィスキーやブランデーであって、ワインを飲む人というのはかなり限られていました。酒の嗜好、とりわけ洋酒受容に関しても、アジア的、漢語文化圏的な特徴というのはあったのかもしれませんね。朝日の記事が示唆するのは、それがシンガポールにおいて壊れてきたということですから、いよいよかの国も芯から西洋的になるのかもしれません、ひょっとしたら。いや、それは西洋的ということではなくて、意外にも日本的になるということなのかもしれません。もちろん、それは日本語文化圏という意味ではありませんよ。ナショナリスティックに誤解されると困るのですが、日本の現在と共通するプラットフォームを持つようになる、そういう意味です。その記事にも少しほのめかされていましたが、何というか、「豊かになった」ことを実感させるアイテムの流行、そしてその定着、という感じです。だから、写真にもあったように(お見せできませんが)、若い人に定着しつつあるのでしょうね、シンガポールのワイン受容も、当然。こうなると俄然、あの中国人街が気になります。あれも長くないかもしれないという気がしてきました。なくなってしまう前に、見ておいたほうがよさそうです。珍しく興味がわいてきました、旅行に。シンガポール版「ディスカヴァー・ジャパン」。
Aug 11, 2005
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ここのところいろいろ忙しくて、日記も書けない日がありましたが、それもようやく終わって、久しぶりにワインを飲みました。ごく簡単な料理で白ワインをいただきましたよ。ワインはドイツのビュルツガルテン・シュタイン2001で、ブドウはシルヴァナーといって軽めのものです。リースリングよりも軽いですね。少しイタリアの白を思わせます。フラスカーティに似た感じです。フランケン地方のワインは料理に合うので有名ですが、ただ、意外に高めなものが多く、日常使いにはちょっと厳しい値段でしたが、これは千円台と割りに安かったので、夏にいいかなと思って買いました。確かに夏向きでした。料理は、またしても困ったときのボロニア頼みです。ボロニア・ソーセージとブロッコリ、しいたけをオリーブ・オイルで炒めて、塩コショウで味を調えるだけ。簡単な割りにはワインによく合いますよ。ぜひお試しください。ただ、ワインが軽すぎるのか、ケイトが「もう終わりか」とぬかしますので、もう一本あけることにしました。それが、ヴィニョーブル・ギヨームのシャルドネ・ヴィエイユ・ヴィーニュ2003です。 ちょっとラベルがよれていますが、コクのあるシャルドネで、美味しかったです。ただし、Rokku はすぐにつぶれてしまいました。ちょっと疲れていたのでしょうか。ケイトが一人、クダまいて飲んでいましたよ。案の定、次の日は二日酔いでしたね、彼女。Rokku はすぐ寝たので大丈夫でした。夏は白に限るけど、おとなしい本格的ブルゴーニュのシャルドネよりは、もう少し南国めいた、味のしっかりしたもののほうがいいように思います。写真にはありませんが、前に冬に飲んで美味しかったブルゴーニュの白を今日開けてみましたが、暑いときには印象がぼんやりするようです。開けたのを後悔するほどですから、やっぱり、いっそ濃いか、いっそ薄いものを、しっかり冷やして飲むのがいいようです。ギヨームのシャルドネはもう売り切れていて、手に入らないようですので、シルヴァナー種のワインはないか調べてみたら、これがありました。まったく同じではありませんが、夏向きという意味ではいいと思います。シルヴァーナー・トロッケンQbA[2002]ワイングート・ユリウスシュピタール価格 1,905円 (税込2,000円) 送料別 残りあと 4 本 シーザーワイン カンパニーさん
Jul 31, 2005
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Rokku はフランス革命の日に生まれました。だからどうなんだ?って思われるでしょうね。Rokku もそう思います。昔、そうか、僕はフランス革命が起きた日に生まれたんだ、すごい!と、それを知ったときには思いましたが、考えるまでもなく日本人の Rokku がフランスに関係ある日に生まれたからどうなんだよ?と思うと、バカバカしくなって、さっきすごい!と思った心が妙に白んだのを覚えています。でも、自由・友愛・平等でしたっけ、そういう民主主義三原則みたいなテーゼが世界に広がって、普遍的原理になったことを考えると、フランス革命の日も普遍的かもしれませんので、その日に生まれたことは、あながち Rokku にとって無関係ともいえませんよね。そう思うことにします。さて、昨日の白ワイン、サンタ・バーバラ・ワイナリーのシャルドネ03ですが、まだボトルがあったので、写真でお見せすることにしましょう。ところが、お見せしようにも、うまくファイルを小さくできずに、今日のアップはあきらめます。明日もう一度挑戦してみますね。さて、赤ワインの話ですね。飲んだのはカリュアド・ド・ラフィット(Carruades de Lafite) 2001といって、ラフィット・ロートシルトのセカンド・ワインです。さすがに、濃いワインというわけでなく、スッキリした透明感すら漂わさせるものです。かと言って濃くないわけではないんですよ。きちんとしたコクを持ち、それなりの深みがありながら、フィネスも併せ持つわけですね。ドロワインの濃さとは違います。南仏のワインに多いのですが、一口飲んだ印象はおいしい濃さなのに、次第にその濃さが舌にまとわりついてくるもののことです、ドロワインとは。ただ濃いのではないフィネスを如何にワインに持ち込むか。そこが作り手の問題なのでしょうね、たぶん。そのためにどういうブドウを、どんな程度に育てればいいのか?今日は、写真のアップ失敗で、時間だけがかかりました。写真もアフィリエイトもなしのわびしい日記ですが、お許しくださいね。
Jul 14, 2005
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とうとう、Rokku の家にもデジタル・カメラなるものがやってきました。マイクさんのおかげなんですが、Rokku って、こういうとき面倒が嫌で、つい敬遠してしまうんですね。購入自体を。どれを選べばいいのか見当もつかないし。だから、ありがたかったです、マイクさんのプレゼントが。これで、はれて Rokku もカメラマンですよ。さっそく撮りました。フォンタナ・カンディダ(Fontana Candida)社のフラスカティ・スペリオーレ・サンタ・テレーサ(Frascati Superiore Santa Teresa)2003のボトルを。前にもご紹介したように、このワインは楽天内で売っていません。ですから、そのうちぜひラベルの感じをご紹介したいと思っていたんです。 どうでしょうか? 千円以下の割りにはスッキリしていて、古風な、落ち着いた重みさえ感じさせるラベルでしょ? ボトルは細長のボルドー風ですが、イタリア・ワインによく見かけるタイプです。ボルドーよりも重心が少し高い感じですね。味は非常にあっさりしていて、シーフードにぴったりです。イカのバジル・ソテーや、蛸のカナッペにはよく合います。蛤で試せなかったのが残念ですが、貝もいいと思います。もし見つけたら、よく冷やしてお飲みくださいね。今回は、いくら酸が心地よいとはいえ、高級なシャンパーニュの後でしたので、サンタ・テレーサには過酷な条件でした。そのせいでしょう、あっさりしすぎた飲み心地だったように思います。これは Rokku の順番ミスですね。これをトップにすべきでした。もう一本の白は、サンタ・バーバラ・ワイナリーのシャルドネ2003です。これは、なかなか濃厚なワインですよ、サンタ・テレーサと比較すると。かと言って、やたら樽香が強いタイプでもないので、ポテトとアンチョビのグラタン(釈迦楽さんのお気に入りでした)にはよく合います。ちょっとクリーミーな料理に合わせてほしい一本。ドッキリWINE市場さんで、1,650円 (税込1,732円) 送料別 で売っていました。残りあと 6 本だそうです。明日は赤ワインをご紹介します。
Jul 13, 2005
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Rokku は、この前覚えたばかりの大事なことを忘れていました。千本セラーさんが教えてくれたのでした、シャンパーニュはロット・ナンバーが重要な情報だって。そのことすっかり忘れてました、昨日のドンペリのとき。そうかあ、じゃあ、Rokku が買ったドンペリだって、パーカー先生が飲んでつけた点数と同じロットとは限らないわけですね。もちろん、昨日アフィリエイトした酒屋さん(タカムラ ワインハウスさん)のも、その限りではないわけですね。ま、さすがにドンペリなのだから、そんなとんでもないものであるはずはないでしょうし、何せ96年ですから、酸のきれいなシャンパーニュであることは間違いないと思いますが、98点というほどの完成度かどうかは、飲んでみないと分からないということになります。難しいですね、シャンパンって。ところで、マグナム・ボトルは無事秘密の冷暗所に持って行きました、今朝。これでひと安心です。明日はワイン・パーティですから、何本か減りますしね。料理など、またお知らせしますね。我が家にはデジタル・カメラがないので、写真でお知らせすることはできないですが……。
Jul 2, 2005
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昨日のうちにラフィット・テストン・ヴィエイユ・ヴィーニュ2001(Laffitte Teston Vieilles Vignes 2001)というワインを開けました。南仏の安いワインです。ドロでした。あんまり感心しません。安いから許すけど、こういうボルドー系ドロは要らない。ドロってどういうことか、ですって? そのものズバリですよ。ドロみたいなワインということです。濃けりゃいいってもんじゃないんです。洗練がなさすぎ。でも、ここのところ、頑張って飲んだ甲斐あって、やっと目処がつきましたよ。何とか消費できそうになってきました。釈迦楽さんの雨乞いのおかげですね。でも、ちょっと心配で、実はあえて言及しなかったのですが、この雨、やむんでしょうね? 釈迦楽さん? 聞かずにいられない。雨は、これぐらい降ってもまだダムには全然足りませんから、一般的な意味では心配するようなものではないのですが、何せ雨乞いの話を聞いたあとですからねえ。すごおーく心配……まあ、そのお返事は釈迦楽さんにお任せするとして、とにかく、Rokku としてはワインさえ減れば、さしあたりは……。こういう無責任が大惨事につながるのかも。でも、無責任でも、Rokku は嬉しい。だって、またワインが買えるんですから。というわけで今日は意外に安いドンペリ96をゲットしました。これって、パーカー先生98点なんですね! ちょっとびっくり。そんなに高得点ワインを特価で手に入れてしまいました。無責任でも、Rokku 幸せです!大体同じ値段のを楽天内で見つけました。98点ならお買い得ですよ。箱までついてます。そうそう、値段同じで箱なしもありました。値段同じなら、箱があるほうがいいかと思ったのですが、これってただの貧乏性?ドン・ペリニヨン[1996]箱付(泡・白) 価格 9,800円 (税込10,290円) 送料別 残りあと 4 本です タカムラ ワインハウスさん
Jul 1, 2005
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昨日、涼しいついでに、久しぶりに赤ワインを飲みました。ものは、天才ブドウ栽培者と言われるアンリ・ザビエル・ギヨームが作るピノ・ノワールのヴィエイユ・ヴィーニュ’03です。正直、ただのピノはそんなに美味しいとまでは思いませんでしたが、このVVはとても美味しいです。夏ですから、ちょっと冷やし気味かと思われるような温度なのですが、それでも、ちょっとクロド・デュガを髣髴とさせる一口目なんですよ。どう考えてもお得です。2,300円ぐらいですから。しばらくすると、紫蘇系というか、南仏のワインらしさが勝ってきて、そう、ハーバルな感じが強くなってきますから、一口目ほどの凝縮感は味わえなくなってしまいました。でも、大変質の高いワインです。秋に飲んだらさぞかし美味しいでしょうね。少し残っていましたので、今飲みながら書いています。やはり印象は昨日と変わりませんでした。一口目はクロド・デュガ風の濃厚、緻密な果実味。二口目は南仏のハーブ系。暖まってくると、ぐっと南仏ワインらしさが出てきます。濃厚すぎて Rokku はちょっと辟易となりますが、とにかく濃いのがお好きな方にはオススメのワインです。でも、飲むなら秋以降だろうなあ、きっと。89+。ところで、楽天内に取り扱っていたお店はあるのですが、残念ながら在庫はありませんでした。全部売り切れてしまったみたいです。代わりに、絶対お買い得な赤ワインをご紹介します。これ、安いです。マダム・ルロワの蔵出しでしょうから、まず品質も問題ないと思いますよ。お値打ちです、大ビンテージの90年ですからね。絶対買い! ただし、飲むのは秋以降ですね。[1990]マランジュ ネゴシアン・ルロワ 価格 5,860円 (税込6,153円) 送料別 残りあと 5 本です みちのくワインの竹澤さん
Jun 30, 2005
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雨のおかげで少しは涼しい。昨日のラウンドヒル・ホワイト・ジンファンデルがまだ残っていたので、温度の違いが気分的に味に影響するかどうか試してみました。そんなに変わりありませんね。今日のほうが冷えた感じがする程度です。でも、そのせいでしょうね、少し昨日感じた皮の苦味みたいな感触は、ぐっと後退しています。昨日は、ブドウの皮の苦味が少し強く感じられて、それが暑いときのワインの嫌味に通じているような気がしました。ちなみに、我が家ではエアコンは、よほどのことがない限り使いません。さすがにケイトが夕ご飯を用意するときは、熱がすごいので使わざるを得ませんが、我が家においてそれは例外です。二階で寝るダンも、基本的にはエアコン無しですが、さすがに昨日は使いました。二階は暑いので仕方ないでしょうね。そんな事情ですから、余計にワインが無理なんですよ、我が家では。あ、ご心配なく、ゲストがあるときは立派な例外ですから、今度の日曜日はもちろんエアコン付です。ご安心ください。さて、ラウンドヒルですが、かすかな甘みのあるホワイト・ジンファンデルらしい心地よさは、昨日より増している感じです。やはり、温度が少しでも低く、虫が鳴いている風情の夜なら、ワインもOKですね。そういえば、夕食時に飲んだ「のどごし生」が、今日はいかにも雑穀酒って感じでしたね。今度は反対に、ビールはカーッと暑いときのほうがやはり断然いいです。今日は久しぶりにアフィリエイトします。やはりラウンドヒルのホワイトジンファンデルはありません。何かいいのはないかと物色してみたら、599円のホワイトジンファンデルを見つけました。セール特価みたいです。これはお得ですね。色はブラッシュと言って、ロゼではありません、正確には。ロゼより赤みがちょっと強い。断然夏向きですね。イングルヌック ホワイトジンファンデル 当店通常価格のところ 1,050円 (税込) SALE価格 599円 (税込) 送料別 ワイン生活を応援する Wine-netさん
Jun 29, 2005
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あまりの暑さにうだります。とても6月の気候ではありませんね。今日なんか、37度ですよ!前に、暑いとワインを飲む気にならないと書きましたが、実際に暑くなってみると、確かにワインどころではありません。白ワインだって、なかなか飲む気になれない。もう、ブログにワインのことを書くのも大変です。と言いながら、ラウンドヒルのホワイト・ジンファンデルを飲みながら書いてんですが……。ハハでも、やっぱりビールのほうが美味しい、夏は。今度の日曜日にうちでワイン・パーティするんですけど、これは困りましたよ! ワインどころではない天気なのに、どうやってワイン飲もう?雨が降るのをただ祈るか
Jun 28, 2005
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最近といっても、いささか旧聞に属してしまうのですが、ゴールデン・ウィークの5月3日付けだというのですから、もう約二ヶ月前の朝日新聞です。タイトルは「飲まれぬワイン哀れ燃料に…」というもので、最近急増しているオーストラリア・南アフリカ・南米ワインの輸入のあおりで、フランスやスペインのワインが在庫の山となり、約200億円相当の補助金が欧州連合(EU)から支払われることになった、そういう内容です。これって、要するに、日本の食管制度、つまり米作農家を守るために政府がやってきた補助金対策と同じですよね。面白い現象です。ワインはイメージ的にはあいかわらず「フランスからの憧れの品」であるにもかかわらず(いつ書いたか忘れましたが、前の日記に掲載しました)、本国生産地では輸入ワインに押されているというんですもん。日本の米の方がうまかろうが何だろうが、やっぱり安いのにはかないません。ワインも同じだったんですね。しかも、対象となったワインがフランスでは中級ワイン中心、スペインではテーブル・ワイン中心だそうです。フランスではちょっといいワインが痛手を受けたというのですから、ちょっとおいしいフランス・ワインがちょっと美味しいけど値段は相当安い新大陸ワインにやられたということなのでしょうね。うがった見方をすると、だから最近、日本に妙に値引きしたフランス・ワインが入ってくるのかもしれません。ときどき、えっ!と驚くほど安い有名ワインがあったりするものですから。燃料になるぐらいなら、ワイン商だってワインとして売りたいでしょうしね。少なくともお得意さんには。どうせ補助金は出るのだから、少々お得意さんにサービスしたって腹は痛まない。いつも影響を受けるのは中間層です。その階層の没落につながらなければいいのですが……日本の米の場合はどうだったのでしょうか。あいかわらずの米離れなのでしょう?
