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2004年07月26日
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 そのころ、早也は、宿坊の庭にある、どんぐりの樹をみつめていた。 

 夏の夜、どんぐりの樹のまわりを、カブトムシがぶんぶん飛び回っている。

 木の下には、ひっくり返ったカブトムシが息絶えていたり。
 きれいによく乾いている。美しいので、ニ、三日、玄関にオブジェとして飾りたくなる。

 翌朝、アリンコたちが、朝からせつせと働いている。

 カブトムシを埋めたいときは、アリの巣の近くにそっと置いてあげる。
 あとは、勝手に、アリンコたちが、集まり、埋め、分解してくれる。

 蝶(ちょう)、ダンゴムシ、アリヂゴク、蜂、カナブンたちも、そのうごきをいよいよ活発にしてきた。


 夏の庭を心しずかにながめる。

 どうぶつ、こんちゅう、花、


生きものは、みな、
生まれて、思い切り働いて、鳴いて、
歌って、踊って、糞して、戦って、セックスして、死んで、
そして、また土に帰り、
つぎの いのちへと、バトンをつなぐ。


 そこには、悲哀など、まったく、ない。
 四季、あたりまえに、それらは繰り返される。
 にんげんも、ほんらい、同じである。


 ゆいいつ、人間にのみ許された特権といえば、
 「悩み、解決方法を見出し、笑う」ということだと思う。
 これは、虫や植物、ほとけさまにも、できない、
 にんげんだけの特権である。

 ならば、せっかく、今世、人間として生まれたのだ。
 その幸運(けして不運ではない)に感謝し、
 おおいに、悩み、解決し、笑おう。

 せっせと、あるいは のんびりと、働いて生きよう。

 せっかくだから、可々大笑、可々爆笑して、逝(い)こう。

 あっという間に生き、あっという間に死ぬんであるから、
 いちにち一日を、大切に生きよう。
 で、なるべく長生きして楽しもう。

 恐れることはまるでない。
 人間が終われば、次のステージが待っている。
 そこで、また、いっしょに遊ぼう。

 お庭に出て、早也は思う。
 「たとえば、こんなふうに、カブトムシが教えてくれる。」



 山川草木悉皆成仏(さんせんそうもくしっかいじょうぶつ)。
 森羅万象(しんらばんしょう)、これみなわが師なり。
 日本天台宗、最澄さまの教えである。

 日本では、すでに、最澄さまが「密教」を広め、南都仏教(奈良仏教)を制圧、吸収しつつあつた。

 しかし、空海の灌頂(しゅぎょう)は、未だつづいている。





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最終更新日  2004年07月27日 00時08分58秒
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