Jun 23, 2005
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ワインの消費量は全然減っていませんでしたね。それは間違いでした。でも、そんなことに関係なく、やっぱりダメなんです。常温の地下収納庫には確かに20本近くのワインがまだある。その事実が変わることはありません。そうなんです、バカな悩みには違いないけれど、やはり悩みではあるのです。大誤算は、この暑さ。蒸し暑くて、雨がない。今日も朝のうちは雨が降ったけど、すぐにやんで晴れてくる。これでは気温が上がる!それなのに、飲み頃のマグナムがある! 7月のうちに消費すればいいや、ぐらいに思っていたのですが、ボトル二本分となると、やはり時を選びたくなってしまう。そう簡単に、じゃあ開けようか、とはいかないんです。さらに、ですよ。暑いと、常温で赤ワインを飲むのがなかなか厳しいのでした。今が一番いけない頃かもしれません。千本セラーさんも言ってました。いっそもっと暑くなって、クーラーをかけなければならないほうがいい、って。そうなれば、かえって、赤ワインを飲む気になるんです、今の時期よりも。今はアルコール分ばかり感じてしまい、冷やさないと飲めません。ところが、いいワインは、冷やすと勿体ないんですよ。どこかに緊急避難させるしかないか、最近、そう思っています。アテですか? それが、あるんです。言えませんけど。
Jun 22, 2005
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今年は空ツユっぽいですね。全然ではありませんが、あまり雨が降りません。最初はそれなりに梅雨空でしたから、梅雨寒の日もあったのですが、最近はさっぱりですね。もちろんこれには地域差があるので、「名古屋のあたりは」という限定が加わるんですけど、とにかく暑い! 万博に来ている人は大変でしょうね。で、Rokku の悩みとは、実は、買いすぎたんです。ワインを。昔の実験で Rokku は分かっているはずです、夏は7月一杯をめどに常温保管分は飲みきること! これが日本の夏のワイン・サバイバル・プランでした。すでにお知らせしたように、このことは実験済みです。だから、今年だって、高いワインというか寝かす必要のあるワインは、ほぼちゃんと収まっているんです、電気式のワインセラーに。問題なのは、飲み頃のワインのほう。なんでこんなことになってしまったのか?理由は簡単でして、我が家の夕方の生活パターンが変わってしまったんです。まず第一に、愚息のダンが塾なんぞへ行くようになって、夜にのんびりと夫婦で酒を楽しむことができなくなりました。塾とテニスのレッスンのおかげで、金曜日を除いて6日間、全部送り迎えが必要なのです。9時過ぎまでは飲めないとなると、次の日のこともありますしね。ま、いいか、ってことになっちゃうんですよ。ご飯を食べた後しばらくしてからワインを飲むのはなかなか難しいんです、Rokku の場合。そういうときには、焼酎か、のどごし生のほうが都合がいい。料理の上でも、6時にダンにご飯をということになると、つい簡単なものが食卓に並ぶことになり、その点でもワインは敬遠され、ついついワインが残る。こういう構図なんですね。そのうえ、Rokku もケイトもテニスが大好きで(これも前にお話しましたね)、さらに Rokku は水泳までします。で、スポーツの後のワインって、なかなか重いのです。それも手伝って、つい簡便な焼酎か、のどごし生に手が伸びちゃう。かくしてワインは大幅に消費量が落ちました。今年のノートはやっと50本です。こう書いてみて、おや、おかしいな、そんなに減っていないんでは?と思い、調べてみました。そしたら、やっぱり、今年が極端に少ないわけではなさそうです。02年に Rokku はたくさん飲んでいて、6月末の段階で70本近くいっていますが、普段は50本程度のようです。これは意外な結果。思ったよりもよく飲んでいますね、今年も。ということは、それにもまして買うようになったということか?なあんだ、勘違いでした。やれやれ バカみたいな悩みでしたね。
Jun 21, 2005
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とあるホテルの中華料理店でおこなわれた、大変盛大な出版記念会でした。Rokku って、バカです。ケイトに言わせると、世間知らずの愚か者ということになります。確かに「学者バカ」って言いますよね。自分では、そんなことはない! ちゃんとしている、と思っていたのですが、やっぱり世間知らずだな、と思います。佐々さんからご招待を受けて行ったのですが、受付でハッと気がつきました。そうです、皆さんはご祝儀を持ってきていらっしゃるのですよ。愚か者の Rokku は、えっ!と思いましたが、ご祝儀袋も持ってきていないわけですから、いまさらどうしようもありません。こんなことなら最初から会費を取ってくれればいいのにー と思いますが、先方さまはそうも行きません。また、恥を重ねてしまいました。ちょっと前にも出版記念会があって、発起人に名前を連ねるようにと頼まれた Rokku は、私なんかがいいんですか?と言って、発起人名の列の最後尾にいれていただいたことがあります。あの時も Rokku は、ご祝儀を持っていっていない! えっ! 要るんですかあ? 言ってくださいよお~恥ばっかりかいている Rokku です。恥ずかしい。でも、いまさらしょうがない。人生って、ホントに恥の集積場みたいなものですね。世間知らずは恐ろしい。というわけで、直接関係はないのですが、いい記念会であったにもかかわらず、Rokku は恥ずかしかったという話でした。中華料理もおいしかったです。昼間から楽しくビールをいただいて、もう真っ赤になってしまいました。だって、その上、中華に合うんだと言って若山さんがヒューゲルのゲビュルツトラミネールを注文してくださるんですもん。このアルザスの白ワインは、安い上においしい。夏にはぴったりのワインです。ちょっとグレープフルーツの印象がある特徴的なアロマで、Rokku は一時期、夏になるとこのワインを飲んだものです。中華にはとりわけよく合いますね。豚肉はオーケーです。やったことはないけどしょうが焼きもいけると思いますよ。若山さんのおかげで、真っ赤な顔がさらに真っ赤になってしまいました。帰りの恥ずかしかったこと! 二重の恥でした。これがホントの恥の上塗り。実は今日は、他にもどうしてもご紹介したいシャンパーニュがあるので、アフィリエイト用の写真が都合三つになります。まずはゲビュルツトラミネール。ヴェが正しいのかどうかよく知りませんが、オーケストラワインショップさんによると、南国フルーツの香り、Rokku に言わせるとグレープフルーツです。ホントにおいしいですよ。同席した方々が、みなさんラベルを再三見ていらっしゃいました。それほど印象に残るワインです。ここをクリックゲヴェルツトラミネール [2002/03] ヒューゲル 価格 1,760円 (税込1,848円) 送料別 残りあと 8 本です オーケストラワインショップさん続いて、楽天ワイン・ニュースにあった、何が何でもご紹介申し上げなければいけないシャンパーニュです。これ、96年です。シャンパーニュの超優良年ですから、96年とあるだけで買いなのに、さらにこれは点が高い。ワイナート94点だと言う。これは絶対買うべきです。4000円を切る96年のレコルタン・マニュピランです。ここをクリック[1996] ブリュット・ミレジム グラン・クリュ ピエール・パイヤール (シャンパーニュ)販売期間 06月04日11時00分~06月13日17時00分 ショップオブザイヤー受賞記念セール 3,791円 (税込3,980円) 送料別 残りあと 52 本です ヴェリタスさんさらにそこのロゼです。しっかりした作り手のロゼですから、オススメしないわけにいかない。ロゼのシャンパンって普通高いですからね。ここをクリックブリュット・ロゼ グラン・クリュ ピエール・パイヤール (シャンパーニュ)特別セール価格 3,980円 (税込4,179円) 送料別 残りあと 43 本です ヴェリタスさん
Jun 7, 2005
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昨日の日記からだいたい24時間しかたっていません。この間、エナン=アルデンヌが圧倒的強さで全仏を制しました。中日ドラゴンズも勝ちました。そんな短い間に、ワイン会と佐々さんの出版記念会と、日記に書くべきことが二つもあるなんて、たぶん Rokku は運に恵まれた人間なんだと思います。感謝。というわけで、まずはワイン会の話から行きますね。佐々さんの話は明日にします。もともと、ワイン会というのはプライベートなものですが、昨日のワイン会はとりわけプライベートな集まりでした。というのも、ゲストは Rokku だけなんですから。ま、簡単に言えば、お知り合いの方がお宅に Rokku をご招待してくださって、Rokku はお言葉に甘えてノコノコでかけていった、というだけのことなんです。いやあ、立派なお宅でした。とにかく広くてきれい。十分なスペースがあるから、食卓も実にゆったりしていて、快適な空間を形成しています。というか、応接セットから何もかもがゆったりと鎮座している感じで、ちまちましていない。だからこそなのでしょうが、家具が活きている感じがしました。家具屋さんで聞いたことがあるのですが、丸テーブルは周りにゆったりしたスペースがないとオススメできないのだそうですね。なるほど、ホストのお宅にお邪魔してみて、その意味がとてもよくわかりました。あれぐらいないと、確かに丸テーブルがゆったりして見えないだろう。それを実感させてくれるほど、十分なスペースが確保されていました。さて、ワインです。白が二本と赤が一本、何せ二人だけですから、飲むといってもそんなにはいただけない。その上、Rokku はテニスと水泳のダブル・エクササイズで、すでに目は潤んで適度な興奮状態ですから、ただでさえ大して強くもないのに、すぐに回ってきてしまうんです。十分なホスピタリティをいただきながら、せっかくのおもてなしに十分応えきれない自分が恨めしいのですが、しかしいかんともしがたい。せめて、ワインの銘柄をできうる限りこの場においてご紹介するのが、Rokku にできる最大の応答だと考えます。最初にいただいたのはタマラ・ヴィンホ・ブランコ 2002(Tâmara Vinho Branco 2002)というポルトガルはリバテホ(Ribatejo)のワインです。ポルトガルのワインというと、あまり馴染みがなく、詳しいことは何も知りません。そこで、ヒュー・ジョンソン先生にお伺いをたてることにします。先生いわく、この地域はリスボンの北に位置していて、ここから東側にタグス(Tagus)の急斜面がサンタレム(Santarem)を越えて続いているそうで、それがリバテホというところのようです。ここは大量ワインの生産地だそうで、普通なら、だからダメとなりそうなものですが、ところがここは、来訪者が楽しめるワインを産出しているとのことでした。残念ながら、今回いただいたのは、ジョンソン先生が例証として挙げている銘柄(たとえばカルヴァルホ Carvalho)ではありませんでしたが、砂地に生育するフェルナオ・ピレス(Fernâo Pires)と呼ばれるブドウから作られるこのタマラというワインは、なかなか辛い、ちょっとボルドーの白を感じさせる一本でした。この地域は、白ワインに集中しがちだとのことですが、赤のほうが興味を引くとのことでした。ただ、どれくらい輸入されているものかは、ちょっとわかりません。Rokku がいただいたワインは、地域名ワインのようです。ファルアという名前の協同組合のワインみたいです(Falua, Sociedade de Vinho)。赤は、カリフォルニアのジンファンデルでした。銘柄は、リーピング・リザード(Leaping Lizard)2001 といって、ナパ・ヴァレーの一本です。香りのよくたつ、なかなかおいしい一本でしたが、パーカー先生にもジョンソン先生にも言及はありませんでした。インターネットで調べてみたら、2005年のモンタレー・ワイン・コンペにおいて、2002年のカベルネ・ソーヴィニョンとメルローが銅賞、ジンファンデルが銀賞をもらっています。ここをクリック【アドラーフェルズ】 "リーピングリザード" ジンファンデル ナパ・ヴァレー [2001]カリフォルニアワインあらかると さんによると、【抜群のコストパフォーマンス】がクチコミで伝わり、西海岸のワインショップで品切れ店を続出させたのが、リーピングリザードという銘柄のようです。ジンファンデルについてはあまり言及がありませんでしたが、コンテストで銀賞という事実が、このワインの質を実によく物語っていると言えるかもしれません。現在、「あらかると」さんの特価で 1,980円 (税込2,079円) 送料別 のようです。残りあと 3 本しかありません。
Jun 5, 2005
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今日は、小田川さんからいただいたフランス語の雑誌にあるワインの特集記事を訳して、抜粋篇をご紹介しようかと思っていたのですが、ちょっと間に合いそうにありません。というのも、これから面白そうなワイン会へ出かけていくことになっているんです。明日は明日で、佐々さんという方がご本を出されて、それの出版記念会があるので、そこに出席して出版をお祝いしてきます。佐々さんのことだから、また面白そうな料理とかワインとか出るのではないか、と密かに期待しております。本のこと、料理、ワインのことなど、ご紹介するお話がきっと盛りだくさんだと思います。これから行くワイン会のお話もありますしね。ということで、今日は予告編みたいなもので申し訳ありませんが、乞うご期待ということでした。中味がなくてすみません。では、行ってきます。
Jun 4, 2005
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今日は、夏に向けてのワインを、Rokku がご紹介しているお店を含めて、昔のテイスティング・ノートから抜き出してみましょう。01年のノートを見ると、ドラモット・ブリュット(Delamotte Brut)のNV(ノン・ヴィンテージ=年号が入っていないという意味)に85点をつけています。飲んだのは11月となっていましたが、よく飲んだので、まとめ買いしたうちの何本かが残っていたのでしょうね。これは本格的シャンパーニュでありながら、お値打ちなお買い得ワインとしてパーカー先生も誉めていたことがあります。そのせいでしょうか、ここのブラン・ド・ブラン’96(Delamotte Brut Blanc de Blancs 1996)は、前にもご紹介したことがあるように、胡桃の風味を持つ、コクを感じさせるシャンパンなので、夏の暑い日に、十分に涼しい部屋で優雅にいただくには結構な一品ですが、残念ながら値段が楽天内では高めです。もしどこかで安いのを見つけられたら、買われるといいです。このドラモットのように、本格的シャンパーニュのブラン・ド・ブランで 3,600 円台か、あるいはもう少し上程度だったら、ぜひ買って飲んでみてください。典雅が味わえますよ。そういう事情なので、ここではあえて、ブラン・ド・ブランを外して、ただのブリュット。それでも本格シャンパーニュですし、パーカー先生オススメですから、値段以上の喜びが味わえます。夏ならもっと評価の点が上がるでしょう。トップページにあります。それから、ついでに、お手軽ワイン館さんオススメワインのなかにある、グラムノンのロゼについても一言。ものすごくおいしいので、自信を持ってオススメしたのですが、意外に売れていなくてビックリしています。だまされたと思って飲んで欲しい1本です。よく冷やして、と、何と合うのかなあ。Rokku が覚えているのは、ワイン自体のおいしさだけですね。ロゼでは出色だったと思うけどなあ。ノートを調べたら、去年の冬に飲んでいました。88点をつけてました。やっぱりロゼでは出色だと思いますよ。値段も安いし、絶対オススメなんですがねえ。
Jun 3, 2005
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昨日、Rokku はワインは散歩に合うと言いましたね。ここで Rokku が面白いと思うのが、思考というか頭のタイプについてです。このところ Rokku がごちゃごちゃと考えていることを整理してみます。夏=ビール=スポーツ冬=ワイン=散歩あ、そうそう、言い忘れていましたが、ビールを生んだのは比較的寒い国です。ドイツしかり、イギリスしかり(Rokku はエールの話をしています)です。それなのに熱をとるというのは変ではないか、ビールも、もともと体を温めるのではないかという疑問が出てくるかもしれませんね。これは実にいい質問です。というのも、ドイツは知らないので想像するしかありませんが、少なくともイギリスで見る限り、ビールは冷やさないのですよ。冷えたビールがない!ということは、日本人がビールを冷やして飲む、ということですね。だから熱を取る飲み物、ということになる。「夏=ビール=スポーツ」という等式は日本でしか成立しないのかもしれません。つまり、日本では、ビールは夏用の飲み物として(たとえば日本酒の熱燗に対抗する形で)変形して登場したのかもしれない、ということですね。ちょっと話が横に逸れてしまいましたが、元に戻します。スポーツって、よく頭がよくないとできないと言われますよね。そのときに言う「頭」って、散歩のときに使う「頭」とは断じて違うでしょうね。散歩のときが「思索」といって、哲学的な色合いを帯びるのに対して、スポーツで使う「頭」とは、もう少しプラクティカルというか、瞬時の合理的判断というニュアンスでしょう?面白いことに、推理を旨とする探偵は「歩く」のです。走りません。そことワイン、日本酒はわりに近いものを感じます。それに比べて、「走る」ものはビール、なのかどうかは知らないけれど、Rokku の図式によると、そういうことになる?ことはそれにとどまりませんよ。よく日本では実学が尊ばれます。これって、瞬時の合理的判断のほうに近くありませんか? そう、日本で基礎研究に重きが置かれないこと、文系的な哲学的な思索を「下手な考え」と言って退ける傾向があることと、この「頭」に関する二分類への関心がほとんどない(つまり夏になるとビールしか合わないこと)とは、関係があるのではないでしょうか。そして、このことと、日本人のほとんどが歩かなくなってしまい、ほとんど車で走っていること、田舎で歩いているのは小学生、中学生とお年寄りばかりという現実は、重なり合っているのではないでしょうか。Mike23さん、夜歩くのは存外大事なことなのかもしれませんねえ。
Jun 2, 2005
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良く雑誌に載ってますよね、アウトドア・ライフとワイン。雑誌の中にはある至福の世界が、なぜ日本、たとえば淡路島ではできないのか? あのカップルにしたところで、雑誌で見たからやってみようと思ったのでしょうしね。よその国ではおかしくないアウトドア・ライフとワインのよい関係が、なにゆえ、日本ではダメなのか? それはもうひとえに蒸し暑さのせいですね。日本は、夏は熱帯か亜熱帯の国ですから。もう20年ぐらい前のことでしょうか、初めてケイトとイギリスへ3週間の旅に行ったとき、帰ってきてみると、日本では梅雨が明けていました。なんとなくヨーロッパの湿度の低さに体が慣れていたのでしょうか、名古屋の地に足を踏み入れたとたん、あまりの蒸し暑さにびっくりしました。湿度で空気が霧がかかったみたいになっていて、ホントに蒸し風呂に入っているみたいに感じましたよ、服を着たまま。たまたま7月の旅行だったので、劇的な変化を体が経験してしまったということなのでしょうね。モンスーン気候はヨーロッパの気候と全然違うのですね。特に夏! だから無理なんです、ワインは。高原ならいいけど。ところで、スポーツといえば、汗をかいて、ちょうどモンスーンの夏みたいな状態に体がなっている状態ですよね。だから、ワインは合わないのでは、Rokku はそう思っています。だから、スポーツにはビールなのでしょう。それにひきかえ、秋から冬の散歩とワインはよく合います。その時期、特に太平洋側は乾燥しているでしょう? 気候がヨーロッパに近い時期と言えるのかもしれません。テロワールって、風土でしょ? ワイン作りについて薀蓄を語るときによく聞かれる言葉ですが、実はこの言葉、飲むときにも考えなければいけないのかもしれませんよ。特に日本の極端な夏冬の違いとワインの関係を考える場合には。火照った体には、やはり熱を取る飲み物こそが求められるのですから、やはり冷やしてなけりゃ。だから、どうしてもワインを飲むのなら、ガンガンに冷やした白となります。でも厳密に言うと、ガンガンという言葉のニュアンスは、ビールにこそ合うように Rokku は思うのですがね。日本の夏にワインは受難。ということは、ワインは体を冷やすのではなく暖めるのかもしれませんね。だから体にいいのかな。日本酒でも言うでしょ、冷やは体に悪いって。そうそう、カーブドヴァン萬屋さんのオススメワイン、一点だけだけど追加しました。覗いてみてくください。ティント・ペスケラ・クリアンサ'02です。まだ少し置いたほうがいいように思いますが、お買い得な値段です。飲むならブリージングが必要です。夏向きとは言えないなあ。本格的赤!
Jun 1, 2005
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先日、夏には白ワインかビール!と書いてから、そういえばスポーツとワインってあんまり相性がよくないな、と感じたことがあるのを思い出しました。今日はその話です。Rokku は、スポーツと酒が合わないと感じているわけではありません。そんなに詳しくはありませんが、ビールとマリン・スポーツは抜群の相性でしょうし、汗とビールは違和感がありません。昔、よくスキーに行った頃などは、昼ごはんにビールを飲むのはそんなに珍しくなかったです。もっとも、冬のことですから、日本酒でもよかったですけどね。そうそう、テニスにビールもいいですね。ビールの爽快感とスポーツがイメージとしても、心理的相乗としても、よい効果を生むのではないでしょうか。理由についてはよくわかりませんが、汗とビールを対立的なものと感じる人は、おそらくほとんどいないでしょう。ところが、これが、ワインとなると事情が違う。ご異論もあるかとは思うけど……。友人一家と総勢11人ぐらいで、大所帯のキャンプを毎年夏に淡路島でやっていました。子どもたちの成長とともに、次第に過去形の話になりつつありますが、ここでお話したいと思っていることが起きたのは、今から5年以上前のことだと思います。私たちがキャンプをしているホント近くに、若いカップルがおしゃれなテーブル(キャンプ用ですよ!)、ワイン・グラス、それに洋食器でキャンプを始めました。食べていたものまではよく覚えていませんが、朝はパンに卵料理にサラダみたいでした。とにかく、カッコよかったです!でも、Rokku は知っています。キャンプ、特に夏のキャンプって、ドロと汗の世界なんですよね! やったことがある人ならわかるでしょうが、朝はもちろんご飯の準備ですし、それが終わると、すぐにお昼の算段、それが終わると夕ご飯の買出しに準備と、一日中ご飯のことばっかり考えている感じです。そして、その上、あの日本の暑さですわ。それはもう、汗とドロそのもの! 一応 Rokku たちもワインは飲みますよ。友人が飲みたがるし、冷蔵庫もある(!)ので、冷やせますしね、ま、なんとか。でも、汗とドロの世界にワインは合いません! 言ったでしょ! ワインは「癒しとあこがれ」の世界ですからね。二泊三日のキャンプでほとんど難民状態になるのに、何がワインですか! 例の若いカップルも、ひどかったですね。働いているのは女の子のほうばっかり。若い男はただ待っているだけ! そりゃ、オノレは楽しかろおよ、と皮肉のひとつも言ってやりたくなるようなカップルでした。で、そのカップルがその後どうなったのかは、もちろん Rokku にはわかりませんが、ここでの問題はそんなことではありません。この話、続きます。
May 31, 2005
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01年に Rokku が飲んだのは、97年です。この年のモーカイユーは大化けする可能性があるワインに位置づけられていて、一般に「スリーパー」と呼ばれています。パーカー先生(1998年)は86-87点でしたが、Rokku は88-89点をつけています。4等級か5等級に匹敵する、クリュ・ブルジョワというクラスに分類されるワインです。あくまで97年の話でしかありませんが、カベルネ・ソーヴィニョンが56%、メルローが35%、プティ・ヴェルドが7%、カベルネ・フランが2%混合されています。前にお話ししたように、混ぜるのがボルドーの特徴なのです。97年は、カシスとクランベリー・ジャムの果実香があり、ボディたっぷりで官能的な味わいをもつワインのようです。純度も高いということですが、Rokku に細かい記憶はありません。ただ、おいしかったことだけ覚えています。ブドウの出来によって、4年から12年置けるという話ですから、01年の一般的な出来からして、まだ飲まないほうがいいかもしれません。それに、昨日お話ししたように、暑いときに赤ワインはイマイチですから、セラー用になってしまうかもしれませんね。もし飲まれるのなら、かなり長いブリージングが必要でしょう。よく「飲めます」とお店の人は言いますが、だいたいの場合、ホントの意味で「飲める」というだけで、あまり「おいしく飲める」という意味ではないようですよ。お店は当然、早く飲んで、次のワインを買ってもらいたいですものね。こういうときに、確かに電気式ワイン・セラーは便利です。夏になると欲しくなるという意味では、冬スキーに行くと欲しくなる四輪駆動車みたいなものかもしれませんね。季節商品?
May 29, 2005
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暑くなってきましたね。Rokku は、これぐらいの暑さだと、もう赤ワインはダメです。飲む気になりません。千本セラーさんは、この時期からクーラーがだいたいどこでも効いている夏の時期までは、赤ワインを飲むのに不向きな季節と言います。Rokku もほぼ賛成ですが、実はもう少しラディカルで、夏はたとえ冷房が効いていても、結構赤ワインのアルコール分が鼻について、冷やさない限りは赤ワインがおいしくないと思います。そして、おいしいワインは冷やしてしまうともう、真価が分からなくなるものですから、本質的に赤ワインは夏はダメということですね。冷やして飲めばいいと言う方もいらっしゃるでしょうが、冷やして飲むのなら夏はビールのほうがおいしいですよね。夏はやはりビールですよ。のどごし生!でも、白はいいんです。もともと冷やして飲むものですから、すっきり冷えた白ワインは夏によく合います。もちろん、高級品はダメですね。だって、高級白ワインは冷やしませんからね。赤とおんなじです。だから、夏はダメ。冷やして飲むのですから、何でもいいようなものですが、Rokku が飲んだものの中では、出色はフラスカティのサンタ・テレーサですが、やはり今でも、これは楽天にはありません。最近 Rokku は他で予約しました。この夏はゆっくりとピッツァにあわせようと思っています。ああ楽しみ。皆さん、ごめんなさいね。もう一つがアメリカはラウンドヒルのホワイト・ジンファンデル2003。これも残念ながら楽天にはありません。フラッシュという色で、前に Rokku の日記でご紹介したときは、ロゼと言ってしまい、コメント欄で訂正しましたが、皆さんお気づきではないでしょうから、ここでもう一度繰り返しておきます。顔を赤く染めるときに使う「フラッシュ」というのが、このホワイト・ジンファンデルに使われる色表現の言葉ですよ。もちろん英語です。ないものの話をしていても仕方ありませんから、2001年に Rokku が飲んだブルゴーニュ・コート・シャロネーズ レ・クルー(Bourgogne Côte Chalonnaise Les Clous)1999 をご紹介します。これなら楽天内にありますからね。トップページをご覧ください。醸造業者はアー・エ・ぺー・ドゥ・ヴィレーヌ(A. & P. de Villaine)で、パーカー先生三ツ星です。アリゴテを有名にしたことで、それこそ有名です。彼らがコート・シャロネーズに持っているシャルドネの畑がレ・クルーです。Rokku は99年を飲んで88点をつけています。楽天で売られているのは02年。言わずと知れたブルゴーニュ出色のいい出来の年です。白もすごくいい年ですから、点はもっと高くなるでしょうね。一般的なガイドを参考にしてみると、99年は89で02年は92です。Rokku の99年の点が88ですから、一般論としてという限定つきではありますが、90-91ぐらいは行きそうな気配ですね。そのせいでしょうか、値段も99年ものよりは450円ぐらい高いようです。
May 28, 2005
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今日は、5月11日の朝日新聞に載っていた記事についてのお話をします。それは、「ワインは『癒し』『あこがれ』」と題された囲み記事で、確か経済面にあったと思います。5カ国のワインに対するイメージを調べるよう、第13回ワイン・酒類国際展示会(VINEXPO)の事務局が調査会社に委託した結果報告のようです。報告は、5カ国のワイン好きの人々にグループ討論をしてもらい、その発言から、各国のワインに対するイメージを抽出しようとしたもののようです。イメージが報告された国はアメリカ、日本、ドイツ、イギリス、フランスです。報告のすべてが新聞掲載されているわけではないので、即断はできません。が、記事から知る限りでは、面白いことに、いくらか国ごとの事情の違いはあるものの、フランスを除いて、押しなべて、ワインを日ごろの生活から切り離してくれるもの、非日常という意味での「夢のワイン」なのですね。こんな具合です。全文引用しますね。【米国】 9・11の後、世界への悲観と私生活への楽観を的確に区別する。ワインは自分と他人を再び結束させる儀礼。最近の出来事を忘れるための酒として宴を盛り上げる。【日本】 日々の暮らしは規則正しく、ややこしく、刺激が強く、数字がいっぱい。日本人がワインに求めるのは、そんな日常から夢の世界に入り、西洋文化に接すること。【英国】 天気は言うに及ばず、労働条件も欧州で最も悲惨。ワインは狂ったような社会生活と私生活を隔てる国境だ。肉体と精神の解放を求め、魔法の「ワイン時間」が始まる。【ドイツ】 ドイツ人の経済的野心はいつも前のめりだ。今すぐ冷静になり、傷つきやすい心のための防御手段と私生活を取り戻す必要がある。ワインの出番である。それに対して、フランスでは、いわゆる酒の効用しか語られていない。いわく「不満だらけで疲れた人々の元気のもと。気休め、発奮、快楽。飲めば新たな活力を授かる」。これは、明らかに、単なる「酒を飲むことの効用」でしょうが。そして、さらに面白いのは、「正しい歴史と文明の出発点、若者にとっては先祖からの財産分与」というものです。前者は酒の由来ですかね。酒飲みのごたく、単なる正当化ですね。後者にいたっては、やたら現実的でいかにもフランス人的な資産としてのワイン観が披瀝されています。要するに、フランスにはワインをありがたいイメージとして偶像化する傾向は皆無ということですね。まあ、当たり前と言えば当たり前だけど。でも、これって、結局、パリ・コレと同じで、パリのファッションは個性的で優雅で、あくせくしていないけど、後続の国々では「パリ発の流行がありがたいお経のようにやってくる」感覚ですよね。「異国のありがたいもの」。まれびととしてのワインそうそう、もう一つ、目だつのが「ワイン=西洋文化」となるのが日本だけ、ということ。ま、当たり前なんですけどね、日本だけが欧米ではないのだから。アジアの一国なのだから。まさに、まれびととしてのワイン。まれびととしてのアメリカ映画とおんなじ。あんまり、というか、全然変わってないなあ。驚いた。
May 27, 2005
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今日はイタリア・ワインです。フラテッリ・スペリ(Fratelli Speri)のアマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ(Amarone della Valpolicella)1995です。飲んだのは01年。この前と同じですね。当時イタリアのヴァルポリチェッラについては何も知らなかった Rokku ですが、90点をつけています。今回ご紹介するに当たって調べてみたら、ヴァルポリチェッラとはイタリア・ヴェネト州といって、ヴェローナやヴェニスを含む、北に位置する州の地域名のようです。だからヴァルポリチェッラとだけあるワインいうのは、そこでできたワイン、すなわち地域名ワインと考えていいでしょう。でもこのワインは、パルポリチェッラのアマローネですねえ。これはどういうことなのでしょうか。それは、ワインの作り方につけられた名前というか、その作り方でできたワインにつけられた名前なのですね。使うブドウはさまざまなようですが、メインはコルヴィーナ・ヴェロニーズ(Corvina Veronese)というブドウで、これが4割から7割使われるようです。ジョンソン先生によると、キアンティと同じくらい、このヴァルポリチェッラも質に幅があって、全体には軽い物が多いようです。若飲みに適するらしいですが、クラシコ(Classico)がつくと、質はよくなります。これにさらに砂糖を加えて、より長い発酵期間を経て甘口に仕立てるとレシオート(Recioto)に、辛口に仕立てられるとアマローネ(Amarone)と呼ばれるようになります。これですね、Rokku が言っているワインは。アマローネは評論家によってはイタリア最高の赤ワインの一つと言われることもあるのだそうですよ。確かに Rokku の経験では、アマローネは大体においておいしいワインですね。さて、スペリです。2002年版のパーカー先生によると、スペリという醸造業者は、「大変ワイン作りの技術が進歩してきている」エステートの一つらしくて、「おいしくて手ごろな値段のヴァルポリチェッラの生産者」と評されています。Rokku の90点は正しかったわけですね。今日ご紹介するのは、97年なのですが、このワインはないものの、02年版のパーカー先生もスペリが作る他のヴァルポリチェッラに90-91点という高得点を与えていますよ。高品質が十分期待できるワインなのですが、ちょっと値段が上がっているのが玉に瑕です。Rokku は3,000円ぐらいで買ったんですがね。高いようでしたら、他で安いやつを見つけてみてください。そういえば、最近見かけませんねえ。気がつかないだけかな。
May 26, 2005
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昔、同僚の心理学の先生がコンパの帰りに二次会へ行き、ワインを注文したそうです。お酒が大変強くてお好きなその先生、ボジョレか何かを注文なさったのですが、出てきたワインに文句をつけて、「これ変、セメダインの味がする。これ、おかしいよ。代えてよお」とずいぶんゴネタのだそうです。この話をしてくださったのは誰だったか、Rokku には記憶がありませんが、その人は確か、そのセメダイン味を怒った先生が酔っ払ったからそんなこと言い出したと思っていたようです。それ以来、Rokku は、セメダイン味のワインとはどんなものなのだろうと、ずっと興味をそそられてきました。普通ならまずいものなんて、嫌がるのでしょうが、でも、思いませんか?セメダイン味のワインって、いったいどんな味なのだろう、って?もっと昔、アメリカの大学でレセプションがあったときのこと、ここの白ワインは飲めた代物じゃないよ、とある人から聞きました。まさかと思いましたが、これだよ、飲めないワインはと言われて飲んで驚きました。ホントに飲めないんです。口に入れただけでウッとなる。フランスに一年間留学なさった先生と新幹線で一緒に名古屋まで帰ってくることになりました。たまたま、食堂車で夕ご飯をということになり、さらに何を思ったか、ワインでも飲もうということになりました。食堂車の帝国ホテルの出すワインなんて、やめといたほうがいいのでは、と小声で言ってみたのですが、このフランス文学の先生も、ぜひ飲みましょうとおっしゃるので、じゃあ、ということになりました。ボトルが届いて、色が薄い赤なので、これはきっと悲惨な赤だぞと思っていましたが、くだんのフランス文学の先生、一口するなり、ウッと言いましたね。ブッだったかもしれません。よく口から出さなかったものだと思いますが、フランスでワインを飲みなれると、自然にあの本格ワインが標準というか、レファランスになってしまうのでしょうねえ。そりゃあ、口に入れた瞬間、ワインとは思えなかったでしょうねえ。しかし、Rokku の言う飲めないワイン、正確にはセメダインの味がするワインは、このフランス文学の先生の驚きの比ではありません。だって、ホントにセメダインの味がするんですから。そのことを知ったのは、今から5年ほど前のことです。ここでご紹介したこともあるイタリアのワイン、ポッジョ・ヴァラーノです。何本かまとめて買って、そのうちの一本がセメダイン味だったんですね。正体を明かしましょう、セメダイン味は不良コルクのせいでした。コルクが不良なため、ワインの味が変わってしまっていたんです。開けたときからおかしかったんです。まず何よりも、変なニオイがする。とにかく、ワインとはおよそ似ても似つかぬニオイです。コルクが変形していて、壜とコルクの間に隙間があり、そこから例のセメダインのような変なニオイがするのですよ。開けて、飲んでみてびっくり! ホントだ! セメダインの味だ!前にお話ししたことがあると思いますが、安いワインはコルクが悪く、キメが粗っぽい。空気孔のような穴が一杯あいています(小田川さんが教えてくださいました)。しかも表面はざらつきます。ところが、長熟型のワインの場合、使われているコルクの質がよく、表面がツルッとしているのです。その上、さらに長い。コルクが。だから、開けたワインのコルクが長くてツルッとしていたら、いまさら遅いけど、そのワインは長熟型ということですね。あけちゃったけど、です。そのコルクがすごくきれいだったりしたら、早すぎたかもしれませんよ、あけるのが。いまさら遅いですけど。せめて、ゆっくり時間をかけて飲んだほうがいいでしょうね。コルクが変形していたセメダイン・ワインは、どうするかですか? 捨てるしかありませんよ。とても飲めたものではありません。そのときばかりは、Rokku 零点をつけましたね。さすがにセメダイン・ワインは楽天にありません。よって今日はご紹介ワイン無しです。
May 25, 2005
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Rokku は、最初ブログを始めたとき、飲んだワインの点数などを紹介しながら、おいしいワインのアフィリエイトができれば、ぐらいに思っていました。それからはや2か月近くになりますが、やっと、ワインに関するいろいろが終わって、個別のワインの話に行けそうです。なんか、淋しい気もしますが、嬉しくもある。というわけで、今日はモンテ・アンティコのビーノ・ダ・ターヴォラ(Vino da Tavola 要するにテーブル・ワインということ)を紹介です。Rokku が飲んだのは97年ですが、今出回っているのは01年です。トスカナの全般のビンテージは97年が95と高いのに対して、残念ながら01年は88と少し低めですから、Rokku が97年ものにつけた点(90)からすると、01年は85~88点ぐらいかもしれません。パーカー先生(99年版)によると、フランコ・ベルナベイという有名な醸造業者(学者)によって、サンジョヴェーゼというブドウから作られている、お値打ちトスカナ・ワインの一つです。95年物がとりわけ評判がよかった(「すばらしいお値打ち品」)ようですが、「優れた豊かさ、甘く熟したベリー、チェリー、苺の果実味、すばらしい純度に、柔らかくおおらかに漂うフィニッシュ」という彼の印象は、Rokku が飲んだ97年でも感じられたように思います。1,000円台前半では出色のおいしいワインの一つではないでしょうか。お試しください。Rokku が何であわせて飲んだかは、残念ながらノートに記されておらず(よく書き忘れるのです)、はっきり分かりませんが、パーカー先生の記述からみて、鶏肉はよく合うと思います。
May 24, 2005
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二度目のゼミ・ワイン会で飲んだワインをご紹介します。白が1 フォンタナ・カンディダ(Fontana Candida)のフラスカティ・カッネリーノ(Frascati Cannellino)2003 2 イル・ラ・フォルジュ(Ile La Forge)のシャルドネ(Chardonnay)2003赤が3 フィンカ・アンティグア(Finca Antigua)のテンプラニーリョ(Tempranillo)20024 タラパカ(Tarapaca)のグラン・タラパカ・カベルネ・ソーヴィニョン(Gran Tarapaca Cabernet Sauvignon)2002最後の甘口ワインに5 ドメーヌ・デュ・グラン・クレ(Domaine du Grand Crès)のヴァン・ドゥ・リキュール・セパージュ・ミュスカ(Vin de Liqueur Cépage Muscat)という布陣です。純度が問題となるワイン会では、登場することなどおよそ考えられない面々です。しかし、値段の割りにはグレードが高く、結構満足できるのですよ、これが。今回の目的は、あくまで、初心者にワインのよさを味わってもらうことにあります。料理も含めて、トータルにワインを味わう雰囲気を作り出す、それが目的です。料理として Rokku が選んだのは、イタリアンのお惣菜屋で購入した、野菜のトマト煮(ラタトゥイユ)、ブロッコリーとドライトマト、小イカと豆のサラダ。そして、サンドイッチとして、生ハムのパニーノ、モッツァレラと完熟トマトのパニーノです。これらは、オリーブ・オイルが主体なので、かりに魚が中心の食材でもワインの後味が生臭くなることは、まずありません。あと、パンを少々に、キノコのパテ、カマンベールを、パンのトッピングに選びました。ご飯代わりには、海苔巻き・お稲荷のお寿司を用意しました。最後に食べると不思議な満足感があって、なかなかいいんです。最後には、みんなでコーヒーを飲みに行って、全部で一人 3,500 円でした。意外に安いでしょ。部屋代をもう少し安くできると、もっとお値打ちになるんですが、この手の集まりをするにはいい会場なので、それぐらいの出費は仕方がないかと思っています。この初心者ワイン会では、学生諸君の意見は、残念ながらほとんど参考になりません。だって、赤は二本とも渋い!としか言いませんから。慌てて Rokku は、カマンベールを買いに走ったほどです。この会場は、ワイン屋さんの二階にあり、走るといっても大したことはないのですが。結局彼らが喜ぶのは甘口だけなんですね。ですから、ここで Rokku が勝手に一人で問題にしたいと思っているのは、コピー度、つまり何らかのレファランス・モデルをどこまで意識し、さらには、それを乗り越えようとしているかです。コピー・ワインの中にも、ときどき、これはアイデンティティかと思わせる、何らかの存在感を響かせるものがあるので、それが見つかると幸せ!ということですね。飲んだワインの値段ですが、3が1,400円台、5が2,000円を少し切る程度であるのを除いて、みな1,000円以下でした。Rokku の評価は、1 80点、2 87点、3 88点、4 89点、5 90点ですが、点差以上に感心したのは4です。最近のチリ・ワインは、第二のカリフォルニアかと思わせるほど、徹底したコピーぶりが面白いです。もうすぐ勉強というか学習段階を終えて、自らの展開を見せ始めるのではないでしょうか。タラパカ要注意です。ちょっと驚きますよ、そのおいしさには。
May 8, 2005
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4月30日にゼミでワイン会をおこないました。集まりが悪く、総勢で7名という、いくらか寂しい会になってしまいましたが、それでも、みんな満足を味わって会を終えることができました。若い学生は、コンパで盛り上がることはよく知っていても、ビールやチューハイを飲んだりという経験しかなく、意外にお酒への関心は低いです。酔うということも嫌いみたいで、顔に出ないこと、酒に強いことだけを自慢しているように見えます。そんなことどうでもいいのにね。お酒は酔うために飲むんです。他のために飲みません。ましてや、誰が一番強いかといった競争のためにでも、自己実現のために飲むのでもない。ただ、酔うためだけに飲むんですよ、酒は。飲めない人、あるいは飲まない人は、まったくお酒には関心を示さず、もっぱら食べるほうに回る。痛飲なんて言葉は、もう死語ですね。酔うためには飲まないわ、飲めなければ関心を示さないわ、ですから。飲めないものを飲めるようにする、ということはないんです。Rokku の若かった頃は、お酒とは、ある種の(人生)勉強みたいなところがあった。おそらく、それはアジア的なものなのでしょうね、深く考えたことはないけど。その点、今の若い人たちの飲み方はもっとおしゃれで、西洋的な感じがします。もちろん、嫌なら飲む必要なんかありません。あんな苦行のようなお酒の勉強が必要かいうと、なんとも言えません。そのほうがいいと断言するほどの自信はまったくありません。好きにすればいい、そう思います。ただ、飲み方が変わったというだけです、Rokku が言いたいのは。そんな若い人たちですが、ワインだけは、事情が違ってくるんですよ。おおむね誰でも関心を示します。結構飲みたがる。喜びます。カッコよく見えるからかなあ。よきにつけ、あしきにつけ、イメージ優先なんですね。時代は明らかに変わってきているのに、人の心はなかなか変わらない。変わってきていることに鈍感だ。変えているのは、他ならぬ人々なのにね。この話、続きます。今日ご紹介するワインは、偶然見つけたリバティ・スクールにしましょう。先回ご紹介したときにはすぐに売切れてしまったと記憶しておりますが、また出ているようです。三店ほどが扱っていますが、わずかでも安いところにしましょう。トップ・ページをご覧ください。
May 7, 2005
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さて、ここまで来たところで、デュガさんのうまさに戻りましょう。じゃあ、あのワイン・セミナーのうまさは何だったのか? その「うまさ」の本質は?徹底的にローカルにこだわる秘境というものはあるのでしょうね。片方にユニバーサルな情報開示の世界が進めば進むほど。その土地でしかできない密教的世界。その純度に人はお金を払うのでしょう。デュガさんのうまさとは畢竟そういうことなんだと思います。めるちゃん1さんが言う「つぼ」も、これに当たるのだと思います。秘境であるがゆえに、人はこだわるのでしょう、その秘境性とでも言うべき「個」なるものに。では、ラ・ジブリオットの凡庸は何だろうか?それこそが、まさに、ユニバーサルなものが身にまとう姿なのでしょう。凡庸であることはそんなに悪いことなのか、そういう問いかけにも通じるかもしれません。しかし、そういう凡庸なら、何もデュガさんゆかりの所でなくてもいいような気は、Rokku はします。どこにでもあるのなら、何も秘境の隣で買うことはない。スーパーでも凡庸は買えますよ。情報さえ持っていれば、ね。酒屋ビックだって十分です。モノさえ選べれば。Rokku は1,000円以下のセールス・ワインにだけ焦点を当てています、酒屋ビック(酒類量販店)では。赤は、仕入れ担当の方が甘いのがお好きなようで、少し砂糖を感じるワインを仕入れていることが多いな。で、敬遠気味です。でも、白は意外に面白い。そう遠くないのかもしれません、凡庸ならどこでも手に入る時代は。いや、もう来ているのかな。私たちの現在が 2000年からいかに遠いかをこそ見よ というわけですね。今日は母の日にオススメのワインをご紹介しましょう。グラムノンのロゼは色はきれいだし、おいしいし、値段も手ごろです。母へのプレゼントとしては最適の一品ではないでしょうか。これも、お手軽ワイン館にあります。フリーページをご覧ください。ちなみに、ここのページはワインひとつひとつの紹介が大変充実していて、勉強になりますよ。Rokku もいろいろ教えてもらいました。グラムノン自体は千本セラーさんに教えてもらったワインですが、お手軽ワイン館は、そのドメーヌものの品揃えがいいうえ、試飲報告もなされています。
May 6, 2005
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以前から密かに変だなと思っていたことがあります。それは、パーカー先生が、異様にカリフォルニア・ワインに点が甘いのですよ。やっぱりアメリカ人だからな、お国びいきなんだ、ぐらいに思っていました。この理由なら分かり易いですしね。納得も、し易い。でも、今ではこの考えが間違いだと分かりました。それは昨日の Rokku の日記を読んでいただけば分かるでしょう。しかし、必ずしも、パーカーがきちんとその理由を説明できているとも思いません。最新版(2002年)のガイドを読んでも、その力の入りようは感情的には理解できても、その感情的強さゆえでしょうか、カリフォルニア・ワイン有力説が説得力をもって展開できているとは思えません。Rokku の言っていることを納得したい方は、Parker's Wine-Buyer's Guide 6th Edition, 1186-87 をご覧ください。結局、彼の言っているのは、もうカリフォルニア・ワインはフランス・ワインと肩を並べるまでになったということに過ぎないのですね。質の話をすると、どうしてもパーカー先生の言い方になると思います。だって、レファランスは、彼自身も認めているように、フランスにあるのですから。それでは、カリフォルニアはフランスに並ぶことしかできません。しかも、オリジナルのアウラを身にまとうことなく。ということは、凌駕する日は永遠に訪れない、ということです。これではダメですね。カリフォルニアのよさは伝えられません、残念ですが、パーカー先生。Rokku は、その点、もっととんでもないことを言っています。だって、フランスのワイン生産者がさかんにコピー・ワイン、すなわちネゴシアン・ワインに力を入れ始めたということは、とりもなおさず、フランス・ワインがカリフォルニアに倣いつつある、と言っているに等しいのですから。つまり、醸造学に始まったワイン作りを科学的に解する努力は、ワイン作りを土地の問題から解放して、すべて技術の問題であるかのように、つまり誰でも身に付けられる問題であるかのように変えてしまった。そういうことでないでしょうか、カリフォルニア・ワインの生産者がしたことって。もしこの Rokku の言い方が正しいのであれば、カリフォルニア・ワインに見出すべき論点はむしろ、コピーであることに徹すること。そこでしょう。どこのドメーヌの話だったか、思い出せなくて恐縮です(誰か教えてください)が、ロマネ・コンティの確かラ・ターシェのブドウだったと思いますが、そのクローンからワイン作りを始めたところがありましたでしょう、カリフォルニアに。その話が、カリフォルニア・ワインの歴史的意義を語るときに、もっとも象徴的な事柄だと Rokku は思っています。それに象徴される生産者のことを、パーカー先生は、「新世代の、見聞もあり、物事にとらわれない、修正主義者」と呼んで讃えていますが、そういう心性が多分、20世紀後半のワイン業界の大転換に大きく貢献したのではないでしょうか。いいものは何でも取り入れる。オリジナルであることなんかにこだわらない。これですよ。簡単に言い換えてしまうと、情報開示。これに尽きます。パーカー先生ではありませんが、これからのカリフォルニアは、かなり面白いと思います。高いワインもそうでしょうが、安いところでものすごく面白そうなことがおきるはずと Rokku は思っているのです。だって、コピーですからね。アウラはないのですから。問題になるのは値段だけです。そのときに、そういう科学的に裏づけされたワイン醸造の技術は、簡単にコピーできるはずですから、安いワインの質の向上に貢献するに決まっているからです。えっ? よく分からないですって? じゃあ、もう少し説明しますね。Aさんがワインを作りました。その作り方は情報開示されています。Bさんがその真似をしました。そこで質問ですが、BさんはAさんよりも高い値段をつけますか? ないでしょ、そんなこと? 真似をする後発のBが値段を高くして売れるわけがないから、必ず値段を下げるはずです。だから、必ず、情報開示は安いワインの質を向上させるのです。もちろん、Rokku の言っていることはただの理屈です。理屈どおりに現実は簡単には動きませんから、それがいつ来るかは知りませんよ。でも、長い目で見れば、必ずそうなるはずです。今日のワインは、すみません、新しく見つける時間がありませんでしたので、お手軽ワイン館さんのイル・ラフォルジュのメルローにします。フリーページにリストがあるので、そちらを見てください。このドメーヌは安いのにとてもおいしいワインを作るので有名で、いろいろおいしいワインが、ブドウの種類にあわせて色々あるのですが、その中でもこのメルローものは売れ行きがいいようです。安くてオススメですから、欲しい人は慌てたほうがいいかもしれません。ご覧ください。
May 5, 2005
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昨日のネゴシアン・ワインの話は、だからどうなんだ?と思った方が多いでしょうね。ネゴシアン・ワインがコピーだったら、どうだというんだ? お前は何が言いたいんだ?とよく分かります。説明不足ですね、Rokku の。もちろん、あんなことを言い出したのには理由があります。きっかけはデュガさんのワイン・セミナーなんですが、それに始まって、ワインを巡るいろいろなことを考えているうちに、最近 Rokku が気になっているカリフォルニア・ワインのことに行きついたからなんですよ、実は。どなたでしたっけか、今メンテナンスで、楽天広場に入れないので、後で確認しますが、Rokku のページを初めて覗きに来てくれて書き込みをしてくださった方がカナダのアイスヴァインをお好きで、書き込みのやりとりをするうち、オーストラリア・ワインも安くておいしいとおっしゃったのです。Rokku も少し前ならその意見に賛同したのですが、最近オーストラリアはバブルだそうで、結構モノが高いのですよね。そのせいかどうかは知らないけれど、確かにオーストラリアのワインって、一時期と比べると高いと思います。Rokku は素直にそういう感想を申し上げました。そしたら、彼女(だと思います)いわく、カリフォルニアは高くなりましたから、オーストラリアのほうが安いのではありませんか?通説ではそういいます。それは承知しています。でも、Rokku は、本当にそうだろうかと思うことのほうが増えてきたんです、実を言うと。カリフォルニアっておいしいうえに、安いよね。結構捨てたモンじゃないんじゃない?とです。きっかけは、そんなこと言いながら、高級ワインのキスラーでした。あるお食事会で、お話したことありますよね、名古屋のマルタンです。そこのソムリエさんが最初のワインに出してくれた(シャンパンがあったかもしれませんが覚えていない)のが、キスラーだったのです。口に含んだだけでとてもおいしい。飲んだことのないおいしさ。フランス産の高級ワインに近いけれど、決して同じではない。フランスにこの分かりやすさはない。でも、ただの分かりやすさではない、言葉では表現しきれない、何かプラスアルファがある、そう思ったんです。聞いてびっくり。カリフォルニアでした。Rokku は驚きました。なるほど、言われてみれば、カリフォルニアの分かり易さ、というか、フランス産をレファランスとした、昨日の言葉で言えばコピー・ワインの味です。しかし、しつこいようですが、そこに何かプラス・アルファを感じさせる、ある存在感を感じたのですよ。これはアイデンティティだと、そう Rokku は思いました。以来、キスラーは見かければ必ず購入を考えるようにしています。おいしいです、掛け値なしに。ところで、今確認して驚いたのですが、2000年度版の『世界の名酒事典』(講談社)にはキスラーって載っていないんですねえ。ここ5年で、ワイン界の事情(日本の、と但し書きが要るかも)はすごく変わったことを思わせます。さて、話を戻します。こんなおいしいコピー・ワインを作るのだから、きっと安いカリフォルニアもおいしいのだろうなあ。そう考えた Rokku は、以来、安いカリフォルニア白もできるだけ買うようにしています。アメリカ人は実によく白ワインを飲むから、きっとレベルを相当上げているに違いないと踏んだんです。事実、おいしいです。安くて樽香の強い白(1,000円以下です)は、スモーク・サーモンと抜群だった。これですよ、オリジナル・ワインに対するコピー・ワインの意味を考えるようになったきっかけは。まさか誤解はないと思いますが、念のために言っておきます。当然ですが、コピー・ワインを Rokku は悪いと言っているのではないんですよ。お分かりですね。むしろ、その反対です。そうでなければ、おいしいワインは、相変わらず、一部のお金持ちの人のものであり続けることになるでしょう。そんなのは嫌です。だって、Rokku は貧乏人なのです。お金はありませんから。だから一本しか買わないんです。一本しか買えないほど、とっておく場所がないのですから。そういう人間が、現在の、この、あまねく人々に光が当たる状況(実はそこまでは行っていないです、あくまで歴史的に比較して、の話です)を寿がないわけがありません。Rokku が言いたいのは、そういう大衆に光が射す時代に、貴族の真似をしても仕方がない、ただそれだけです。時代がそうでないのに、貴族の真似をするのは明らかな時代錯誤ですからね。その意味では、ワインを楽しむことは貴族的なことなどではもはやない、Rokku はそう思っています。テイスティングも含めて、実に民主的なものと思います。また、そうでなければならないでしょう。だって、それこそがカリフォルニア・ワインの歴史的意義だからです。というわけで、今日ご紹介すべきワインは、話の流れからしてもキスラーでしょうね。高いけど許してください。
May 4, 2005
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先回の日記で、思わせぶりなことを書きましたよね。フランス産というワインのレファランス・モデルが、自分たちのスタイルだけに固執していられない事情に、カリフォルニアが関係している、みたいなことを。今日はその話です。これは、実は、ルイ・ジャッドもクロド・デュガも、おしなべてブルゴーニュの生産者が伝統を重んじることを表明し、ボルドーの生産者がテロワール(土壌)の重要性をさかんに口にすることと、逆説的に関係があるかもしれません。というのも、どちらの場合も、言っていることは「この土地(つまりフランス)で作られるものが大事だ」ということですからね、結局。前にお話したことですが、フランスのレファランスにはアウラがあると言いましたよね、Rokku は。フランスのワインには後光が射すようなありがたみがある、ということでした、それは。いくら高いお金を出しても、確かに、出しただけのことがある、そう消費者に思わせるブランド力です、つまりは。ヴィトンやプラダのバッグがいくら高くても欲しい!と思うのと一緒です。高いほうがいいのだ、という記号性を帯びるかどうかは、人によっていくらか違うでしょうが……しかし、そういう高いワインは、何ゆえ高いかというと、言うまでもなく、生産量が少ないからです。本数があまりないワインで貴重だから、欲しい人が多い割りには手に入りにくい、すなわち高くなる、という構図ですね。職人技です、簡単な話が。いい腕の醸造家のワインだから、いいワインという評判が立ち、有名になって高くなる。でも、これって、作っている人からすると、自分が関わる分しか作れない、生産量が増やせない、自分自身の儲け分はあまり増えない、という構図でもありませんか? 実は、名声って、上がっても値段が高くなるのは消費者にとってだけのことであって、生産者にはさほど影響を与えるものではないのですね。この言い方はすごく語弊があります。誤解されてしまうかもしれない。だから、ちょっと時間をかけます。影響は与えるんです、生産者に。たとえば講演の講師として招かれる、雑誌のインタビューの話がやってくる、テレビに出演するなど、有名人ゆえの忙しさを味わうことになり、家をあけることが増えるでしょう。それに関わる収入もバカにできないでしょうね。そういう意味ではお金がたくさん入るようになると思います。それも確かに影響ですが、Rokku がここで言いたいのは、そういう影響ではなくて、ワイン生産に直接関わる影響のことです。うがった見方をすれば、それでも影響があると言うべきかもしれません。Rokku は、マイナスの影響を考えていませんでした。出かけることが増える、雑事が増えるということは、ブドウの生産に時間をかけていられなくなるという事態を招くかもしれませんからね。少なくとも忙しくなるでしょう。つまり、生産者にとって、名声とは、ことブドウやワインの生産に悪い影響を与えることはあっても、いい影響を与えることはないんですよ。そういう弊害に陥ることなく、自分たちのブドウ・ワイン作りの事業を確実な収益の上がる形に持っていくには? 言うまでもありませんね。自分で作るのではなく、人に作ってもらって、自分はそのラベルの名前で売る側に回るやり方です。Rokku がネゴシアン・ワインのお話をしていることは、すでにお分かりでしょう。そういう事情があるものだから、今、高名な生産者はみな、一族郎党を巻き込む形でネゴシアン形成に血道をあげているのだと思います。生産者としては、やるっきゃない!のでしょう、多分。この流れは、自らの監修で、オリジナルのドメーヌ・ワインに対するコピーを作る話です、平たく言えば(ドメーヌ・ワインとネゴシアン・ワインの違いについて忘れてしまった方は、4月28日の日記を参照してくださいね)。デュガさんのワイン・セミナー報告で書いたように、ネゴシアンのワインになぜデュガさんのうまさがないのか。あんなに神様のようなワイン作りを自分のドメーヌでは展開できる人が、ネゴシアンに回ったとたん、いくらブドウを厳選しても、オリジナルのうまさには到達できないのか。それは一見すると、技術的な問題です。条件さえ合えば、同じように作れるかもしれません。しかし、それが人間業を超えていることは、当のデュガさん自身がご存知でしょう。彼は今でもそれ以上の量を作れないのですよ。おいしいワインにするには、あの生産量しか確保できないのです。ブドウをたくさん作って、その中からいいものだけを選んで選んで、選び抜く。このやり方が大量生産に向くわけないのは、言うまでもないでしょう。そういう技術を、ここでは比喩的に、オリジナル・ワインの作り方としておきます。そうすると、ネゴシアンのワインは、それをレファランスとして念頭において、このブドウの出来具合ならこれぐらいのワインにはなるだろうという計算のもとに、ワインを作ったり買ったりするわけですから、そういうオリジナルに対してコピーを作る行為と言えるでしょう。Rokku の言うオリジナルに対するコピーとは、そういう意味です。今日ご紹介するワインは、ゴールデン・ウィークにちなんで、ソーヴィニョン・ブラン(Sauvignon Blanc)といきましょう。Rokku は、このワインの初夏向きなところが結構好きです。一番好きなのは、イタリアのヴィエ・ディ・ローマンスが作るソーヴィニョン・ブランですが、楽天内にないと思いきや、ありました。2本だけですが。ホントにおいしいですよ。ちょっと高いけど、コスト・パフォーマンスは抜群です。それから、フリーページにお手軽ワイン館さんのオススメワインもリスト・アップしました。ご覧ください。
May 3, 2005
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ハーフ・ボトルが買ってあったので、レ・パゴ・ド・コス2001年を飲みました。まだ4年そこそこですよね。普通なら飲めないボルドーのはずが、飲めてしまう。今日はその話です。いつ頃からか、ボルドーのワインが早く楽しめるようになりました。理由は簡単で、時代のテンポが速くなったから、昔なら悠長に待てた時間が、今は待てない。だから早く開くように、ワイン作りを変えたのですね。最近のボルドーは、ほとんど若飲みが効くように作られています。ブルゴーニュに対抗してでしょうか。それもいくらかありでしょうが、それよりも、時代の変化に対応して でしょうね。本当のところは。それに決定的な影響を与えているのは、おそらくカリフォルニア・ワインですが、それは明日の話にとっておいて、今日はレ・パゴ・ド・コスに焦点を絞りますね。香りはなかなかインク風。少しヨード香がある感じ。ということは、結構濃い。暖まってくると、花が出てきます。かなりいいですぜ。この年のコス・デストゥルネル(レ・パゴ・ド・コスのファースト・ブランド)にパーカー先生は 94-96 という高得点を与えています。ブドウのグレードに見劣りは当然あるものの、セカンドとはいえ畑は同じわけですから、このレ・パゴ・ド・コスが悪いわけないんです、ホント言うと。そんなもの、論理的必然ね。だから、こういう年のセカンドを Rokku は努めて買うようにしています。2000 年のボルドーは、とんでもない大ビンテージなのですが、その中でも話題になったワインの一つがピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド(Pichon Longueville Comtesse de Lalande)です。何点だったか忘れてしまったのですが、パーカーの点数が高いので、値段も当然比例します。ところが、セカンドは意外なほど安かった。Rokku は2本買いました。1本はすぐ飲むため。もう1本は、もちろん置いておくためです。もちろん、とてもおいしかったです。2本目をいつにするか、それが楽しみなです。さて、話をレ・パゴ・ド・コスに戻します。開栓後2時間ぐらい経つと、すごくよくなってきましたよ! クロド・デュガの純はないけれど(最近、ボルドーとブルゴーニュって同列に論じられそうな気がする。お互いに、大向こうを意識しているのだろうね)、ボルドーにありがちな、混ぜることによる泥臭さはかなり回避されていて、結構「純」な感じのおいしさを楽しめました。Rokku は、このボトルを2,000円以下で買いました。ハーフ・ボトルにしても、かなりお買い得。この値段でもし本格ボルドー、しかもブルゴーニュとの同質性まで感じさせるワインが飲めるなら十分! という感じです。結構、究極の92点ぐらいまでくるかな。安いですしね。でも、翌日になってじっくり考えるに、ブルゴーニュの同質性という点では、ボルドーの割りにはということでしないかな、と思い直しました。点について訂正する必要までは感じないけど、ブルゴーニュの純度の高いフィネスと比較するとなると、やっぱり泥臭さとまではいかないまでも、純度の高さが保証されているとまでは言えない。そこがセカンドの限界なのかもしれません。この日記を見直しながら、もう一度考えた結果、やはり点数も少し下げます。結論!91+大した差ではない、と思うでしょ? いやいや、それがなかなかの違いなんです。それほど 92 点は Rokku にとって重いということですよ。
May 2, 2005
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Rokku は「子育て」という言葉が嫌いです。いつも思うのですが、私たちが育てるのではなくて、彼らが「育つ」のだと思っています。だから、Rokku は、あえて区別して「子育ち」への介入と呼んでいますがね、子育てのことを。軽く冗談交じりではありますが。デュガさんのお話もまったく同じですね。彼は、ブドウが勝手に育つ環境に関わるだけで、実際に「育つ」ということを、当のブドウの自主的やる気にまったく任せてしまうわけです。私たちは、天気も左右できませんし、ほんとのところ、ブドウ、つまり子どもたちのやる気に介入することもできません。やる気になるのを待つしかないわけですよ。その意味で、デュガさんはワインは私の子どもたちだとおっしゃったのが、とても印象的でした。ここで突然、ワイン・セラーの話です。セラリングする楽しみも、畢竟、子育てに通じるものがあるように思います。ブドウは作れないし、ワインも作れませんが、それを管理して、おいしく「育つ」まで待ってやることなら、Rokku にもできます。そして、何かの折に、そろそろ育ったかなとワインを開けて、みんなで「おいしかった」と楽しめた時には、とても嬉しい気分になるのですね。まるで自分の子どもを誉められたみたいで。森君、電気式ワイン・セラーを買うのなら、お子さんが誕生したときがいいのかもしれませんよ。そういう風に、子育てのようにワインの貯蔵を気長に楽しむ気があるのなら、ワイン・セラーは絶対に「買い」です。ご検討ください。ここでついでに、どんなワインを、セミナーで試飲したかお知らせしておきます。1 ラ・ジブリオット ブルゴーニュ・ルージュ(La Gybryotte Bourgogne Rouge)2003これだけ飲んでいるうちは、実にブルゴーニュらしい雰囲気を持つワインという印象で、あまり土の感じはしないけれど、花の香りに通じるおいしさがきれい。「おいしい」というのが実感。ただ、既に言ったように、デュガさんのワインが出てきたら、もう戻れない。言いにくいけど、ただのブルゴーニュ。2 ラ・ジブリオット ジュヴレ・シャンベルタン(La Gybryotte Gevrey-Chambertin) 2003村名ワインへのグレードの上がり方は実感できるけど、結局は、デュガさんのワインが出てくるまでの命であることに変わりはない。まったくもって残酷な話です。3 ドメーヌ・クロド・デュガ ブルゴーニュ・ルージュ(Domaine Claude Dugat Bourgogne Rouge)2003もう、これがブルゴーニュ・ワインかよ という味。ちょっと冷た目にサーブされました。でも、つくづくケイトとも話し合ったのですが、ものすごくおいしいワインに温度なんて関係ありませんね。まったくもってブドウそのものの出来が問題なのです。4 ドメーヌ・クロド・デュガ ジュヴレ・シャンベルタン(Domaine Claude Dugat Gevrey-Chambertin)2003メチャクチャおいしい! 三角形なんか、もうどうでもいい感じ。フィネスとストラクチャとボディが渾然一体で、頭の中にあるのは「おいしい!」という文字だけです。誰が飲んでもわかる「うまい」がここにはある。辛いとか、甘いとか、薄いとか、濃いとか、何かの形容詞で代替できないもの。確かにデュガさんが、何も食べないでこれだけ味わってほしいというのがわかる。デュガさんも、自分で選ぶなら、このクラスのワインとおっしゃってました。でも、ご紹介しているように、高いですよ。5 ドメーヌ・クロド・デュガ シャルム・シャンベルタン(Domaine Claude Dugat Charmes-Chambertin)2003はっきり言って、Rokku はこれを飲みに来ました。特級畑が出てきたらラッキーだけどなあ、と思っていたのですが、よかったです。ホントに出てきました。嬉しい!何も言うことはありません。むちゃくちゃうまいです。多分ヴィンテージも関係ないと思います。何でもいいから、見つけたときにお金があったら買ったほうがいいです。すごく幸せになります。このセミナーで、グリュオット・シャンベルタンが売りに出ました。7万円以上ですよ、一本! でも売れましたね。Rokku には買えませんが、でも、買った人の気持ちはよく分かります。デュガさんのサインがつきますしね。この人のワインは、銘柄に関わらず、飲めたら幸せです。ホントです。6 ラ・ジブリオット マジ・シャンベルタン マドリーヌ・コリニョン(La Gybriotte Mazis-Chambertin Cuvee Madeleine Collignon) 2003 悪いけど、5番の後では、仮に昔100点が出た畑だと聞いても、無理です。デュガさんがブドウを作ればよかったのに と私たちは思うだけです。確かに置いといたら、もっとうまくなるとは思いますが、シャルム・シャンベルタンの後ではどうしようもありません。というわけで、考えに考えた末、Rokku は、清水の舞台から飛び降りたつもりで、2002年のプルミエ・クリュを買いました。20,000円以上しましたけど、誰かがこれを私たち夫婦とシェアする日が来るかもしれませんね。しばらく開ける気はありませんが。ところで、セラリングのリストを見てびっくりしました。2000年ぐらいから結構続けてデュガさんのワインを買っているではありませんか。これはウッシッシですね。でも、絶対!しばらく開けませんけどね。なんか、突然、先行きが楽しみになってきました。輝かしい未来! 楽しみっ!
Apr 29, 2005
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以前のルイ・ジャッドのワイン・セミナーで、Rokku は質問しましたよ。これも言ったかもしれませんが、念のためにもう一度書いておきます。ルイ・ジャッドさんのワインはフィネスがよく出ている、いわゆる伝統的なブルゴーニュだが、最近は大変濃厚なブルゴーニュ・ワインが、たとえばワイン評論家によって評価されたりしています。そういう傾向をどう思いますか? そんなことを質問しました。そしたら、ルイ・ジャッド社のアジア販売責任者の方は、こう答えました。それは、樽を焼いたりして香りを強く出す(たとえばコーヒーやチョコレートのような香り)技術を指して言っているのだと思うが、そういうのは伝統的なフィネスを出すやり方ではないので、我々は採らない。あくまで伝統にこだわりたい。そういう答でした。Rokku はこの答にとても満足しました。私が満足しようがしまいが関係なさそうですが、Rokku としては、ルイ・ジャッド社のワイン作りにかける真摯さを見た思いがして、嬉しくなったということです。だから記念にワインを買いましたよ。さて、クロド・デュガです。昨日もお話したとおり、デュガさんのワインは濃いんです。しかし、彼は自らも強調しているとおり、伝統的な作り方に大変こだわっていらっしゃる。にもかかわらず、たとえばジャッド社のワインと比べると、明らかに濃い。これはどういうことだろう? 自然にわいてくる疑問でしょ。もちろん、質問をぶつけてみました。同じ質問です。答は、当たり前だけど、同じでした。そりゃそうですわ、伝統的な作り方にこだわっているというのですもの。そして、よくよく味わってみると、確かにただ濃いわけではないんですね、デュガさんのワインは。濃いけど、ちゃんとフィネスがある。あるなんてものじゃない。まごうことなきフィネスが感じられる上に、濃厚なのです。ここですよ、彼のブドウの育て方が間違っていないことの確証が得られるところは。そろそろここで、なぜ彼が来日したのか、その種明かしをしておく必要がありますね。日本が大きなマーケットであるから、というのはもちろん、大きな理由の一つですが、それより何より、彼には自分の高名を利用してあるものを売り出す必要があったのですね。それは、自分の子どもたちが始めたネゴシアンのワイン、ラ・ジブリオットの売り込みなんです。これも、何かの機会にお話したと思うのですが、最近のブルゴーニュはワインを樽買いして、そこからの管理は自分のところでしたり、栽培者のブドウを買って醸造は自分でしたり、あるいは契約で醸造までしてもらってもっぱら売るほうに回るネゴシアン業など、さまざまなワイン業が盛んにおこなわれているそうです。新しく始められたラ・ジブリオットもご同様で、樽買いして自分のところで管理もしつつ、主にネゴシアンとしてワインを売るわけです。ですから、最近の傾向としては、両方やっているところが多いわけですね。ギガルは昔からそれで有名ですし、ルロワもそうです。ルイ・ジャッドもそうですし、フェヴレイも同じです。そういう業態に、有名なワイン醸造家の一族が乗り出してきたということですね。どちらのワインになるかの見分け方をお教えします。一般的にいって、ラベルの名前にドメーヌという言葉が付けられているものは、自分たちがブドウ作りからボトル詰めまで首尾一貫して、自分たちの責任で作っているワインです。そして、ドメーヌと書かれてないものは、ブドウを買って醸造から関わり始めるか、できたワインを樽買いして寝かせるところからだけ関わるかのネゴシアン・ワインという風に覚えておくといいと思います。だいたいにおいて、ドメーヌ・ワインは高く、ネゴシアン・ワインは安い傾向があります。このような売り方になるのは仕方のないことだと思います。何せ、名声という情報はそれだけで十分価値があるわけで、一種のブランドなのですから、名前がつくだけで高くなったり売れたりするのですからね。それに、そうすることで、高いワインを買いたがる一部の人にだけでなく、安くておいしいワインを飲みたいと思っているすべてのワイン・ラバーに、あまねく自分のワインを飲んでもらえるのですから。さて、話をデュガさんのセミナーに戻しましょう。その日のセミナーでは、その、ラ・ジブリオットのワインも試飲しました。これだけ飲んでいればもちろんおいしいワインなのですが、デュガさんのワインが出てくると、俄然違いがくっきりと出てきてしまいます。その違いは何か?それはブドウそのものの力強さなんです。栽培から関わったデュガさんのブドウと、同じように作られているようでも、デュガさんのブドウのように育ってはいないブドウとでは、おのずと質に違いが出るのは、あまりに当然の話でしょう。これは子育てそのものではないでしょうか。というところで、明日に続きます。ワインは、今日もクロド・デュガでいきましょう。村名ワインにしますね。高いですよ。その代わり、ものすごくおいしいです。それは請合います。値段はただ取らん、です。
Apr 28, 2005
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昨日チラッとご紹介した面白い話というのは、本当なら番外編でお話しするようなことなのですが、とあるワイン・セミナーに行ってきたんです、先週の金曜日に。そこで知ったことが、この北の風土に関係ありなんですね。だから、ここでやります。ついでに言うと、ヨーロッパというところと日本というところの、「育てる」という概念の差とでも言いましょうか、そんなものの差異についても考えさせられる話だと思います。Rokku が行ってきたワイン・セミナーというのは、前にもお話したことのあるルイ・ジャッドのセミナーと同じで、ある百貨店にあるワイン売り場の企画です。醸造家やネゴシアンを呼んできて、簡単な料理をいただきながら、ゲストに話をしてもらいつつ、ご自慢のワインをテイスティングするわけです。前にも言いましたが、普通のテイスティングはパンと水だけで料理はなく、いかにもビジネス・ライクというか、潤いがないというか、鉛筆持ってメモ持って「お勉強会」って感じですが、ケイトはそういうのが嫌い(そのせいだと思います、Rokku がここでこんなにも饒舌なのは 多分)なこともあり、ありがたいのですね、こういう企画は。しかも今度は誰だと思います? 知る人ぞ知るクロド・デュガ(Claude Dugat)なんです。この人のワインを初めて見たのは大阪の高島屋でした。だいぶ前です。名前は聞いていましたが、とにかく高く、さらに入手そのものが困難で、見かけること自体ほとんどないような、そういう醸造家のワインです。たかだか地域名のワインなのに確か5,000円だったと思います。高いですよ、そりゃ。どうしようかと迷ったけど、大阪まで来たのだからという物見遊山の気分もいくらか手伝って、買いました。うまいかですって? そりゃ ものが違います。地域名のワインといわれてもピンと来ないかもしれませんね。ブルゴーニュとラベルに書いてあるということです。それぐらい知ってるわい とおっしゃるかもしれませんが、しかし、それと、たとえば村名ワインの違いについてご存知ですか? 意外にこういう説明をするのは難しいですよね。ちょっと迂回するようですが、できるだけ簡単にこの話をしておきます。後で関係してくるものですから。フランスにAOC規制があることはご存知だと思います。少なくとも聞いたことがあるのではないでしょうか。ワインの場合、これがものすごく関係するのは、ワインのラベルにある名前を名乗るためにはどこのどういうブドウから作られたかがはっきりしていないといけない、ということです。これがワイン・ビギナーにはわかりにくいので、最近他の生産国(一番大きい影響力があるのはアメリカ・カリフォルニア)に合わせようという動きがありますね。なぜかというと、昨日お話した情報とおカネの世界の影響です。フランスワインもふんぞり返っていてはお金にならない、ということです。これはこれで面白い話ですので、いずれ日を改めて。さて、名前とブドウの生産地の関係を規定しているAOCのことですが、それは細かな規制です。たとえば、ブルゴーニュという名前がつけられるワインに使われるブドウは、国道近くの平らなところに栽培されているブドウです。そこから山側にブドウ畑は続くのですが、その平らな場所から山側、つまりもう少し傾斜のあるところに植えられているブドウから村名ワインが、その上のところが一級畑、さらに上が特級畑となるわけです。デュガさんが言っていましたが、平らな地域名ワインのブドウ畑でも土壌は深さが30センチぐらいだそうです。その下は岩盤になってしまうんですって。一級畑で20センチ、特級畑なんて10センチしかないそうですよ、土壌が。さらに驚いたことに、そこで肥料を最低限しか与えないというのです。栄養は最低限ということですね。粗食なんです、クロド・デュガさんのところのブドウは。まだあります。デュガさんの畑はたくさんブドウを植えるのですって。他の生産者と比べてどれぐらいだったかは覚えていませんが、とにかく密集させて植えるのだそうです、ブドウの苗を。そうやってブドウどおしを競争させるんです。他のブドウよりできるだけ上に伸びて、日の光を一杯浴びて、栄養を蓄えて、子孫の元となる実をしっかりとつける。そのように仕向ける、というわけですね。そうです。自然のブドウの力を最大限利用するのです。だから、生産者のデュガさんがすることは、出来上がったブドウから飛び切りいい房を選ぶことだけだと言ってらっしゃいました。なるほど。教育なんですよ、ブドウ栽培は。そういえば学ぶ(教養を養う)ことと栽培することは、どちらも cultivate といいますね。そのせいでしょうか、デュガさんのワインは出色の濃さでした。この話、明日も続きます。というわけで、今日は、お約束どおり、クロド・デュガさんのワインと行きましょう。高いですけど、すごくおいしいですよ。ビンテージはあまり関係ありません。いい年はいいに決まっていますが、悪い年だって、それなりに出来上がるのがこういうドメーヌですよ。
Apr 27, 2005
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コンピューターが戻ってきました。おかげさまで、やっと前のように日記が書けます。素直に嬉しいけど、しばらくぶりに書こうとしてみると、何を書いていいのか、結構わからなくなるものですね。だいたい、前に書いていた話の筋をすっかり忘れてしまっている。自分で書いたものなのに、これはびっくり、です。そういうわけで、コンピューターが帰ってきて、ネットワークの環境が再度整った後も、一日目は日記が書けず、たった2・3週間で、このまま燃え尽き症候群か(前の日に聞いたんです、結構多いんですってね ブログ・ライターに)と心配しました。でも、コンピュータ環境復帰二日目に、前書いた日記を読み返してみたら、よかった! 思い出せそうです。そうでした、Rokku は風土のことを言っていたのでしたね。フランスの風土と比較すると、言うまでもなく、イタリアは暖かいはずです。行ったことはないけど。北の方は結構寒いと聞いたことがありますが、一般的に、暖かい地域と言えるでしょう。そうするとブドウもたくさん実り、たくさんのワインができると考えられますよね。ほっといても、ある程度のワインができてしまう! それが暖かい地方の風土というものではないでしょうか。最近話題の南仏ワインですが、ここは北のアルザス・シャンパーニュ・ブルゴーニュ・ロワールと比べて、おそらく圧倒的に簡単にワインができてしまうのではないでしょうか。ブドウを作ったこともない人間が言うのでも変ですが、ちょうど、明治維新前後に来たフランス宣教師が、日本での米作りを見て、その簡単に農作物が育つ様に神の不公平を見たのと同じ理屈です。米を実験のようにして作ったことのある者としては、前にも言ったように、ちっとも簡単にできるわけではないと反論したいのですが、しかし、ここで見ておくべきはそんな押し問答になってしまう類のことではありません。そうではなくて、それほど北の(おそらくこの宣教師は北フランスの人だったのではないでしょうか)地域は農作物に適していないという、ある意味当たり前の事実なのです。ブドウを作ることに並大抵ではない努力を払った結果であるブルゴーニュ。その気になって地図を見てみてください。ブルゴーニュって、本当、結構北に位置するのですよ。ボルドーと比べてもそうです。ピノ・ノワール一筋といえば聞こえはいいですが、混ぜようにも、他のブドウが育たなかったのではないでしょうか。シャンパーニュは、同じピノ・ノワールでも白というか、スパークリングにしますよね? あれも、たとえばブルゴーニュのように、赤ワインにしても旨くなかったからなのではないでしょうか? そうでないと、あんな面倒な工程を何も最初からやりだす人はいないでしょう。飲めないから工夫するのですもの、普通は。アルザスにしても、他のものが育たないので、ああいう辛口リースリング以下の白になったのでしょう。ついでに余談を一つ。もしおいしく食べられるのなら、ブドウは食べてしまったでしょうね、フランスの人々は。たとえば巨砲ワインが何ゆえ爆発的に売れないかといえば、食べたほうがおいしいからでしょう? 食べたほうがおいしいものを、保存のことでも考えない限り、食べないでとっておく人はよほどの変わり者ですし、それを酒にするなんて、ただの偏屈です。巨砲ワインを作っていらっしゃる生産者の方、ごめんなさい。さて、話を戻します。要するに Rokku が言いたいのは、地酒としてのワインって、風土とその土地の人々の努力が結集されて出来上がった、その土地だけの叡智の伝統的結晶なのだ、ということです。そういう地域ごとの歴史的伝統と、グローバル・コミュニケーション(情報の伝達)、世界経済(おカネの世界)が三つどもえになって、今のワイン市場は形成されている、ということです。大げさに言ってしまうと。で、一番北にあるブルゴーニュのフィネスがレファランスとなるのだから、他の地域は苦労します。だって、その条件のもっとも肝心なところは「北」ですからね。こればかりはどうにもなりませんね、暖かい地域にあっては。相変わらずの広長舌で、話がなかなか進みません。続きは明日。面白い話を仕入れたのです、実は。それを一くさりしますね。ワインのご紹介のほうは、時間が足らず、できませんでした。これも明日にします。ご勘弁を。
Apr 26, 2005
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いつもご紹介するワインやフリーページの編集をしていて思うのですが、なぜだか、Rokku が選ぶワインはフランス産に集中しています。お店のワインが圧倒的にフランス産なのが影響していることもあるのですが、確かに、Rokku のセラーしているワインも、フランス産が圧倒的に多いです。これは、イタリア、スペイン派から見ると、面白くないでしょうね。今日はそのことについて。ある日「千本セラー」さんに、「Rokku さんは、えり好みしないね。何でもいいと言う。えり好みのカタマリみたいな私からすると、羨ましい。そんなに何でも楽しめるなんて」と、変な誉め方をされたことがあります。個性の時代と言われる今、えり好みしないなんてホントに誉められたのか?と思わないでもありませんが、確かにRokku はなんでも好きです。おいしければ。ドイツ・ワインも、イタリア・ワインも、カリフォルニアも、チリも、オーストラリアも、レバノンも、日本も、安くておいしければ、まず買います。ところが、持っているもの、買ったものをよく見てみると、圧倒的にフランス産が多い。どういうことなんだろう?まず、考えられる理由の一つは、世界各地の作り手の目標ワインがフランス産の超一流にある、ということでしょうね。ボルドー・スタイルなら四大シャトーかペトリュス、ブルゴーニュならロマネ・コンティ。これがレファランスだから、みんな同じようなもののコピーになってしまう。そして、コピーには後光、ベンヤミン言うところのアウラ(オーラ)がないのですよ。当たり前だけど。コピーって、いただいた側に「ありがたみ」が感じられないのです。だから、自分たちがレファランスと自信を持っているフランス産が、なんとなく「ありがたい」。あとはどれも、コスト・パフォーマンスという経済だけで語られる。こういうことはあるかもしれませんね。だから、あまり飲まないで言うのもなんですが、スーパー・タスカンなんて、Rokku はあまり興味がありません。安きゃ買ってもいいけど。二つ目は、もうちょっと技術的というか、風土に関係する理由です。結局、Rokku はフランス産ワインには気品があると言っていることになりますが、それは意外にも、論理的というか科学的(?)に説明できるかもしれないのですよ。もちろん、ワイン学的に意味がある説明かどうかは、まったく知りませんが。勝手な憶測です、あくまで。何が言いたいかというと、フランスって、ワインを作るには結構寒いところだ、ってことです。ドイツがあるじゃないか、とおっしゃるかもしれませんが、ドイツ・ワインのブドウはフランス産とはまったく違います。たとえばリースリングなんて、フランス以北のもっと寒いところで生育するのに適したブドウでしょ?それなら、アメリカやオーストラリアのような、比較的温暖な地域でもリースリングのワインが作られるのはなぜなんだ?という反論がありそうですね。それは簡単ですよ。そこに住むことになったのがドイツ系の移民だったからに過ぎません。だから、習慣的にリースリングでワインを造った。それだけのことでしょう。だって、ワインは地酒ですからねえ、もともと。さて、フランスのブドウの話に戻りますが、寒いところのブドウは、当然のことながら、暖かい地域に育つブドウに比べて、糖度が低いでしょうねえ。それが、ワインのうまさの三角形の一要素であるフィネスに通じます。フィネスとは、ふくらみに相反する概念で、「やせ」ていてかつ「素敵」なことなのでした。ふくらんでいながらも、やせた感じがあって、それが素敵な気品に通じている。こういう二律背反を可能にしたのが、確かに Mike23 さんが言うように、おいしいものを造りたいという「執念」、技術であることは間違いありません。そして、その技術を育ませたものこそが、Rokku は寒い風土だと思うのです。寒すぎてはいけません。ドイツになってしまいます。適当に寒いという奇跡、これが必要だったのです。フランス産の、というか、正確に言うと、ボルドーとブルゴーニュ産のワインには。というわけで今日は、お約束どおり、オススメワインの二店目が完成しました。ずいぶんな数のご紹介となってしまいましたが、食指の動くものがあると嬉しいですね。調べながら思ったのですが、Rokku は、欲しいワインが多すぎる。これ、みんな、欲しいです、ワタシ。母ワインは手に入らなくてもいいけど。
Apr 16, 2005
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ついついワインのことばっかり考えていると忘れがちですが、私たちは地震のメッカみたいなところに住んでいます。いつ地震が来るかわかりません。東海地震、東南海地震、南海地震……。ご予定が目白押しですよね。でかい地震が来たら、きっと割れるだろうなあ、派手に。パーカー100点とかそんなこと、地震さまは聞いてくれんだろうなあ。もう10年以上前のことですが、しばらくエジンバラにいなければいけないことがあって、どうせならおいしいワインを飲もうということになりました。で、結構高いワインをあるお店で買い求め、今晩が楽しみだね、と友人と話をしながら通りに出たときのことです。何かを取り出そうと思って、手が滑りました。もうお分かりですね、ワインの入った紙袋が落ちました、ハイ。壜はすぐ割れるんですねえ、いとも簡単に。そのときのいいニオイ、忘れられません。いくらだったかははっきり記憶にないけど、10ポンドぐらいだったと思います。日本円に換算すると大したことなくなってしまいますが、ウエッジウッドのカップ・アンド・ソーサーの安いやつなら20ポンドぐらいで買えるのですからねえ、イギリスでは。10ポンドのワインといえば、結構な品物なのです。その昔、1ポンド=千円だったのでそうですね。それで換算すると、10ポンドは一万円ですよ。そして、イギリスでは1ポンドは今でも1ポンドなんです。不思議な感じがしますが。大地震が来たら、きっとわが家は、この世のものとも思われないほど、いいニオイがするでしょうねさて、電気式ワインセラーを持つが故の心配事、困りごとは、こんなところですが、それはまあ心配事というだけですから、大したことないと言えばそう言えなくもない。問題なのはそれがすべて費用のかかるわりに、その苦労が徒労になる話だってことです。いわゆるコスト・パフォーマンスが悪い気がする。地下のワインセラーの場合は建設費の高さでしたが、電気式ワインセラーはやはり電気代とその冷蔵庫の値段が結構かかってしまう。そんなにお金をかけるのなら、業者にワインセラーで保存してもらって、適当な飲み頃になったときに適当な値段で売ってもらったほうが安いかもしれない、そう思うようになってきました。電気式ワインセラーご購入を検討なさっていらっしゃる方は、そのことをよおく、考えたほうがいいかもしれない。そう Rokku は思います。Rokku はどうするかですか? いまさら やめられませんよ。このまま 待つ楽しみに賭けます。2店目のオススメワインのご紹介に、何とか成功しました。でも、このお店のオススメすべてを網羅することは、まだできていません。明日までお時間をください。
Apr 15, 2005
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これまた大問題ですね。この前までの Rokku のお話は、要するに、日本の夏を温度調節なしで乗り切るのはワインにとってかなり危険ということでした。ル・トア・ド・パリの小田川さんは、納屋の確か藁だったと思うけど、その中に長い間ボルドー(かなり有名なシャトーだったと思いますが、名前は忘れました)を放っておいたそうですが、すごくうまく熟成したと言ってらっしゃいました、そういえば。でも、こんな危険な賭けはなかなか出来るものではありません。長熟型であれば意外にOKなのかもしれないけど、そんな危ない橋はだあれも渡らないので、真相はわからない。となると、長い間置いておこうと思ったら、ワイン用冷蔵庫を購入するしかない。一応それが、常識的な結論です。Rokku も、もちろん持っています。2台も……恥ずかしいけど。入らなくなっちゃったので、2台目を買ったのです、だいぶ前に。2台目は大きいのを買いました。たくさん入るといいと思って。後先考えずに。でも、功罪半ばですねえ、正直言って。功は、言うまでもなく、プリムール(初売り)で安く買って、熟成を楽しみに待つことができる、ということです。待つ楽しみは、ワイン・セラリングの究極であることはもう申し上げましたね。それが手に入ります。でも、気長な楽しみです。場合によっては気が遠くなります。今のところ、全部自分で飲むつもりでいますが、果たして、どうなることやら。いろいろ教えていただいた恩師でもある、もう故人になってしまった、アメリカの著名な比較文学者は、自分では飲まないのにワインをセラーしていて、おもてなしに人に飲ますのを晩年の趣味としていました。飲ませて、どんな感想かを聞くわけですね。そして、それをノートに付ける。そのときは、自分で飲まずに人に飲ませるだけで満足というような、そんなワイン趣味が自分にもてるだろうかと半信半疑でしたが、今では、Rokku にも出来そうな気がしています。セラーしておいて、いざというときに出してみて、それがうまかったりしたら、なんと言ったらいいのかなあ、サービスの極致みたいで、とても幸せな気分になれます。ギャルソンの楽しみ、とでも言えばいいのだろうか……。もちろん、今のところはまだ、飲まないのはイヤですけどね。功は……これだけです。実は。あと、罪(「ざい」と読んでください。「つみ」ではありません)について。まず電気代。これはバカにならないと思う。ちゃんと記録しているわけでないので、はっきりしませんが、夏の冷蔵はもちろんのこと、冬も暖めているのですね、あれは。冷蔵庫と言ったけど、ホントは正確な言い方ではない。だって、暖めるんだもんね、冬は、冷たくなり過ぎないように。一定の温度が原則ですから。やっぱりワイン・セラーと言うしかないから、電気式ワイン・セラーというのがいいのかな? 要するに、冷蔵庫のように電気を食う貯蔵庫がわが家には3台あるようなものですから、そりゃあ、電気代は……考えたくないです。次に、突然停電になったらどうか?という心配。日本の今の電力事情は悪くないから、あまり考える必要はなさそうですけど。でも、何せセラリングというのは長丁場の話です。停電がないとはとても言い切れるものではない。そのときにどうするか? 一時期発電機を考えましたが、そこまでやりだすと大変だなあ、いい加減にしなきゃ、と思って、チラッと考えただけで、購入を具体的に計画したことはまだありません。というのも、そんなことより、地震の方が問題だということにやっと気づいたんです。長くなりそうなので、この話は明日、ね。ということで、今日オススメのワインも、また白になってしまいました。ヴェルジェというドメーヌは、ベルギー人の天才醸造業者と言われるグッファンと関係があるので、安かったら買いの白です。Rokku は2001年に飲んでいるのですが、シャブリの'96で88点でした。楽天にあったヴェルジェのシャブリは高いので、マコンの2,700円をオススメしますね。
Apr 14, 2005
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ここは一番、地下室を作ることのできない、大半のお金のない私たちのために、知恵を使ったセラリングを考えるしかありません。Rokku が実験をやったことがあるので、ご紹介しましょう。いつ実験をしたのか、調べてみたら3年前でしたが、ものすごく暑い夏でした。別に暑い夏を予想していたわけではないのですが、期せずしてそのときに実験をする巡りあわせとなったのです。実験とは……。同じワインを買っておいて、一本は台所にあるのと同じ野菜収納庫に入れておき、もう一本はワイン・セラー用の冷蔵庫に入れておく、というものです。きっかけは千本以上の愛好家の一言です。夏だって少々の暑さなら関係ない。結構ワインに使われているブドウは強いし、ひどく温度差がなければいいんだ。田崎(あの有名なソムリエです)だって、ビンを立てておけば空気が緩衝材になって、酸化の影響を受ける空気もあのわずかな空気だけだし、その空気が夏の外気と同じくらいの温度になることは屋内であればそうは考えられない、と言っている。だから立てておけばいいんだよ。そうすれば、ふかない(ワインの液体が壜からあふれ出てしまう事態)。そう、千本セラーさまは言うのですよ。言ったこと覚えてないだろうけど……、当人は。ま、とにかく Rokku は素朴にそれを信じました。信じる者は救われますからね。そして、とにかくひと夏の間、一度も床下収納庫の蓋を開けることなく、夏の間に何が起こるのかを調べました。実験は5月に始めて、最初に蓋を開けたのはお盆のとき。二回目がその約10日後、最後が9月の下旬です。実験に使ったワインは、当たり前ですが、安いワインばかりです。だって、もったいないもんね、ダメだったときのことを考えると。でも、おいしいものばかりですよ。銘柄は南仏はタルデュ・ローラン(Tardieu-Laurant)のレ・グラン・ゾーギュスタン・ブラン(Les Grands Augustins Blanc)2000 と、 スペインはアガピト・リコ(Agapito Rico)のカルチェロ・クリアンツァ(Carchelo Crianza)1996、ブルゴーニュはドメーヌ・アルロー(Domaine Arlaud)のブルゴーニュ・ロンスヴィ・ヴィエイユ・ヴィーニュ(Bourgogne Roncevie, Vieilles Vignes)2000、の三種類です。ブドウの強さによって、必ずこのとおりの結果になるとは一概に言えません。あくまで目安だとお考えくださいね。まず、レ・グラン・ゾーギュスタン・ブランは8月15日に床下収納庫に入れてあったものを、16日にワイン・セラーに入れておいたほうを飲みました。結果は、床下収納庫のほうが86点で、ワイン・セラーの方が87点。ほとんど同じ印象で、ちょっとワインセラーの方がフレッシュな感じがしたとノートにあります。ということは、8月の中旬まで床下に置いておいても、少し熟成が進んだ感じにはなるものの、変化はそんなに大きくないということですね。続いて、カルチェロ・クリアンツァです。これは、8月23日にワイン・セラーのほうを、8月24日に床下収納庫のほうを飲みました。結果は、セラーの方が90点で、床下収納庫のほうが86-88点です。このワインでは、暑さの影響がかなり出ているようです。ノートには、「ワインセラーにあったボトルには感じられたブーケがなくなっている。そして、飲んだ後に少しいやな後味が残る」とあります。ということは、更なる10日間の上積みが結構影響を与えているのかもしれません。さて、ブルゴーニュ・ロンスヴィ・ヴィエイユ・ヴィーニュはどうでしょうか。これは、9月10日にワイン・セラーのほうを、9月20日に床下収納庫のほうを飲みました。結果は歴然でした。ワインセラーのほうが87点だったのに対して、床下収納庫のほうはなんと!55点なんです。さらに一ヶ月の熱の上積みは、さすがにワインにはこたえたようです。ピノ・ノワールというのは繊細な味わいを信条とするブドウだから、影響が大きかったのかもしれません。ブドウの違いによる変化はありそうですから、本当のことを言うと、この実験は不十分ですが、それでもある程度のことはわかると思います。日本の夏が本格的に暑くなるのは、梅雨が明け、夏休みが始まる頃ですよね。それからだいたい1ヶ月はワインは持ってくれそうです。ふきさえしなければ。8月上旬まで床下収納庫に置いておこうと思うのなら、壜は立ててくださいね。今日ご紹介のワインは、イタリアの安いフラスカティです。醸造業者はフォンタナ・カンディダ(Fontana Candida)、銘柄はフラスカティ・スペリオーレ・ヴィネッティ・サンタ・テレーサ(Frascati Superiore Vigneti Santa Teresa )1999 です。イタリアの銘柄は名前が長いので、通称「フォンタナ・カンディダのフラスカティ・サンタ・テレーサ」と言っています。もうお分かりかもしれませんが、フラスカティとはブドウの名前です。サンタ・テレーサは畑だったと思いますけど、はっきりは覚えていません。うろ覚えで申し訳ない。注記:その後、kemurinrin さんからご指摘をいただき、確認しましたら、フラスカティはローマ近郊の街の名前で、フラスカティというワインに使われるブドウはマルヴァジアであることが判明しました。kemurinrin さん、ありがとうございました。安いけど、おいしいです。Rokku は2000年の時点で85点をつけていて、同時に違う畑のものも飲んでいるのですが、それより5点高く評価しています。今なら、もっと高くつけると思います。事実、その後何度か飲みましたが、Rokku のなかでの評価は高くなるばかりですね。値段はあっと驚く850円(税別)でしたが、今では高くなっています。1,000円以上したと思います。前にも申しましたね、日本での評価は即値段の高さにつながってしまうのですよ。千本セラーさまはシーフード・ピッツァにぴったりとおっしゃいますが、Rokku は、全般にどんなピッツァとも合うと思います。残念ながら、楽天内のショップにはありませんでした。夏に向けて絶対「買い」のワインですから、見つけたら買ったほうがいいと思います。何があっても。絶対損しません。と言うか、見つけたら教えてください。Rokku が買います。
Apr 13, 2005
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さて、大問題です。昔、あるホームページの主が、ワインさまに何とか日本の暑い夏を快適にお過ごしいただく方法はないかと、あらゆる実験を試みていらっしゃいました。新聞紙にワインをくるんで冷蔵庫に入れておくなど、さまざまに試した末に、やはりいい方法はなかったと結論づけていらしたと記憶しております。Rokku ももっと前にやってみたことがありますが、新聞紙がすぐ乾いてしまうのですね、冷蔵庫って。もちろん、すぐにあきらめました。他にどんな方法をなさってらしたのか、いまさら確かめようにも、サイトも何も覚えていません。最近では、楽天広場ご在住のミソジメさんが、トラックバックをつけさせていただいた日記の中で、懇意にしていらっしゃる喫茶店の「あるじ(主)」さんの面白い話を紹介していらっしゃいます。ひょんなことから登場した空想百万円話が思いもかけない展開を示す話なのですが、ミソジメさんはそのとき、空想百万円で手に入れたワインを収納するために、喫茶店の一角を掘ってワイン・セラーを作ったらどうよと、「あるじ」さんに勧めたのだそうです。そしたら、正直「あるじ」さんは、ここ掘れワンワンとホントに掘ったのだそうです。掘った「あるじ」さんも一度お目にかかりたいほど面白そうな人ですが、そう勧めたミソジメさんもなかなかの人です。でも、ここで問題にしたいのは、人物の面白さではありません。言うまでもありませんが、地下に作るセラーのほうです。「あるじ」さんもおっしゃってらしたようですが、地下のセラーは湿度がすごいのです、日本の風土では。エチケット(ラベルのこと)がかびる!知り合いに、別荘を作ったついでに地下室を作ってもらい、そこをワイン・セラーにしたお医者さんがいます。面白い人です。その人が家族で南仏を旅行した際、もちろん、狙いはドメーヌ巡りなのですが、空のトランクを一つわざわざ持って行って、それに詰めるだけワインを詰めて、帰りは機内持ち込みにした人です。ひとは、ワインのためなら、およそ思いつく限りのことを何でもするのですね。男に限られているようですが。さて、その地下のワイン・セラーですが、このお医者さんもひどい湿度だとこぼしていらっしゃいました。エチケットがかびるのだそうです、字が読めなくなるほどに。換気をするのに何か工夫されたと思いますが、その方法は忘れてしまいました。日本のように高温多湿(特に後者が問題だと Rokku は思っています)だと、人工的に手を加えない限り、地下室セラーは無理なのでしょうね。場所によってはいいのかもしれませんが。山とか。もう一人の知り合いの話。この人は、一度ご紹介申し上げたことのあるワイン千本以上ご所有の愛好家ですが、自宅の納屋をセラー用に改造しています。エアコン設備はもちろんのこと、納屋に小石を敷き詰めて、水道水(だったと思いますが、井戸水だったかも)をチョロチョロとたえず流れるようにして、湿度がいつも加えられています。マイッタ人です。もう、お分かりですね。セラリングには莫大なお金が要ります。ワインのために地下室なんてとても作れません。「あるじ」さんだって、結局、野菜貯蔵庫にされたそうです。というわけで、今日のワインはドメ-ヌ・アンリ・ペロ・ミノのブルゴ-ニュ・グラン・トルディネ-ル2000です。最近話題のドメーヌのワインが2,580円って、そんなに悪くないでしょ?
Apr 12, 2005
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なるほど、ヴォルネイ'99は、ブドウの出来のいい年のワインです。それが強すぎるのですね。だからボディ感の強さが気になってしまうんだ。それが雑味に感じられて、それがフィネスを抑圧するのですね。Rokku は、98年のワインをやたら買いました。多分そのときに予算が潤沢だったからでしょうが、それにしても、いつもなら買い付け競争に失敗するような高級ワインも、結構お値打ちであるにもかかわらず、簡単に手に入ってしまう! 不思議でしたが、後でなぞが解けました。98年は出来がよくないんです、ブドウの。情報通のみんなはそのことを知っていて、手を出さなかっただけなんです。そんなこと、ツユも知らない Rokku は、ホイホイ買いましたよ。バカですねえそのときにブルゴーニュ・ワインも結構買って、すぐに飲みました。当時系統的な飲み方をしていなかった Rokku は、比較的ツルッとした(平板ということ)ワインに「そうか、ブルゴーニュ・ワインって、こんな風なんだ。そんなにおいしいわけではないんだな」と思いました。そういうもんだと思い込んだ Rokku は、次の年に出た99年物には手を出しませんでした。今から考えると、バカですねえ、次の年はまれに見る豊作で、メチャクチャよろしいビンテージだったからです。だいぶ経ってから、99年のブルゴーニュ・ワインを飲む機会があって、驚きましたよ。98とものすごく違うからです。そうかあ、あのツルッとした感覚は98年の特徴であって、リージョナル・ワインの特徴ではないんだ!と Rokku はやっと気がついたのでした。そして、そのときに感じたのがフルーツ感の強さでした。それを「フィネス」と呼ぶには太すぎます。グラマーすぎるのです。それに似た感じなら、たとえば、南ローヌ地方はエドモンド・ビュルル(Domaine Edmond Burle)のジゴンダス・レ・パリルーダス(Gigondas Les Pallieroudas 1998)で味わったことがあります。98年は南ローヌ、特にシャトーヌフデュパプの超当たり年で、ブドウが大変熟成した年です。Rokku はこの年のビュルルのジゴンダスを結構買って飲みました。最初は圧倒的なフルーツ感に浸りきり、おいしいなあ、と感動しながら味わっていたのですが、あるときから「なんか しつこいなあ」と思うようになったのです。それがなぜなのか、そのときはもちろんわかりませんでした。それからしばらくして、例の敬愛する「千本セラー」さんが「ああビュルルか、あれは雑味が多い」と、のたまったのです。そのときに Rokku の疑問は氷解しました。そうか あのしつこさこそが雑味だったのか と。それとフルーツ感はほとんど同列と言ってもいいかもしれません。だから、ミハエルがボディ=雑味ととらえたのも無理はないのですね。ただ、雑味には「えぐい」感じがあるので、ボディの強さと「えぐさ」すなわち雑味が、似ているとはいえ、まったくの同義語とは思いません。それが Rokku が感じたフィネスなのではないでしょうか、あのヴォルネイ'99で。このエピソードは、実は、大変興味深いことを語っていると Rokku は思っています。というのも、もしブルゴーニュの真の美味を味わいたいと思っているのなら、パーカー・ポイントの高いものはやめて、少し低いものを狙ったほうがいいかもしれない、ということになるからです。事実、敬愛する「千本セラー」さんはそうしているのですし。その意味では、Rokku がたくさん買ってしまった98年ブルゴーニュの一級や特級は、意外にも、もう少しするとものすごくおいしいワインとなるのかもしれないわけです。これは 楽しみ……今日のワインは、ビュルルとはちょっと変えて、ジャブレ・アイネのクローズ・エルミタージュ1998です。よいビンテージです。雑味を感じるかどうか、試してみる? Rokku の経験では98のクローズ・エルミタージュはおいしかったと思うけど。
Apr 11, 2005
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今日お花見でしたので、前からご紹介しているヴーヴ・アミヨを戸外で試してみました。桜の下です。マイケルさまは正しかったですね。おいしかったです。一緒に飲んだみんなの評判も、すこぶるよかったです。少しナッツというかクルミの感じが漂う、本格スパークリングです。シャンパーニュの香りをそこはかとなく漂わす、お買い得品です。かなり酸を感じるので、正直、屋内で飲むのは避けた方がいい気がしますが、屋外なら、本格シャンパーニュが弱く感じられる分だけ、かえって、その酸が心地よいはずです。飲み比べたわけではありませんが。そういうわけで、86点かな。88つけるには酸が強すぎる、と思います。しつこいようですが、屋外での印象ですからね。夏なら、もっと点が上がると思う。キリンの新製品、「のどごし生」はメチャクチャ評判がよかったです。ほとんど飲み屋の生中(要するに生ビールですね いちいち注釈なくてもわかると思いますが まあ 念のため)みたいだと言った人がいました。そのとおりと思います。うまい発泡酒ですね。発泡酒くささ(つまりビールとの違和感)がほとんどありません。これは売れますね、多分。エビス・ビール86点に対する85点に納得です。この点の意味がわからないかもしれませんね。それを知りたい人がいるかもしれませんので、トラックバックをつけました。そこのコメントを見てください。
Apr 10, 2005
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この前、番外編でヴォルネイ'99のテイスティング・メモをご披露しました。それを読んだミハエルが、フィネスと雑味は微妙な違いだね、となかなかテイストのあるコメントを残してくれました。日記HP上でのことではありませんがね。Rokku は考えましたよ。だって、Rokku は「フィネスは十分ある」と言いつつ、片方で「ボディは強すぎ」とも言い、さらに「果実味がたっぷり」とも言っているからです。あのコメントを読んでくださった方々は、「フィネスと果実味、そしてボディはどう違うの?」と思うでしょう。そこへミハエルの強烈なパンチです。フィネスと雑味は実は同じ範疇なのだ、と。Rokku は何を言いたいのか? そう思われるかもしれませんね。話は少し複雑なので申し訳ありませんが、できるだけ簡単に言う努力をしてみます。うまく伝わるかどうか、自信はありませんが。果実味があるということはフルーティなアロマが広がるということですから、それとフィネスが十分にあるということは矛盾しません。しかし、フルーティなアロマとは口の中に広がるワインの存在感と言い換えてもいいですから、それは「ボディがある」という表現とかなり近いですよね。ましてや、Rokku はストラクチャが弱いと言っているわけですから、しっかりした骨格が感じられないワイン、すなわち口の中に広がるものがアロマ=ボディ感であっても不思議はまったくありません。ところが、Rokku はボディが強すぎると言っています。ここでわからなくなってしまうのですね、聞いている人たちは。でも、Rokku には正しいことを言っている確信はあります。どうしてか? それを説明するためには、ブドウの出来について考えないわけにはいきません。それが今日のタイトルの趣旨です。日記にときどき登場していただく、あの「敬愛する」千本セラーのワイン愛好家が、あるとき「いい年のワインはあまりうまくない。雑味というのとは違うけど、それに似た極端な広がりと言うかフルーツ感が強すぎて、フィネスのよさが消えてしまう。特にパーカーがいい点をつけると、その傾向が強い。だから僕は、パーカーが90点ぐらいをつけているワインを狙うよ。だって、フィネスを感じたいからね、ワインから。いい年はボディが強すぎるよ」とおっしゃったのです。Rokku はこの話を思い出しました、ミハエルの言葉から。そうか、だから私は、「果実味がたっぷりでフィネスは十分ありながら、ボディは強すぎる」と言ったのですね。そんなことを頭に明確に思い描きながら言っていたわけではないのですが。でも、今から考えてみると、だからこそ私は'99のブドウの問題かもしれないなどと、謎めいたことを言ったのかもしれません。自分の言っていることって、意外にわかっていないものです。すみません、番外編を書いたために時間がなくなりました。今日のワインはなしにします。
Apr 10, 2005
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要するに、とんでもないワインが出回っていないのが今の日本です。そういえば、アメリカもそうでした。どんな安くても、安いワインがそれなりにおいしかった。長い間いたわけではないけれど、イギリスもそうでした。そうである以上、盆踊りの夜店で売っているワイン(ありえねえー!)という風に、メチャクチャ得体の知れないワインに手を出すという、訳のわからない冒険の挙にでも出ない限り、実際には50点をつけることはまずありません。だから飲んで「おいしい」=即80点あげちゃう!ぐらいの気持ちで点を考えていくと、すごく気楽に点がつけられます。合言葉は 自分の感性を信じる! ですよ。そうして、「ものすごくおいしい」=90点と考えて、そこから、今飲んでいるワインはどれぐらい減点だろうか、と考えるわけです。「おいしい」より上だけど「ものすごくおいしい」ほどではないなと思ったら85点、という具合です。そうして、とにかく、一本目のワインAに点数をつけます。間違えたって構うわけありません。どうせ主観的な評価なのですから。あ、間違えちゃったあ、でオシマイです。それより、考えなければならないのはその次に飲むワインBです。ここからは比較の世界ですからね。ま、簡単に言えば、一本目のAはレファランスの役割をするわけです。後は足し算、引き算の世界ですね。BがAよりうまかったかどうか、イエスなら足し算になります。ものすごくおいしかったか? 「いや、そこまでではないな」と思ったら、90点までは行かない、ということですね。また真ん中という線もありますね。そうすると87~88点、ということになります。それより上かな、と思ったら89点です。89点つけるには惜しいが、90点とは言えない。そう思ったら89+となります。Rokku はだいたい、こういう風に点をつけています。具体的には、キーになる点数として、85・88・90・92・95ぐらいを考えておいて、後は、実際に飲んだ印象で、このあたりを行ったり来たりして個別の点数を与えていくわけです。結構面白いですよ。そうそう、最後に言い忘れましたが、少なくとも印象に残るワインの場合は、食べた料理もノートに書いておくと、後々、マリアージュを考える段になったときに参考になりますよ。さて、今日のワインは、2000年のワイン・ノートからの1本としましょう。ジョブロのジヴリー・プルミエ・クリュ・クロ・ド・ラ・セルヴォワジーヌ1998年です。Rokku は2本飲んでいて、90点と92点をつけています。白です。赤もありますが、この年は白のほうがよかったです。それから、Professor Rokku のショップ別オススメワインにコンテンツが1店分やっと入りました。また覗いてみてください。
Apr 9, 2005
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というわけで、ワイン・ノートにはワインの銘柄、ヴィンテージ、値段、購入年月日、そして、あるのなら本やインターネットで手に入れた情報が書き込まれるといいのでした。そして今日のポイントが、自前の評価ってヤツです。自分でつける点数のことですね。点数をつけるなんて「無理!」とおっしゃるかもしれませんね。そういうあなたに、こんな方法をお教えしましょう。まずは、A・B・C・Dと大まかにワインを分類します。そして、たとえばA=うまい、B=ややうまい、C=普通、D=うまくない、という風に、それぞれの記号に言葉の意味を付与するのです。個々のワインにA~Dの記号をつけるだけですから、飲んだワインを分類することは、思ったほど難しくないのではないですか?そして、その記号に今度は、点数を付けます。最初から100点満点では戸惑いも大きいでしょうから、10点満点で考えてみましょうか。そうすると、たとえばA=うまい=8点、B=ややうまい=6点、C=普通=5点、D=うまくない=3点、としてみましょうかね。しかし、実際に点数を与えてみると、自分が考えている「うまい」にも色々あることがわかってくるはずです。つまり、AからBまでが意外に範囲が広いこと、さらにはAそのものに色々な階層があることに、です。言い換えれば、AからBのところは、相当な点数の範囲が欲しいことに気づくはずです。そのときに役に立つのが大学での成績のつけ方です。Cは60点から70点未満ですよね。これを応用して、普通のワイン=C=60点、と考えたらどうでしょうか。C+で65点ぐらい。ということはBが70点、B+ともなれば75点、Aは80点、A+は90点、となるでしょう。Rokku の経験では、市販されているワインに、とんでもなくまずいワインはありません。ホントにそう思います。現在は良きにつけ悪しきにつけ、情報氾濫の時代なのです。どのワインがうまいかまずいか、ある程度の情報は整っていて、その上で商品は輸入されたり買い付けられたりしています。つまり、売られている商品に、とんでもないまがい物は、見つけるほうが却って困難な時代になっているのです。なぜか? 理由は簡単です。日本がそんなにも大きなマーケットだからです。アメリカに次ぐマーケットであるからこそ、沢山のハリウッド映画人が来日するのですし、大リーグ選手も来るのですし、レアル・マドリッドだってサッカーしてくれるのですよね。別に慈善活動で来るわけではないのです。ワインだって同じです。またいずれお話しますが、最近ワイン醸造家が何人も来日して、ワインセミナーをすると思いませんか。それも根っこは同じですね。巨大ワイン市場なんです、日本は。バブル以後元気がありませんが、イエイエどうして、腐っても鯛、なんです。というわけで、今日の一本は、久しぶりに2000年のワイン・ノートから、イタリアで行きましょう。イタリア・ワインは安いものになかなか捨てがたいものが多いですが、そのうちの一つ、モンテプルチアーノ・ダブルッツォをご紹介します。覚えにくいかもしれませんが、割に簡単です。モンテプルチアーノとはブドウの名前で、ダブルッツォとは「アブルッツォ(地名)の」という意味です。つまり、アブルッツォのモンテプルチアーノというブドウで作ったワインということですね。これはなかなかおいしくて安いワインが多いのですが、その中のバローネ・コルナッキア(醸造業者)が作るモンテプルチアーノ・ダブルッツォのうち、ポッジョ・ヴァラーノと名づけられた、安くておいしいワインを紹介します。2000年に飲んだのは'98ですが、Rokku はそれに88~90点をつけています。相変わらずコスト・パフォーマンスは抜群です。
Apr 8, 2005
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1本買っておいたので、Rokku の判断は正しかったのか、調べてみました。よかったです、予想通り。判断が間違ってなくてよかった! そのノート(いつもより圧倒的にリキが入ってしまった)をご紹介申し上げます。抜栓直後ちょっと温度が低い段階では、ボディがたっぷりしていて、グリセリンのような香りが基本にあるのを感じる。これがしばらくすると、コーヒー又はカカオのような感じに。樽香の影響のようだが、あまりヴァニラという感じではなかった。もう少し重い感じ。さらにしばらくすると、土の香り、花が強くなってきて、ブルゴーニュらしいフィネスがたっぷりしてきた。しかし、やはりコーヒー、カカオの印象が基調にずっと残っている印象で、ブルゴーニュの新傾向にあわせたワイン作りを少し思わせた。それとも99年の全般的な傾向かも。余談になるが、ルイ・ジャドのワイン・セミナーに参加したとき、そういう新傾向の濃いブルゴーニュをどう思うか聞いたところ、それは樽を焼いて出す香りだと言われ、とても印象に残った。そのときにジャド社の人は、自分たちは伝統的なワイン作り(フィネスのしっかり出るワイン作り)を心がけていると言っていたが、それは去年の話。ひょっとしたら、そういう物言いはさまざまな試行錯誤の結果出てきたことなのかもしれない。そのことを思わせる味である、ヴォルネイ99年は。例の三角形で言うと、ストラクチャはやや弱い感じで、やはりボディがしっかりしている。フィネスは十分で、すごくよい感じ。よいブルゴーニュは繊細なフィネスと、強いストラクチャのハーモニーと Rokku は思っているが、それで言うと、このヴォルネイはボディとフィネスの合作で、そこにジャドの新傾向というか、試行錯誤を思わせるものがある。この時点で91点か、92点か、すごく迷った。一緒に食べたのはただゆでただけのジャガイモ。何もつけないで食べると、花の香りがよく出て、とてもよくあった。ということは、まだ若いワインで、果実味がたっぷりしているということだろう。それがふくよかなボディを思わせるのかもしれない。野菜によく合うから、ブロッコリをいためただけでも十分と思う。今でも十分に楽しめるワインだけれど、しばらく(少なくとも3~5年)置いたら面白いと思う。確かに、使用されているコルクは長熟型のきめの細かいツルッとしたもの。抜栓30分後、花と同じぐらい樽香を感じるようになる。ヴァニラというよりはミルクチョコレートの感じ。この段階で結論として92点をつけることに決定。91+かも、とずいぶん悩んだ末の結論。
Apr 7, 2005
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